安倍晋三氏の総理大臣在任日数が歴代3位に
安倍晋三氏は明日、歴代内閣総理大臣の通算在任日数で2720日となり、歴代3位の伊藤博文と並びます。また、このまま安倍氏が総理に在任し続ければ、今年8月23日には歴代2位の佐藤榮作と、11月19日には歴代最長の桂太郎と並びますし、「連続在任日数」においても来年8月23日には佐藤榮作と並び史上最長となる見込みです。ただ、安倍総理にはこの機会に原点に立ち返り、なぜご自身が再登板したのか、ご自身の内閣総理大臣としての使命が何なのかについて、再び思い出していただきたいと思います。
安倍政権、歴代3位へ
安倍晋三総理大臣の通算在任日数が、明日で2720日となり、歴代3位の伊藤博文と並びます。
第二次安倍政権が発足したのは2012年12月26日のことですが、その後、2回の解散総選挙を経て、現在の第四次安倍政権に至るまでの連続在任日数は本日までで2353日に達しました。これに、2006年9月26日から2007年9月26日までの366日間を加えた在任日数は2719日です。
首相官邸のホームページに掲載されている『内閣総理大臣一覧』をもとに計算すると、通算在任日数は次のとおりです。
本日までの歴代内閣総理大臣の通算在任日数(敬称略)
- 1位: 桂 太郎(2886日)
- 2位: 佐藤 榮作(2798日)
- 3位: 伊藤 博文(2720日)
- 4位: 安倍 晋三(2719日)
- 5位: 吉田 茂(2616日)
- 6位: 小泉 純一郎(1980日)
- 7位: 中曽根 康弘(1806日)
- 8位: 池田 勇人(1575日)
- 9位: 西園寺 公望(1400日)
- 10位: 岸 信介(1241日)
ここでいう在任日数とは、「両端入れ」で計算していますが、この「両端入れ」とは、たとえば、2019年1月1日に就任し、翌2日に退任したとしたら、これは「2日間」とカウントする、という方式です。
ただし、この「両端入れ」だと、安倍政権のように第二次、第三次、第四次と連続して就任したケースでは、ダブルカウントが生じます(たとえば、「第三次安倍政権の最終日」と「第四次安倍政権の初日」を二重に計上してしまいます)ので、実際には「連続して組閣した回数」を差し引いてあります。
いずれにせよ、よっぽど何か突発的なことでもない限り、安倍晋三氏の内閣総理大臣としての在任日数は、明日、伊藤博文と並ぶ歴代3位になることはほぼ確実といえるでしょう。
次の「区切り」は8月23日と11月19日
歴史上、伊藤博文よりも長く内閣総理大臣を務めた人物が、あと2人います。1人は戦後の佐藤榮作(2798日)、もう1人は戦前の桂太郎(2886日)です。
逆算すれば、安倍晋三氏の内閣総理大臣としての通算在任日数がこれに達すれば、安倍政権はそれぞれ歴代2位、1位を目指すことができるということであり、その具体的な日付は8月23日(2798日)と11月19日(2886日)です。
そして、11月20日以降は、安倍晋三氏が桂太郎を抜いて単独で在任日数が歴代最長となる、ということでもあります。
連続在任日数
一方で、内閣総理大臣の在任日数を調べていて、もう1つ気付いたのが、「連続在任日数」です。
先ほどのランキングでは、安倍総理の在任日数は政権を投げ出した第一次安倍政権の366日を加えているのですが、「政権を投げ出さずに連続して総理大臣を務めた日数」を算出して順位付けすると、つぎのとおりです。
本日までの歴代内閣総理大臣の連続在任日数(敬称略)
- 1位: 佐藤 榮作(2798日)
- 2位: 安倍 晋三(2353日)
- 3位: 吉田 茂(2248日)
- 4位: 小泉 純一郎(1980日)
- 5位: 中曽根 康弘(1806日)
- 6位: 桂 太郎(1681日)
- 7位: 池田 勇人(1575日)
- 8位: 岸 信介(1241日)
- 9位: 桂 太郎(1143日)
- 10位: 原 敬(1133日)
すると、「連続在任日数」として歴代最長なのは、佐藤榮作政権だったということがわかります。これに対し、安倍晋三政権は現時点ですでに「連続在任日数」自体は歴代2位なのですが、佐藤榮作政権の日数には、まだ445日ほど足りません。
