「輸出規制」巡る一般読者の反応のレベルは総じて高い

毎日新聞が社説で「日韓両国の指導者は輸出規制を巡り失ったものを直視すべきだ」と主張したとする話題については、当ウェブサイトで金曜日に『毎日新聞社説「日韓両国指導者は失ったもの直視せよ」』で取り上げました。これについて「続報」があります。『Yahoo!ニュース』でこの社説に関する一般読者の反応を知ることが出来ました。

2020/06/14 10:00 追記

本文中に推敲が出来ていない文章がありました。「輸出管理適正化措置について詳しく知りたい方のために」のくだりが日本語表現としておかしかったので修正しております。

金曜日の毎日新聞の「輸出規制」社説

毎日新聞が金曜日、『輸出規制と日韓関係 失ったもの直視すべきだ』と題した社説を掲載したとする話題については、当ウェブサイトではすでにその当日、『毎日新聞社説「日韓両国指導者は失ったもの直視せよ」』で紹介したとおりです。

毎日新聞のこの社説、おそらく日本政府が昨年7月1日に発表した、韓国に対する輸出管理体制の厳格化・適正化措置について触れたものと思われるのですが、基本的な用語を誤っているというお粗末な代物です。

というのも、社説タイトルで「輸出『規制』」と書かれているとおり、対韓輸出管理適正化措置のことを、自称元徴用工問題に対する報復的な輸出規制か何かだと勘違いしているからです。議論の出発点がこれでは、内容も推して知るべしでしょう。

いちおう改めて簡単に指摘しておきますが、日本政府は韓国に対し、「輸出『規制』」なる措置を講じた事実はありません。日本政府が講じた措置は対韓輸出管理の厳格化措置であり、日本政府がそれを講じた理由は、日韓間の信頼関係の喪失に加え、「不適切な事例」が発生したからです。

また、韓国側は「日本政府が求めた輸出管理体制の人員拡充などの措置を講じた」、「日本が輸出『規制』を続ける理由はなくなった」などと主張していることは事実です(『韓国の対日提訴は「グループC」に格下げする契機か?』等参照)が、次の記載は看過できません。

安倍晋三政権は、輸出管理と徴用工問題は全く関係ないと主張してきた。そうであるなら、韓国が不備を正したのに認めないというのは理屈が通らない。

この記載、あきらかに韓国政府の言い分をそのままなぞったものですが、「韓国が不備を正した」といえるかどうかは、日本政府が判断すべきことがらであり、毎日新聞が勝手に「韓国が不備を正した」と決めつけるのはいかがなものかと思います。

大学教授が学生の成績を判断する際に、その学生と協議したりしないのと同じで、韓国が本当に日本政府の求めた輸出管理体制を整備したといえるかどうかを判断する権利は、韓国政府にも毎日新聞社にもありません。あくまでも日本政府が判断すべき筋合いのものです。

「日韓どっちもどっち論」の間違い

さらに呆れるのは、

現状は日韓いずれの国益にも反する。両国の政治指導者は、この間に失われたものの大きさを直視すべきだ。

という主張です。

さまざまな問題の発生を受け、日韓関係が膠着状況にあることは事実ですが、そうした問題を発生させたのは「両国の」政治指導者ではありません。「韓国の」政治指導者です。

また、現状が日本にとっても、短期的には「ノージャパン運動」などを通じて日本の国益に反している部分があることは事実であり、その点において毎日新聞の社説の指摘は正しいといえるものの、だからといって、今回の輸出管理適正化措置を撤回してしまう方が、さらに国益に反します。

いずれにせよ、毎日新聞が唱える「両国の」、「日韓いずれの」という表現は、実際には韓国側が一方的に悪さをしているにも関わらず、あたかも日韓双方に責任があるかのように述べているという意味では、非常に大きな問題があると思わざるを得ないのです。

※余談ですが、輸出管理適正化措置について詳しく知りたい方のために、当ウェブサイトでは先週、対韓輸出管理に関する基礎的なQ&Aを作っていますので(『「誤った社説」を利用して作成した対韓輸出管理Q&A』参照)、適宜ご参照ください。

