通貨スワップ(BSA)こそ日本外交の有力な手段

連休中といえば、麻生太郎副総理兼財相がフィリピンに出張され、国際金融協力の世界で話し合いをしてきました。ただ、今年のアジア出張に関していえば、残念ながら成果は乏しいというのが実情です。財務省はもっとスピード感を持って仕事すべきです。

麻生副総理出張の「成果」は?

国際金融協力に詳しくない方であっても、「通貨スワップ」、「為替スワップ」という用語は聞いたことがあるのではないでしょうか?そう、「日韓通貨スワップ協定」で有名になった、通貨危機のときに通貨を融通する国際協定のことです。

日本は1兆2643億ドル・142兆4,215億円(※いずれも2017年12月末時点)にも達する巨額の外貨準備高を保有しており、また、日本の通貨・日本円(JPY)は世界でも3番目の流通量 ((国際決済銀行(BIS)が公表する“Triennial Central Bank Survey”によると、OTCデリバティブを含む外為市場の取引量では、通貨ペアで見て、日本円は米ドル(87.6%)、ユーロ(31.3%)に次いで3番目(21.6%)のシェアを誇っています。詳しくは『もう日本とのスワップは必要ないね』のなかの『「通貨の実力」とは?』をご参照ください。)) を誇る「ハード・カレンシー」でもあります。

憲法の制約から軍事力で世界平和に貢献することが難しい日本ですが、金融面においては、「世界最強の通貨ポジション」を使って、もっと大胆にアジアと世界に貢献できるはずです。

こうしたなか、麻生太郎副総理兼財相は、この連休中に、アジア開発銀行(ADB)の年次総会にあわせてフィリピンを訪問しました。当然、この通貨スワップ・為替スワップについても、何らかの進展があるのではないかと期待していたのですが、財務省の報道発表を見ると、少々「期待外れ」です。

基本的な用語の再確認

通貨スワップ(BSA)とは?

ところで、内容の説明に入る前に、通貨スワップと為替スワップの用語について簡単に確認しておきましょう。

通貨スワップ協定とは、通貨当局同士があらかじめ決めた条件で、通貨を交換する取極めのことです。これを英語では “Bilateral Swap Agreement” と称するため、これを略して「BSA」と呼ぶこともあります。

(※余談ですが、デリバティブの世界にいう「通貨スワップ」と日本語としてはまったく同じですが、デリバティブの方は英語で “Cross Currency Swap” と称し、これを略して「CCS」と呼ぶこともあります。「BSA」と「CCS」の違いについては『総論:通貨スワップと為替スワップとは?』をご参照ください。)

BSAについては実例を見る方が手っ取り早いと思います。そこで、私たちのお隣の国・韓国の事例を眺めてみましょう。この国の場合、中央銀行である「韓国銀行」が、「合計5つの通貨当局との間でBSAを締結している」と主張しています。

図表1 外国同士のBSA(韓国の事例)
相手国と金額韓国ウォン相手国通貨の換算額
100億豪ドル(オーストラリア)9.0兆ウォン75.4億米ドル
150億リンギット(マレーシア)5.0兆ウォン38.1億米ドル
115兆ルピア(インドネシア)11.0兆ウォン82.5億米ドル
100億フラン(スイス)11.2兆ウォン100.0億米ドル
3600億元(中国)(※)64.0兆ウォン565.8億米ドル
合計100.2兆ウォン861.8億米ドル

(【出所】著者作成。なお、中国とのスワップ協定については、昨年10月に失効済みであり、中国側は「更新した」とはヒトコトも言っていない点に注意。また、米ドル換算はWSJの2018年5月4日時点引け値により試算)

ここで韓国を事例に出したことに、特段の悪意はありません(笑)。ただ、韓国の事例が分かりやすいので例に出したまでの話です。韓国の場合は合計5つの国との間で、総額100.2兆ウォン(1ドル=1074.11ウォンで換算すると932.9億米ドル相当額)のBSAを「締結している」と主張しています。

ただし、米ドルに換算して861.8億米ドルのうち、全体の65.7%を占めているのは、中国とのスワップ(565.8億米ドル)ですが、これについては大きく2つの問題点があります。

1つ目は、協定自体、すでに昨年10月で失効済みである、という点です。韓国側は「中韓間で口頭で延長することに合意した」と主張していますが、中国側は「更新した」とはヒトコトも言っていません。韓国が引き出そうとすると、中国が「そんな協定存在しない」と言い張るリスクがある、ということです。

