動き出した北朝鮮情勢

昨日、日本国内では佐川前国税庁長官の証人喚問などに注目が集まりましたが、じつはもっと大切な報道がいくつか出て来ています。

金正恩自身が電撃訪中

金正恩(きん・しょうおん)は、若いながらもなかなか老獪な男です。産経ニュースによると、中国共産党当局者は27日、北朝鮮の事実上の独裁者である金正恩が26日、鉄道で中国の首都・北京に入り、中国共産党の指導者と会談したそうです。

北京訪問の要人は金正恩氏(2018.3.27 13:05付 産経ニュースより)

当初、メディアの報道によっては、訪中したのは金正恩ではなく、実妹の金与正(きん・よしょう)ではないかとの観測もあったようですが、火曜日になって産経ニュースが「訪問した北朝鮮の要人とは金正恩である」と明らかにしたものです。

さて、これをどう見るべきでしょうか?状況を整理しておきましょう。

まず北朝鮮は、日米両国などが主導した、国際社会による厳しい経済制裁に直面しています。これらの経済制裁は、単に北朝鮮に対して石油関連製品の輸出を制限するだけではありません。貴重な外貨獲得源である北朝鮮人労働者を国際的な労働市場から締め出すなどの措置も含まれています。

北朝鮮は、いわば「真綿でじわじわ首を絞められる」ように、少しずつ、しかし着実に、経済的な困窮状態に陥り始めているのです。もともとかなり貧しい暮らしを余儀なくされてきた北朝鮮国民が疲弊しているであろうことは、想像に難くありません。

一方の中国にとっても、とくに年明け以来、北朝鮮情勢を巡り、主体的に関与することができなくなっています。北朝鮮が米国と直接、交渉することを主張していて、中国としてはこの米朝対話から「つまはじき」にされることを、どうやら極端に恐れているようなのです。

したがって、今回の金正恩の訪中は、中国にとっても歓迎すべきものでしょう。なぜなら、中国と北朝鮮の関係が改善すれば、中国もこの問題に関わることができるようになるからです。

