「被害者が生きているうちに謝罪・賠償を」=市民団体

自称元徴用工問題を巡り、今度は「日本市民」が出てきたようです。彼らの主張は従来の焼き直しであり、新味はありません。ただし、韓国側で自称元徴用工問題を巡り、国内対立が生じていることを踏まえるならば、日本としてはこの問題は基本的に放置し、その間に日本と基本的価値を共有する友人との連携を深めることで、日韓・日米韓協力の重要性を希釈する努力こそ重要なのです。

三菱重工判決から4年:韓国側の見え透いた罠

先日、三菱重工業に対する自称元徴用工判決から4年が経過しました。

これについてはおもに韓国側から、「強制徴用被害者(※自称元徴用工のこと)に対する賠償金は財団が肩代わりする」、「日本企業は財団に自発的に資金を拠出し、あわせて強制徴用被害者に謝罪する」、といった構想が、しきりに報じられています。

自称元徴用工解決策は「1~2に絞られた」=韓国高官』でも取り上げた、自称元徴用工問題を巡る韓国政府高官による発言などは、その典型例です。

ただ、それと同時にこうした構想自体、自称元慰安婦問題を巡る2015年12月の日韓慰安婦合意の焼き直しでもあります。「日本の不法行為」というウソを前提に、とりあえず日本側から日韓請求権協定を破らせることを目的とした、見え透いた罠、というわけです。

岸田首相は明らかに後退している

ちなみに河野太郎外相(※当時)はこの財団ないし基金案について、2019年7月19日時点で駐日韓国大使に対し、「きわめて無礼」だと述べて強く批判しました(『「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係』等参照)。

3年前の時点ですでに日本側では結論が出ているわけですから、なんでこんな「基金案」ないし「財団案」のような代物が、最近になって出てきているのか、理解に苦しみますし、こうした韓国側の報道を毅然と否定しない日本政府・岸田文雄政権の姿勢には、首をかしげざるを得ないのです。

それどころか、実際に岸田首相の発言は、故・安倍晋三総理、あるいは前任者の菅義偉総理と比べ、明らかに後退しています(『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』等参照)。

当ウェブサイトにおいて、こうした客観的証拠をもとに、「岸田首相の姿勢は菅総理と比べて明らかに後退している」という事実、「岸田首相は外務省に騙されているのではないか」という仮説を提示すると、「岸田首相の対韓外交姿勢は何ら変わっていない」と強弁するコメント主が出現しています。

こうしたコメント自体、「誰か」の意向を受けた工作員が、もしかしたら当ウェブサイトにおける議論を「一定方向」に誘導しようとするために打ち込んだものかもしれません(※もっとも、単なる「釣りコメント」なのか、そもそも日本語を正しく読むことができない、といった可能性もないわけではありませんが…)。

酷いケースでは、コメントの発信元や名義を偽装して何度も同一のコメントを書き込み、あたかも自身の意見が多数派であるように装おうとしているようなものや、自身のコメントに反論する意見には恫喝まがいのコメントを書き込んでいるようなものもあったからです。

当たり前ですが、当ウェブサイトで「コメントは自由」としている趣旨は、あくまでも読者の皆さまから忌憚なきコメントをいただくことで、ほかの読者の皆さまの知的好奇心をも刺激するという点にあります。

ハンドルネームとIPアドレスを次々と変え、多数意見であるかのように装って同一趣旨のコメントを書き込む行為は、こうした趣旨に反しますし、当ウェブサイトのルールにも違反しています(※なお、明らかな違反行為が確認できた場合は、該当するコメントについては削除しています)。

ただ、当ウェブサイトのごとき、ちょっとした地方紙のポータルサイトくらいのページビュー(PV)しかないサイトにまで、わざわざ一生懸命に岸田政権の対韓外交姿勢を擁護するコメントを書き込むという姿を想像すると、それはそれでなんだか気の毒な気もします。

「3つの理由」で対韓譲歩は困難:利権構造は自壊する

いずれにせよ、岸田政権の対韓外交姿勢は、少なくとも所信表明演説などの「目に見える部分」では明らかに後退していますので、私たち日本国民が声を上げることで、「後退するなよ」としっかりと伝えてあげることが大切ではないでしょうか。

