【報告と御礼】鈴置論考が「コールのスキップ」に言及
非常に残念な話ですが、せっかく鈴置論考の最新稿が掲載されたにも関わらず、当ウェブサイトでその論考の詳細について、紹介をすることができません。その理由は、該当する記事では当ウェブサイトの議論が紹介されていたからです。その記事を当ウェブサイトで取り上げると一種の循環参照を起こしてしまうおそれがあります。ただ、それでも敢えて1箇所だけ、該当する論考からどうしても取り上げておきたい記述を紹介したいと思います。
コールのスキップの議論
当ウェブサイトでは先週金曜日の『【総論】金融機関劣後債「コールのスキップ」の深刻さ』で、金融機関などが発行する期限付劣後債や永久劣後債など、負債性と資本性を合わせもつ債券の「コールのスキップ」という議論を取り上げました。
これらの債券については、規制の種類に応じて微妙に性質は異なるのですが(たとえば銀行自己資本比率規制、保険会社のソルベンシー・マージン比率規制など)、総論としては、「有価証券のコール(途中償還)をスキップすること」自体、金融市場に非常に大きな影響をもたらしかねない、というものです。
実際、コールのスキップはあまり頻繁に発生するものではありません。
ただ、韓国ではつい最近、とある保険会社が発行したドル建ての劣後債について、コールのスキップが発生したとして、大きな騒ぎになっていることも事実でしょう(『韓国債券市場発の「ドル債コールスキップ」騒動の衝撃』等参照)。
これについては『韓国債券市場の大混乱:いま韓国で何が起きているのか』でも指摘したとおり、個別企業の問題とみるよりは、韓国の債券市場全体の混乱という論点で見たほうが正確ではないかと思います。
つまり、韓国の資金・債券市場全体で、資金調達が目詰まりを発生させ、これによって一部の企業や個人が資金調達困難な状況に陥っている可能性が濃厚なのです。
鈴置氏の最新論考
こうしたなか、昨日は少し驚いてしまう「事件」がありました。
韓国観察者である鈴置高史氏の論考といえば、当ウェブサイトで(勝手に)よく引用させていただいているのですが、昨日はその鈴置氏の最新論考に、例の「コールのスキップ」の議論が紹介されていたのです。
韓国生保がドル建て債券の償還延期、一気に高まる通貨危機の恐怖
韓国の中堅生保、興国生命保険がドル建て債券の償還を延期した。ドルの借り入れが困難になったためで、メディアは通貨危機の懸念が増したと一斉に報じた。韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。<<…続きを読む>>
―――2022年11月07日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
コールのスキップに関する説明の該当箇所は、こうです。
――韓国は大丈夫でしょうか?
鈴置:国際的な信用を大きく落としました。「新宿会計士の政治経済評論」というサイトを主宰する債券の専門家は「韓国債券市場発の『ドル債コールスキップ』騒動の衝撃」で、以下のように指摘しました。
もちろん、コールのスキップ自体はデフォルトでもなんでもありませんが、それと同時に、発行体がコールをスキップせざるを得ない状況に追い込まれたという事態は、通常、「発行体がリファイナンスに苦慮している」というメッセージを債券市場全体に与えかねません。
「新宿会計士」氏は自己資本規制と永久債の関係や、スキップの危うさについても「【総論】金融機関劣後債『コールのスキップ』の深刻さ」で分かりやすく説明しています。
…。
循環参照を避けるため、今回の論考は紹介しません
鈴置論考にときどき登場するこの「新宿会計士」なる怪しい者は、いったい何者なのでしょうか?名前からして、怪しすぎです。
…、という茶番は脇に置くとして、またもや玉稿に引用してくださったことを感謝申し上げたいと思います。
しかし、本来ならば今回の鈴置論考にも引用したい箇所が多々あるのですが、当ウェブサイトでいつも申し上げているとおり、当ウェブサイトのポリシーとして、「循環参照」は可能な限り避けたいと考えています。つまり、当ウェブサイトの議論を引用している鈴置論考は、当ウェブサイトでは取り上げない、ということです。
その意味で、9月27日付の鈴置論考『韓国に通貨危機の足音 ウォン急落に打つ手なく「地獄の釜」が開いた』に続き、今回も鈴置論考についても当ウェブサイトで取り上げられないというのは、非常に残念なことではあります。
司令塔の不在というメンタリティ
ただ、今回の鈴置論考の主題は韓国の債券市場に関するものであり、このうちの「コールのスキップ」の議論は当ウェブサイトの記事が引用されているのですが、韓国の債券市場に関する分析以外の部分であれば、1箇所くらいは引用しておいても差し支えないでしょう。
それは、こんな記述です。
「韓国の政界を見るたびに、薄氷の張った湖上を歩く人々を思い出します。誰かが氷を踏み破れば、皆が水の中に落ちてしまう。というのに、人々は相手を陥れようと氷上でつかみ合いのケンカを始め結局、氷を破ってしまう」。
相変わらずのわかりやすいたとえ話です。
