「年収の壁問題」は国民民主党の「専売特許」にあらず

「年収103万円の壁」といえば、最近は国民民主党の専売特許のようになってしまっていますが、これ、べつに同党の専売特許でも何でもありません。極端な話、立憲民主党やれいわ新選組、日本保守党といった野党がこの「千載一遇のチャンス」に乗り、「年収103万円の壁」引き上げの実現のために努力しても良いはずです。その恩恵は社会全体に及ぶからです。ただ、NHK党の浜田聡参議院議員などを例外とすれば、非常に残念なことに、国民民主党以外の野党議員からは、あまりこの年収の壁に対する言及は見られないのです。

独り歩きし始めた「年収の壁」問題

年収の壁引上げに対する「乗数効果」を無視した誤った反論

先の衆院選では自民党が議席を大きく減らし、自公合わせて過半数を割り込んだことに加え、国民民主党が議席を4倍に増やしたことで、にわかに「年収103万円の壁」が政治的な論点として急浮上しています。

自公連立政権側にとっては、国民民主党1党が賛成してくれたら法案・予算案が通るわけですから、国民民主党が与党の法案・予算案実現に協力することと引き換えに、国民民主党の唱える「年収103万円の上限引き上げ」が実現するのではないか、といった期待感が高まっているのです。

個人的に興味深いのは、これに対し、(おそらくは財務省あたりが出所と思われる)「国民民主党の案が実現すれば、税収がX減る」といった怪情報が流れて来ていることでしょう。

この「X」には「7兆円」だ、「8兆円」だ、あるいはケースによっては「20兆円以上」だといったパターンがあります。

このうち20兆円云々についてはかなり根拠不詳ですが(『財務省の抵抗にも関わらず「年収壁撤廃」に世論の支持』等参照)、その一方、「7~8兆円の減収」に関しては、おそらく、『総務省が試算の「税収減」は乗数効果を無視していた!』で触れたとおり、どうやらこんな計算式らしいのです。

  • 現行の基礎控除(所得税48万円、住民税43万円)の下での減収額はそれぞれ2.6兆円、2.5兆円程度とされている
  • これは基礎控除1万円あたり、税収が約500億円程度ずつ減ることを意味している
  • よって基礎控除を所得税123万円、住民税118万円にまで、それぞれ75万円ずつ拡大すれば、国税と地方税でそれぞれ4兆円ずつ、あわせて8兆円の減収となる

…。

乗数効果を勘案すれば税収が単純に8兆円減るとは考えられない

端的にいえば、メチャクチャです。

そもそも「現行の基礎控除で所得税と住民税があわせて5兆円減収となっている」という根拠自体、どこから出てきたものなのかよくわかりませんが、一億歩譲ってそれが正しかったとしても、基礎控除を75万円ずつ拡大すれば比例的に税収が減る、というわけではありません。

そもそも税設計の段階で、課税所得が増えれば増えるほど税負担率が上昇するわけですから、「基礎控除を1万円増やせば法人税と住民税が550億円ずつ減収になる」という想定自体がメチャクチャですが、問題はそれだけではありません。

先日も触れたとおり、乗数効果を完全に無視しているのです。すなわち、仮に所得税と住民税が合計8兆円減税されるなら、それにより経済が拡大し、法人税、所得税、住民税、消費税の税収が伸びる効果が期待されます。

具体的な増収幅については限界消費性向にも影響を受けるほか、現在の日本が開放経済の国であるため、単純に理論通りに経済が拡大するという保証はありません。しかし、理論的には減税分の8兆円以上に税収が増えるという可能性だってあります(たとえばトータルで12兆円の税収増、といった具合です)。

もちろん、国税と地方税で減り方・増え方は一定ではないため、国税、地方税の8兆円を減税したときに、仮12兆円の税収増となったとしても、増えるのは国税が9兆円、地方税が3兆円だったとしたら、国はトータル5兆円の税収増でも地方はトータルで1兆円の税収減となるかもしれません。

このあたりは、事後的に減税の効果を検証したうえで、何らかの政策的配慮が必要となる可能性はあるでしょう(※もっとも、残念ながら現在の財務省と総務省の能力だと、信頼し得る検証結果が出来る可能性は非常に低そうですが…)。