米国の正気を疑う

米国の行動の不可解さ

さて、今年1月以降の朝鮮半島情勢について、客観的な報道をベースに、簡単に振り返っておきましょう(図表)。

図表 今年1月以降の朝鮮半島の動き
日付出来事備考
1月5日米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が米韓合同軍事演習の延期を報道韓国大統領府は「米国が100%韓国とともにある」と述べたが、ホワイトハウス側は否定
1月9日平昌五輪の北朝鮮参加等を巡る南北高官級協議が板門店(はんもんてん)で実施される韓国メディアは「米国もこの南北対話を歓迎」と報じたが、これは虚偽報道の疑いが濃厚である
康京和(こう・きょうわ)外交部長官が2015年の日韓慰安婦合意に関して新方針を提示日本政府側は河野太郎外相が「全く受け入れられない、直ちに抗議する」などと反発
1月10日文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は新年記者発表で日本側の追加努力などを求める日本政府は菅義偉官房長官が「ゴールポストは1ミリも動かない」と反応
1月16日北朝鮮の三池淵(さんちえん)管弦楽団140人が韓国を訪問し、講演会場などを視察この頃から北朝鮮が韓国側に滞在費用や渡航費用等の分担を求め始める
韓国政府、平昌五輪の南北合同入場と「統一旗」を掲げる方針を明らかにする文在寅大統領、「われわれが韓国国旗持てば北朝鮮が北朝鮮国旗持つ」と発言
1月24日日本人拉致被害者の家族らが国際刑事裁判所(ICC)に金正恩(きん・しょうおん)らの責任追及を求めて申立て実施菅義偉官房長官はこうした動きに対し、「日本政府としても連携したい」と表明
1月24日安倍晋三総理大臣が平昌冬季五輪の開会式に出席する意向を表明訪韓方針はまず産経新聞の独占インタビューで明らかにし、その後、主要メディアにも公表
1月30日トランプ政権が駐韓大使に内定していたビクター・チャ氏の指名を見送るとワシントンポスト(WP)が報道アグレマンを取得している大使候補者の指名見送りは外交慣例上も極めて異例
2月3日米韓首脳電話会談で韓国側が「米国が平昌五輪成功を祈り、韓国を100%支持すると表明した」と発表するホワイトハウス側からはそのような発言など一切確認できず、韓国側による虚偽発表の疑いが濃厚
2月6日マイク・ペンス米副大統領がオットー・ワームビア氏の父であるフレッド・ワームビア氏を「特別ゲスト」として平昌に同行すると発表オットー・ワームビア氏とは、昨年、北朝鮮に拘束後、昏睡状態で解放され、米国に帰国直後に死去した青年
2月9日日韓首脳会談で安倍総理は文在寅氏に対し、日韓合意順守と核開発を続ける北朝鮮への最大限の圧力の継続を求める韓国大統領府によれば、安倍総理が米韓合同軍事演習再開を求め、文在寅氏が「内政干渉」だと反発
安倍総理、ペンス米副大統領が、平昌五輪開会式のレセプション兼晩餐会に揃って遅刻ペンス氏は晩餐会に参加せず、わずか5分でレセプション会場を後にする
平昌五輪の開会式で安倍総理、ペンス副大統領は揃って北朝鮮代表団を無視北朝鮮代表団の入場に際し、安倍総理、ペンス副大統領は立ち上がらなかった
2月10日韓国を訪問中の金与正(きん・よしょう)が文在寅氏に対し早期の訪朝を要請金与正は、金正恩の実妹とされる
2月25日イヴァンカ・トランプ米大統領補佐官が平昌五輪閉会式に参加。北朝鮮の金英哲(きん・えいてつ)らとニアミス金英哲は2010年に起きた韓国艦「天安」撃沈事件や、坪島砲撃事件などを主導した人物とされる
3月4日韓国大統領府、韓国大統領府の鄭義溶(てい・ぎよう、Chung Eui-yongチュング・エウイ・ヨング)国家安保室長や徐薫(じょ・くん、Suh Hoonスー・ホオン)国家情報院長らを、北朝鮮の首都・平壌(へいじょう)に特使として派遣すると唐突に発表【夕刊】アメリカは文在寅を「泳がせている」のか?』参照
3月5日韓国の「特使」、北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)との間で、夕食を含めて4時間12分に及び面会【夕刊】どうして南北特使報道が出てこないのか』参照
3月6日韓国大統領府、北朝鮮が「非核化を前提とした米朝首脳会談」と「南北首脳会談」を提案してきたなどと発表【速報】非核化と南北首脳会談と謎の運転席理論』『【夕刊】対韓不信:ワシントンに流れる微妙な空気』参照
3月8日※米国時間鄭義溶国家安保室長がホワイトハウスで「米国が米朝首脳会談を受け入れた」と表明、ホワイトハウスのサンダース報道官もこれを確認【速報】トランプ氏「金正恩と会談」』参照

(【出所】著者作成)

いかがでしょうか?

年初から朝鮮半島情勢が急激に動いていて、あえて韓国が米国の怒りを買うような行動を仕掛けまくっていることがわかります。

たとえば、1月9日、板門店で南北高官級会議が行われました。この協議は、2月に予定されている平昌(へいしょう)冬季五輪に向けて、北朝鮮が代表団を送り込むかどうかという議題に加え、南北の軍事的緊張緩和について話し合われたと見られます。

また、これと前後して、年明けすぐに米韓両国政府は、例年の米韓合同軍事演習を「延期する」と発表。平昌五輪・パラリンピックの期間中は軍事的緊張を高めないようにするという配慮だとされましたが、「最大限の圧力」というトランプ政権の方針が、同盟国である韓国によってコケにされた格好です。