2つ目は、中国の通貨・人民元自体が、国際的な金融市場では自由に交換できない通貨である(つまり「ソフト・カレンシー」である)、という点です。というよりも、「換算するとXX億ドルに相当する金額だ」と言ったところで、実は、あまり意味がありません。なぜなら、このBSAは「通貨同士の交換」だからです。

例えば韓国が通貨危機になって、通貨防衛のために米ドルがどうしても必要になったとしましょう。この場合、図表1に列挙したBSAに従い、相手国から米ドルではない通貨を引き出したとしても、それをあらためて外為市場で米ドルに交換しなければならないからです。

そして、韓国の場合、米ドル建てのBSAをただの1ドル分も保有していません。5つのBSAのうち、通貨危機の際に使い物になるスワップは豪ドル(約75.4億米ドル)、スイス・フラン(約100億ドル)の2本に過ぎず、それ以外の通貨は国際的な市場で使い物にならない「ソフト・カレンシー」ばかりです。

さらに、韓国メディアの報道を眺めていると、「韓国は外国と932.9億米ドルものスワップを持っている」と表現することがありますが、これは間違いです。危機の際、相手国通貨を米ドルに両替する必要があると考えるならば、正確な米ドル換算額は、932.9億ドルではなく、861.8億ドルです(図表2)。

図表2 韓国が保有するBSAのドル換算額
区分米ドル換算額計算根拠
韓国メディアの主張(①)932.9億米ドル100.2兆ウォン×1074.11
実際の米ドル換算額(②)861.8億米ドル相手国通貨を1つずつ換算
両者の差異▲71.1億米ドル②-①

(【出所】著者作成)

つまり、韓国メディアが「わが国は932.9億米ドルのBSAを保持している」と述べるときには、71億ドルほど「水増し」した金額である、ということです。せこい国ですね(笑)。

それはともかく、韓国の事例からわかるとおり、BSAとは一般に「通貨当局同士が自国の通貨と相手国の通貨をあらかじめ決めた条件に従って交換する」という協定のことであり、かつ、相手国通貨がハード・カレンシーでなければ意味がない協定です。

どうでも良いのですが、近い将来、韓国が通貨危機に巻き込まれる可能性はそれなりに高いと思います。そうなると、マレーシアとインドネシアが韓国からスワップ・ラインを行使され、韓国の通貨危機がマレーシアとインドネシアに伝播するリスクにも注意しなければならないでしょう。

CMIMとは?

一方、こうしたBSAだと、「相手国といちいちスワップを締結しなければならない」という面倒くささがあります。そこで、アジア全域で、「多国間協定」のかたちにしてしまおうという発想が、「チェンマイ・イニシアティブのマルチ化協定」(CMIM)です。

これは、1997年~98年の「アジア通貨危機」後に、日本が提唱して出来上がった「通貨スワップ・ネットワーク」が発展的に解消して成立した枠組みで、現時点で14ヵ国・地域が参加し、総額2400億ドルの金融協力の枠組みとなっています(図表3)。

図表3 CMIM(金額:億ドル)
貢献額引出可能総額
日本768.0384.0
中国(本土と香港の合算)768.0
(うち中国)684.0342.0
(うち香港)84.063.0
韓国384.0384.0
インドネシア91.04227.6
タイ91.04227.6
マレーシア91.04227.6
シンガポール91.04227.6
フィリピン91.04227.6
ベトナム20.0100.0
カンボジア2.412.0
ミャンマー1.26.0
ブルネイ0.63.0
ラオス0.63.0
合計2,400.02.435.0

(【出所】財務省・2014年7月17日付ウェブサイト「別添2」。IMFに加盟していない香港を除き、いずれも「IMFデリンク」は引出可能総額の30%)

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国は、「貢献額」よりも「引出可能総額」が大きくなっており、これに対して日本は「引出可能総額」は「貢献額」の半額に過ぎません。いわば、日本からの一方的支援ではないという体裁を保つため、いちおう、日本も引き出せるという仕組みにしている、ということでしょう。

ただし、この枠組みは、各国が「引出可能総額」の30%以上を実際に引き出そうとすれば、国際通貨基金(IMF)が関与して来ます。多くの国はIMFが関与することを嫌がるため、実質的には、危機に際して30%までしか引き出せないという仕組みだということもできそうです。

為替スワップ(BLA)とは?