そこで、安倍政権が「連続在任日数」で佐藤榮作政権に追いつくためには、2012年12月26日から起算して2798日目である2020年8月23日まで在職する必要があるのです。
こうしたなか、安倍総理の自民党総裁としての任期は2021年9月までありますし、また、2017年10月22日に総選挙が行われた現在の衆議院の任期は2021年10月まであります。
その気になれば、衆議院の解散総選挙というチャレンジをしなければ、来年8月まで安倍総理が政権を維持するということは十分に可能でしょう。
在任日数を目的にしてほしくはない
鳩山由紀夫、菅直人の各元首相のような人物でない限り、歴代政権がいずれも短命でコロコロ変わるよりも、じっくりと腰を落ち着けて政権を担ってもらう方が良いことは間違いありません。
実際、G7各国を眺めてみても、安倍政権よりも長いのは、もはやドイツのアンゲラ・メルケル政権くらいなものでしょう(独裁国や不完全な民主主義国などが含まれるG20でみれば、ロシアのプーチン政権のように、安倍政権より長い政権はありますが…)。
このため、これらの海千山千の諸外国とうまくやり合っていくためには、「長期政権であること」(とくに政権維持が困難な日本において長期政権であること)のメリットは非常に大きいでしょう。
ただし、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』でこの「在任日数」に触れている理由は、別に私自身が安倍総理に「歴代最長政権を目指してほしい」と思っているからではありません。
やはり、安倍総理が仮に歴史教科書に載るためには、「何を成し遂げた人物か」という視点が大事です。
確かに安保法制や特定秘密保護法など、日本の国益に資するさまざまな法律を地道に成立させたことは高い評価に値しますが、憲法改正を筆頭に、安倍政権が「悲願」とする課題はまだ達成されていませんし、安倍政権は消費増税で再び日本をデフレの渦に叩き込もうとしています。
まことに僭越ではありますが(※安倍総理が当ウェブサイトをご覧になっているとも思えませんが)、是非、安倍総理には、「歴代在任日数が3位」に並ぶ明日、
「なぜ2012年12月26日に内閣総理大臣として再登板したのか」
という原点に立ち返っていただきたいと思います。
長すぎる!?ドイツの政権
余談ですが、日本の首相の在任日数は短すぎる、などと揶揄されることもあります。
一般論としては、中国のような独裁体制、ロシアのような不完全な民主主義体制ならいざ知らず、通常の民主主義国家において安定政権を維持するのは非常に難しいといえますが、そのなかで群を抜いて首相の在任日数が長い国は、ドイツです。
任期が決まっている大統領制の米国やフランスはともかく、ドイツ(旧西ドイツ含む)の連邦首相の在任日数を見ると、少なくとも在任日数が日本よりもはるかに長い首相が続々といたことがわかります。
ドイツ(西ドイツ)の歴代連邦首相の在任日数(敬称略)
- コーラント・アデナウアー…5145日(1949/09/15~1963/10/16)
- ルートヴィヒ・エアハルト…2198日(1963/10/16~1969/10/21)
- クルト・ゲオルグ・キージンガー…1097日(1966/10/21~1969/10/21)
- ヴィリー・ブラント…1660日(1969/10/21~1974/05/07)
- ヘルムート・シュミット…3061日(1974/05/16~1982/10/01)
- ヘルムート・コール…5868日(1982/10/04~1998/10/27)
- ゲアハルト・シュレーダー…2584日(1998/10/27~2005/11/22)
- アンゲラ・メルケル…4944日(2005/11/22~本日)
それにしても、欧州債務危機の「主犯格」ともいえるメルケル首相が本日時点で4944日も在任しているというのは凄い話ですね。ドイツではよっぽど人材がいないのでしょうか?
