「芸能・音楽を監督・指揮する官庁がない」=新聞記者

とある大物タレントが女性に性的な加害を行ったとする報道が出てきました。これに関連し、今年発生した某芸能事務所の性的加害事件とも絡め、東京新聞の女性記者が27日、内閣官房長官記者会見の場で「芸能や音楽業界をしっかり監督し、指揮するような監督官庁が存在しないことが、芸能界でセクハラが横行する結果を招いている」とする趣旨の主張を行いました。「芸能や音楽を指揮・監督する官庁」!まるで一部の共産主義・全体主義・独裁国家のような発想です。

お笑いタレントの「大御所」を巡る文春報道

お笑いタレントの「大御所」として知られるタレントが今から8年前の2015年に、都内のホテルで女性に対し、性的な加害を行ったとの報道が出て来ています(タイトルにタレントの実名が出ていますが、念のため伏字にしておきます)。

《参加女性が続々告発》「全裸の●●●●がいきなりキスしてきて…」「俺の子ども産めや!」1泊30万円の超高級ホテルで行われた「恐怖のゲーム」

―――2023/12/26 16:12付 Yahoo!ニュースより【文春オンライン配信】【※「●●●●」部分にはタレントの実名が入る】

情報源は『週刊文春』(2024年1月4日・11日号)で、オンライン版(『文春オンライン』や『Yahoo!ニュース』など)ではその概要が読めるほか、詳細については27日発売の雑誌版で読めるのだそうです。

これについて、ニューズサイトでは読者コメント欄でタレントに対する批判意見も多数出ていて、なかにはこのタレントがテレビ番組に出演し、社会問題を論じて来たという点を指摘したうえで、「自身を巡って出て来た告発に同氏はどう説明するのか」といったコメントも見られます。

所属事務所側は即日否定

しかし、タレントが所属する吉本興業株式会社はこれについて、即日、これを否定するコメントを出しています。

一部週刊誌報道について

―――2023.12.27付 吉本興業ホールディングス株式会社ウェブサイトより

吉本興業株式会社によると「当該事実は一切ない」としつつ、「本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するもの」としたうえで、次のように述べています。

当社としては、本件記事について、新幹線内で執拗に質問・撮影を継続するといった取材態様を含め厳重に抗議し、今後、法的措置を検討していく予定です」。

このあたり、文春の報道が事実なのか、それとも吉本興業側の言い分が正しいのかどうかについては、現時点ではもちろんわかりません。

しかし、芸能界を巡っては、週刊誌が芸能人の不祥事を報じるというのはよくある話でしょうし、正直、芸能の話題自体は当ウェブサイトの守備範囲から大きく逸脱するものでもあるため、今のところ、本件につきそれほど深く議論する予定はありません。

内閣官房長官記者会見で質問した女性記者

ただ、それ以上に興味深いのは、同日の内閣官房長官記者会見です。

東京新聞の女性記者が27日、林芳正・内閣官房長官の記者会見の場で、この週刊文春の報道について質問(というか演説?)を実施したのです。質問については動画の13:28以降で視聴することができますが、質問だけで1分以上ありますのでご注意ください。

令和5年12月27日(水)午前 林官房長官記者会見

―――2023/12/27付 首相官邸HPより

林長官はこれについて、こう言う趣旨の内容を述べました(14:34~)。

そうした記事があることは承知しているが、記事のひとつひとつについてコメントすることは差し控えたい」。

当たり前の話でしょう。

「芸能・音楽を指揮・監督する官庁がない」

するとこの女性記者はその後も芸能界の問題について長々と演説を行ったうえで、「芸能界でセクハラ、パワハラなどが続いている」としたうえで、こう述べたのです(15:27~)。

政府に、こうした芸能や音楽業界をしっかり監督し、指揮するような監督官庁なるものがハッキリ(存在し)ないことが、結果としてこのようなセクハラが横行する(結果となっている)という指摘もあります