最後に、少し分かり辛いのが為替スワップです。これは英語で “Bilateral Liquidity Agreement” と称するため、本稿では「BLA」と勝手に省略することにしています。

以前、『【速報】カナダ・韓国間の為替スワップは通貨スワップではない!』のなかで、「為替スワップ」との表現を用いたところ、コメント欄に「これは誤記だ」とするお叱りコメントが出現したことがありましたが、これはコメント主さんが国際金融をまったく理解していなかったというオチが付きました。

(※余談ですが、「為替スワップ」と表現すると、デリバティブの世界では、先物外国為替売買取引(いわゆる「バイ・セル」や「セル・バイ」)のことですが、この「バイ・セル」「セル・バイ」と「BLA」の違いについては、本稿では触れません。『総論:通貨スワップと為替スワップとは?』をご参照ください。)

このBLAについては、日本、米国、カナダ、英国、欧州、スイスの6つの中央銀行における事例を見るのが早いでしょう(図表4)。

図表4 代表的なBLA:日米加英欧瑞の無制限為替スワップ
項目概要備考
契約当事者日本銀行、米FRB、カナダ銀行(BOC)、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)、スイス国民銀行(SNB)米国の場合はFRBニューヨーク連銀が窓口となり、それ以外は各中央銀行が窓口となる
通貨日本円、米ドル、加ドル、英ポンド、ユーロ、スイス・フランこれらの6通貨は典型的な「ハード・カレンシー」と呼ばれる
金額無制限
期間無制限NY連銀への円資金供給の場合、1回あたり最長88日
適用為替相場約定日の市場実勢レートなど

(【出所】日銀『海外中銀との協力』などを参考に、著者作成)

これは、6つの中央銀行が、お互いに、金額も期間も無制限で、お互いの通貨を供給するという協定です。ただし、これらの協定は、あくまでも「民間銀行に対して資金を供給する」という協定であり、通貨スワップ(BSA)とは性格が異なります。

たとえば、日本のA銀行が、潤沢な円資金を持っていて、ドル資金が不足していたとしましょう。このとき、A銀行が日銀に対し、「ドル資金を供給して欲しい」と要望。日銀はFRBニューヨーク連銀に対し、「A銀行にドル資金を供給するために、ドルを貸してほしい」と要望します。

このとき、日銀はニューヨーク連銀に対し日本円を担保に差し入れ、ニューヨーク連銀は日銀にドルを貸し付けてくれます。日銀はニューヨーク連銀から借りたドルをA銀行に貸し付け、A銀行からは担保(日本国債など)を徴求する、という仕組みです。

このため、BLAの場合は「通貨危機が発生したから通貨当局が外国通貨を借り入れる」、ということができません。あくまでも担保付、有利子で、民間の金融機関が外国中央銀行からおカネを借りる、という仕組みであり、BSAとは似て非なるものです。

円建てBSAの拡充

日本が保有するBSAとBLA

ここで、日本が保有しているBSAとBLAについて、概要をまとめてみましょう(図表5図表6)。

図表5 BSAの一覧
相手国金額使用通貨
日本→インドネシア227.6億米ドル米ドル⇔ルピア
日本→フィリピン120億米ドル相当米ドルか日本円⇔ペソ
フィリピン→日本5億米ドル日本円⇔米ドル
日本→シンガポール30億米ドル米ドル⇔シンガポール・ドル
シンガポール→日本10億米ドル日本円⇔米ドル
日本→タイ30億米ドル米ドル⇔バーツ
タイ→日本30億米ドル日本円⇔米ドル

(【出所】財務省ウェブサイト『アジア諸国との二国間通貨スワップ取極』(ただし2017年10月6日現在)を参考に著者作成)

図表6 BLAの一覧
契約相手金額期間
米FRB(NY連銀)無制限無制限
カナダ銀行(BOC)無制限無制限
英イングランド銀行(BOE)無制限無制限
欧州中央銀行(ECB)無制限無制限
スイス国民銀行(SNB)無制限無制限
豪州準備銀行(RBA)1.6兆円⇔200億豪ドル2019年3月17日
シンガポール通貨庁(MAS)1.1兆円⇔150億Sドル2019年11月29日

(【出所】日銀ウェブサイト『海外中銀との協力』を参考に著者作成)

このように眺めてみると、日本が142兆円もの外貨準備を保有していながら、外国と締結している通貨スワップ(BSA)自体は総額でも407.6億ドルに過ぎず、もっと拡充する余地があるように思えてなりません。

また、為替スワップ(BLA)については、締結相手国が先進国に限られている点は当然ですが、デンマークやスウェーデン、ノルウェーなどの中央銀行は対象に含められておらず、しかも、オーストラリア、シンガポールとのBLAについては上限額が定められています。

BSA、BLAともに、もう少し金額や条件で拡充する余地があるのではないでしょうか?