その後も韓国は、たとえば「▼2月の平昌五輪の開会式・閉会式で、米国の代表団と北朝鮮の代表団をわざと近くに座らせた、▼米国に無断で北朝鮮との協議を行い、米朝首脳会談を提案した、▼米韓合同軍事演習の規模を縮小した」…、といった具合に、米国の神経を逆撫でし続けています。

通常、ここまでバカにされるような行動を取られれば、米国がまともな神経をしていれば、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領に対し、何らかの制裁措置を発動しても不思議ではありません。

それなのに、先日米国が発表した、鉄鋼・アルミニウムに対する貿易制裁措置の対象国には、韓国が除外され、むしろ日本が含まれました(『【夕刊】トランプ政権の鉄鋼アルミ制裁を数値で検証する』参照)。韓国に対する貿易制裁が発動されなかったのは、極めて不自然です。

米国の外交司令塔の混乱

こうした不自然さを、あえて説明するとしたら、米国の「外交司令塔」の混乱、という要因が挙げられるかもしれません。

米国・トランプ大統領は、ティラーソン国務長官とマクマスター大統領補佐官を相次いで更迭し、その後任として、ポンペオCIA長官、ボルトン元国連大使を充てる人事を明らかにしています。ただ、『ボルトン氏が「強硬派」でも対北政策は変えられない』でも議論しましたが、この人事も非常に不自然です。

確かにボルトン氏はブッシュ政権時代のイラク戦争を主導したことでも知られますし、ボルトン氏が大統領補佐官に就任したことで、「北朝鮮攻撃の可能性が高まった」とする見方があることも事実です。しかし、「北朝鮮が中国とロシアに隣接している」という事実を忘れてはなりません。

21世紀になって米国が攻撃したイラクやアフガニスタンは、ロシアと接していません。また、中国についてはアフガニスタンとごく一部分接しているものの、イラクとは地理的に離れています。米国は、アフガン紛争やイラク戦争では、中国やロシアが物理的に介入してくる可能性をあまり心配しなくて良かったのです。

北朝鮮はこうした状況とは全く違います。中国は米国に対し、「北朝鮮が先に挑発し、米軍がそれに対して限定攻撃に応じる」という状況であれば、おそらく中立を維持するでしょう。しかし、米軍がイラクと同様の感覚で北朝鮮に攻め込めば、中国やロシアが何らかの影響力を行使するはずです。

おそらく、ティラーソン国務長官やマクマスター補佐官は、こうした「当たり前の話」をトランプ氏に対して滔々と話して聞かせていたのではないかと思います。しかし、気が短いとも伝えられるトランプ氏には、因果関係を伴う少し複雑な思考をすることが難しかったのではないでしょうか?

いずれにせよ、米国の外交司令塔の混乱は、非常に痛いところです。

米朝首脳会談の不自然さ

ところで、朝鮮半島情勢を巡る、もう1つ不自然な点は、米朝首脳会談に対する北朝鮮側の反応です。

北朝鮮は現在の金正恩の父親である金正日(きん・しょうじつ)、あるいはさらにその父親の金日成(きん・にっせい)の時代から、「米国との直接交渉」を目標に掲げて来ました。3月8日、トランプ大統領が「米朝首脳会談に応じる」と述べたことは、まさに、北朝鮮にとっては外交的な大成功のはずです。

しかし、北朝鮮はこれについて、いまだに公式には沈黙を守っています。もし「首脳会談の開催自体が外交的な成功」なのだとしたら、大々的に国民に向けて宣伝するはずです。それをいまだに行っていないということは、やはり、北朝鮮自身、米朝首脳会談が実現しない可能性を考慮に入れているのでしょうか?

さらに、以前から当ウェブサイトでも議論してきたとおり、今回の米朝首脳会談の提案自体、非常に不自然です。これは、韓国が「口頭でのメッセンジャー」となり、親書なども持たされず、北朝鮮に派遣された特使がホワイトハウスで米大統領に対し、口頭で「北朝鮮の提案」を伝達した、という代物だからです。

北朝鮮が韓国を「メッセンジャー」に選んだ理由は、おそらく、中国やロシアと比べて、韓国が「御しやすい」と思ったからでしょう。しかし、なぜ親書ではなく口頭で伝達させたのでしょうか?韓国がメッセージを歪曲するリスクは考えられないのでしょうか?