このあたりについては研究してみても面白いかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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他の選択肢がないってことは国民にとって不幸なんじゃない?
まともな野党の一つもないわ
匿名様 お暑いですね。
妄想だとお断わりして、申し上げます。
これだけ、特定野党が無能なのって、何らかの陰謀のような気がする・・・
心配性のおばさん様へ
≫これだけ、特定野党が無能なのって、何らかの陰謀のような気がする・・・
きっと隠謀なのでしょう。
少なくともGHQの重要な遺産であることは間違いないのでしょうね…
妄想と気に病む必要はないでしょう。
自分は特定野党に対する妄想を、ここ5年ばかり膨らませ続けております。今や、その妄想は『特定野党の無能戦略』にまで膨らんでおります。(笑)
選択肢もいらないから、真っ当に生きる者の幸福がほしい。
安倍政権支持率の読売の世論調査では、今年に入って着実に伸びており、1月の50%くらいから、5月は55%まで上がって来ました。
今月もG20など外交舞台も多く、さらにこの傾向は続くでしょうから、解散W選挙の噂が出るのは当然か。
現在の国内外の情勢を考えると、安倍四選が最も国益にかなっていると思います。
あくまでうろ覚えなのですが、かつてナチス党に政権を握らせた失敗からドイツは政局が不安定になることを非常に嫌い、そこから長期政権の伝統になると聞いたことがあります。
安倍政権が長続きしている理由は一にも二にも、その前の民主党政権がひどすぎたせいですね。
安倍首相の政権運営の巧みな面も多くあるとは思いますが、なんといっても外的要因の方が大きいかと思います。
また、新宿会計士さんが度々指摘されてるように、ここ10年でネット情報網が発達して、既存のマスコミによる情報操作がききにくくなった面も大きいのでしょう。
以前であれば、モリカケ騒ぎが始まった時点で支持率が急落し政権が潰れていたように思います。
ドイツに長命政権が多い理由は、ひとえに文化的なものもあるかもしれません。
私もドイツ文化にそう詳しいわけではないのですが、一度担いだリーダーは少々の問題があっても反逆しない文化が根強いように思います。(アメリカの文化もそれに比較的近いです)
一方、日本の場合は神輿に実権がない場合(天皇など)は長く担がれますが、実権がある場合は庶民の憂さ晴らしの対象となって短期間で引きずりおろされるというのが文化になってしまっているように思います。
日本は優秀なリーダー/経営者が生まれない国だとよく言われますが、それはリーダーシップの醸成だけでなく、リーダーを支える側の文化も醸成されていないのが原因かと思っています。
チキンサラダ様へ
日本の政体として、トップには権威、№2には権力として分担して来た伝統があります。
権力に非違があった場合に、大陸のように革命に拠って交替と言うのでは、交替に時間もエネルギーも掛かりますので、必然的に交替した権力は強大になり絶対化します。
日本のようなやり方だと権力交替には時間もエネルギーも少なくて済みますので、交替後の権力が絶対化する可能性は低いようです。
しかもトップは変わらないので国体としての連続性は保持されます。なかなか上手い方法です。
一方で政治家の責任感とか実行力というものは大陸諸国に見劣りするようにも思います。
安倍政権が長く続いたとしてもナチスのような強権も持ち得ず、中国共産党のような独裁力も持ち得ないでしょう。
それでも、以前の民主3代に比べればマシな政権だと思います。
門外漢さま、
もろもろ同感です。日本は No.2 (外戚、上皇、治天の君、将軍、執権、首相、ヤクザの若頭)に実権を分担させることでうまくまわる伝統がありますね。そして、それゆえに強力すぎる権力が発生しないという強みがあります。
(もちろん、それは上意下達で行われる急激な改革をしにくくするというマイナス面もあるのですが)
権力交代のエネルギー浪費が少ないもおっしゃるとおりですね。この点は気づいておりませんでした。
> 安倍政権が長く続いたとしてもナチスのような強権も持ち得ず、中国共産党のような独裁力も持ち得ないでしょう。
同感です。良くも悪くも安倍政権は強権にはなりえないでしょう。