ファクトチェック大幅強化するツイッター新機能の衝撃

例の「ツイッターのファクトチェック機能」に関する「続報」が出てきました。『役に立つコミュニティノート』というアカウントが、背景情報に関するノートを自動で紹介してくれるようなのです。現在のところ、表示されているものを上から順に10個ほどチェックしてみたところ、ロシア大使館のほか、左派系や反ワクチン系のアカウントのツイートに対し、注意喚起がなされているようです。今後のツイッターではデマの流布は難しくなるのでしょうか。

ツイッターのコミュニティノートによる「背景情報」

昨日の『新聞がツイッターでファクトチェックされる時代が到来』でも取り上げたとおり、ツイッターに最近、「コミュニティノート」による「背景情報」なるものが表示されるようになりました。

この「コミュニティノート」に参加できるのは、①ツイッターのルール違反などをしていないこと、②ツイッターに登録してから6ヵ月以上が経過していること、③携帯電話番号を認証していること、などの要件を満たしたユーザーでだそうです。

そのうえで、これらの登録要件を満たしているユーザーは新規登録が可能ですが、登録してもすぐに参加できるわけではないようです(ツイッター社側で審査でもなされるのでしょうか?)。

新アカウント

さて、こうしたなかで、『役に立つコミュニティノート』(@CommunityNotes)というアカウントが出来上がっているのを発見しました。このアカウントはおそらく開設されたばかりですが、「役に立った」とする評価が一定の要件を満たしたノートを自動的に紹介してくれるという、じつに興味深いアカウントです。

ちなみにツイッターで公開されるノートは、「ツイッターで誤解を招く可能性がある情報に遭遇したユーザーに役に立つ背景情報を提示する」ことを目的としており、ツイッター社の説明ページの記載内容を要約すると、仕組みはこんな具合です。

  • ノートが執筆されると、最初は「さらに評価が必要です」のステータスになり、評価を募るために「協力者」に表示され、ノートが提起しているツイートに関するメッセージが表示される
  • ノートが十分な数の協力者により、さまざまな視点から「役に立った」と評価されると、「役に立った」のステータスを獲得し、ツイッターで公開される
  • ノートが十分な数の協力者により「役に立たなかった」と評価されると、「役に立たなかった」のステータスに到達し、ツイッターでは公開されない(「役に立たなかった」のステータスに到達したノートを繰り返し投稿した協力者に対しては、ノート作成機能を一時的にロックする措置が取られることもある)
  • ノートのステータスは評価が新たに下されるたびに更新されるため、いったん公開されたノートがその後表示されなくなることもあるが、ステータスは2週間経過すればロックされる

つまり、あるノートは、作成されてすぐに公開されるわけではなく、最初は「コミュニティノート参加者」に対して提示され、その参加者のレビューをクリアしたうえで公開される、という流れを踏みます。つまり、複数人のチェックを受ける必要があるのです。

上から順に10個眺めてみると…?

このあたり、じっさいに公開されてその後に評価が確定するまでのプロセスについては、ツイッター社の説明を読んでも、必ずしも十分に理解できるものではありませんが、それでもイメージは掴めます。

では、実際にどんなツイートに対してノートが付いているのでしょうか。

7月11日午後2時前後の時点で表示されているものを、上から順番に10項目ピックアップしておくと、こんな具合です。

ロシア、反ワクチン、左派などが多いようだが?

これらのなかには保守系論客やロシア大使館も含まれていますが、全体的な傾向としては「反ワクチン」、「左派系」などの方々のツイートが多いのかもしれません(※どうでも良い話ですが、著者自身がブロックしているフェイクニューズ系の「まとめサイト」のものが混じっているのには思わず苦笑してしまいます)。

あるいは、昨日も紹介したとおり、このファクトチェックの対象には、大手新聞社や著名記者らも含まれます。いわば、「大手新聞社のフェイクニューズがツイッター上でファクトチェックされてしまう」、というわけです。

かつて不特定多数の人に向けて情報発信する手段が新聞、テレビくらいに限られていた時代からすれば、まさに隔世の感あり、です。

いずれにせよ、このコミュニティノート、「悪意のあるノート参加者によって乗っ取られたらどうなるのか」など、少々不安材料がないわけではありませんが、現在のところは比較的正確なファクトチェックが行われているようであり、今後の展開が楽しみな機能のひとつであることは間違いないでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 元雑用係 より:

    はやいとこ、日本ファクトチェックセンターのツイートに背景情報が付く絵を見たいです。

    1. すみません、匿名です より:

      >日本ファクトチェックセンター

      ・朝日新聞社出身者のみで主要編集者が占められている
      ・「正確で厳格な報道機関」を原則として対象外??