国民民主党に対する期待は失望にも転化し得る

ただ、政府(というか、おそらくは財務官僚)が出してきたとされる「7~8兆円の税収減」の杜撰さもさることながら、本稿でもうひとつ述べておきたいのは、この「年収103万円の壁」問題が、各政党の今後の勢力にも大きな影響を与える問題と化している点です。

少なくとも各種世論調査などから判断しても、国民の圧倒的多数、あるいは経済界が、この「年収103万円の壁」の上限引き上げ(ないし壁そのものの撤廃)に、大なり小なり賛同していることは明らかだからです。

もちろん、この「年収103万円の壁」問題を選挙で争点化したという意味では、これが注目される契機を作った最大の功労者は、玉木雄一郎代表、榛葉賀津也幹事長ら国民民主党の関係者であることは間違いありません。

しかし、ここまで国民から注目されてしまった(つまり国民民主党に対し、多くの有権者が非常に大きな期待を寄せている)以上、ハンドリングを間違えると、この問題は国民民主党を一気に崩壊に導きかねないものでもあります。

たとえば国民民主党が中途半端なところで妥協し、たとえば「103万円の壁」を(同党の公約である)「178万円」の水準でなく、足して2で割る式で、たとえば140万円程度で自民党と合意してしまうと、国民民主党に対する有権者の期待が失望に転化するかもしれません。

その一方で、国民民主党が戦略的に、「今年度は消費税の5%への引き下げとガソリン減税については諦め、まずは年収の壁178万円の一点突破を図る」といった具合に、それなりに戦略的な行動を取れば、来夏の参院選において、たとえば比例代表での「独り勝ち」というシナリオもあり得ます。

もちろん、国政選挙では「風」が吹いたくらいで少数政党がいきなり第1党に躍り出る、といったことは非現実的ですが、それと同時に「第1党が『総取り』に近い議席をかっさらっていく」、といった衆議院議員総選挙のような現象も、参議院議員通常選挙ではあまり発生しません。

あるいは、自公両党と国民民主党が「178万円の壁」問題で決裂したとすれば、むしろ来夏の参院選で惨敗するのは自公である、という可能性すらあります。

なぜ他の野党はこのビッグウェーブに乗らないのか

いや、もっといえば、この「103万円の壁」問題自体、すでに国民民主党の手を離れてしまっているフシがあります。というよりも、そもそもこの「103万円の壁」問題は、べつに国民民主党の「専売特許」というわけでもありません。

仮に―――あくまでも「仮に」、ですが―――、立憲民主党がこの問題に注目し、解決に向けて動き出し、目に見える成果を出せば、有権者は国民民主党ではなく、立憲民主党を熱狂的(?)に支持するかもしれません。

同様に、日本維新の会、れいわ新選組、日本共産党、日本保守党、社民党、参政党といった「その他の政党」に関しても、この国民からの注目が集まっている減税という論点を強力に実現させることができれば、やはり支持を大きく伸ばせる(かもしれない)のです。

その意味で、国民民主党以外の野党から、「年収の壁引上げ」に関する議論がほとんど聞こえてこないのは、本当に興味深い現象であり、そして本当に残念な話でもあります(その数少ない例外が、参院会派「NHKから国民を守る党」の浜田聡参議院議員らです)。

どうして彼らはこのビッグウェーブに乗らないのか。

不思議でなりません。

ちょっと待て!年収と手取りの関係

「年収1000万円」は皆さんが思っているほど豊かじゃありません

いや、「ビッグウェーブに乗らない」だけではありません。

それどころか、その最大野党である立憲民主党からはむしろ、この「年収の壁」引き上げを巡って、極めてネガティブな反応が出ているのが実情でしょう。あるいは立憲民主党所属の議員の多くは、(おそらくは)一般庶民、一般勤労者の感覚が理解できていないのではないでしょうか。

これについては『毎月の手取り額から見る「生活実態と合致しない年収」』でも指摘した、「年収と毎月の手取りの関係」が参考になるかもしれません。くどいうようですが、「年収1000万円」の人の可処分所得は、私たち一般人がイメージするほどには豊かではないからです。