ただ、個人的にこの問題を巡って、日本が2015年12月の慰安婦合意式の、わけのわからない対韓譲歩をしてしまう可能性については、さほど高くないと見ています。

それには理由が3つあります。

ひとつめは、(とくにネット上の)日本の世論が許さないこと。

ふたつめは、日韓ともに政権が耐えられないこと。

そしてみっつめが、自称元徴用工側の「強欲」です。

当ウェブサイトで以前から報告してきたとおり、一般に「利権」というものには、「得てして理不尽なものである」、「いったん確立すると外から壊すのが難しい」などの特徴がありますが、それと同時に、利権を持った者たちの怠惰や強欲により、あっけなく自壊することもあるのです。

利権の3つの特徴
  • ①利権とは、得てして理不尽なものである。
  • ②利権はいったん確立すると、外から壊すのが難しい。
  • ③利権は怠惰や強欲で自壊することもある。

(【出所】著者作成)

韓国の「歴史問題」についても、日本に対する一種の「謝罪利権」のようなものだと考えるべきでしょう。そして、自称元徴用工問題自体、韓国側からの「謝罪利権」を「もっと寄こせ」という要求だと解釈すれば、韓国側の一件不合理な行動のすべてについて、すっきりと辻褄が合うのです。

やれるものならやってみれば?

当たり前の話ですが、利権を持っている者が、みずからその利権を手放そうとすることはありません。

自称元徴用工判決において、自称元徴用工側がわざと換金困難な資産に限定して差押手続を行っている理由も、彼らが本気でそれらの資産を売却するつもりがなく、むしろ資産の差押を手掛かりに日本政府や日本企業に譲歩を迫る、というものでしょう。

だいいち、ときどき韓国メディアに出現する自称元徴用工側の代理人弁護士に、非上場株式や知的財産権の売却ノウハウがあるようにも見えません。これらの資産の売却には査定自体にかなりの時間とカネがかかりますし、そんな資産を売却しようとしても、経済合理性の観点からは、落札者が出る可能性も低いのです。

やれるものならやってみれば良いのではないでしょうか。

しかも、『自称元徴用工が「加害企業に代償を支払わせる」と宣言』などでも取り上げたとおり、大変都合が良いことに、韓国国内でも議論が二分され始めているフシがあります。

要するに、韓国政府側が「基金案」ないし「財団案」で日本側に解決策を提示したところ、これらに対しては肝心の自称元徴用工らが強く反発している、というのです。

「市民」団体からの答えが出てきた

こうしたなか、その「続報」も出てきたようです。

日本市民団体「強制徴用被害者が生きているうちに謝罪・賠償を」

―――2022.12.01 06:53付 中央日報日本語版より

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によると、日本の「市民」団体が30日、衆議院議員会館で『被害者が生きているうちに解決を、今こそ謝罪して賠償するとき』などと題した討論会を開いたというのです。

そのうえでこの団体は、共同声明で次のように述べたのだとか。

韓国政府が問題解決のために被害者の意見を聞きながら解決策を検討している。関係財団に基金を設置して賠償支給を代納させる案を提示し、日本に誠意のある呼応を求めているが、日本政府は応じる姿勢を見せていない」。

ある意味で、非常にわかりやすい反応です。主張自体は従来の焼き直しであり、新味はありませんが、逆にいえば、この「市民」団体側も、自称元徴用工判決の履行が難しいという事実を認めざるを得ない状況にある、ということでもあるからです。

このあたり、個人的に自称元徴用工問題を「解決(?)」させるうえで、日韓ともに最もコストが少なくて済む方法があるとしたら、やはり自称元徴用工側が差し押さえている三菱重工業の知的財産権、日本製鉄の株式などを売却してしまうことでしょう(そんなもの、具体的にどうやって売却するつもりなのかは知りませんが)。

そうすれば、韓国としても裁判を通じて認められた自称元徴用工の利益が保全されますし、日本側としても、むしろ今後は大っぴらに「韓国は無法国家だ」と位置付けることができるようになるなど、すべてはすっきりとするからです。

さらにいえば、北朝鮮情勢、台湾情勢を踏まえ、「日米韓3ヵ国連携」を進めるための対韓譲歩が必要だ、などとおっしゃる方もいるのですが、これについては『対韓譲歩は無駄!鈴置氏「日本に韓国を動かす力なし」』などでも確認したとおり、そうした譲歩はいっさいが無駄です。

