【夕刊】壊れゆく日韓関係の現状整理

先週から当ウェブサイトでは、日韓関係が現在進行形で壊れ始めていると申し上げています。日本時間の本日夜から明日未明にかけて、カナダで日韓外相会談が行われる可能性がありますが、そのまえに、現状の日韓関係について、ごく簡単にまとめておきたいと思います。

日韓関係が変質した!

明らかに困惑する韓国

韓国が明らかに困惑しています。

韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は「日韓慰安婦合意」(2015年12月)を巡り、昨年末から「この合意では慰安婦問題は解決していない」としたうえで、日本に対して「自主的な謝罪」を求めるなど、事実上の日韓合意の精神を踏みにじりました(『慰安婦合意という「地雷」を踏んだ韓国大統領』参照)。

しかし、現在に至るまで、日本政府の立場は微動だにしていません。

河野太郎外相は「(慰安婦合意が動けば)日韓関係はマネージ不能になる」と牽制したほか、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官も「日韓合意は1ミリも動かない」、「合意の着実な履行が必要だ」とする、従来の日本政府の立場を強調しました。

これに追い打ちをかけるような発言が、安倍総理による次の発言です。

日韓合意については、日韓合意は国と国との約束です。これを守ることは国際的かつ普遍的な原則であります。韓国側が一方的に更なる措置を求めることはですね、そういうことは全く受け入れることはできません。日本側は約束したことは全て誠意をもって実行しています。韓国側にも実行するよう強く求め続けていきたいと思っています。」(2018年1月12日付 首相官邸ウェブサイトより

つまり、日本政府の立場がまったくブレていないことで、韓国政府としては打つ手がなく、困ってしまっているのです。

文在寅発言の真意とは?

ところで、文在寅氏は先週、慰安婦合意について、「国家間の公式な合意であり、従来の合意を破棄し、再交渉を求めて解決できる問題ではない」と延べましたが、これは彼なりに「譲歩」したつもりなのかもしれません。なぜならば、「慰安婦合意は全面的に無効」であるとするこれまでの自身の主張より後退しているからです。

文在寅氏は昨年5月に大統領選を制しましたが、その際の政権公約は、「全面的に無効である」、でした(もっとも、文在寅氏以外の有力大統領候補も、慰安婦合意の破棄、再検討、不存在などを主張していましたが…)。

そして、政権発足後に外交部長官(外相に相当)の直下に慰安婦合意検証タスクフォース(TF)を設置したのも、その内容を12月時点で世界に向けて公表したのも、すべては政権公約に従ったものです。

つまり、私があえて文在寅氏の気持ちを忖度(そんたく)して代弁するならば、

私は日韓関係に配慮して、自説を曲げて、慰安婦合意自体を破棄も再交渉もしないという譲歩をしたから、日本も譲歩して、自主的な謝罪などの措置を取ってほしい

といったところでしょう。

しかし、「自主的な謝罪」どころか、日本政府の姿勢は今日に至るまで、一切、ブレていません。

つまり、自分たちが振り上げた拳の落としどころを失い、韓国政府は完全に困惑してしまっているのです。

日本が譲歩してくれないと韓日関係が壊れる!

こうしたなか、一部のメディアによれば、韓国国内では「日本が譲歩してくれないと韓日関係(日韓関係)が壊れる!」といった悲鳴も上がっているようです。

つまり、「韓国世論が反日で激高すれば、韓国政府にも手が付けられなくなるため、日本が譲歩しなければ日韓関係が壊れる」というロジック(?)です。

ただ、このロジックは、韓国では広く見られるものですが、よく考えてみると奇妙極まりない代物です。

本来、韓国世論が反日で激高したとしても、韓国国民を納得させるのは日本政府の仕事ではありません。韓国政府の仕事です。

したがって、韓国国民の多くが慰安婦合意に納得していなかったとしても、それは韓国の国内問題であり、日本政府に関係あるものではありません。

ところが、韓国国民が日本政府への譲歩を期待する要因は、これまでの日本政府の対応にも大きな責任があります。なぜなら、「韓国の国民・世論が怒っているので、日本政府がこれを納得させるべきである」とする無責任な韓国政府の要求を、これまでの日本政府が飲んできたからです。

たとえば、河野太郎外相の父親でもある河野洋平は、官房長官だった1993年8月に、閣議などの了承もなく、勝手に「河野談話」を発表。さらに、村山富市政権下では、日本政府が主導して「アジア女性基金」を設立するなどし、「日本政府が直接、韓国国民・韓国の世論を納得させようと努力した」などの、悪しき前例があります。

要するに、韓国政府が求めているのは、自分の国の国民世論を納得させるための、日本政府による譲歩なのです。日本政府はこれまでに何度もそうやってくれたわけですから、それを現在の韓国政府も期待している節があるのです。