そもそも論ですが、「年収1000万円」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、「毎月100万円、給料をもらっている人」、といったイメージかもしれませんが、この時点で大間違いです(どうでも良いですが、「1000万円÷12ヵ月」は「毎月100万円」ではなく「毎月約83万円」です)。

その前提として、「年収」と「月収」の違いを理解しておく必要があります。

多くの企業・役所では、さまざまな理由があって、月収は「年収の12分の1」ではありません。たいていの場合は年2回、ボーナス・賞与・期末手当が支給され、代表的な役所、大企業などでは1回あたり給料の2ヵ月分(つまり年4ヵ月分)の賞与が支給されます(※年5ヵ月分、というケースもありますが…)。

賞与4ヵ月分なら年収1000万円の月給は625,000円

したがって、仮にボーナスが4ヵ月分だとしたら、月収は「年収の12分の1」ではなく、「年収の16分の1」です。このことから、年収1000万円の人の月収は625,000円に過ぎないことに注意しましょう。

賞与4ヵ月分という前提における年収と月収の関係
  • 年収*200万円→月収125,000円
  • 年収*300万円→月収187,500円
  • 年収*400万円→月収250,000円
  • 年収*500万円→月収312,500円
  • 年収*600万円→月収375,000円
  • 年収*700万円→月収437,500円
  • 年収*800万円→月収500,000円
  • 年収*900万円→月収562,500円
  • 年収1000万円→月収625,000円

(【注記】年間賞与が月給4ヵ月分で給与以外に収入がなかった場合。年収と月収の関係は「年収=月収×16ヵ月分」)

つまり、「年収1000万円」という言葉に、「毎月100万円近いおカネが自由になる人」というイメージを抱く人もいるかもしれませんが、現実に年収1000万円の人の給与収入は、毎月625,000円前後だ、ということです(賞与などの条件により変動します)。

問題は、それだけではありません。

現実にはサラリーマンは厚生年金保険、健康保険、介護保険(※40歳以上の場合)、雇用保険といった社会保険に強制的に加入させられているケースが圧倒的に多く、社会保険料は月収に対し約15~16%に達します(著者試算、年収1000万円までの場合)。

また、所得税(プラス復興税)が源泉徴収で天引きされているほか、多くの人は住民税も天引きされているはずであり(いわゆる住民税の特別徴収)、しかも月収に応じて毎月源泉徴収税額が変わる所得税と異なり、住民税の場合は前年の所得税額などに応じ、それを約12等分した金額が徴収されます。

年収1000万円の人の毎月の手取りは44万円!?

以上の結果、何が起こるか―――。

じつは、こうした社保、所得税(+復興税)、住民税を考慮に入れれば、毎月の手取りは年収1000万円の層でも441,338円、つまり月収の70%少々に過ぎないのです(※ただし、実際の手取りは扶養控除の有無などに大きく影響を受けます)。

賞与4ヵ月という前提における年収と毎月の手取り
  • 年収*200万円→月収125,000円→月手取り*99,718円(月収の79.77%)
  • 年収*300万円→月収187,500円→月手取り145,728円(月収の77.72%)
  • 年収*400万円→月収250,000円→月手取り191,713円(月収の76.69%)
  • 年収*500万円→月収312,500円→月手取り237,259円(月収の75.92%)
  • 年収*600万円→月収375,000円→月手取り282,095円(月収の75.23%)
  • 年収*700万円→月収437,500円→月手取り324,768円(月収の74.23%)
  • 年収*800万円→月収500,000円→月手取り366,788円(月収の73.36%)
  • 年収*900万円→月収562,500円→月手取り405,181円(月収の72.03%)
  • 年収1000万円→月収625,000円→月手取り441,338円(月収の70.61%)

(【注記】年間賞与が月給4ヵ月分で給与以外に収入がなかった場合で、その他の細かい試算条件は本稿末尾「付録」参照)

なお、上記試算の前提条件は少し細かいので、本稿の末尾にまとめておきます。

「年収2000万円」でも毎月の手取りは80万円少々!?