おそらく、その理由は、書面に残さず口頭で伝達することで、「いつでもキャンセルできる」という状況を作ろうとしたからだと思います。そのように考えるならば、北朝鮮が公式には何も立場を表明していないこと、親書を作成しなかったことなどの辻褄が合ってくるようにも見えるのです。

金正恩の政治ゲーム

日米の足並みを乱す目的か?

さて、冒頭で紹介した産経ニュースの報道に戻りましょう。

産経ニュースによれば、中国共産党当局者の話として、中国と北朝鮮は今年初めから金正恩の訪中時期などについて交渉。中国側は「北朝鮮が核放棄に向けて取り組む姿勢を示すこと」を、金正恩訪中の条件としていたとのことです。

正直、初耳です。

外交の世界では、日本と北朝鮮も水面下で接触しているくらいですから、ロシアや中国が北朝鮮と水面下で接触していないと考える方が不自然です。しかし、中国が北朝鮮に対し、核放棄を突きつけていたとは意外です。これまでの中国自身の姿勢に照らして、「本当ですか?」と尋ねたくなります。

産経ニュースは

今回、訪中が実現したことは、北朝鮮から前向きな回答を得た可能性がある

としています。つまり、金正恩自身が訪中できたということは、金正恩が中国の要求、つまり「核放棄に向けた姿勢を示すこと」に応じたからだ、というのが産経ニュースの見解ですが、私はそう簡単な話ではないと考えています。

それはさておき、産経ニュースは今回の金正恩の訪中目的について、4月の南北首脳会談、5月までに行われる米朝首脳会談に先立ち、「最大の保護国である中国の指導者と事前協議を行うものとみられる」としていますが、本当の目的は何でしょうか?

おそらく、「金正恩自身が中国を訪問した」という事実そのものが、日米両国に対する牽制でしょう。なぜなら、北朝鮮にとっての最大の脅威は米国であることは間違いありませんが、近年は安倍晋三総理が率いる日本も、北朝鮮にとっての大きな脅威だからです。

このように考えていくならば、金正恩の行動は、すべて辻褄が合います。

まず、「親書ではなく口頭で」、韓国を経由して米国に米朝首脳会談を提案したことについては、もし米国がこれに応じ、「米国に裏切られたと思った日本が自国に首脳会談を持ちかけて来る」という展開になれば、日米の足並みを乱すことができます。

一方、米国がこれに乗らなかったとしても、金正恩としては問題ありません。なぜなら、書面にしていない以上、「言った」「言わない」の議論に持ち込むことができるからです。この場合、恥をかくのは韓国だけです。

もし米国が首脳会談を断っていたら?

では、仮に米国が米朝首脳会談に応じていなければ、いったい何が発生していたのでしょうか?

おそらく、金正恩は日朝首脳会談を持ちかけていたのかもしれません。とくに、「日本人拉致問題」は北朝鮮が日本に譲歩を引き出すうえでの外交カードだと思っている可能性は高いといえます。日朝両国は水面下で頻繁に接触していると考えられますが、首脳会談はこうしたルートを通じて呼び掛けられるでしょう。

実は、日本は「拉致問題の解決」と「核問題の解決」をセットにしていますが、米国にとっては最悪、「核問題」さえ解決すれば良いという話でもあります。その意味で日本が最も恐れなければならないのは、米国が「ハシゴを外す」という展開であることは間違いありません。

つまり、米国が米朝首脳会談に応じようが、米朝首脳会談を断ろうが、北朝鮮にとっては日米の結束を乱すために、「二の矢」「三の矢」を準備していると考えるべきでしょう。

その意味で、現在報じられているとおり、予算が成立した直後の4月に安倍晋三総理大臣が訪米し、ドナルド・トランプ米大統領と直接の首脳会談を行うと決めたことは、極めて適切な選択でした。なぜなら、日米の足並みを乱すこと自体が北朝鮮の目的だからです。

日朝首脳会談は適切なのか?

