邦銀世界一は8年連続も…非常に少ない近隣国向け与信
例の国際与信統計の最新データが出てきました。これによると、「最終リスクベース」で見て、日本が8年連続で世界最大の債権国の地位を守りました。また、米国だけで国際与信全体の4分の1強のカネを借りているなどの構造が見えてきます。こうしたなか、本稿では日本の近隣6ヵ国・地域(中国、韓国、台湾、香港、ロシア、北朝鮮)がどの国からカネを借りているのかというデータを通じ、日本とこれらの国のかかわりを概観してみましょう。
国際与信統計(CBS)とは?
国際決済銀行(BIS)がおおむね四半期に1度のタイミングで公表している『国際与信統計』と呼ばれる統計は、なかなかに有益な情報です(ちなみにこの統計は英語で “Consolidated Banking Statistics” と呼ばれており、頭文字を取って『CBS』と略されることもあります)。
このCBSは、「報告国」がBISに報告したデータをもとに、どの国の金融機関がどの国に対していくらのおカネを貸しているか、という概略を示した統計であり、国境をまたいだ資金のやりとりを包括的に確認することができるため、経済を見るうえでは非常に重要な基本統計でもあります。
ただし、CBSにも限界はあります。現時点の「報告国」は31ヵ国・地域に限られ(※しかも「報告国」でありながらデータを提出していない国・地域もあります)、中国、インド、ロシアといった「大国」(?)、あるいはオフショア金融センターであるケイマン諸島などは、この31ヵ国・地域に含まれていないからです。
このあたり、個人的には「中国からグローバル・サウスに対する一帯一路金融の正確な融資残高はいくらなのか」、といった論点には大変興味があるのですが、非常に残念ながら、CBSでは中国からの融資については調べることはできないのです。
こうした限界を踏まつつも、当ウェブサイトではこのCBSの「定点観測」を続けています。31ヵ国・地域、とりわけ日本、英国、米国、ドイツといったG7諸国やスイスなどは、その通貨も非常に強く、金融の世界ではかなりの存在感を放っているからです。
また、CBSは不完全ながらも、「報告国」以外の国・地域の資金フローも見ることができます。つまり、「報告国」以外の国・地域からの貸出を見ることはできませんが、「報告国」からそれ以外の国・地域への貸出を見ることはできるからです。
たとえば「報告国からの北朝鮮に対する貸出の額」についても、いちおう、確認することはできます(※ちなみに2023年9月末時点でその額は4215.7万ドルだったのだそうです)。
さて、こうした前提を踏まえつつ、本稿でも恒例の「最終リスクベースの国際与信」を確認してみたいと思います。
ちなみにこの「最終リスクベース」とは、与信先の所在地ではなく、「与信の最終的なリスクがどこに所在するのか」を基準に分類した国・地域のことです。
たとえば英国の金融機関のニューヨーク支店は、所在地では英国ではなく米国ですが、その与信の最終的なリスクは米国ではなく英国ですので、「所在地ベース」では米国ですが、「最終リスクベース」では英国とカウントされます。
CBSには「所在地ベース」と「最終リスクベース」の大きく2つの区分があり、それぞれのベースで集計区分が複雑に入り組んでいるのですが、本稿ではとくに断りがない限り、「最終リスクベース」の数値を紹介することにします。
具体的な数値
債権国側から眺めた31兆3364億ドルの内訳
まずは、BISが1月31日までに公開した最新データ(2023年9月末時点)をもとに、CBSを「債権国側」から集計し、上位10ヵ国を列挙したものが、図表1です。
図表1 全世界向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:日本 | 4兆6346億ドル | 14.79% |
2位:英国 | 4兆3727億ドル | 13.95% |
3位:米国 | 4兆3456億ドル | 13.87% |
4位:フランス | 3兆4821億ドル | 11.11% |
5位:カナダ | 2兆5943億ドル | 8.28% |
6位:スペイン | 2兆1285億ドル | 6.79% |
7位:ドイツ | 1兆7587億ドル | 5.61% |
8位:オランダ | 1兆5255億ドル | 4.87% |
9位:スイス | 1兆0248億ドル | 3.27% |
10位:イタリア | 9608億ドル | 3.07% |
その他 | 4兆5087億ドル | 14.39% |
報告国合計 | 31兆3364億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
トップは8年連続で日本…上位は日米以外は欧州勢が占める
これによると報告国の与信合計は31兆3364億ドル(1ドル=149.24円で換算すれば4676兆4942億円)という途轍もない金額ですが、そのトップは意外なことに、またしても日本でした。ちなみに日本は2015年9月以来33四半期、すなわちなんと約8年連続でトップです。
個人的に、円安のため日本がトップの座を米国あたりに明け渡すのではないかと見ていたのですが、ふたを開けてみたら邦銀の対外与信は4兆6346億ドル、1ドル=149.24円で換算すれば691兆6399億円で、直近の名目GDP(約595兆円)を上回っています。