この考え方、なかなかに衝撃的です。

現在の社会保険料、租税などの考え方に照らし、「年収」と聞いてイメージする額と、実際の毎月の手取り額との間に、非常に大きなギャップが存在する、ということだからです。

ちなみに同様の計算に従えば、年収1500万円の人も、月収だと937,500円、月手取りに至ってはなんと月収の67.88%の636,376円に過ぎませんし、年収2000万円の人も月収ベースで125万円、毎月の手取りはその64.26%の803,204円です。

この点、「年収2000万円」と聞くと「毎月200万円が自由になる人」、というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが(くどいようですが、2000万円を12ヵ月で割ると200万円ではなく約167万円です)、月の手取りは167万円ではなくその半額の80万円少々なのです。

私たちのイメージする「年収1000万円」「年収2000万円」とは、それぞれ毎月100万円、200万円近いおカネが使える人、というものかもしれませんが、現実には年収が2000万円でも毎月の手取りは100万円を超えたりしないのです。

もちろん、この試算では、毎月の給料以外にも年4ヵ月分の賞与が支給されています。

このため、支給されている賞与も含めたら、本当はもう少し豊かな暮らしができるのではないか、といった疑問が浮かぶのも当然といえるかもしれません。

ただ、(これは著者の主観ですが)日本人は一般に賞与には手を付けず、月給だけで暮らして行こうとするという傾向がありますし、賞与は臨時支出(たとえば冠婚葬祭や転居費用)や住宅ローンのボーナス返済などに充てられることも多いのではないでしょうか。

その奥様との生活は成り立っているんでしょうか?

余談ですが、以前の『高年収なのに生活破綻も…!金遣いに油断できない理由』では、とある一流企業に勤める年収2000万円の男性が結婚したところ、奥様が仕事を辞めて専業主婦になり、頻繁に家事代行を依頼するようになってしまった、とする話題を取り上げました。

正直、得られた情報の少なさから適切なソリューションを導き出すことは困難ですが、年収2000万円、ボーナス4ヵ月分という前提を置くと、先ほどの試算から、毎月の手取り額はせいぜい80万円少々に過ぎないことになります。

もちろん、「毎月の手取りが80万円」というのは、世間一般の基準に照らせばかなり裕福であるはずですが、それでも私たち一般人が「年収2000万円」と聞いてイメージする可処分所得と比べ、かなりのズレがあるのではないでしょうか?

パンドラの箱は開いた

いずれにせよ、「年収103万円の壁」の引き上げは、一種の「パンドラの箱」のようなものでもあります。

これを開くと、これに続いて次々と「壁」が出て来るからです。

そして、「税収が減ると行政サービスが維持できなくなる」といった泣き言が出て来ていることは事実として、「そもそもあなたたち役所は、いままで、税収に見合ったサービスを提供して来たのか?」、といった反論が、SNSなどを通じて、国民の側から上がってくることもまた当然の話でしょう。

とりわけ『厚年資金を国民年金に「活用」?「流用」の間違いです』でも触れた、一部メディアが報じた「厚生年金の積立金を国民年金に流用(盗用?)する」、といった構想も、(もしそれが事実だとしたら)タダでは済まされません。

当然、「年収103万円の壁」の次は国民年金、厚生年金などの年金制度改革という話にも直結していきますし、例えば高年収層が当然のようにやたらと高い社会保険料を負担させられているという(しかし給付額は非常に低いという)不条理にも焦点が当たっていくべきでしょう。

そして、「国民が望むもの」がここまで可視化されたという、いわばこの「千載一遇のチャンス」を生かしきれない野党の皆さんは、年々SNSなどインターネットの社会的影響力が強まるなかで、徐々にその存在意義を失い、国会から議席を失っていくのが筋ではないか―――。