いずれにせよ、現在の日本の基本的な対韓外交は、当面、日韓・日米韓連携を続けざるを得ないにしても、「ウソをつかないでください」、「約束を守ってください」とだけ述べて諸懸案を積極的に放置し、その間に日韓・日米韓連携の重要性を希釈するように努めるべきなのです。

もっといえば、日本が真に急がねばならないのは、「自由」「民主主義」「法の支配」「人権」などの基本的価値を日本と共有する友人(米国、豪州、台湾、英国、フランス、カナダなど)との連携を、いっそう深めることにほかなりません。

このことを、岸田首相、あるいは岸田首相の出身母体である自民党の議員の皆さんには、改めて強く認識していただきたいと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. sey g より:

    昨今の国際情勢をみるに韓国に譲歩して協力を得るべきだという御仁は記憶力がないのかな?と思います。
    今までなんど韓国に譲歩し協力して返ってきたのが仇でしかない過去を知らないのか。それとも次こそは韓国が心を入れ替え日本と手に手を取って北や中国に対峙すると思ってるのか。

    ニセ徴用工が日本に謝罪と賠償をと叫ぶがその実行の為の努力や工夫をしていません。
    これは今までの日本の甘やかしが韓国人から考える力を奪ったからではないでしょうか。
    そう考えると、日本の今までの行動もあながち間違いではなかたったのかも。

  2. カズ より:

    (過去の過ち)
    立証義務を果たせぬ訴えは、相手方の”追認”によるほかでは成就しないのです。
    迂闊に譲歩するから「ついにん、正体を表わしたな!」ってドヤ顔されるんです。

  3. 匿名 より:

    そもそも大法院の判決が出ているのだから
    現金化するのが正道
    それ以外のわけのわからない解決と称した
    方法を取るのは邪道
    まぁ徴用工ではなく募集による出稼ぎ労働者だから
    そこからおかしいけれどね

    1. 匿名 より:

      >大法院の判決が出ているのだから現金化するのが正道
      大丈夫ですよ。その大法院の判決そのものも国際常識からは逸脱した判決なんで

  4. 引きこもり中年 より:

    素朴な疑問ですけど、日本国籍をもっていなくても、1日でも日本で生活した市民が、何人集まれば「日本の市民団体」になるのでしょうか。ついでに、年齢層も教えてください。

    1. 引きこもり中年 より:

      すみません。追加です。
      日本では市民団体は複数、出来るので、それぞれ意見が対立する市民団体が存在してもおかしくないことに、なりますよね。(韓国メディアは、韓国にとって不都合な日本の市民団体のことを報道できるのでしょうか)

      1. 引きこもり中年 より:

        毎度、ばかばかしいお話しを。
        日本マスゴミ村:「我々を不愉快にさせる普通の日本市民は存在しない。なぜなら、我々が報道しないからだ。我々が報道しなければ、存在することにならない」
        これって、笑い話ですよね。

  5. 50G より:

    韓国人にいい事を教えてあげよう。
    「謝罪して基金に応じれば、日本を許し、それで終わりにする」
    と言えばいいよ。崖っぷちの文雄ちゃんなら多分引っかかるよ。

  6. 一之介 より:

    素朴な疑問です。
    この市民団体の人達って日本人?でしょうか?

  7. 一之介 より:

    >「岸田首相の対韓外交姿勢は何ら変わっていない」

    と私も真から思います。
    岸田首相は、もともと根っから韓国に融和的です。二度騙されまてもニコニコしてホイホイ会談することが一つの証左です。この人は二度騙されていながら、これからも何度でも騙される人です。で、本人は騙されていることが判らない、理解できない、どうしよもなく愚かな人だと思います。相手からすればこれ程扱いやすい人はいないでしょう。

  8. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    >「強制徴用被害者が生きているうちに謝罪・賠償を」

    大丈夫。次から次へと生き証人とやらが現れるから心配ありません。

  9. 雪だんご より:

    この「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」とやらのサイトを見てみたら
    いくつかの点で笑えました。