「誤った社説」を利用して作成した対韓輸出管理Q&A

一般読者はどう考えているのか

さて、この毎日新聞の社説について、一般の人々がどう考えているのかという「反応」を知るうえで有益なリンクを発見しました。

日メディア、“対韓輸出規制は徴用工問題と無関係”という日本政府の主張に…「無理がある」=韓国報道

毎日新聞は、対韓輸出規制などで悪化した日韓関係回復のために、両国すべてが前向きな姿勢をとるべきだと求めた。<<…続きを読む>>
―――2020/6/12 16:09付 Yahoo!ニュースより【Wow!Korea配信】

リンク先記事は、もともとは『Wow!Korea』というウェブサイトに掲載されたものですが、それが『Yahoo!ニュース』に転載され、さらに読者コメントが多数ついている、という状況にあります。

『Wow!Korea』の記事自体は、毎日新聞の社説を淡々と紹介しただけのものであり、その点においてべつにおかしな記述はありません。しかし、この記事を読む意義は、読者コメントを通じて毎日新聞の社説に対する一般の読者層の反応を知るという点にあります。

さっそくですが、昨日夜時点で最も多くの共感を得ているコメントを紹介しておきましょう(※ただし著作権に配慮するなどの都合もあるため、コメントについては大意を変更しない範囲で意図的に修整している場合や、一部引用に留めている場合があります)。

端的にいえば、読者コメントも玉石混交です。

とくに、いちばん高い評価を得ている次のコメントについては、「日本の尊厳を守るための防波堤」と述べるなど、あたかも昨年の対韓輸出管理適正化措置が、「韓国に対する報復」であるかのごとく誤認しているものであり、この手のコメントが上位に来てしまうことに対し、違和感を覚えてしまいます。

  • いまやホワイト国除外が日本の尊厳を守る防波堤であり、敵の本丸。撤回などあり得ないのです。」(mat*****さん)

この点、昨年の『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』でも説明しましたが、そもそも日本政府の講じた措置については、「経済制裁」、「報復」としてはあまりにも弱いものであるのに加え、自称元徴用工問題への対抗措置にしては、発動したタイミングにも矛盾があります。

したがって、輸出管理適正化措置は純粋に輸出管理上の問題と見るのが正解でしょうし、日本政府が韓国の輸出管理体制に「問題がない」などと判断した場合には、現在よりも措置が緩和される可能性すらあります(実際、3品目のうちレジストの輸出許可については、昨年12月に緩和されています)。

意外と高い、日本人の情報リテラシー

もっとも、韓国政府がこのタイミングで対日WTO提訴に踏み切ったことの国際政治的な意図を読むというコメントや、そもそも論として自称元徴用工問題を「未解決の歴史問題」に含める点のおかしさを指摘するコメントもあります。

  • ソースは毎日新聞という左派系新聞で、『日本が悪い』という条件をでっち上げて無理やり優遇措置を復活させようとする意図が感じられる。この時期になって輸出優遇措置に言及した理由は何だろうか。北との連絡が途絶えてしまったことと関係があるのでは?」(rid*****さん)
  • 『徴用工問題は未解決。日本政府は謝罪もしていない』という主張の方がおかしい。」(pli*****さん)

さらには、当ウェブサイトで主張してきた内容に比較的近い、次のようなコメントもあります。

  • ホワイト国認定の際、韓国に対して手取り足取り、輸出管理体制を教えたのに、勝手に杜撰な体制に移行したのは韓国。とりあえず体制だけ整えて『不備は解消した』という主張にも無理がある。」(all*****さん)

このようにチェックしていくと、メディアが誤った言説を垂れ流したとしても、一般ユーザーの側は、ある程度は自分たちの側で修正しながら理解していく能力を獲得しているようにも感じられるのです。

もちろん、『Yahoo!ニュース』という限られた言論空間だけですべてを判断するのは不適切ですが、いずれにせよ、今後は「メディアに対する一般読者の反応」というものをチェックしていくのも面白いのかもしれませんね。

読者コメント一覧

  1. おっさん より:

    韓国は、北に劣らずぼうりゃくを得意とする種族国家。

    その政府発表を検証もせず、同調垂れ流し、日本国民をミスリードしようとする毎日等のマスゴミの罪は大きい。

    そのうち、彼らの闇の部分が明らかにされる日がくることだろう。

  2. 浦島三郎🐢 より:

