【速報】徴用工問題と瀬取り問題巡る重要な報道記事の紹介

韓国と北朝鮮それぞれに関して重要な話題の「速報」があります。1つ目は、韓国人自称元徴用工らが日本企業を相手取って起こした、いわゆる「徴用工訴訟」を巡り、韓国側の弁護士が東京の日本記者クラブで会見に応じ、思わず本音を語ったらしい、という話題であり、2つ目は河野太郎外相が英FT紙に対し、北朝鮮の瀬取りに対する取り締まりがザルであり、国際社会による厳格な取り締まりが必要だ、などと述べたという話題です。

速報①語るに落ちる、韓国側弁護士

最初の「速報」です。

韓国の自称元徴用工らが日本企業を相手取った損害賠償請求訴訟を巡り、原告側弁護士の崔鳳泰氏が22日、東京の日本記者クラブでの記者会見で、「日韓請求権協定に基づく政府間協議が実現するなら、協議継続中は被告企業の資産売却を留保できる」との考え方を示したのだそうです。

元徴用工、政府協議なら売却留保/記者会見で韓国弁護士(2019/4/22 21:18付 共同通信より)

といっても、共同通信の記事自体は非常に短く、この記事だけで崔鳳泰弁護士の意図を正確に読み解くことは困難ですが、あえて私自身の独断で予想するに、おそらくこの人物は、「政府間協議を通じて徴用工財団を設立する」、といった、まことに都合が良い決着を望んでいるのではないかという気がします。

そう判断する根拠が、次の日経電子版の記事です。

「三菱重工にも和解交渉要請」 原告代理人の崔鳳泰弁護士一問一答(2019/1/9 20:50付 日本経済新聞電子版より)

日経電子版によると、この人物は昨年11月29日に「大法院(※最高裁に相当)」で敗訴した三菱重工の件の原告側弁護士であることがわかりますが、それと同時にこの人物はこんなことを主張しているのです。

日本政府・企業と韓国政府・企業が参加する『2プラス2』方式の財団設立だ。個人請求権は残っている。韓国で法律をつくり、財団からお金を受け取ったら和解したとみなし、個人請求権を消滅させる。こうした法的な安全装置をつくったうえで、日本に参加してもらう

こんなことを真顔で主張するとは、驚きですね。果たして、この人物は昨年11月21日に何が発生したのか知らないのでしょうか?

知らないというのなら教えてあげましょう。これは、韓国政府は「日韓慰安婦合意(2015年12月)」に基づいて設立された慰安婦財団の解散を、一方的に決定した日です。

「韓国が過去の歴史問題をほじくりかえし、日本に対して謝罪と賠償を引き出す」というときに、「財団方式」による解決が機能しないということは、韓国政府自身が証明してくれたわけです。

それなのに、この人物は、「財団設立」を主張しているのです。

あまりにも頭が悪すぎると言わざるを得ませんし、この一問一答を読んでも、正直、この人物が話している内容は支離滅裂で、本当に弁護士資格を持っているのかすら、怪しいとすら思ってしまいます。

速報②河野外相「北朝鮮制裁は穴だらけ」

朝鮮半島関係で、もう1つの重要な速報があります。

外務省は本日、河野太郎外相が英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の取材に応じ、「北朝鮮制裁は穴だらけだ」と述べた、と発表しました。

フィナンシャル・タイムズ紙(英国)による河野外務大臣インタビュー(2019年4月15日付)/「日本の外務大臣,対北朝鮮制裁の一層厳格な適用を求める-制裁の抜け穴には「瀬取り」も含まれる,と大臣は述べる-」(2019/04/22付 外務省HPより)

しかも、丁寧なことに、FT紙のおそらくはウェブ版をPDF化したもののリンクも貼ってくれています。

私自身はFTが日経の子会社化したのをきっかけに、FTの有料読者をやめてしまったので、このような記事が掲載されていたことを存じ上げませんでした。自身の不明を恥じたいと思います。

それはさておき、FTのインタビューの概要を、私自身の文責で要約し、箇条書きにすると、次のとおりです。

  • 河野太郎外相は北朝鮮に対する制裁が抜け穴だらけだと明らかにした
  • 河野氏は、北朝鮮は「瀬取り」や海外の北朝鮮労働者からの送金、サイバー攻撃を通じた仮想通貨の窃盗を通じて制裁逃れを継続していると述べている
  • また、とくに瀬取りについては複数の国が間接的または知らないうちにこれらに加担していると指摘した