      ツイッター新機能はネットのスピード・オープン性で即座にファクト判定ができる。
      日本ファクトチェックセンター仕事をする前からリストラでしょうか?
      当面の運営資金はGoogleとYahoo!Japanが提供するらしいので、
      朝日新聞社の天下り先、いい金づるを作りましたね・・・。

  2. はにわファクトリー より:

    及川さん、近頃表情に余裕がなくなってるようなのが気にかかってました。いよいよなのか。

  3. 人工知能の中の人 より:

    コミュニティノート協力者さんたちには頭が下がります

  4. 名前 より:

    Twitterの新機能凄い!日本人なのに8割の人が日本語わからない、日本語のニュアンスわかってない人が居るからこれでわかるようになるといいな!

  5. M.W より:

     新しい機能が加わり大変に良いことだと思いますただ、またこの機能の裏をかこうとする集団が現れるでしょうし、そうなればまた対策を、ゲーム理論でいうところの しっぺ返し作戦がこれからも繰り返して行くでしょうね。        最近地政学的にみてほぼ同じ地域では、その地の指導者は大体同じ考え方をするといういい例がありました、ベラルーシの独裁者も、ロシアの軍閥も核(戦術核)を欲しがり、これはもうウクライナ情勢を熟知(騙されて核を放棄)明日は我が身、わが身の保身いがいの何物では、ロシアも何かにつけて(原発もふくむ)言及する三すくみ状態になっていませんか、クレムリン宮殿にロックオンですか。大国は小国に勝てないと教えられてきましたが(日露戦争、ベトナム、アフガン)どうも妄想がたたり小出しの援助は裏があるように思えてなりません、ボディーブローで弱くなってきているところへ、台湾やるやる詐欺のプーさん反転してシベリア出兵、ロシアの他の地域でも蜂起、再分割、ウクライナ情勢を見れば見るほど、米、日、印、AU相手よりも弱った熊なら勝てる、核もあるし。
    どこぞの先生が9月に何かがあるかもしれないと発言されたそうです、あくまでも私見 ですが。               
     

  6. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    オールドメディア:「このツイッターのファクトチェックが正しいかどうか、我々がチェックする」
    これって、笑い話ですよね。

    1. 匿名 より:

      それを集合知と言うのかもと思います。

  7. さより より:

    このような記事をアップして下さる新宿会計士様に先ず、お礼申し上げます。
    特に本日は10もの実例を挙げて頂きましたので、具体的に理解できました。
    ツィッター社のこの施策には本当に感謝ですね。
    今までは、明らかにこの内容はオカシイと思ってツイートしても、他の膨大な数の中に埋もれてしまいました。
    ここに挙げられた実例の内容は、普通に良識的な知識とそれに基づく正当な見解を持っていれば、読んで直ぐにオカシイと感じるものです。
    そのように感じた良識ある人が直ちに、その誤りを指摘出来ることは、世の中の不勉強とそれによる偏見が無くなることに少しは貢献して行くのではないかと期待します。又、悪意に煽動される被害者も減らすことができるのではないでしょうか?

  8. 農民 より:

    >ロシア、反ワクチン、左派などが多いようだが?
     現実主義者からしたら、彼らの言動は捏造やデマに頼らずともツッコみ放題ですからね……

     にしても、このファクトチェック機能こそが、一般庶民がメディアに望んでいた機能だったと思うのです。メディアが敵視するネットから、しかもデマが発生しやすいSNSからこれがもたらされ、しかもメディアもそのチェック対象と思うと、皮肉なものです。
     本文ご指摘の通り、wikipediaのように汚染されないよう願います。事実を追求するのが多数派である限り、仕様上大丈夫だとは思いますが。

  9. こんとん より:

    詳細情報はコミュニティノートガイドに結構詳細に記述されてますね
    https://communitynotes.twitter.com/guide/ja

    サイドバーから実際の運用手順について記述されてました
    ・コミュニティノート参加希望者はサイドバー「はじめる」「新規登録」を参考に申請する
    ・サイドバー「新規登録」内の「加入」タイトルに選抜条件が書いてあります(私は休眠垢で応募したのでここで弾かれてる模様w)
    ・応募後にTwitter審査に合格したメンバーはIDの匿名化を行った後に「ノートの評価」を参考に、仮投稿されている背景情報を個々に評価を行う。評価員の評価内容自体がアルゴリズムにより優秀と判断された場合はポイントを得て、一定ポイント貯まると作成可能メンバーに昇格する
    ・作成権限を付与されたメンバーは「ノートの作成」を参考に仮投稿が可能となる
    ・仮登録された背景情報は評価員の評価後に一定の評価ラインをクリアしたらTwitter本体に正式に背景情報として本投稿される。本投稿後にも評価員?+一般ユーザの評価を受ける
    ・評価は各ユーザの手動評価に加え「視点の多様性」を参考に評価員・ユーザ自身も評価され、背景情報も評価される。(左翼側・右翼側だけの高評価ではなく全体バランス評価も必要)

    ざっと読んで重要かなと思った登録手順は以上のようです。評価用のコミュニティノートエリアは多分落選組wの私は入れないので想像ですが、サイドバーの内容を読んだ感じではこんなふうに理解しました

    1. はにわファクトリー より:

      オンライン掲示板ソフトウェア Discord サーバは、同様の仕掛けが書きなぐりによる意図的な品質劣化目的のバンダリズムのターゲットと化して何度も何度も失敗してきたという反省に立って作り込まれているようです。
      ・新規登録してからすぐの投稿に対する信頼度レベルは最低に設定されている
      ・他者投稿への粘着質な絡みつきは↓自動検出
      ・根気よく良質投稿を繰り返すと信頼レベルが少しずつ上がって行き
      ・ある段階になるとあなたの投稿信頼ランクがこれこれに上がりましたよ、この調子、とのメッセージが自動配信される
      あるコンピュータ製品のオンラインフォーラムに質問したら解決サジェスチョンを貰い、そのとおりにしたら解決したぜありがとうと追っかけ投稿したのが↑評価に貢献したみたいです。

      1. こんとん より:

        はにわファクトリー様
        Discordは私も必要に迫られ導入していますが、ほぼROMメンバーでそういう評価システムとは理解していませんでした。多分未だにNewbieのままだと思いますw

        最初の活動レベルはNewbieで活動に応じて信頼度が上がっていく→
        これってインターネット空間で行われているだけで、昔ながらの地域社会・会社社会・仲間社会で暗黙的に行われている評価システムですよね。社会内で荒らし行為をすれば村八分にされるみたいなw

        Discordやマストドン(?)のような分散型サーバーシステムのSNSの場合は、同一の興味内容で繋がりの深い場合も多く、共同意識も育みやすい良いシステムかも知れませんね。
        Twitterの場合はその辺を共有することが難しいが故に、主観としての結論部分に対する意見ではなく、前提条件としての客観事実に対する背景情報としてリリースし議論を深める設計にしてるのか知れません

      2. はにわファクトリー より:

        Discord サーバがそんなものとはランクアップ通知自動メールを受け取るまで当方も知りませんでした。

  10. 雪だんご より:

    うーむ……共産党には「カクサン部隊」があるそうですし、CLPやブルージャパンと言った
    前例もあります。このツイッターの新機能は、彼らの魔の手から逃れられるのか……?

  11. こんとん より:

    ツイッター新機能の役に立つコミュニティノート
    https://twitter.com/HelpfulNotesJP
    の最大の効果は、権威主義に陥りやすい人に対する確証バイアスを抑制する効果ではないかと個人的に考えています。
    用語説明:いずれも出典Wikipediaより要約
    確証バイアスとは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと
    権威主義とは、権威をたてにとって思考・行動したり、権威に対して盲目的に服従したりする個人や社会組織の態度を指す

    最近投稿された背景情報を例に取ると、
    https://twitter.com/makiko_nakamuro/status/1678562209914568704
    慶応の教授(専門は教育経済学)が、英語の論文を元にした新聞記事を引用して、「コロナ禍で5歳児に4カ月の発達の遅れ、施設閉園やマスク着用が影響か 京大など発表」などというツイートに対する背景情報があります。

    これだけ権威が並ぶと「反マスク主義」の人たちは我が意を得たりと拡散するでしょう。それに対し背景情報で「引用された論文の内容はマスク着用が発達の遅れの原因と結論づけられていない」と注釈することにより拡散の抑止効果があると考えうるのです。

    私は最初、実際のツイートからコミュニティノート内で評価され背景情報が付くまでのタイムラグ(想像ですが1日以上ある気がします)は拡散の抑止には致命的な遅れではと考えていました。
    ただ、ミスリード情報の拡散も投稿から拡散・バズって拡大再拡散で急激に膨張というラグがあると考えるとバズって拡大前に抑制されるケースもありそうです
    何より拡散されて定着した後でも、リツイート先の元情報リンクに背景情報が付記されることは逆にミスリードの収束につながる可能性も大きいと感じます。

    全ては管理人様や皆様が仰る通り、コミュニティノート内の評価者・投稿者の努力と品質次第にはなるのですが、背景情報自体も盲信せずバランスの取れたオープンな言論空間になることを望みます。

    1. 元雑用係 より:

      こんとんさんがご紹介くださった記事の中に、見解の分かれることはノートとしてリリースされづらく、事実や前提の誤りの指摘についてはリリースされやすいと言う解説があったかと思います。
      この傾向は結論を誘導するのではなく、正しい前提に基づいた議論に誘導する効果があるのではと思いました。個々が自分の脳みそで考えることを促す意味ではいい効果かあるのではと。
      マウント合戦ではなく、正確な議論を促す。

      タイムラグは仕組み上如何ともしがたいと思いますが、おっしゃるように長短あると思います。

      いずれにしても、この取り組みの行方はとても興味があります。

      1. こんとん より:

        元雑用係様
        ご意見にインスパイアされ、↑のはにわファクトリー様へのレスに丸まる剽窃してしまいましたw
        正解を示すのではなく、各々が正解を考えるための情報を示す。議論or各員の思考の題材としての客観的な情報に対しては正確性を求めて背景情報を出す。

        結構、新宿会計士さんの常々言われる、客観的事実と主観的意見の扱いの切り分けというのと同じ手法に感じますね

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