…。

なんだか、久しぶりに驚きました。

芸能界や音楽業界を政府の官庁がコントロールするというのは、共産主義国家や全体主義国家そのものではないでしょうか。

新聞記者の方々は、口を開けば「報道の自由」だの、「言論の自由」だのと述べるわりに、その新聞記者から「芸能・音楽業界を監督・指揮する官庁がない」という指摘が出てくる…。

偏向報道を行っているテレビ局に監督官庁である総務省が停波を命じることがあり得ると担当大臣が述べただけでメディアが大騒ぎするような国で、そのような官庁が作れるかどうかは別として、何とも興味深いところです。

この女性記者、その後も延々と、「芸能界で性的被害に遭った(とされる)人々の声を林長官自身が直接聴いて、そのうえで新たな政策を打ち出してほしい」などと要求したのですが、記者会見という公的な場で合計10分近くもご自身の持論と要求を官房長官に延べるのは、明らかに筋違いでしょう。

いずれにせよ、政府が芸能・音楽を指揮・監督するという発想は、まさに共産主義国家や全体主義国家、あるいは一部の独裁国家などで見られるものですが、いかがでしょうか(新聞、テレビの偏向報道で被害を受けた人々を救済する仕組みはあっても良いかもしれませんが…)。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 元雑用係 より:

    芸能界を監督する官庁ができればポストが増えます。
    財務省の意を受けた質問ではないでしょうか。

    (ヾノ・∀・`)ナイナイ

    1. 名前 より:

      天下りが増えるって事か!なるほど!

    2. 川崎の匿名 より:

      記者が期待してるのは
      子供庁のように省庁を増やす
         ↓
      そこから支援するNPOのような無意味な団体に公金チューチュー組織を作る
      だと思います

    3. HY より:

       ないですね。彼女にそんな器用なことができるとは思えません。単にヒロイックシンドロームに陥っているだけです。

  2. 簿記3級 より:

    芸能庁や音楽庁が出来たら、市町村にも芸能ホールや文化会館が乱立しそうですね。
    公務員は出世が命ですので、出世の為に渾身のギャグを考えることで行政の強みを発揮するかもしれません。
    おそらく文部科学省の傘下になるのでしょうか。芸能や風俗を民営ではなく公営でやる必要性がいまいち分かりません。

    1. 引っ掛かったオタク@悲観的年末進行中 より:

      NHKがエンタメやっとる国っすから

  3. 名前 より:

    官房長官は長々と10分間演説するのはありがたいと思ってるだろうな。なぜなら会見が時間切れになるから。

  4. Masuo より:

    厳格な監督官庁が必要なのはメディアの方でしょう。
    まぁ、そんなこと自民党の政治家が言ったら発狂するんでしょうけどね。

    1. 引っ掛かったオタク@悲観的年末進行中 より:

      「メディアスクラム被害者による損害賠償請求訴訟提起においては懲罰的賠償も認めるべきではないか」とか、
      「メディア企業等への『嘘大袈裟紛らわしい』報道/発信にかかる損害賠償請求訴訟においてはその被害回復の難しさも鑑み被告メディア企業の規模業容も考慮した賠償額の上乗せなどの法制化も検討すべきでないか」とか、
      煽りくれる政治屋さん居らへんやろか??
      絵空事ダイスキ野党議員とかウッテツケなんやけどなぁ

      居らんやろなぁ

  5. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    東京新聞:「もし芸能や音楽を監督、指揮する官庁ができそうになったら、それを批判する記事を書こう」
    もしかして、東京新聞は、その官庁に天下り(?)する気ではないでしょうね。

    1. 引きこもり中年 より:

      毎度、ばかばかしいお話しを。
      吉本興業:「所属の大物タレントのスキャンダルを報道したら、その局から、うちのタレントを引き上げるぞ」
      これって、笑い話ですよね。

  6. KN より:

    文化庁にアーティストの不倫やハラスメントを監視せえと??