河野氏はFTのインタビューに対し、「北朝鮮制裁が抜け穴だらけ」だとしたうえで、実際に日本政府が国際水域において、少なくとも12件の瀬取り現場を確認したと指摘。ほかにも瀬取りの疑いがある事例を多数発見しているものの、船名偽装の疑いもあり、すべての船の特定に至っていないととしています。

そして、このようなインタビューがFTに掲載されること自体、北朝鮮と米国に対する「非核化」に向けた日本としての力強いメッセージでもあります。

河野氏「朝鮮半島出身労働者」と明言

ところで、このFT記事には、もう1つ、興味深い下りもあります。

それは、「河野氏にとって朝鮮半島との関係は頭痛の種だ」と明記されていることです。

冒頭の共同通信の記事でも触れたとおり、昨年秋以降、日本企業が日韓請求権協定に違反する不当な判決により、韓国国内で損害賠償を命じられる事例が相次いでいますが、これについてFTは、純粋に日本の立場を説明しています。

該当する下り(ただし外務省による日本語訳)は、次のとおりです(漢字かな遣いなどについては原文のまま)。

1965年の日韓請求権協定で請求権は「完全かつ最終的に解決された」にも拘わらず、昨年韓国の大法院が戦時中の労働者への賠償を日本企業に命じて以来、日韓関係は急速に悪化している。/河野大臣は「この判決に衝撃を受けた。これは予期されていなかった。日本は1960年代に韓国の当時の政府予算を上回る規模の経済支援を提供し、韓国はその資金で全ての請求に対応することになっていた。そのため、今回の判決が認められたことに大変な衝撃を受けた」と述べた。/韓国大法院は、民間人の精神的苦痛に関する損害賠償請求権は1965年の日韓請求権協定の適用対象に含まれないとした。日本はこうした元労働者の人々を「元民間労働者」と呼んでおり、これら労働者の中には職を得るため自発的に日本に渡航した者が含まれていると指摘している。

ポイントは、「▼韓国側が日韓請求権協定に違反したこと、▼日本が韓国に対して提供した莫大な経済支援で韓国はすべての請求権に対応するはずだったこと、▼自称元徴用工らには職を得るために自発的に日本に渡航した者が含まれていること」などがFTに明記されたことです。

そのうえで、FTは次のように述べています。

河野大臣は、この問題につき、韓国政府に協議を呼びかけている。河野大臣によると、日本は国際司法裁判所へ提訴する選択肢も排除しない構えだが、韓国が今回の判決を執行し「日本企業が実質的な損害」を被らない限り、行動は起こさないという。

つまり、一方的に国際法を破ったのが韓国であるものの、日本側はあくまでも紳士的・法的に協議に応じようと呼びかけている、ということであり、読者にとっては、先ほどの北朝鮮の核開発問題と並び、朝鮮半島がいかに野蛮で非文明的な地域であるかという印象を抱くには十分でしょう。

いままでの日本政府はこうした「情報発信」を軽視し過ぎていたのではないかと思いますが、このインタビューにおける河野太郎氏の情報発信力については、高く評価して良いのではないでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    なんで東京の日本記者クラブでの記者会見なんだよ。国に帰ってやれや。というかそもそも入国させるなや。

  2. 果糖 より:

    イランの核開発への制裁としての石油禁輸の猶予期間が切れ延長もないようです。
    北朝鮮の核開発に対する制裁の確実な実施を強調してきた日本はこれにどう対処すべきなのでしょうか?

  3. 匿名 より:

    未来永劫、無限に賠償させようという韓国側のビジネスモデル。
    一方、日本は投資を通じて朝鮮人を低賃金労働させ無限に利益を貪ろうというビジネスモデル。

    今後も浮き沈みしながらなんとなく仲良くやって行くんじゃないwww
    なんか韓国話題は結果見えてて面白くないんだな・・・

    1. TDN学生 より:

      すみません、ちょっとお聞きしたいのですが、後者の「投資を通じて〜無限に利益を貪ろうというビジネスモデル」とはなんですかね?私が思い付いたのはかつての半導体とかスマホ事業の電子系の事業ですが。確か主様が日本の韓国への投資については記事にしてたと思います。確か一部業界の投資の金額は日本減らしてたはずですよ。

      URL→https://s.japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=248726

      韓国の話題が結果見えてる…というのは同意ですな。数パターンかは思い付きますね。ただ、放置した結果が今の惨状ですから話題にはしとくべきだと思います。

      生意気な学生の意見ですみません。

    2. 門外漢 より:

      匿名様へ
      TDN学生様へ

      >低賃金労働させ無限に利益を貪ろう

      このご指摘はそんなに的外れでもあません。
      少なくとも1960年代頃までは、低賃金で下請けをさせ、更に製品を買わせる「準植民地」として考えていたのは確かで、実際に美味しい場面も多く政界への還流も大きかったのです。
      しかし日本の技術力が上がるに連れ、下請けの技術力を引き上げる必要が生じ、最初は川下の技術だけだったのが次第に上流の技術の供与に進み、気が付けば競争相手になっていたというのが実情です。
      産業面では契約無視の、パクる、盗む、バッくれるが横行するようになり、政治面では恨む、妬む、罵るが表に出るようになったのですから、このビジネスモデルは完全に失敗したと言うべきなのです。
      にも拘わらず、無限に利益を貪りたくて半島に未練を残している企業や政治家が居るのも事実です。

      しかも半島の代わりに中国、中国の代わりに東南アジアと、場所を変えて、このビジネスモデルを止める気配はありません。
      このやり方では第二・第三の韓国が出現する(そんな低レベルの国が多いとも思えませんが)可能性もあります。
      もう少し対等のウィンウィンのビジネスモデルに転換すべきだと思うのですがね。

      1. TDN学生 より:

        匿名様へ
        門外漢様へ

        そうなのですか…!自分の生まれた時代だけの視点に囚われすぎ、過去の出来事を完全に見落としておりました、丁寧に教えていただきありがとうございます!

  4. 心配性のおばさん より:

    河野太郎氏が外務大臣に任じられたことを伺った時、あの河野洋平氏のご子息でもあることから、懸念しておりましたが、息子として河野太郎氏は父上の贖罪を上回る働きをされていますね。発信すべきは、時と場所を選んで行い。黙るときは、何事にも耐えて黙る。政治家として大きなものを感じます。
    河野太郎氏や安倍総理もそうですが、この日本の危機に、政治家らしい政治家で内閣が組閣されているのは、非常な幸運です。このような政治家が日本のために働きやすいように、せめても選挙などでお助けしたいです。

  5. めがねのおやじ より:

    韓国側の原告弁護士の言ってる事は支離滅裂。ホントに弁護士資格を持っているのか?それに日本記者クラブなど使わすなよ。韓国でやっとけ!

  6. 匿名 より:

     正体現したりというか語るに落ちるというか、本音を隠さず語り始めましたね。こいつらは文在寅政権の別働隊です。

     文在寅の狙いは、財団方式により請求権協定を無効化し日本政府にも認めさせることです。韓国司法に日本は屈服せよということ。

     財団に日本企業の参加を認めれば、韓国は日本政府が韓国司法を受け入れた、つまり請求権協定では未解決の事項があることを日本政府が公式に認めたと主張します、完全勝利。韓国司法の判断とは関係ない、参加は各企業の任意の判断だなんて理屈は通用しません。

     もちろん韓国は請求権協定の「外」の、任意の解決だと騙しをかましてきますが、合意したら掌を返し、上記のとおり無限の強請り集りネタをゲットした!日本政府もそれを認めた!と勝利宣言しますよ。

  7. 一法学徒 より:

    既出かもしれませんが,最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)は下記のとおり判示しています。
    この最高裁判例は請求権放棄条項についての我が国の法的見解であるため参考になるかと思います。
    (そのため,政府の国会答弁などは我が国の見解としての意味を喪失しています。)
    「そして,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権放棄の趣旨が,上記のように請求権の問題を事後的個別的な民事裁判上の権利行使による解決にゆだねるのを避けるという点にあることにかんがみると,ここでいう請求権の「放棄」とは,請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく,当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせるにとどまるものと解するのが相当である。」
    「したがって,サンフランシスコ平和条約の枠組みによって,戦争の遂行中に生じたすべての請求権の放棄が行われても,個別具体的な請求権について,その内容等にかんがみ,債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないものというべきであ」る。
    「被上告人らは,国家がその有する外交保護権を放棄するのであれば格別,国民の固有の権利である私権を国家間の合意によって制限することはできない旨主張するが,国家は,戦争の終結に伴う講和条約の締結に際し,対人主権に基づき,個人の請求権を含む請求権の処理を行い得るのであって,上記主張は採用し得ない。」