貧すれば鈍する南北関係

北朝鮮に利用される韓国

日本政府は日本国民のための存在であり、韓国国民のための存在ではありません。したがって、日本政府には韓国国民を納得させる義務などありません。

文在寅氏には「日本がきっと譲歩してくれるに違いない」という妙な期待感を抱いていた節がありますが、現在の韓国政府や韓国国民の困惑は、「いつもと違って日本政府がまったく譲歩してくれない」という点から来ていることは、ほぼ間違いないと見てよいでしょう。

ただ、「貧すれば鈍する」とのことわざどおり、人間、追い込まれると、次々と悪手を打ってしまいます。

現在、日本から冷たくあしらわれている韓国がすがりついたのは、なんと、最悪の相手――北朝鮮です。

<平昌五輪>北朝鮮の三池淵管弦楽団140人が韓国へ(2018年01月16日08時11分)

北朝鮮は現時点で、選手団の派遣を明言していませんが、芸術団を韓国に派遣するなどの材料を小出しにして、韓国を完全に利用している格好です。

北朝鮮が平昌(へいしょう)冬季五輪を手掛かりに、さまざまなゆさぶりをかけて来ている理由も、核・ミサイル技術を完成させるための時間稼ぎだとみて間違いありません。

韓国にしてみると、日本との関係を悪化させてしまったという失態をごまかすために、全力で北朝鮮と連携し始めているという言い方もできます。

韓国が経済制裁対象に?

現在の文在寅政権が損ねているのは、日本との関係だけではありません。

昨年11月の「三不の誓い」 1)「三不の誓い」とは、昨年11月末に韓国が中国に対し、▼高高度ミサイル防衛システム=THAAD=を追加配備しない、▼米国が構築するミサイル防衛システム=MD=に参加しない、▼日米韓3ヵ国連携を軍事同盟に発展させない―の3つを約束したこと。 や「4つのNO」 2)「4つのNO」とは、昨年12月の文在寅氏の訪中時に、朝鮮半島での戦争を絶対に容認にしないことなどの4項目で中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席と合意したこと。 のせいで、韓国は米国からの信頼を決定的に失いました。

また、昨年12月に文在寅氏が訪中した際には、中国側は文在寅氏を「ひとりメシ」で徹底的に冷遇。もはや、韓国が米中双方から「プレイヤー」として認知されていないことは明らかです。

こうした中、日本からも相手にされていない韓国は、北朝鮮との関係改善をテコに、平昌五輪を成功させることで、一発逆転を狙っている節があります。

ただ、韓国があまり北朝鮮を支援し過ぎるのもよくありません。なぜなら、北朝鮮に五輪参加費用を支援すれば、そのこと自体が北朝鮮に対する制裁を巡る国連安保理決議に違反することになりかねないからです。

北朝鮮の五輪参加費用支援 「制裁違反にならぬよう協議」=韓国(2018/01/11 16:20付 聯合ニュース日本語版より)

つまり、米国、中国、日本から総スカンを喰らい、北朝鮮にすがりつく現在の韓国外交は、明らかに、「貧すれば鈍する」を地で行く展開となっているのです。

日韓両国の世論調査からわかること

ところで、読売新聞社の調査によれば、「韓国に追加での措置を行う」ことに日本国民の8割が反対しています。これに対し、「韓国社会世論研究所」の調査によれば、日韓慰安婦合意を巡って、韓国国民の6割は「再交渉すべき」だと答えたそうです。

韓国の追加要求拒否、支持83%…読売世論調査(2018年01月15日 08時44分付 読売オンラインより)
韓国人63%「韓日慰安婦合意は誤り、再交渉すべき」(2018年01月15日10時58分付 中央日報日本語版より)

つまり、今回の日韓対立局面は、日韓両国政府の問題というよりはむしろ、日韓両国の国民レベルで不信感が広がっている証拠でしょう。

日本政府は2015年以降、外交青書のなかで、韓国を「価値を共有する国」ではないと見ていますが、それだけではありません。

昨年12月の河野太郎外相の発言 3)外務省ウェブサイトによれば、昨年12月27日、河野氏は「韓国が慰安婦合意を変更すれば、日韓関係はマネージ不能になる」と発言しました。 から判断する限り、現在の日本政府は韓国との関係を「友好関係」ではなく「単なる戦略を共有する関係」であり、「マネージすべき関係」と規定していると考えられます。

こうした日本政府の努力もあって、今のところ、日韓関係は何とか「マネージ」できていることは間違いありません。

しかし、これらの報道を信じるならば、両国の国民レベルでは、日韓関係は「マネージ」する局面を過ぎ、危険水域に入ってきたという言い方をしても良いかもしれません(もちろん、日韓双方のメディアが報じた世論調査が正しいという保証はありませんが…)。

どれほど日本政府が関係維持の努力をしたとしても、韓国政府側がその努力を怠り、かつ、国民レベルで相互不信が高まっていけば、近い将来、日韓関係が無残に壊れてしまうのを避けるのは難しいでしょう。