これに続いて英国が4兆3727億ドルで2位に浮上し、米国が4兆3456億ドルで、僅差で3位に転落しましたが、米英両国はここ8年ほど、金融の世界では日本に続く2位の座を激しく争っている状況が続いています。
そして4位はやはり世界的な金融機関を抱えるフランス(3兆4821億ドル)、5位には隣国・米国向け与信が積み上がっているカナダ(2兆5943億ドル)、6位がラテンアメリカ圏などで力を持っている金融機関を抱えるスペイン(2兆1285億ドル)、と、欧州勢が続きます。
さらに7位以下もドイツ(1兆7587億ドル)、オランダ(1兆5255億ドル)、スイス(1兆0248億ドル)と「1兆ドル超え」の諸国が続き、10位のイタリアでようやく9608億ドルと「1兆ドル割れ」となるなど、欧州勢の姿が続いています。
ちなみに11位以降は豪州(7974億ドル)、シンガポール(7144億ドル)など非欧州圏諸国も入ってきますが、13位にオーストリア(4944億ドル)、14位にフィンランド(4548億ドル)、16位にベルギー(3149億ドル)など、欧州諸国がいくつもランクイン。
アジアでは1位の日本、12位のシンガポールを除くと、15位に台湾(4311億ドル)、17位に韓国(2485億ドル)が入っているのみです。
債務国のトップは米国…全体の4分の1強を借りる
次に、債務国側、つまり「おカネを借りている側」からのランキングを確認してみましょう(図表2)。
図表2 全報告国の対外与信相手国・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債務国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:米国 | 8兆1006億ドル | 25.85% |
2位:英国 | 2兆1702億ドル | 6.93% |
3位:ドイツ | 1兆6864億ドル | 5.38% |
4位:ケイマン諸島 | 1兆5147億ドル | 4.83% |
5位:フランス | 1兆5063億ドル | 4.81% |
6位:日本 | 1兆2789億ドル | 4.08% |
7位:香港 | 8785億ドル | 2.80% |
8位:中国 | 8260億ドル | 2.64% |
9位:イタリア | 8253億ドル | 2.63% |
10位:ルクセンブルク | 7534億ドル | 2.40% |
その他 | 11兆7961億ドル | 37.64% |
合計 | 31兆3364億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
合計額の31兆3364億ドルが、図表1、すなわち債権国側の合計と一致している点についてはご注意ください。
債務国側から見れば、トップは米国の8兆1006億ドルで、これだけで全世界の国際与信の約4分の1強を占めています。続いて英国が2兆1702億ドルで世界の約7%の資金を使っており、ともすれば「債権国」のイメージが強いドイツがなんと債務国側の3位で1兆6864億ドルを借りていることがわかります。
欧州諸国同士の資金授受が大きい
また、同図表はそれ以下も興味深いです。
たとえばカリブ海に浮かぶオフショア金融センターであるケイマン諸島が1兆5147億ドルを集めて4位に入っており、5位には債権国ランキングにも登場したフランス(1兆5063億ドル)で、世界最大の債権国でもある日本は1兆2789億ドルでようやく第6位に入っています。
続いて、第7位の香港(8785億ドル)以降は「1兆ドルの大台」を割り込んでおり、世界第2のGDP大国であるはずの中国は8260億ドルで第8位、続いて9位にイタリア(8253億ドル)、10位にルクセンブルク(7534億ドル)が入っています。
金融大国が集まっている欧州勢は、いわば、自身が債権国であるとともに債務国でもある、というわけであり、実際、ドイツ、フランス、英国といった欧州諸国は、お互い、すなわち欧州諸国内で資金を融通し合っているという状況が浮かび上がります。
その意味では、一方的に外国にカネを貸しているだけの日本は、いかに巨額の資金を海外に積み上げているかという点は象徴的と言わざるを得ません。
日本と中韓台港とのかかわり
減少する近隣国向け与信
さて、以前の『日本の金融機関、中韓台港に対する与信をさらに減らす』では、このBIS統計に先立って日銀から公開される日本のデータをもとに、日本から中国、韓国、台湾、香港に対する与信が急減しているようだ、とする話題を取り上げました。
実際のところ、債務国としてのこれら4ヵ国・地域の状況は、いったいどうなっているのか、気になるところです。
結論的にいえば、これら4ヵ国・地域は、いずれも最大の債権国は日本ではありません。
私たち日本人の感覚からすれば、「中国も韓国も、台湾も香港も、いずれも日本の近隣にあるわけだし、日本は世界最大の債権国なのだから、これら諸国への与信も日本がトップじゃないか?」などと思ってしまうかもしれませんが、これは正しくありません。
中国にカネを貸している国、トップは英国!
