国連総会がロシアの4州からの撤退を圧倒的多数で要求
ロシアの苦境が次第に明らかになってきました。ロシアが先週、ウクライナの4州を併合宣言したことに関し、国連総会は圧倒的多数でロシアの撤退を要求。その一方、クリミア半島では物流に支障が生じ始めているのではないかとする仮説が出てきました。ロシアは軍が疲弊し、弾薬も尽きつつあるといわれています。取り急ぎ、状況をまとめておきましょう。
国連総会は143対5でロシア撤退を要求
国連総会は現地時間12日、ロシアがウクライナの4州を先月「違法に併合したこと」を取り消すように求める決議を、圧倒的な賛成多数で可決しました。
Ukraine: UN General Assembly demands Russia reverse course on ‘attempted illegal annexation’
The UN General Assembly passed a resolution by a large majority on Wednesday, calling on countries not to recognise the four regions of Ukraine which Russia has claimed, following so-called referendums held late last month, and demanding that Moscow reverse course on its “attempted illegal annexation”.<<…続きを読む>>
―――2022/10/12付 国連HPより
賛成した国は143ヵ国、反対した国は5ヵ国(ベラルーシ、北朝鮮、ニカラグア、ロシア、シリア)であり、これ以外に棄権した国が35ヵ国(ほかに投票に参加していない国が10ヵ国)です。
国連総会で反対した国(5ヵ国)
ベラルーシ、北朝鮮、ニカラグア、ロシア、シリア
棄権した国(35ヵ国)
アルジェリア、アルメニア、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ、中国、コンゴ、キューバ、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ギニア、ホンジュラス、インド、カザフスタン、キルギスタン、ラオス、レソト、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、パキスタン、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、タイ、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ウズベキスタン、ベトナム、ジンバブエ
投票に参加していない国(10ヵ国)
アゼルバイジャン、ブルキナファソ、カメルーン、ジブチ、エルサルバドル、赤道ギニア、イラン、サントメプリンシペ、トルクメニスタン、ベネズエラ
(【出所】国連総会)
賛否だけで見たら143対5という圧倒的多数です。
反対した国がたった5ヵ国というのもすごいことですが、それ以上にこの投票で個人的に興味深いと感じたのは、中国とインドが「棄権をしたこと」、すなわち「反対しなかったこと」です。このことは、ロシア側の「友好国」(?)も、決して一枚岩ではないという証拠ではないでしょうか。
クリミア半島の孤立
さて、先日のクリミア大橋の爆破事件を受け、ロシアの公式発表ベースでは、橋自体は現在でも使用可能だ、という話だったようです(『「プーチン誕生日祝い」?クリミアで大橋が爆発し炎上』や『クリミア大橋爆発等に関する報道』等参照)。
しかし、どうも当時からのかなり激しく炎上する映像、写真などで判断する限り、橋の強度の問題はどうなっているのか、といった視点では、どうにも「通常通り通行が再開する」ことが可能なのか、疑問に思えてなりません。
こうしたなか、ツイッター上ではこんな話題も出ています。
#Crimea #CrimeanBridge 👀👀👀 pic.twitter.com/z4dwGxTGle
— MAKS 22🇺🇦 (@Maks_NAFO_FELLA) October 10, 2022
According to Russian-appointed head of Crimea, waiting at the ferry crossing in Crimea takes about 3-4 days. And there are about 900 trucks in line at the moment.#Ukraine #Crimea pic.twitter.com/IX1EeiIF8p
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) October 12, 2022
※これらのツイート自体が削除されてしまった場合は、上記埋め込みをあとからご参照いただくことができなくなりますのでご注意ください。
いずれも情報の真偽は不明です。
ただ、最初のツイートは爆発現場のものと思しき映像ですが、これによれば現状の激しさの証拠か、鉄道のレールが車輪の形状でへこんでいる様子がハッキリと確認できます。レール自体を取り換えなければならないのはもちろん、橋の強度自体にも問題が生じていないのかが気になるところです。
また、2番目のツイートによれば、「ロシアが任命したクリミアのトップによると、クリミアのフェリー乗り場での待ち時間は3~4日程度であり、現在、約900台のトラックが並んでいる」、と記載があります。
この映像自体がどこで撮影されたものなのかはよくわかりませんが、ツイート内容を信頼するならば、さっそくクリミア半島への物資等の輸送に大きな問題が生じている格好です。
もちろん、これらの情報を100%正しいとみなすべきかどうかはなお留保は必要ですが、現実にロシアがどういう状況に置かれているかについては、さほど遠くない未来に明らかになるのではないでしょうか。
時事通信「ロシア軍の損害は9万人以上」
こうしたなか、時事通信は今朝、「ロシア軍の損害(死傷者、行方不明者)が9万人以上」とするロシアの独立系メディアの報道を紹介しています。
ロシア軍の損害「9万人以上」 内部情報、異例の報道
―――2022年10月13日08時17分付 時事通信より
時事通信によると、報じたのは『バージニエ・イストーリー』という独立系メディアだそうです。同メディアは12日、ロシア連邦保安局(FSB)などの情報機関の現役将校やOBの話として、ウクライナ侵攻で苦戦するロシア軍の人的損害が9万人以上に上っているとみられる、と伝えたのだとか。
このあたり、ロシア当局から損害の正確な数値が発表されることはほとんどありませんが、時事通信によれば、欧米当局も「おおむね同等の推計を示していた」のだそうであり、それなりに信頼性が高い数値といえそうです。
この点、英当局者はロシア軍が疲弊し、弾薬も払底しつつあるとする認識を示していますが(『「ロシア軍は疲弊し弾薬も払底へ」=英情報機関トップ』等参照)、ロシアが置かれている状況は、彼ら自身が述べるほど楽なものではないことだけは間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
この「撤退要求」で退くくらいなら、最初から侵略戦争は仕掛けないよね~
まだ何かあるのかも・・・。
ロシアが何の成果も得られないまま完全撤退するというのは難しいでしょうね。
戦争を始めるのは簡単だが終わらせるのは極めて難しい、という言葉通り。
追い込まれたプーチンが核兵器の使用などという最悪の決断に至らないことを願うばかりです。
M1A2 様
まだ、BもCもあるですよ。多分Aやる前はCで様子見するのでは?