ところで、当ウェブサイトの読者の皆様であれば、1週間前に共同通信が報じた、「日本政府が日朝首脳会談への意欲を伝達している」とする記事に、見覚えがあるかもしれません。

政府、日朝首脳会談への意欲伝達(2018年3月22日 02:10付 ロイターより【共同通信配信記事】)

リンク先はロイターのものですが、オリジナルの記事は共同通信が配信したものです。これによると、日本政府は21日までに、「複数のルートを通じて」北朝鮮に対して日朝首脳会談の意欲を伝達したとしています。

この共同通信の報道の真偽については、正直、私にはよくわかりません。共同通信といえば、誤報や虚報のたぐいもそれなりに多く、とくに中国・朝鮮半島に関する報道については、何らかの「意図」が混入している可能性には注意が必要だからです。

しかし、一般論として考えるならば、いかなる国であっても、首脳会談自体を開催するのは良いことです。いや、もう少し正確にいえば、別に日本政府が北朝鮮に日朝首脳会談を申し入れたのは、今回が初めてではなく、もしかしたらすでに北朝鮮から日朝首脳会談のオファーを受け取っていたのかもしれません。

もちろん、安倍総理が常々、「対話のための対話はしない」と述べていることは事実ですし、北朝鮮が首脳会談自体を政治利用しようとしていることは間違いありません。したがって、今回、日朝首脳会談が実現したとしても、それが「対話のための対話」になってはならないというのは、その通りでしょう。

しかし、「会談自体が政治利用されない」のであれば、北朝鮮に対して正確な意図を直接伝えることは有意義です。老獪な安倍政権のことですから、3月に米国が米朝首脳会談を受諾したことを見極めたうえで、「泡を食って慌てて北朝鮮に首脳会談を呼びかけた」という風体を装っているのかもしれません。

安倍晋三という稀代の政治家

幸運だけではない、国益の最大化

さて、ここからは少し私の雑感を申し上げたいと思います。

私は安倍晋三政権を、100%支持している訳ではありません。同政権の政策には、経済政策を中心に同意できないものも多く、また、財務省の不祥事を奇貨として財務省を解体するほどの意欲も示していません。その意味で、私には安倍政権に対する強い不満があることも事実です。

ただ、それでも私が安倍政権を支持する理由は、ただ1つしかありません。それは、安倍総理が歴代政権の中でも、一番まともな部類に入るからです。とくに外交面では成果が目覚ましく、日本の地位が、かつてないほど高まっていることも事実です。

もちろん、これには安倍総理が「幸運」に助けられたという側面もあります。たとえばG8会合では、安倍総理よりも在任期間が長い政治家は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相とロシアのウラジミル・プーチン大統領に限られていて、それ以外の首脳は全員、交替しています。

しかも、ロシアは2014年のクリミア半島併合事件によってG8会合から追放されており、メルケル政権も与党・キリスト教民主同盟(CDU)が議席数の低迷に苦しんでおり、政権基盤は脆弱です。

このように考えていくならば、G7諸国の中でドイツを除けば最も在任期間が長く、かつ、「あの」トランプ大統領ともまともに話ができる安倍総理が、世界の首脳の中で尊敬されないはずなどありません。つまり、安倍総理が在任していること自体が、日本にとっては国益の最大化につながっているのです。

対韓外交では大いに疑問だが…

ただし、外交をウリにする安倍政権ですが、対韓外交だけは納得が行きません。

その最たるものは、2015年12月に韓国とのあいだで成立させた、「日韓慰安婦合意」でしょう。これは、日本軍があたかも従軍慰安婦の強制連行に関与したかのような文言で、日本が国民の貴重な血税から10億円というカネを自称元慰安婦らに提供するという、信じがたい暴挙です。