日本が米ドルを受け取るスワップの意味

ところで、図表5について、フィリピン、シンガポール、タイの各国は、「双方向スワップ」です。これは、相手国から要請があった場合、日本が米ドルを相手国に引き渡し、相手国からは自国通貨を受け取るという、いわば破格の条件です。

ただ、逆に、日本が要請すれば、日本が日本円を担保に、相手国から米ドルを受け取ることができる、という契約でもあります。これはいったいどういう意味でしょうか?

シンプルに考えて、日本が通貨危機になることはまずあり得ません。おそらく、この条項は、むしろ相手国が日本円を必要とする状況となった時に、米ドルを担保に日本円を貸してもらえる、という意味だと理解した方がわかりやすいでしょう。

しかし、通貨危機の際には米ドルも枯渇するでしょうから、この条項は事実上、使い物になりません。やはり、相手国からすれば、自国通貨を日本に渡す代わりに、日本からは米ドルだけでなく日本円も渡してもらいたいと思うはずです。

円建て条項が追加されたのだが…

そこで、今回の麻生副総理のアジア出張では、これらのBSAのうち2本が改訂されています。

日=シンガポール間の二国間通貨スワップ取極を延長する合意に達しました(2018/05/04付 財務省ウェブサイトより)
日=インドネシア間の二国間通貨スワップ取極の締結に係る基本合意に達しました(2018/05/04付 財務省ウェブサイトより)

まず、シンガポールとのBSAについては、単純に「2018年5月21日に失効する協定」の期限が延長されたというものですが、これに「シンガポール側の交換通貨に米ドルに加えて日本円も含めることを検討する」、というものです。「検討する」とは意味がわかりません。なぜさっさと実現しないのでしょうか?

一方、インドネシアとのスワップについては、上限額は変わりませんが、インドネシア側が引き出せる通貨に、米ドルだけでなく、日本円も付け加わりました。このこと自体は評価したいと思います。

しかし、次の2点については未達成であり、議論された形跡すらありません。

  • 昨年5月に締結に向けた検討が開始されたマレーシアとのBSA(総額30億米ドル)について、何の進展もないこと
  • 昨年5月に新規締結されたタイとのBSA(総額30億米ドル)について、日本円での引出条項が追加されていないこと

せっかく日本が国際金融協力の世界で存在感を発揮するチャンスなのに、財務省の仕事の遅さには呆れます。

金額も相手先も少なすぎる!

日本のBSAをめぐっては、もう1つ、問題点があります。それは、締結している相手先も限られているし、金額も少なすぎる、という点です。

たとえば、インドとのBSAは2014年1月10日に上限500億ドル(!)という破格の条件に拡充されましたが、残念なことに2015年12月3日付で失効してしまっており、現在に至るまでスワップは再開されていません。

また、ASEAN以外のアジア諸国(とくに台湾、スリランカ、パキスタン、モンゴルなど、中国を牽制するうえで重要な国)との間では、BSAそのものが存在していません。中国が世界各国で人民元建てのBSA攻勢をかけていることを考えると、金額も相手先も少なすぎます。

日本は憲法第9条第2項という欠陥を抱え、軍事力を発動することに大きな制約がある国です。そんな国にとって、数少ない「武器」とは、世界最強の金融力にほかなりません。BSAについてはもっともっと活用する余地があるのです。

韓国への500億ドルBSAというジョーク

さて、BSAについて議論し始めると、財務省あたりには必ず「日韓通貨スワップ協定も必要だ」ということを主張する木端役人が出てきます。その典型例は、もう退任した山崎達雄(やまざき・たつお)元国際局長でしょう。

この人物は、2014年4月16日に行われた「第186回国会・衆議院財務金融委員会」で、「日本維新の党」の衆議院議員だった三木圭恵(みき・けえ)氏(※2014年12月の総選挙以来、落選中)に対し、日韓スワップには「韓国だけではなく日本にとってもメリットがある」と答弁しています。

「日韓通貨スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じまして、相手国、日韓の場合は韓国だけじゃなくて、日本にとってもメリットはあります。/というのも、日本と韓国との間の貿易・投資、あるいは日本企業も多数韓国に進出して活動しているわけでありまして、その国の経済の安定というのは双方にメリットがある面、それからまた通貨という面でいうと、むしろ通貨を安定させるという面、ウォンを安定させるという面もあるわけであります。/そういうことで、私どもとしては、当時、日韓通貨スワップを拡大したのは、むしろ、韓国のためだけというよりも、日本のため、地域の経済の安定のためということがあったということだけ申し上げたいと思います。