    ・代表者や責任者が誰なのか分からない
    ・連絡先のメールはGメール

    いやはや、「一山いくら」な団体ですねえ。

  10. ラスタ より:

    このあと対スペイン戦を見るとこなのですが。
    それまで眠くならないように書いてます。

    ***

    基本的なとこ。

    「日本政府は応じる姿勢を見せていない」

    当然です。
    原告が請求した相手は日本政府ではないのだから、応じるも何も、権限がない。
    そもそも日本政府は完全に無関係の部外者です。
    韓国がいくら要求したところで、日本政府が当事者として応じたら違法行為になります。

    日本は法治国家なので、日本政府は民間企業に対する訴訟に干渉する権限がないのです。

    日本政府としては、韓国側がこれをゴリ押しして、
    日本企業に重大な損失が発生するようであれば、
    韓国も批准している「国際条約を守るという国際法」に違反したと判断して、
    日韓基本条約に基づいて行動すると言っているだけ。

    ***

    以下、記憶ベースでエビデンス提示できないのですが、
    個人的な所感で経緯を振り返ってみます。

    1-1) 当時の朝鮮は日本国であり、朝鮮人は日本人であった。
     徴用制度は日本人と同様あるいは同化に向けて緩めた形で朝鮮人にも適用された。
    1-2) 徴用労働への報酬は日本人徴用者と同様に支払われた。
    1-3) 1-2に関する未払相当金は、
     日韓基本条約に関する一連の手続きで韓国政府が一括受け取り済み。
     支払い責任は韓国政府にある。

    2-1) 徴用とは別に、民間企業の労働者として来日した朝鮮人が存在した。
    2-2) 労働への報酬は日本人労働者と同様に支払われた。
    2-3) 終戦の混乱で未払の可能性がある賃金は 1-3によって韓国に預託された。
     支払い責任は韓国政府にある。

    以上は、日韓基本条約および付帯条約で定義されているものと考えています。
    日本政府が「解決済み」という論拠です。

    ここに、韓国側が国際法を無視した異常な判決のもとに異様な行動を取りました。

    3-1) 元来韓国政府が被告であるべきカネを日本企業に転化した判決を確定した。
    3-2) 日韓基本条約に関する議論が必要なら、その手続きは条約で締結されていた。
    3-3) 日本は条約の手順どおりに議論の呼びかけをしたが、
      韓国側はすべて無視して一切応じなかった。
    3-4) 日本が話し合いに応じてくれない、と意味不明なことを言い出した。

    歴史的事実として、
    ・日本政府は件の裁判の被告でも当事者でもなく無関係。
    ・本件に関して、韓国政府は日本政府との話し合いに応じなかった。
    これは確定済みといっていいのでは。

    しかし、このような現実としてハッキリしてる「いま現在の事実」であっても、
    彼らの「歴史認識価値観」とは一致しないのでしょう。

    ***

    で、「自称元徴用工問題」とは何なのか。

    元々、韓国内において。
    上記 1-3で韓国政府が受け取ったカネ、これについて、徴用労働したと主張する人々が、
    「オレたちにも分配せよ」という訴訟があったように記憶しています。
    そのような訴訟に対して韓国の裁判所は、時効であるとかの理由で却下判決が
    確定していたような。

    ここ重要なのですが、それまで金銭要求されていた相手は韓国政府だったってとこです。
    それを裁判で敗訴した。

    といって、日本政府に要求しようにも、日韓基本条約で韓国政府がカネを受け取り済み。
    ここで韓国側(というか反日利権団体なのでしょう)が捻り出したのが、
    「日本企業への賠償請求権はある」という屁理屈。

    「現金化するぞ」と脅すなら被告企業に言えばいい。
    日本政府が基金作ったりする筋合いではありません。

    ***

    何度でも言いますが、「自称元徴用工」による訴訟の対象は日本政府ではありません。
    日本政府は、訴訟に関わる当事者では全くないのです。

    企業に対する不当請求に対して、すでにそれは日本政府が支払った事実がある。
    韓国政府がインチキしてたなら、それは自国内で解決しなさい。
    日本政府としては、日本企業に対して不当な被害与えたら許さないよ。
    というしかないです。

    では、そろそろ試合開始なので。
    ここで勝たなきゃ、いつどこに勝つ。

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