たとえば中国の場合、ちゅ動くに最も多額のカネを貸している国は日本ではなく、なんと英国です(図表3)。
図表3 中国向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:英国 | 2480億ドル | 30.03% |
2位:米国 | 1366億ドル | 16.53% |
3位:日本 | 775億ドル | 9.39% |
4位:台湾 | 517億ドル | 6.25% |
5位:フランス | 507億ドル | 6.13% |
6位:韓国 | 253億ドル | 3.06% |
7位:豪州 | 198億ドル | 2.40% |
8位:ドイツ | 168億ドル | 2.03% |
9位:カナダ | 136億ドル | 1.65% |
10位:スペイン | 52億ドル | 0.63% |
その他 | 1809億ドル | 21.90% |
報告国合計 | 8260億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
具体的には日本から中国への与信は775億ドル(11兆5686億円)で3位に過ぎず、これに対しトップの英国の2480億ドル、2番手の米国の1366億ドルよりも少ないのです。日本に続いて金融大国でもない台湾(4位)や韓国(6位)が入っているのも興味深いところでしょう。
韓国もトップは日本ではなく米国と英国
同様に、韓国の場合も債権国のトップは米国(1020億ドル)、2位が英国(869億ドル)で、日本は449億ドル(6兆7066億円)で3番手に過ぎません(図表4)。
図表4 韓国向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:米国 | 1020億ドル | 27.93% |
2位:英国 | 869億ドル | 23.80% |
3位:日本 | 449億ドル | 12.31% |
4位:フランス | 375億ドル | 10.26% |
5位:台湾 | 182億ドル | 4.97% |
6位:ドイツ | 176億ドル | 4.81% |
7位:豪州 | 79億ドル | 2.15% |
8位:スペイン | 21億ドル | 0.58% |
9位:カナダ | 20億ドル | 0.53% |
10位:インド | 8億7441万ドル | 0.24% |
その他 | 454億ドル | 12.42% |
報告国合計 | 3652億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
アジア最大の金融大国であり、かつ、北朝鮮に続き韓国に最も近い隣国であるはずの日本が、韓国から見たら「最大の債権国ではない」というのも、非常に興味深いところです(どうでも良い話ですが、日本の金融機関にとって、日本が韓国に通貨スワップを提供する必要性がどこまであるのかは疑問です)。
台湾も日本ではなく米英がツートップ
こうした状況は、台湾についても似ています(図表5)。
図表5 台湾向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:米国 | 558億ドル | 26.35% |
2位:英国 | 553億ドル | 26.11% |
3位:日本 | 272億ドル | 12.87% |
4位:フランス | 117億ドル | 5.53% |
5位:豪州 | 69億ドル | 3.26% |
6位:スペイン | 35億ドル | 1.66% |
7位:韓国 | 20億ドル | 0.93% |
8位:ドイツ | 9億0000万ドル | 0.43% |
9位:ベルギー | 7900.0万ドル | 0.04% |
10位:オーストリア | 4084.3万ドル | 0.02% |
その他 | 483億ドル | 22.81% |
報告国合計 | 2117億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