    要旨としては,「サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいては,無数の民事訴訟を回避するため,請求権放棄条項により個人請求権を訴訟上行使する権能を相互に放棄したものと解される。したがって,自発的な弁済は妨げられない。」といったものになるかと思われます。
    上記判例は,日中関係の事案であり,対韓関係とは厳密には事案が異なることに注意が必要ですが,上記判旨は基本的には日韓請求権協定にも妥当すると思われます。
    もっとも,上記判例は,原告(被上告人)の請求を棄却した一審判決を是認した上で,諸般の事情に鑑み「上告人を含む関係者において,本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待されるところである。」とも判示しており,実際判決後,当事者間で和解がなされましたが,この部分は,経済支援金を交付している上に戦争相手国ではない対韓関係に妥当しないと解することは十分ありうるでしょう。
    以上,長文失礼いたしました。

    1. りょうちん より:

      対中国と、対韓国で一番大きな違いは、韓国政府が個人補償は自分でやると言ってしまっている点ですよね。
      それで終わりな話だと思うんですが。

      1. 一法学徒 より:

        法的には,個人請求権を訴訟上行使することができない,という法解釈で請求棄却の結論を導くに足りるのです。
        念のため申し上げると,対韓関係については,上記判例を踏襲し,「第二次世界大戦中に朝鮮半島から女子勤労挺身隊の募集又は徴用により来日し、労働に従事した女子勤労挺身隊員又はその遺族及び徴用工である控訴人らが、被控訴人らにより強制連行され、強制労働させられたとして、被控訴人らに損害賠償と謝罪広告の掲載を求めたのに対し、控訴人らの不法行為ないし被控訴人会社の債務不履行を理由とする請求権は、いずれもいわゆる日韓請求権協定によって裁判上訴求する権能を失ったとして、控訴人らの請求を棄却した原判決を維持した事例」(裁判所ウェブサイトより引用)として,名古屋高裁金沢支部判平22.3.8があります。
        この裁判例は,上告棄却,上告受理申立て不受理(最決平23.10.24)により確定しているため,最高裁も同様に解していると思われます(私見)。
        なお,上記最決平23.10.24は,いわゆる例文棄却により,簡潔に上告を棄却しているため,和解の必要性に関しては,当事者に和解を促した最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)の事情が当てはまらないと解しているのかもしれませんね。

        1. 一国民 より:

          全くの素人考え、思いつきで申し訳ないのですが、最判平19.4.27は、戦争相手国ではない朝鮮半島には該当しないことの確認を求める訴訟(?)といったことなど、提起できないのでしょうか? 
          法律関係には特に弱く、新聞に載る裁判の判決理由など読んでもとんと解らない者なのですが・・・。
          御教示いただければありがたいです。

        2. りょうちん より:

          中国の場合の戦時賠償を規定した条文って、そういえば何だったのでしょう。

          日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約

          を読み直してみようと思ったら、総花的な文言しか記述されていないものでしたし、ないからこそ、あそこまで莫大なODAがあったのかとも思いましたが

          日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約

          もよく読むと請求権関係の交渉があったのは記録されていても成文にはなっていないのですね。

  8. 一法学徒 より:

    >一国民様
    ご指摘のとおりの訴えは,「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)ではないため,原則として裁判所の司法権が及ぶ事項ではなく,したがって,訴えは却下されることとなります。
    それに,最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)における請求権条項の解釈が対韓関係に妥当しないという主張は,むしろ韓国側が主としてする主張ですよ。
    ちなみに上記名古屋高裁金沢支部判平22.3.8は,
    「また,本件協定2条1が,日韓両国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたこととなることを両国が確認する旨規定した趣旨からしても,本件協定2条は個人の国内法上の請求権の問題を未解決のまま残す趣旨ではなかったものと解すべきである。」などと判示している他,現在の日本政府の態度は,日本政府の過去の答弁と矛盾するといった韓国側でよく見られる主張も排斥しています。
    結局のところ,我が国の裁判所は,類似事例の米国の判例を意識しているのか,「サンフランシスコ平和条約の枠組み」を重視しています。つまるところ,我が国の主張が国際司法裁判所で支持されない場合,サンフランシスコ体制の否定につながる重大な問題を生じてしまうのです。
    なお,個人請求権は残存していてもこれを訴訟上行使することができないという解釈は,理論的には問題があると言わざるを得ないことは公平性の観点から指摘しておきます。(もっとも,個人請求権の訴訟上の行使を認めることは法の趣旨を完全に没却するものであり,最もやってはならない解釈ではありますが。)

    1. 一国民 より:

      一法学徒 様

      ご回答ありがとうございます。
      アタマが単純にできているせいか、ご説明いただいた内容が複雑で、正直なところますますわからなくなってしまいました(^^;)
      韓国は反日・積弊精算のかけ声の下、法令を恣意的に! 方や我が国は、法律上の争訟ではない等々厳格な運用、なんだかねえと思ってしまいます。

      結局、この問題に対する日本側の体韓スタンスの拠り所としては、名古屋高裁金沢支部判平22.3.8ということになるのでしょうか。

      請求権放棄条項の解釈をめぐって国際舞台での争訟に至った場合、一般に言われているように、はたして我が国の主張に理ありとなるのか心配です。先のWTO裁定の例もあることですし。

      1. 一国民 より:

        訂正です。

        誤:体韓→ 正:対韓

        ↑ 駄文にて失礼しました。

      2. 一法学徒 より:

        司法権の範囲については,専門的な話になってしまい,わかりにくくなっていて申し訳ありません。

        名古屋高裁金沢支部判平22.3.8は,下級審判例に過ぎないので,我が国の見解かどうかは,上告審の最決平23.10.24の解釈次第かなと思います。最決平23.10.24は,日韓請求権協定についての法的判断を示すことなく上告を棄却しているため,控訴審判旨を是認する趣旨なのか,単に面倒を回避しただけなのかよくわかりません。
        もっとも一審判決(富山地判平19.9.19)は最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)を直接引用していますし,控訴審判決である名古屋高裁金沢支部判平22.3.8もこれを踏襲していることは明らかです。(ちなみに平成19年4月27日以前の同種事案では日韓財産協定措置法という国内法を決定的要素として原告の請求を棄却しているので,国際法の解釈ではあまり参考にならないんですよね)

        ですので,我が国の見解は最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)になろうかと思います。日韓請求権協定が「サンフランシスコ平和条約の枠組み」にあることは明らかだからです。
        政府は,「サンフランシスコ平和条約の枠組み」における請求権放棄条項の解釈について,最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)と異なる見解をいうことはできないのです。

        国際争訟に至った場合は,「サンフランシスコ平和条約の枠組み」VS「日帝の非人道的かつ不法な植民地支配」といった構図になるのではと思います。少なくとも米国は,ヘイデン法違憲判決など自国の判例を踏まえ,我が国の見解に異を唱えることはないでしょう。

        1. 一国民 より:

          重ねてありがとうございます。
          今回のご解説、概ね理解できました。

  9. 一法学徒 より:

    >中国の場合の戦時賠償を規定した条文

    日中共同声明5項です。
    「中華人民共和国政府は,中日両国国民の友好のために,日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」
    最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)は,日中共同声明は条約ではありませんが,日中平和友好条約には前文で日中共同声明を遵守する旨を確認していることにより,条約としての法規範性を有すると解しています。
    その上で,日中共同宣言5項は,主体や請求権放棄の範囲が不明確であるものの,日中両国の交渉経緯その他の事情に照らし,日中両国の戦後処理についてサンフランシスコ平和条約の枠組みと異なる取り決めがなされたものではないと,判示しています。したがって,日中関係についてもサンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権放棄の解釈が妥当するということですね。

    日韓関係については,日韓請求権協定が両国の請求権の処理を規定しています。(日韓請求権協定は条約であるため,日中共同声明とは異なり,その法規範性に疑いの余地はありません。)

    1. りょうちん より:

      なるほど声明の方だったのですね。御教示ありがとうございます。

      >日中共同宣言5項は,主体や請求権放棄の範囲が不明確であるものの

      これのせいで莫大なODAを得ることができたのですから、やはり中国は侮れません。
      目先の小銭を少しでも多く奪い取ろうとして「大損」した韓国と対称的です。

  10. 匿名 より:

     やはりエセ徴用工問題の原告団は、文在寅政権とつながっていた。

     韓国外務省と国会議員との非公開会合に原告団弁護士が参加している。こいつらみなグルだ。

    対日関係「今後数カ月が重要」=韓国高官、議員に改善策説明
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190426-00000164-jij-kr
     韓国の趙顕外務第1次官は26日、韓日議員連盟所属の議員との会合であいさつし、「今後数カ月は、日本との関係で極めて重要な時期になる」と述べ、悪化している関係の改善に取り組む方針を強調、協力を求めた。
     趙氏ら外務省高官は会合の非公表セッションで、関係改善に向けた「幾つかの方策」を説明、議員と討論を行った。会合には、元徴用工らの原告代理人を務める弁護士も出席した。

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