そう思えてならない今日この頃です。

付録:手取りの試算の前提条件

なお、本文にて触れた、毎月の手取り額を試算するうえでの前提条件は、次の通りです。

試算の前提
  • 被用者は40歳以上で東京都内に居住し、東京都内の企業に勤務しているものとし、給与所得以外に課税される所得はなく、また、ボーナスはないものとし、月給は年収を単純に12で割った値とする
  • 年収を12で割った額が88,000円以上の場合、厚年、健保、介護保険に加入するものとし、その場合は東京都内の政管健保の令和6年3月分以降の料率を使用するものとする(ただし計算の都合上、端数処理などで現実の数値と合致しない可能性がある)
  • 雇用保険の料率は1000分の6とし、「社保」とは厚年、健保、介護保険、雇用保険の従業員負担分合計、税金とは所得税、復興税、住民税の合計とし、住民税の均等割は5,000円、所得割は10%とする
  • 本来、住民税の所得割は前年の確定所得に基づき翌年6月以降に課税されるが、本稿では当年の所得に連動するものと仮定する
  • 基礎控除は合計所得金額が2400万円までの場合、所得税が48万円、住民税が43万円とし、以降2450万円まで、2500万円まででそれぞれ基礎控除が逓減し、2500万円超の場合はゼロとする
  • 配偶者控除、扶養控除、ふるさと納税、生命保険料控除などは一切勘案しない

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話を。
    立憲:「財務省を敵に回したら、与党になった時に政権運営ができない」
    まさか。

  2. JA より:

    >国民民主党が中途半端なところで妥協
    今年度に絶対こだわる必要なくて、少なくとも参院選までは一切妥協せずにつっぱねていれば、支持率は上がってくると思います。少数与党は立民との大連立を組まない限り「年収103万円の壁」は無視できない。(話題にせざるを得ない。)
    「年収103万円の壁」は試金石で、消費税が本丸。これもお題目を唱えているだけで、十分だと思います。
    一生懸命、スキャンダルを仕掛け、政局に持っていきたい向きもいると思いますが、連立与党でないので、国会で騒ぐことが難しい。連立を組まないことは賢い選択です。

  3. taku より:

     物価も騰がって来ているので、減税には賛成しますが、国民民主党案の「年収の壁引上げ」には反対です。
     「年収の壁」はどうして生じるのか。「亭主が働き、女房が扶養控除の範囲内で働く」そんな前時代のモデルを踏襲しているから、生じるのです。従って、税収の年収の壁を引き上げてもそこにまた壁が出来、それとは別に社会保険の壁(106万円とも、企業毎に違うとも言われる)があることになります。速やかに、配偶者扶養控除(年間48万円)、国民年金の第3号被保険者を撤廃し、現状そのメリットを享受している方には、差額調整金を払い、20年位かけて解消すべきです。二分二乗方式(夫婦の所得を合算し、それを「2分」した金額について 税率表を適用して算出した金額を「2倍」して税額を算出する方式)を採用しても構いません。
     減税の方法としては、消費税の引き下げがベストと考えますが、どうしてもそこに抵抗があるなら、一律(例えば10万円)の税額控除でも構いません。
     税金は、複雑なものです。「制定時から最低賃金の上昇分は、取りすぎだから還元しろ」という単純な論理で、進めてもらいたくありません。

    1. CRUSH より:

      そういった制度の本質にかかわる論議は、きちんと時間をかけて真正面からやればよろしい。

      今は、29年間も放置してきた物価スライドを適用して歪みを校正(リセット)しろ!と言ってるだけです。

      なんでイレギュラーの上にまたパッチを当てようとするのかな。
      枝葉は剪定して、幹だけに戻せ!ですよ。

      1. taku より:

        CRUSHさま
         国民民主案は、物価スライドではなく、最低賃金スライドですよ。
         それと、物価スライドを適用するなら、基礎控除や、勤労所得控除だけでなく、累進課税の計算根拠も見直さないと、つじつまが合いません。税制は多方面に影響します。単純な論理で進めると、禍根を残します。
         とりあえず、減税を求める国民世論、およびキャスティングボートを握る国民民主党に配慮し、10万円の税額控除だけ、本年度の合意事項とし、後は来年1年かけて、国民も巻き込んで、何が公平か、議論すべきと申し上げております。
         国民も、10万円の減税は、国民民主党が頑張った成果と理解すると、思いますが。

        1. CRUSH より:

          物価スライドとは、きちんと定義された専門用語ではなくて、一般名詞です。

          世の中には物価を計測するいろんな尺度があるから、国民民主党はたまたま最低賃金を引いてきてるだけでして、1.73倍ではなくて2.00倍でもとくにロジックに破綻はありません。

          何を言ってるのか意味不明です。
          累進税率の話も、要するに
          「29年前に決めた割合と違ってる(取りすぎ)だから、まずリセットしろ」
          という意味では同じですよね。