当ウェブサイトでは何度も主張して来たことですが、そもそも「従軍慰安婦の強制連行」という問題自体、朝日新聞が捏造したものであり、史実に反します。しかも、それに輪を掛けて許せないのは、日本という国、日本人という民族に対するヘイト犯罪を仕掛けてくる、韓国政府と韓国国民の存在です。

現在の日本は、対北朝鮮外交では、北朝鮮の核放棄、日本人拉致事件の解決を達成することが必要ですが、それと並んで対韓外交では、慰安婦合意という失敗をどうにかする必要があります。

ただ、安倍政権には、まだ挽回するチャンスがあります。しかも、一気に成し遂げるチャンスがあるのです。

具体的には、拉致問題が発生した時点の枠組みそのものを変更し、武力行使を禁じた日本国憲法の改正とともに、南北朝鮮が二度と日本人を侮辱することができないようにしてしまうことです。

安倍政権下でどこまでできるかについては、私も注目しているところですが、これについては追々、当ウェブサイトでも議論していきたいと思います。

国内の妨害は必然

ただし、改革を成し遂げようとするならば、日本国内にもさまざまな抵抗勢力が存在することとも事実です。

たとえば、昨日は「森友学園関連決裁文書」の偽造事件を巡り、佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問が行われましたが、これも下らない私学スキャンダルで国会を空転させようとする動きと見るべきでしょう。

私の見立てでは、安倍政権の足を引っ張っているのは、おもに三者です。それは、

  • 官僚(財務省・外務省や文部科学省、厚生労働省など)
  • 野党勢力(民進党、希望の党、立憲民主党、日本共産党など)
  • マス・メディア(朝日新聞、NHKなど)

であり、彼らによる妨害は今後も続くことでしょう。

当ウェブサイトは、ささやかながら彼らの動きを逐一報告していきたいと思います。どうか引き続きご愛読ください。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 非国民 より:

    金正恩だいじょうぶかな。強さで維持してきた政権。中国に泣きついたなんてことになると北朝鮮内での権力に異変が生じて内乱になるかも。軍が核を放棄するとは思えないのだが。軍の上層部が弱い金はいらないとなったらトップが不在になって交渉相手がいなくなる。

  2. めがねのおやじ より:

     < 本日も更新ありがとうございます。
     < とうとう金正恩が中国に行きましたね。あれほど用心深い金委員長が行った理由は、
    ①日米はじめ経済制裁が効いて、よほど国内が困窮している。食・油・鉄金属、ドル・元等、物資調達の依頼。
    ②昔からの「血盟」だが最近亀裂が入っていた関係の修復。
    ③核開発、ICBMの開発破棄。
    ④米朝会談について意見交換。
    ⑤北体制維持の保障。
    ・・・などを考えましたが、③は無いですね。とりあえず、中国に行って、金の神秘性は失うものの、会談する事で日米韓を惑わせる事ができる。何か大きな、根幹となるような決まったという事は無いとみます。
     < 中朝会談によって、明らかになった事→核開発、ミサイル開発は廃絶しない。国体は(できるだけ)今のまま維持したい、中国に日米の制裁と攻撃を護って欲しい(ウチがやられたら中国に被害出るゾ)。
    ではないでしょうか。
     < 日米首脳会談が4月18日軸に検討されてます。ここで安倍首相と、もひとつ分かってないトランプ大統領に核を検証可能な形で廃絶し、拉致被害者救出を最大限擦り合わせる。
     < 南北会談などは北の思惑通り、何でも呑ませることが出来る。もはや下僕ですから。米朝会議も運転士(韓国)のせいにして破談にでもできる。また核開発の時間稼ぎができる。一方、日朝会談も可能性ありですが、拉致被害者の件を卑怯にもカードとして使う可能性大で、経済的援助等をタカラれると、日本としても辛いところです。全貌を明らかにして首謀者・実行者の確定拘束、被害者の全員救出がなされるなら、制裁を緩める判断も出て来るでしょう。安倍首相はずっと以前から関わってきた事ですし。但し、限定的に。
     < 失礼します。

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