この私自身の見方が正しいかどうかの答えは、意外と近い将来、わかるかもしれません。

注記   [ + ]

1.「三不の誓い」とは、昨年11月末に韓国が中国に対し、▼高高度ミサイル防衛システム=THAAD=を追加配備しない、▼米国が構築するミサイル防衛システム=MD=に参加しない、▼日米韓3ヵ国連携を軍事同盟に発展させない―の3つを約束したこと。
2.「4つのNO」とは、昨年12月の文在寅氏の訪中時に、朝鮮半島での戦争を絶対に容認にしないことなどの4項目で中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席と合意したこと。
3.外務省ウェブサイトによれば、昨年12月27日、河野氏は「韓国が慰安婦合意を変更すれば、日韓関係はマネージ不能になる」と発言しました。

読者コメント一覧

  1. むるむる より:

    あの忌々しい朝鮮半島の南朝鮮を北に統一させればそれを口実に軍事力強化と日本国民の安全保障意識をより変えることが可能なはずです、何よりも中国と統一朝鮮が名実ともに日本の敵になれば米国の影響力は決定的に低下します。

    さあ奴隷根性の南朝鮮人国家諸共消えるがいい、次のお前らのご主人様は北の豚だ。

  2. a4 より:

    韓国!実に情緒溢れる国ですね
    相手が怯むはずのカードが無視され、更に忖度をお願いして叱られ、何も成果が得られない
    八方塞がりの処に北からの餌に飛びつき、日本が嫉妬とか笑わせる
    「勝手に期待して、勝手に失望して、勝手に怒り出す」何時ものパターンですな
    南北会談も、北に首輪嵌められた状態、テロ支援国家として終わってますね
    日本国内の風を大きく変えて呉れたのが、韓国と言う結論、日本人もノンビリしてるよね

  3. めがねのおやじ より:

    < いつも夕刊の発行、ありがとうございます!
    < お馬鹿な韓国政府は、自国民の世論を納得させる為、日本政府による「譲歩」を待っているのですか。日米中に相手にされず、最後は青酸カリか農薬入りの金饅頭を喰わされるのか。それも進んで(笑)。支離滅裂です。五輪を足がかりに、北朝鮮に徹底的に利用されていますネ。選手団、監督コーチ陣、スタッフ、放送局らを船で送迎し、宿泊も約束する、と与党幹部議員が言ったり、踊り子(何なのアレ?チア?韓風舞踊?)や三池淵管弦楽団140人訪問とか、もう2か国による陳腐なショーだ。勝手にしろのレベルです。五輪ではなくなっている。小中学生でも分かるような時間稼ぎに協力するか?これらをタダにしたら国連安保理決議違反は明白ですし、それでもやみ雲に進める文政権。*何でも招待された側がタダとか、普通の国同士なら当然かもしれないが、朝鮮がやるとカネ出す出さんで汚く聞こえるのは私だけではないと思う。
    < 「貧すれば鈍する」と言いますが、もともとは「昔から貧のまま」であったのに、この110年ほど、日本が心血注いで育成したので、甘い蜜の味を知り、それを我が実力と錯覚したのが運の尽き。日本とは「価値を共有する国」から「単なる戦略を共有する関係」に落ち、今は「マネージする関係」で、「危険水域に達した」ということですね、よく分かります。「日韓関係が無残に壊れてしまうのを避けるのは難しい」という新宿会計様のご意見、その通りです。私も関係を修復して、信じあえる相手になるかというと「NO]です。
    < でも北に吸収されるなり属国になると「ウリも核保持国ニダ」と言い出すでしょう。中国も含めすべて敵国となる。半面日本人の安全保障意識は高まり、改憲にも結び付きます。けれども侮れないのが中国。今日の報道でも今月10,11日に中国の原子力潜水艦が尖閣諸島周辺の接続水域を潜航しています。こういうモノは韓国、北朝鮮にはありません。まだまだボロ潜水艦ばかりと思っていましたが、長射程の巡航対艦ミサイルも持つ。性能的には日米より劣るでしょうが(現に耐用年数が異常に短い。水漏れ?あるいは動力系統が弱い、騒音も)北南に配属されると厄介です。この点も韓国を抜きに日米豪でシーレーンを守る同盟が必要ですね(3月以後に延期された米韓演習など意味ないでしょ。)
    < 以上、失礼しました。

  4. ぬけあな より:

    北朝鮮三池淵管弦楽団140人が韓国へ
    韓国で公演って無料?
    経済制裁対象外?…国外で働く北朝鮮の労働者の本国への帰国

  5. 何となく より:

    https://mobile.twitter.com/xcvbnm67890

    管理人さんと同じく韓国籍の方ですが、一次資料からしっかり現状認識されてる方も居るんですね。韓国を感情でなじるネトウヨでなく、資料を元に客観的に批判をするのが一番信頼性がありますね。

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