          僕の主旨を理解なさってますか?
          こんなシンプルな話がわかりにくいのかなぁ。

          1. taku より:

            CRUSHさま
             物価スライドは、一般名詞ではないと、私は考えます。ただCRUSHさまの趣旨は理解して、次に進めます。
             私が申し上げているのは、基礎控除や勤労所得控除の金額を”物価スライド”で引き上げるのであれば、例えば年収700万円までは20%、900万円までは23%という税率の下となっている、700万円、900万円という基準も、スライドさせないと、つじつまが合わない、という話です。
             ロジックを一つ変えるのであれば、それをすべてに適用しないと、「税の公平感」は満たされない、ということです。
             繰り返しますが、減税に反対しているわけではありません。ただそのやり方を、性急な議論で決めるべきではない、と申し上げているのです。

          2. CRUSH より:

            >ロジックを一つ変えるのであれば、それをすべてに適用しないと、「税の公平感」は満たされない、ということです。

            すべてやったらエエですやん。
            で、まず1つ目から着手することで何にも問題ないのでわ?

    2. 匿名 より:

      ハイハイ、罪務省の工作員乙。
      お前の言い方だと、議論することすら許さない、と捉えられるからね。
      というか、時代遅れの税制を修正することがなぜ悪いことなの?

      お前の他の投稿も見るけど、結構左翼的だよね。

  4. たか より:

    >もちろん、国政選挙では「風」が吹いたくらいで少数政党がいきなり第1党に躍り出る、といったことは非現実的ですが、
    >あるいは、自公両党と国民民主党が「178万円の壁」問題で決裂したとすれば、むしろ来夏の参院選で惨敗するのは自公である、という可能性すらあります。

    次の次の選挙ぐらいで、国民民主は立憲に代わって野党第一党になるかもしれない(希望)。
    そうなれば自民、立憲で増税大連立みたいなものができるかも(絶望)。

  5. 柴Q より:

    日本維新の会はふらついている

    自民党が少数与党となった時、過半数を維持するために自民党が狙うのは日本維新の会だと思いました。

    選挙結果が芳しくなく、ある程度の数があるためですが、党内の混乱もあるため付け込む隙があるのではということで。

    馬場代表は、与党寄り。次の吉村候補は、対峙する姿勢。視点が自身の政党目線なので、右に行ったり左に行ったりしています。

    最も大事なのは、日本維新の会の支持者を始め、国民のニーズに沿った立ち位置を取ること。103万の壁押し上げの件などに、強力に賛成することなどです。

    ここが徹底できていないように思えます。そうなると、将来の党勢縮小は避けられないかも。

    この点、国民民主党の政治姿勢は合理的で、「対立よりも解決」。

    相手に振り回されず、民意を政策に集中させることができ、安定した国民の支持を得てブレにくいものと思います。

    国民のニーズを拾うことが苦手な政党は、自民党、立憲民主党及び共産党。

    日本維新の会が、今の時点で意識し連携すべきは与党ではなく、国民民主党ではないでしょうか。いまのままでは代表者が変わっても、党勢の挽回は足が地についていないので難しそうです。

  6. Masuo より:

    ホント不思議ですよね。
    れいわなんかは日頃から減税を謳っているにも係わらず、なんで一緒にできないのか。
    立憲民主党には何の期待もありませんが、共産党なんかは協力してもいいように思います。
    如何に党利党略でいい加減な事を言っているかの左証なのかもしれません。

    年収から手取りがいくらか、詳しく解説されていたので、もし可能なら、30~40年前の給与体系と現在の給与体系(手取り)を会計士様に試算していただけると見てみたいです。
    (勝手な願望)

    30~40年前の税制(所得税、社会保障)は安かった、とか昔はボーナスに社会保障費はかからなかった、とか消費税が3%だったとか、貯金は利息だけで10年で倍になったとか、よくわからないけれど現在の20代と比べてだいぶん違うように思うんです。

    現在の20代の若者が如何に搾取されているか、現在の70代以上の世代が如何に恵まれていたかなどがわかるのではないかと思います。結果にもよると思いますし、全ての人に適用されるわけでもないし、みんながみんなそうではないと思いますが、少なくとも70代以上の世代の人達は減税に反対して欲しくないように思います。