台湾も最大の債権国は米国(558億ドル)で、これに英国(553億ドル)が続き、3位の日本は272億ドル(4兆0661億円)を貸しているに過ぎません。
隣国であって、日本にとって近隣国の中で唯一「基本的価値を共有する」レベルの大切な友人であるはずの台湾が、債権国としての立場から見れば、さほど与信残高が大きくないというのも、やはり実際にデータで見て初めて気づく論点でしょう。
足抜け出来ない英国:香港向けの過半を占める
もっと驚くのは、香港です(図表6)。
図表6 香港向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:英国 | 5014億ドル | 57.07% |
2位:米国 | 868億ドル | 9.88% |
3位:日本 | 499億ドル | 5.68% |
4位:フランス | 321億ドル | 3.66% |
5位:台湾 | 218億ドル | 2.48% |
6位:スイス | 171億ドル | 1.94% |
7位:豪州 | 139億ドル | 1.58% |
8位:オランダ | 123億ドル | 1.40% |
9位:韓国 | 102億ドル | 1.16% |
10位:カナダ | 78億ドル | 0.89% |
その他 | 1253億ドル | 14.26% |
報告国合計 | 8785億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
香港の場合、対外債務8785億ドルのうちの57.07%に相当する5014億ドルが、英国からの与信です。
想像するに、この状況は英国に本部機能を持つ世界的な巨大金融グループ(HSBCなど)の香港拠点の規模が非常に大きいために生じているもので、いわば、英国は香港から足抜けしたくてもなかなか足抜けが難しい、という状況にあることを示唆しています。
これに対し、日本の香港向け与信は、ピーク時で800億ドル近くに達していたこともありましたが、2023年9月末時点では499億ドル(7兆4500億円)に過ぎず、2位の米国(868億ドル)の半分強に過ぎません。
前述の通り、邦銀は中国、韓国、台湾と並び、香港向けの与信残高を急速に落としてきているわけですが、このあたりは「子会社株式持分」ではなく、純粋にすぐロスカットが可能な投融資を中心とする邦銀ポートフォリオの強みが出ている、という言い方もできるのかもしれません。
無法国家向けの与信は?
邦銀のロシア向け与信は償却・引当済み
なお、ついでに日本の近隣国ということで、ロシアと北朝鮮の状況についても確認しておきましょう。
まずは、ロシアです(図表7)。
図表7 ロシア向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:オーストリア | 128億ドル | 25.84% |
2位:米国 | 106億ドル | 21.40% |
3位:日本 | 59億ドル | 11.87% |
4位:フランス | 29億ドル | 5.86% |
5位:ドイツ | 23億ドル | 4.59% |
6位:韓国 | 9億1571万ドル | 1.84% |
7位:英国 | 2億8900万ドル | 0.58% |
8位:トルコ | 2億4332万ドル | 0.49% |
9位:スペイン | 1億3205万ドル | 0.27% |
10位:インド | 8826.8万ドル | 0.18% |
その他 | 135億ドル | 27.07% |
報告国合計 | 497億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
対ロシアでは、報告国の与信合計は497億ドルに過ぎません。
また、いちおう日本は対ロシア融資で3位に入っているにせよ、その融資残高も59億ドル(8802億円)で、これは日本の対外与信全体(4兆6346億ドル)の、なんと0.13%(!)に過ぎません。
しかも、ロシアのウクライナ侵略戦争開始後に、主要な邦銀はロシア向けエクスポージャーについての償却・引当を完了しており、邦銀のロシア向け与信は実質ゼロです。
日本からの北朝鮮向け与信はゼロ!
