岸田首相自らデマ対策宣言…報道機関は日本に必要か?

岸田文雄首相自身が最近、高頻度で災害関連情報などを発信しています。普段、偉そうに舌鋒鋭く岸田首相を批判している当ウェブサイトとしても、この岸田首相の情報発信については高く評価せざるを得ません。正確かつ確実な情報は社会の役に立つからです。ただ、こうした岸田首相の発信を見ていて生じるのは、「報道機関は特権に見合った役割を果たしているのか」、という疑問疑問ではないでしょうか。

能登半島地震から1ヵ月…岸田首相「デマは許されない」

早いもので、能登半島地震が発生してから、明日でちょうど1ヵ月が経過します。

こうしたなかで、最近、ちょっと気になっているのが、岸田文雄首相のXへのポストです。岸田首相は30日、「悪質な虚偽情報やデマは決して許されない」、「ネット上の虚偽情報等の流通はときとして人命にかかわる」などとしたうえで、「偽・誤情報対策」を打ち出したのです。

「二次避難所は有料」というデマ

ネット上の虚偽情報として真っ先に思い出すもののひとつは、『首相自身がデマ否定する時代…新聞社苦境の原因とは?』などでも取り上げた、とある有名人の、「二次避難所は有料」とする趣旨のデマでしょう。

これなど、首相自身がネット上のデマに対抗するという意味では、なかなかに興味深い事例です。

そして、岸田首相自身が最近、避難所や生活再建などに関する情報、あるいは被災地の復興状況に関する情報などを、Xなどに頻繁にポストしているというのは、気になるところです。

岸田首相に対しては、当ウェブサイトなども普段はやたら舌鋒鋭く偉そうに批判しているクチですが、それでも物事は是々非々で見るべきであり、少なくとも岸田首相自身(あるいは岸田首相の秘書でしょうか?)がこうやって次々とSNSにメッセージを出すこと自体は、極めて高く評価して良いのではないでしょうか。

報道機関と記者クラブ特権

ただ、冷静に考えると、首相自身がこうやってSNSに次々とポストすること自体、やはり違和感があります。

本来ならば、私たちが暮らす社会では、政府による復興支援策に加え、被災地の復興に希望を抱かせるような明るい話題などを積極的に報じるべきは、報道機関(とくに新聞、テレビなど)だからです。

この点、報道機関の多くはたしかに民間企業ですが、報道という特権的な立場を持っていますし、とりわけ日本の報道機関の場合は「記者クラブ」という紛れもない特権組織に所属していて、記者らは官庁などに自由に出入りできることが多いです。

余談ですが、酷いときには官僚組織とも癒着し、官僚が描いた構想をメディアがリーク的に報じ、それによって自民党などの政治家が振り回される、といった事態も生じているほどです(『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』等参照)。なかでも検察や財務省、総務省などとの癒着は有名でしょう。

いずれにせよ、報道関係者の多くは、私たち一般国民に先駆けて情報を入手できるという特権的な立場にあるわけですから、その特権に見合う社会的な義務としては、当然、優先的に得た情報は報道というかたちで私たち国民に還元することが期待されているはずなのです。

それなのに、(とりわけ一部の社は)「角度を付けた報道」による不正確な情報を垂れ流したり、「(実際には存在しない)原発が事故を起こしたらどうなるか」といった非科学的な記事を配信したりしているわけです。

報道機関という特権的な組織、果たして現代の日本に本当に必要なのでしょうか。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

むしろ、岸田首相自身の情報発信を見ていれば、少なくとも能登半島地震に関する災害支援情報や復興状況などに関して、十分な情報が得られますし、新聞、テレビ(あるいはそれらのネット配信記事)を見るよりも正確で確実です。

その意味で、今回の地震で、図らずも露呈したのが、まさにメディアの限界だったのかもしれない、などと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. Sky より:

    一民間企業であるトヨタ自動車が、わざわざ自社メディアであるトヨタイムズを継続しているのは、偏向報道する中間者=既存メディアを避け、直接お客様に意思を伝えたい、伝えなければならない、という強い動機を持つに至ったからでしょう。
    毒とかに形容されるような付加価値しか付与できない既存中間者は、中抜きされて当然と思います。

    1. 匿名 より:

      これに集約されてますね

      豊田社長(当時)
      株主総会2020トヨタイムズより

      要は「言論の自由」という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。

      最近のメディアを見ておりますと「何がニュースか?は自分たちが決める」という傲慢さを感じずにはいられません。

      「一億総ジャーナリスト」と言われるくらい誰もが情報を発信できる時代です。

      情報によって人を傷つけることもできれば、元気にすることもできると思います。

      大切なことは、「その情報を伝えることによって、何を実現したいのか」ということだと思います。

      もっと言いますと、「どんな世の中をつくりたいか」ということです。

  2. 引きこもり中年 より:

    「日本に報道機関は必要か」ではなく、「日本に報道機関はあるのか」ではないでしょうか。

    1. 生え際 より:

      報道機関、などと呼び捨てにされるのは失礼ですよ。
      ちゃんと丁寧に、ご報道機関、とお呼びしなければ。

      1. 裏縦貫線 より:

        コトばをクレという報道機関ですね^_^;

  3. 青い鳥 より:

    報道企業任せでなく、政府の報道機関を組織してYouTubeと専用テレビchでノーカットで国会中継と会見を流すのがベストだろう
    修正と捻じ曲げを幾度も経由した情報らしきモノは視聴にとって正直価値がない
    政府発表に全く色がついていないとは言わないが、まだ単色である方が受け手は除去しやすく生の情報を推察しやすい
    特にYouTubeなんて個人がスマホ一台あればできる時代、コストも高くつくまい

  4. いねむり猫 より:

    岸田文雄のXのツイートについて、意義があります。
    Xはコミュニケーションとしては共感できない。その理由はツイートを書いているのは岸田文雄ではなく、秘書か内閣府かそのあたりの人間が適当に書いているのです。
    本人の声でなく、後で知らないと言っていますよ。
    故に、Xはやめないといけない。
    青い鳥 さんの言う通りです。

    1. 匿名 より:

      意義でなくて異議でしょう。
      秘書が書くのは当たり前でしょう。総理大臣ですよ。

      どんな道具も使いよう。全部捨てたら何も残りませんよ。

      1. いねむり猫 より:

        異議ですね。(^^)

  5. クロワッサン より:

    そんな岸田文雄は松川るいと組んでデマを流した訳で。

    1. KY より:

       何時、どんな?

      1. クロワッサン より:

        自称徴用工問題に関する韓国式解決策を「解決策」と認め、韓国の国際法違反をウヤムヤにした一連の件です。

        1. KY より:

           これをデマと言うのは無理筋かと。「強弁」では?

  6. 雪だんご より:

    れいわは相変わらず「1000人中999人に嫌われても1人に好かれれば良い」路線。
    共産党はいつも通りで、自分達の信者としか対話しない。
    立憲は当初大人しくしていたがその後一部の議員が醜態を晒しだして、
    事なかれ主義の泉代表は問題がある事を認めさえしない。

    これだと相対的に自民党と岸田政権の評価が上がってしまうなあ。
    維新や国民は上記3党を攻撃する事で支持率を高めようとは思わないんだろうか?
    本来そういう事で支持率が上がるのは望ましくないけれど、上記3党による妨害が
    自民党に集中しなくなった方が良さそうなので。

  7. Masuo より:

    情報が報道機関と消費者の相互関係になって、報道機関は時代の流れに沿って変わるべき時期に来ていると思いますが、相も変わらずこの業界は古い体制で、「ニュースは自分たちで決める」「世論は報道機関の言う事を聞いていればよい」と言うような傲慢を貫いているように思います。そうであれば、もう今の時代に必要ないし、淘汰されていくべき存在だと思います。

    どの業界もそうですが、時代の変化についていけずに変わる事の出来ない業界や会社を、法律で保護し、無理やり延命することは害悪でしかありません。誰も幸せにならないと思います。一刻も早く法律は改正されるべきでしょう。