    1. nanashi より:

      Masuo さま

      れいわ新選組や日本共産党が国民民主党と一緒に出来ない理由なんて簡単に分かりますよ。
      要は反社会勢力であり「権力と戦う」という事しか考えていない頭でっかちだからです。
      反社会勢力と完全に手を切り、理想論だけではなく、現実を鑑みて行動を起こさない限り、支持層は限定的なものとなり、更なる党の拡大に繋がらないと思います。

  7. 農民 より:

     本件の乗数効果無視もそうですが、一見数字を用いていても恣意的な未来予想を語る者は同傾向を示しますね。

     「このままいくと◯◯になる。」
     このままいくと税収減になる、このままいくと日本は衰退する、このままいくと中国が米国を追い抜く、このままいくと世界はBRICsのものになる、云々。
     なんで”このままいく”と思えるんでしょうね。年収の壁については労使双方に活性化が容易に予想できますし、日本も米国もあらゆる対策を打つ。西側で一括りにされた世界など、それこそあらゆる汚い手にキレイな建前を乗っけてぶちこんでくるでしょうに。
     こういった議論では特に根拠が重要になりますね。そして具体的な根拠が示せるのであれば、問題は明確になっているということなので対策にも向かえる。人口減少なんかは難しいそうですが。

     え、「このままいくと新聞は消滅する!」もそうじゃないかって?……彼らに打つ手なんてありますかね。

  8. 七味 より:

    新宿会計士様

    >理論的には減税分の8兆円以上に税収が増えるという可能性だってあります

    実際に減税分以上に税収が増えるってのは、どの程度起こり得ることだとお考えなのでしょうか?

    以前の記事で、限界消費性向(MC)が0.7だった場合の乗数は3.33倍との事でした。
    これは減税により所得がΔT増えると、経済が3.33×ΔTだけ拡大することかと思います♪
    このとき税収は、(3.33×ΔT)×税率分増えるんだろうと思うのです。
    消費税率10%と法人税率23%合わせて33%とすれば、税収は(3.33×ΔT)×33%=1.089×ΔTとなり、減税分以上に税収が増えることになると思います♪

    つまり、限界消費性向MCが0.7以上あれば減税分以上の税収増が見込めるんだと思うのだけど、この仮定はそれなりに確度の高いものなのでしょうか?

    ただ、あたし自身は、生活に必要な分の収入には課税すべきでないという国民民主党の主張がしっくりくるので、税収がトータルで減ったとしても足りない分は国債発行なり歳出抑制でカバーすれば良いとは思います。

    あと、立憲はほんの数年前には↓みたいなことを言ってたのに・・・って思います♪
    彼らにとっては、政策実現よりも政局が大事なのでしょうか (o´Д`)=зハァ…

    年収1000万円以下、所得税を「免除」:日本経済新聞
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76055910V20C21A9EA3000/

  9. 元雑用係 より:

    立憲の主張も一貫性があればいいんですけど、選挙のたびに変わるんでアテにならないんすよねー。

    ところで先日コメント欄で、基礎控除拡大の話の中で「特定扶養控除」の問題への言及がありました。党首会談で国民側から「特定扶養控除の年収要件の引き上げ」も申し入れたんだそうですね。

    https://x.com/tamakiyuichiro/status/1858317542055670209

    昨晩たまたまネットで拾ったのでとりあえず。

  10. 元雑用係 より:

    OSINTです。
    103万円の壁撤廃について各都道府県知事がどう反応しているか、報道の文字起こしから判断、色分け集計したもの。
    11/16時点のものです。態度は分かれてますね。

    https://x.com/InsHatanCountry/status/1857704550687535422

    宮城、宮崎は抵抗勢力 ワン・ツーってことでよいのでしょうかねぇ。(笑)

    1. 元雑用係 より:

      失礼。
      こちらの分析記事を貼るべきでした。

      破綻国家研究所・各都道府県知事の”103万円の壁”についての認識はメディアの報道どおりなのか?
      https://note.com/hatankokka/n/n862c53b252cf
      >NHKの記事では全国知事会は懸念って言ってるのに、徳島県の後藤田知事は反対って言っていないじゃないですか。
      >どこかで情報が変なことになっているんですよ、これ。

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