ちなみにこの人物、2015年7月7日に退官後、同年11月24日にモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社の顧問、同年12月1日にアムンディ・ジャパン株式会社の顧問にそれぞれ就任。さらにマスコミ・官庁の「天下り先」としても有名な国際医療福祉大学の「特任教授」にも就任しているようです。

それはさておき、「山崎達雄理論」(というよりも「珍説」)にしたがい、「日韓通貨スワップ協定のメリット」を列挙しておきましょう。

図表7 「日韓通貨スワップ協定のメリット」に関する山崎達雄理論
日本へのメリット概要備考
韓国に進出した日本企業へのメリット韓国経済が安定することで、韓国と貿易・直接投資などで関わる日本企業にとってメリットがある「企業自己責任の原則」の否定であるが、山崎理論ではこの点については無視されている
通貨の安定というメリット日韓BSAを締結すれば、韓国の通貨・ウォンを安定させるという効果が得られる「日韓スワップがあればむしろ韓国による為替操作に悪用される」との批判は無視されている

(【出所】著者作成)

それはともかく、韓国側では「日韓通貨スワップは日本が懇願して来たから仕方なく締結してやるものだ」といった俗説も見られます。朴槿恵(ぼく・きんけい)政権下で韓国政府は日韓スワップの規模が「500億ドルになる」と勝手に話していたこともありますが(『日韓スワップ「500億ドル」の怪』参照)、先ほどの図表5でもわかるとおり、500億ドルといえば破格の条件です。

大使館前の慰安婦像も撤去しない、慰安婦問題というウソを国際社会で喧伝し続ける、竹島を不法占拠して返さない、国際社会において公然と日本を侮辱する。そんな国に500億ドルのスワップとは、「盗人に追い銭」でしょう。

財務省にいつまた山崎達雄氏のような人物が出現しない保証があるとはいえません。私たちは日本国民レベルで賢くなり、変な国に私たちの虎の子である外貨準備や日本円を提供しないよう、財務省や経団連企業を監視すべきでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. とらじろう より:

    当方、国際金融については無知過ぎるぐらい無知な者ですが少なくとも分かるのは、韓国は本当はお金が無いくせにお金があると見栄を張っていることですな。
    大体、何で日本が懇願してまで通貨スワップをやらないといけないのでしょうか(笑)
    いくら国際金融に無知な小生でも日本が韓国(程度)の通貨スワップを必要とする情勢となったら日本以上に韓国が悲惨な状況でスワップどころではないというのが容易に想像がつきます(笑)

  2. めがねのおやじ より:

    < 毎日の更新ありがとうございます。
    < 日本との2国間スワップ(BSA)は相手国も金額も少なすぎますね。双方向はフィリピン、シンガポール、タイの3か国だけ。片方向がインドネシア、総額407.6億ドルって少なすぎ。142兆円もの外貨準備があるのに。私も報道で知りましたが、目新しい所ではインドネシアの引き出しが米ドルだけでなく、日本円も加わった事ぐらい。
    < 少なくともアジアで中国の『乱獲』『狼藉』を防げるのは日本だけです。会計士様仰る台湾、スリランカ、パキスタン、モンゴルとは結ぶ事によって、中国をけん制できます。
    < エリート(と言われる)お役人は、新しい事を取り組むのが負担になるのでしょうか。前例主義で。動きがとにかく遅い。何十年も、少なくとも七十年以上も重い「しがらみ」が省内、OBのいる企業、団体がタテにもヨコにも連綿とあり、また次官昇進レースで57~8歳で1人当確が出たら、あとは退官し天下りを待つ、感じでしょうか。要らんわ(笑)。でも受け入れ側の保険金融業界はじめ一般社団法人からはオオモテ、しかし仕事無いらしい。
    < お隣の韓国など嘘八百の数字で粉飾した国なので、日本としては関知しないで結構ですが、中国はアフリカ等にも魔手を伸ばしており、日本もせっかくの金融力を『武器』として活用して欲しいものです。 *財務省をパラパラと調べるたびにコチラの機嫌が悪くなることが明らかになります。もう潰して『霞が関の中の官庁の中の官庁』なんて、不要です。東京大学卒というエリートなら全人生を国に捧げる気持ちで職務をして欲しい。国益を一に考えるべき。頭でっかちは出来ないのですかね。 失礼します。

  3. むるむる より:

    と言うか日中通貨スワップ妥結とか合意の見通しとか報道されてますが実際にはどうなることやら。

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やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

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