    それと同時に、信用できない報道機関に変わる組織として、アメリカのVOAのような組織を早急に日本にも作るべきだと思います。

    1. CRUSH より:

      普通に素直に考えたら、NHKを国営放送に(職員は公務員に)すれば一番安上がりかと。
      海保が国交省の下部組織みたいに、総務省の下部組織に。
      人事と給与は総務省に準じて。

      嫌なら外資系みたいに高額退職金でポイ。
      いつだって損切りは早い方がよいです。

      崇高な理念がある人は、民放で活動なさればよろしい。
      職業選択の自由は、憲法で保証されていますから。

      むかし、なだいなだが中江兆民の伝記を書いてましたが、NHK現職が卑しくも言論人を名乗りたいのであれば、いびつな受信料制度による高給取りの地位を捨てて、汚れ仕事をしてでもキレイゴトを発信すればよいと思いますね。

      今の段階で見切りをつけてフリーに出た人たちは、ある意味で状況が見えているのかもしれませんな。

  8. ちょろんぼ より:

    報道機関が官公庁に対し広報がなされていないとか
    よく嚙みついておりますが、それは間違いです。
    そもそも官公庁の広報の一翼を担う義務を背負っているのが
    報道機関なのです。足りない行き届いていないとすれば
    それは報道機関の問題です。

    今回能登地震のニュースをTVで見ている限り
    住民が欲しい情報を報道機関が提供していないこtにあきれてしまいます。
    あろうことか、フェイクニュースを拡大させているだけです・
    避難所や被災された人をクローズアップする事は
    報道機関としてTV的に重要な事なのでしょうが
    住民や他地域の住民が欲しがる情報は、それではありあせん。

    また、報道機関が被災地に入る時、支援物資も運搬しているので
    しょうか? 毎回TVの向こうから被災官公庁を攻撃する前に
    報道機関は被災何日なら何が必要かは以前の自分達の報道から
    理解しているはずです。 わざわざ被災現場の前で何が足りないと
    報道するのではなく、報道機関が用意すべきだと思いませんか?

    1. はにわファクトリー より:

      「俺たちを特別扱いせよ」
      そうゆう傲慢な態度が現場に嫌われているのです。聞いたところによると NHK の現場取材、ひどいものらしい。メディア産業に特徴的なわざと小汚い恰好をしたカメラクルーがわが物顔で睥睨するのだそうです。嫌なやつらだったそうです。

  9. CRUSH より:

    報道機関は893ですよね。

    似たジレンマだと、かつての豊田商事会長刺殺事件とかベトナム戦争でのピュリッツァー写真などで、
    「撮影してるより、助けろよ」 
    てな意見もありました。
    報道機関は撮影するのが仕事なので、目の前で死んでいく人たちを助けず撮影するのが職業倫理として正解。

    だから893なんです。

    かつては「俺たちは他人の不幸で飯を食ってる」という自覚や羞恥心があったみたいですが、今は思い上がってるようにみえますね。

    つか本質的に893なのに、世間側が報道機関を持ち上げすぎだったのだと思います。
    持ち上げておかないと仕返し意地悪されるから、これまでは泣き寝入りするしかなかった訳ですが、webで情報共有できる時代になって、ようやくヤメテ!と言えるようになった、ような。

    1. KY より:

       >だから893なんです

       特に災害現場ではマスゴミの屑っぷりが際限なく発揮されますね。雲仙普賢岳噴火の時に奴らのスタンドプレーでどれだけの犠牲者が出た事か。その後も懲りずに阪神大震災や東日本大震災の時も救助や復興の足を引っ張る独善かつ無神経な行為を止めようとはしませんでした。
       業界の本質が893やゴロツキと大差ないので自浄作用は期待できないでしょう。

  10. クロワッサン より:

    デマの定義を考えると、デマで正しいと考えます。

    1. クロワッサン より:

      KY より:2024/02/01 22:39
      への返信です。

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