  7. CRUSH より:

    その理屈でいくと、大手メディアでパワハラやセクハラが無くならないのは、
    「監督官庁である総務省の仕事振りが手ぬるいから!」

    ということですかね。

    お墨付きが出たから、総務省は大手メディアに対してバンバン行政処分や立入検査したらよいかと。
    (不祥事ごとに全社に)

    日テレとかNHKからスタートかな。

    ・・・普通はリベラルなら、政府や官庁や法規制には反対するものだと思ってましたが、
    「首輪が無いから犬が吠えるのだ」
    「我らにもっと首輪を!」
    とか、びっくりしますね。

    まず、自分達からスタートしたらよい。
    誰も(政府すらも)それを止めないから。

    1. 伊江太 より:

      CRUSH様

      >お墨付きが出たから、総務省は大手メディアに対してバンバン行政処分や立入検査したらよいかと。

      なんだかイソ子さん
      「高市早苗さん、ガンバレ!」
      と言ってるように、聞こえないでもない。

      もともと、高市総務大臣のテレビ放送内容への容喙事案そのものが、フェイクなんでしょうけどね。

      でもあのとき、イソ子さん、ずいぶんはしゃいでおられたような(笑)。

  8. 同業者 より:

    おおよそ高等教育を修めた人間とは思えないような支離滅裂なことを主張する例の記者でしょうね。
    記者会見の場で、取材をほっぽって、自身の政治活動をおっ始めるとは正気の沙汰ではありません。
    東京新聞では、ちやほやと特別扱いされて甘やかされてきたのでしょう。
    普通の企業では、職務逃避するような従業員は女であろうが、男であろうが、解雇されてしまいますからね。

  9. 七味 より:

    >政府に、こうした芸能や音楽業界をしっかり監督し、指揮するような監督官庁なるものがハッキリ(存在し)ないことが、結果としてこのようなセクハラが横行する(結果となっている)という指摘もあります

    ほんとにそんな指摘があるのかな?ってのもあるけど、監督官庁があるからって、セクハラが減るものなのかな?って気がするのです♪
    監督官庁のお仕事って、セクハラ・パワハラ対策が主じゃなくて、規制を守らせたり、業界を育てたりが主なんだと思うのです♪

    ところで、令和3年の資料だからちょっと古いかな?とも思うけど、11ページにパワハラ・セクハラを受けた経験のある人の割合があって、その中で業種別についても言及されてるのです♪

    パワハラは、電気・ガス・熱供給・水道、建設業なんかが高くて、セクハラは、生活関連サービス・娯楽や電気・ガス・熱供給・水道なんかが高いそうなのです♪

    電気・ガスとかってもろ規制産業だったと思うんだけど、どういうことなのかな?

    厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp › co…PDF
    職場のハラスメントに関する実態調査 報告書https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000775817.pdf&ved=2ahUKEwiyt47dibGDAxXph68BHZSgBwcQFnoECA0QAQ&usg=AOvVaw1Jq_3EFdIES1wq7ZTafQWj

  10. 雪だんご より:

    相変わらず例の東京新聞の女性記者ですね。彼女は何かデカいコネでもあるのか、
    あるいは「いざとなったら切り捨てて良い鉄砲玉」としての価値を評価されているのか、
    東京新聞の上層部からフリーハンドを与えられている様で……

    他の新聞社の関係者は彼女にウンザリしているらしいですが、他社の人事権にまでは
    介入できないと言う理屈で手を出さない模様。本気で彼女を排除したかったら記事や論説で
    批判する事も出来るはずですが、それだと業界内で「裏切者」扱いされるんでしょうかねえ?

  11. KY より:

     持ち逃げイソコは自分が何を言ってるか理解出来てないんでしょうね。

  12. カズ より:

    >「芸能・音楽を監督・指揮する官庁がない」=新聞記者

    併せて、BPOも所轄されちゃうんじゃないでしょうか?

  13. まんさく より:

    普通に犯罪なんだから警察が対応すれば良いだけでしょう。特別扱いとかすれば忖度があったとか疑われるだけです。

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