    >大学教授が学生の成績を判断する際に、
    >その学生と協議したりしないのと同じで、
    >韓国が本当に日本政府の求めた輸出管理
    >体制を整備したといえるかどうかを判断
    >する権利は、韓国政府にも毎日新聞社にも
    >ありません。あくまでも日本政府が判断
    >すべき筋合いのものです。

    個人的には、韓国の主張している「旧ホワイト国の待遇の復活」は「一学期のみの学業の通信簿」というよりも、むしろ「自己破産の前科がある人」が「ちゃんとハローワークで仕事を見つけたから1億円の住宅ローンに通るべきだ」と主張しているのに近いのでは?

    かの国には「地道に嘘をつかず、約束を守り、長い年月をかけて信頼関係や信用を積み上げてゆく」という考え方が存在しないようで、文明国家での価値観が通用しない特殊な地域みたいですね。

    1. クロワッサン より:

      浦島三郎 さん

      >かの国には「地道に嘘をつかず、約束を守り、長い年月をかけて信頼関係や信用を積み上げてゆく」という考え方が存在しないようで、文明国家での価値観が通用しない特殊な地域みたいですね。

      だから、日本社会で白い目で見られるのを「因果応報」ではなく「差別」にすり替えて被害者コスプレをするような面の皮の厚さがあるんじゃないかと。

      「個人の善行は集団の高評価につなげようと広告するのに、集団の悪評は集団の悪行につながらないようにする」というのは日本的な価値観とは相反する価値観。

  3. カズ より:

    ホワイト国からの除外措置は、信頼関係の毀損を理由として相手国から戦略物資の貿易管理責任を取り戻しただけのこと。

    言い換えれば、白紙委任状を無効化し「個別委任状」に差し替えた措置に過ぎないのでは?

    *信頼関係を毀損した者に対しての「無制限連帯保証」を解消するのは、自衛措置として当たり前のことだと思うんですけどね・・。

    *そして「説明責任の履行と適正運用の蓄積」が信頼回復の前提条件であることも・・。

  4. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    冒頭からすみませんが、この【Wow!Korea】というメディアも相当に酷い内容ですね。目次を見ただけで、クラクラする(笑)。まあゴミですね。

    「対韓輸出管理適正化措置」について、コメント欄を見ると、おおまかには知っている、正しい理解を読者はされているようです。面白いのがあって、個人的には賛同なのが{gpd★★★★さん)『毎日、朝日、共同の記事は、朝鮮の新聞みたいなものです。日本の得になるかという視点で記事書かないですから。~~』(笑)。仰る通り。

    今になって韓国側が「日時を決めて日本が結論を出せ」「戻せ」とか、「韓国は指摘事項をすべて改善した」と言って来るのは、何か不都合な事が目前に迫っているのでしょうか。北朝鮮から激しい叱咤を受けているとか。水面下で督促を言う某国・非合法組織があるとか。

    日本を腹立たせる国、韓国はもうワンランク下げたらいかがでしょう。BからCグループ。これぐらいしないと、舐められます。「アンタんとこは、中国と同じだよ」と。で、台湾を1ランク上げる(笑)。

    1. 墺を見倣え より:

      > 台湾を1ランク上げる(笑)。

      私も、台湾を1ランク上げる事に賛成ですが、それは今じゃないでしょう。
      台湾がCPTPPに参加してからで良いのでは?

      現状は、台湾がCPTPPに参加を打診できない程、独自の対日制限をやっている訳ですから。

      1. めがねのおやじ より:

        墺を見倣え様

        ありがとうございます。台湾はCPTPPに参加してからでOKですよ〜(^^)。

  5. だんな より:

    私はヤフコメを出禁になったので、韓国に対する意見に対して「何らかのバイアス」が、掛かっていると思ってます。
    コメントの「良い」「悪い」を操作する、ネット工作員が存在するのは、間違い有りません。
    コメントの上位には、事案によって評価出来るコメントと、そうでないものが、出てきますので、操作された評価として、見る必要があります。
    まあ、この前のTwitterのリツイートと、同じ事だと思います。

    1. たい より:

      ヤフーのトップに上がるニュースは確かに工作員の気配を感じる気が多い様に思えます。
      反面、表に出てこないニュースに書き込まれたコメントには、ここのブログの論者と似た意見が多い様に思えます。先のエントリーが好例です。
      目立つ所に戦力を集中しているのでしょう。
      ヤフーのトップのニュースをATM系列中心で固めたら、主な情報源をヤフーとテレビ位の人はイチコロですね。

    2. イーシャ より:

      私は出禁にはなっていませんが、検証可能な事実を述べたコメントが消される経験は何度もあります。
      例えば、昨年のホワイト国騒ぎのとき、韓国が「世界のサプライチェーンが」と騒ぐ記事に対して書いた
      ・マイクロンテクノロジーの広島工場拡充
      ・(旧)東芝メモリーの新工場
      の話は、あっさり消されました。

  6. はぐれ鳥 より:

    一般読者といっても様々で、興味がある人は、少し関連情報をあされば、何が事実で、どうあるべきかを知るのは難しくありません。ネットに書き込みする人はそういう興味・知識を持った人たちですから反応レベルが高いのは当然です。

    ですから、毎日新聞記事はそれ以外の人向けということでしょう。そのような人は、この記事は、最初から読まないか見出しだけ読んで「ここでもまた日韓がいがみ合っているのか・・・困ったもんだ・・・」程度の認識を持つ訳です。

    で、新聞購読者が年々減少の一途だということは、このような人たちが減少しつつあるということですね。自分も生きた、一つの時代が終わろうとしているのかと思うと、ちょっと寂しい感じもします。

  7. kazusa より:

    マスコミの徴用工判決の理解もタイミングも含めて実質的には対抗処置と思うのも無理はありません。
    但し、報復だとしてもそれは対抗処置ではなく、今まで目をつぶってきた部分を辞めただけなのですけどね。

    例えるなら、友達だからと借用書なしでお金を融通していたが、あまりにも約束を守らない、無礼な態度を取り続ける元友人に対して借用書と返済証明をしないと金を貸さないよ、と態度を普通の対応に改めた、ということでしょう。

    マスコミは頭が悪いのか、わかっていてこんな社説を書いているのでしょうが、後者だとすれば韓国の工作がマスコミの奥深く入り込んでいるということでしょう。

    1. ad より:

      「優遇は当然」と韓国人と同じように考えているのだと思います

  8. ot22 より:

    ot22

    6月19日には改正対外貿易法が施行される
    ですよね. GSOMIAの件もあるんで, 実効性を見てからというのが, 普通のセンス

  9. よし より:

    毎日新聞は反日新聞。

  10. 茶筒 より:

    ヤフコメは、最近
    「テレビや新聞(かYahooニュース)程度しかみてない情報弱者の方」
    くらいしか投稿していないように見えます。
    安倍首相擁護、韓国批判、中国批判など、
    いわゆる「ネトウヨ的意見」を言う人に対して、
    定期的に青ポチ(意見に対する反対票)を入れる人達が相当数いて、
    まともな意見を言う人ほど、嫌になってやめて言っているように見えます。
    もちろん、まともな意見も一定数あるのですが。
     
    このサイトや、Twitterなどで情報収集に慣れてしまうと、
    特にレベルの差を感じてしまいますね…
    ヤフコメの方達の認識は、2週間くらい遅れてるようにおもいます。
    (大体マスコミの認知と同じくらいの遅れ)

  11. 茶筒 より:

    ヤフコメは、最近
    「テレビや新聞(かYahooニュース)程度しかみてない情報弱者の方」
    くらいしか投稿していないように見えます。
    安倍首相擁護、韓国批判、中国批判など、
    いわゆる「ネトウヨ的意見」を言う人に対して、
    定期的に青ポチ(意見に対する反対票)を入れる人達が相当数いて、
    まともな意見を言う人ほど、嫌になってやめて言っているように見えます。
    もちろん、まともな意見も一定数あるのですが。
     
    このサイトや、Twitterなどで情報収集に慣れてしまうと、
    特にレベルの差を感じてしまいますね…
    ヤフコメの方達の認識は、2週間くらい遅れてるようにおもいます。
    (大体マスコミの認知と同じくらいの遅れ)

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