続いて北朝鮮の状況も、いちおう、確認しておきましょう(図表8)。
図表8 北朝鮮向け与信・上位10ヵ国(最終リスクベース、2023年9月末時点)
ランク(債権国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:豪州 | 1538.8万ドル | 36.50% |
2位:フランス | 1500.0万ドル | 35.58% |
3位:アイルランド | 1.4万ドル | 0.03% |
その他・不明 | 1175.5万ドル | 27.88% |
報告国合計 | 4215.7万ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
北朝鮮向け与信に関しては、ろくにデータもありませんが、少なくとも邦銀の北朝鮮向け与信は、データベース上はゼロです。ちなみに冒頭でも少しだけ触れたとおり、「報告国」からの北朝鮮に対する与信総額は4215.7万ドル(63億円)という、なかなかCBSでは見かけないほど小さな金額です。
もちろん、北朝鮮に対しては中国やロシアなどがカネを貸している可能性もありますし、前述の通り、それら中露両国などからの与信についてはCBSでは判明しないため、本稿ではこれ以上の追究のしようがありません。いちおう、欧州諸国などは北朝鮮と国交がありますので、だから少額であるとはいえ、カネを貸しているのでしょう。
ただ、豪州の1538.8万ドル(23億円)という金額は、最近話題の東京都心の高級フラットを買う資金にも届かなそうなレベルでもあります(『「新築マンション価格上昇」ペースは急激=東京都心部』等参照)。
いずれにせよ、ロシア、北朝鮮といった無法国家に対しては、少なくともCBS報告国はほとんどカネを貸しておらず、西側諸国を中心とする国際金融網からは弾き出されているという実態が浮かび上がってくるのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
力作データに感慨を得ます。その中身はひとそれぞれでしょうけれど。
債務債権どちらの視点でも米英が似た振る舞いをするのに対して、日本の立ち位置は一種独自であり、フランスにはしたたかさを感じる(個人的な感想)一方で、ドイツのホンネはどこにあるのか分からない。安楽リタイアできるんならなんでもいいあたりでないかと愚考します。
国際金融の世界で動くお金は桁が大きすぎて、感覚的にイマイチぴんと来ないというか、現実味が感じられないことがあります。
例えば、みずほFGは韓国に対して数千億円の与信を行ってますが、これはみずほFG全体の総与信額の1%にも満たない数字でしかありません。でも、韓国で経済危機が伝えられるたびに、「みずほは危ない」とか「みずほが潰れる」などと大騒ぎする人が今でも後を絶ちません。
確かに数千億円というと、下々から見れば目も眩むような巨額で、万が一そんなもんが飛んだら大変と感じてしまうのも無理はないとも思うのですが、実際には仮に全損となったところで、みずほの経営が揺らぐことなどないでしょう(みずほが何の手当てをしてないとは思えませんが)。
もっとも、いよいよ回収しなければならないような状況になったら、英米系の金融機関は相当にえげつない手法を平然とやってのけるでしょうが、みずほなどの邦銀が彼らにどこまで対抗できるのかという点は、少々不安ではありますけど。
基軸通貨の恩恵を存分に享受して、「借りたもん勝ち!」を謳歌してる米国。
「リスクヘッジ」を存分に駆使して、「貸したもん負け!」を回避したい日本。
おそらくは、他人のふんどしで相撲を取ってる(借入金を貸付ている)中国。
債務者の立場が強大で、債権者が頭を下げて返済を頼み込まねばならぬ韓国。
*心情的には、米英による中韓への貸出原資が、日本からの借入れによるものでないことを願います。
この視点からの分析と考察もしてみると面白いかもしれないです。
債権額は分かっても、何に使っているかは具体的には分かりませんから、全体の構図からの推測になりますが。
1、迂回貸付みたいな構造になっているのか?ただ、これは、借り手の保証が付いているから直接リスクは無いが、借手がリスクの高い貸付を行っていれば、リスクはある。これは、リーマンショックのサブプライムローンの構図。
2、アメリカは、世界の警察官みたいな言い方もあるが、その費用は米国国債を買っている国が負担している?みたいな構図になっていないのか?何か、雇われ用心棒?
この構図だとすれば、トランプさん、大統領になって世界の警察官の役割辞めると言ったら、国債全部償還しなくてはならない?すると、米国軍事産業の需要無くなる?
等々、考えてみるのも面白い。
>トランプさん、大統領になって世界の警察官の役割辞めると言ったら、国債全部償還しなくてはならない?
アメリカが世界の警察官をやめたら、ドルそのものが基軸通貨の座からすべりおちるのではないでしょうか?
そう思います。問題は、トランプさん、そういうことが分かっていて言ってるのかな、ということですね。NATOの主導権取るのも止める、とも言ってるらしいですが、米国無きNATOは、何の意味も無いのです。
そうなれば、アメリカファーストも何も無い世界になってしまいますね。