それでもって「国連内の反応を見た上で・・・」
とか思ってしまうのです。
機能しない国連を一旦解散し新連合を作るときでは?
議決権も、今の国で一票とは別の形(何が良いかは皆の知恵で・・)にし、常任理事国の拒否権も廃止すべきでしょう。
戦後レジームからの脱却は、日本だけに求められているわけではない、と言う気がしますが・・。
記事から国連が一定の機能を果たしていることがわかると思いますし、今回のように安保理常任理事国のような大国が当事国となった紛争の解決にあたって国連にも限界があるのは確かにしても、それは国連というより集団安全保障の限界とでもいうべきもので、新しい組織を立ち上げたならそれを克服できるという性質のものでもないでしょうな。
とりあえず、国連の紛争解決手続きでも、安保理常任理事国自身が紛争当事国である場合、安保理の議題が憲章第6章下の紛争の平和的解決に関するものであるとき、当該常任理事国は棄権することになっているため、拒否権を行使できない仕組みになっています。
(ただし、安保理の議題が第7章下の強制措置に関するものであるときには、紛争当事国である常任理事国も投票権を持つため、拒否権の行使が可能)
その上で、常任理事国の拒否権行使によって安保理が空転し紛争解決の任務を果たせない場合、「平和のための結集」決議に基づき招集される緊急特別総会がその任務を代行できる仕組みになっています。
緊急特別総会は加盟国に拘束力のある勧告を行う権限を持つとされ、その中には強制措置も含まれるので、理論上は常任理事国が紛争当事国である場合にも軍事的強制措置をとることが可能ということになります。
理論上は可能でも今回の紛争のようにそれが実行に移されないのは、そこに加盟国の政治的な思惑がかかわってくるからで、この点は国連に限った話ではないため、集団安全保障にも限界があるということになるかと。
集団安全保障上の軍事的強制措置の主体となるのは、国家を超越した組織ではなく、あくまで加盟国の軍で構成される多国籍軍ですから、軍事大国のメッキが剝がれたとはいえ核保有国のロシアを相手にした軍事行動には慎重にならざるを得ないでしょう。
米経済誌 フォーブス はロシアの今回のミサイル報復攻撃について費用を試算すると4~7億米ドルだったと報じています
「ロシアが巡航ミサイル84発とドローン24機を攻撃に使い、このうちミサイル43発とドローン13機が撃墜されたとして計算。ミサイルの大多数が高価で高精度な「Kh101」などのミサイルだったと仮定し、費用を推定」
だそうです。Kh101ミサイルは1発19億円もするとか。今回の報復だけで日本円にすると高めに見積もると約1千億円とは、戦争とはべら棒に金の掛かるものです。また、84発中43発を撃墜とは、かなりの命中率なんでしょうか。84発が一斉に飛んできたか、間を置いて来襲したかにもよるでしょうが。
ところで、北朝鮮もこのところミサイルを立て続けに発射していますが、費用もかなりのものだと思います。もっともこの費用は国家予算とは別枠の金王朝の金庫から出ているのでしょうが、慢性的な食糧不足の中で、「ミサイル一発でラーメンが何杯も食べられるのに」とは話が少しちっちゃ過ぎましたか。
Maxar社が公開したとされる写真です。
トラックの車列がCitiesSkyLinesの渋滞状態のように見えますが、放棄された空港で海峡を渡るのを待っているのだそうです。
クリミア半島側の橋のたもとに、放棄されたケルチ空港があるそうです。
https://earth.google.com/web/search/45.3657456,+36.4088473./@45.35973843,36.40595046,23.31863652a,18140.14357244d,35y,245.09375853h,0t,0r/data=CigiJgokCbp_nb7gp0ZAEUySstBxpkZAGc077DUVQkJAIYYdaCu3P0JA