この記述は、1997年に通貨危機が発生した原因のひとつが、金泳三(きん・えいさん)政権末期における政局の混迷という「司令塔の不在」にあった、という指摘の中で出てくるものであり、「政治の混乱が経済危機を呼ぶというパターンは『韓国の定番』だ」、というのが鈴置氏の説明です。
そういえば、鈴置氏が今年6月に刊行した『韓国民主政治の自壊』(新潮新書)の第2章にも説明があった論点のひとつが、「韓国の政治家にとっては相手を牢屋に送らない限り、自分が牢屋に送られる」、という状況です。
このあたり、日本でも政権与党の足を引っ張ることしか能がない特定政党が存在するため、韓国の状況を笑っていられるのかという疑問はあります。ただ、国が危機的状況になっているにも関わらず政争にうつつを抜かすというのは、歴史教科書で見る李朝末期の状況にそっくりだと思うのは、決して気のせいではないでしょう。
いずれにせよ、鈴置先生、今回も拙稿を取り上げてくださいましたこと、心より感謝申し上げます。大変ありがとうございました。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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株価が下落傾向になると,金融機関破綻の懸念は出始めます。中国は情報を開示しない国なので表面化しませんが,欧米基準では破綻していると考えられる金融機関が多いようです。クレディスイスも会社の切り売りや増資で凌いでいるようですが,破綻に近い状態になっていたことは確かだと思います。韓国の興国生命も,あまり安心な状態ではないようですね。クレディスイスのほうはスイス銀行やFRBが少し助け船を出していましたが,韓国政府はそういう姿勢がないのですね。あと,文在寅時代の共産主義的金融・財政政策と,現在の尹錫悦政権の政策の齟齬で混乱も大きいでしょう。足の引っ張り合いは韓国程ではないにせよ,日本やアメリカでもあります。
別件ですが,選挙後のアメリカはどうなるでしょう。
件の興国生命ですが、政府主導の救済策で予定通りコールオプションが行使されるようです。
直前で債券価格が7割となっていましたが、ここ最近取引を行った人は大損か大儲けで明暗が分かれることになりますね。
債券の名変手続きについては不見識ですが、取引が成立しているのに11月9日時点で名変が行われていないケースは発生しないのでしょうか?
政府としては金融不安が広がることを恐れたのでしょうが、コールオプション行使、不行使共に韓国の信用度を落としたことに変わりありません。
些末なことですが、今回の鈴木氏の論考は現在のところ「半島を読む」シリーズではないようです。
>「政治の混乱が経済危機を呼ぶというパターンは『韓国の定番』だ」
事態の収拾よりも、体面の”取繕い”に忙しい政権なんですものね・・。
毎度、ばかばかしいお話しを。
民放:「我々は視聴率競争で忙しい。コールのスキップなどという重要かもしれないが、視聴率につながらないことは、ネットにまかせるべきだ」
もし、コールのスキップが視聴率になるようなら、あちこちのサイト主に出演オファーが、かかるかもしれません。もっとも、その前に「NHKは何をしていたんだ」と言い出すかもしれませんが。
「韓国の政治家にとっては相手を牢屋に送らない限り、自分が牢屋に送られる」、という状況です。
文在寅は送られましたっけ。辞める前に保身の為、色々してた気がするけど、もう忘れました。
過去の戦役を鑑みても司令塔があってもなくても結果は変わらないと思います。遅いか速いかだけの問題。
朝鮮半島の基本的行動原理は「相手側を倒すか、無理やり従わせる事によって格上になって相手側を支配する」であるから、このアルゴリズムでは「倒す相手がいない、或いは倒すべき相手が誰だかわからない、或いは支配者になったけど、支配の仕方が分からない」場合には「支配者として何をしたら好いのか分からなくなる」のでしょう。
原理的に韓国では「敵対する集団を潰す必要」以外の問題、例えば自然災害、市場金融の不安定、世界政情の激動等に対処する行動原理や指標はないのではないでしょうか?
「司令塔不在」の原因です。
翻って、日本では歴史的に人の集団間で引き起こされる問題解決以上に自然災害や外的理由で引き起こされる問題解決の必要に直面して来ましたので、問題解決の指針というモノが草の根のレベルで人々の中に浸透しているのではないかと考えています。
日本では困難な状況になった時に「内ゲバ」ではなく、本物のリーダーシップを持った人材が出てくる土壌が整っていると思いたいです。
外貨繰りについてはそろそろ詰む。
ウォンについては韓国の銀行の預貸率高すぎ(90%後半)。
外貨での調達が困難ということは外貨での返済も困難ということか。
預貸率が高すぎるという事はもう貸せない、貸しはがす、貸し渋るということか。
いずれにしても資金繰り倒産が増えるだろう。外貨についてはスワップまたはIMFの救済、ウォンについては韓銀特融しかないだろう。
麻生氏訪韓が”日韓首脳会談の地均し”だったらしい発信が所属政党幹部から有った模様
IMFは「もう知らん」と発して久しい?ですが、北の”掩護射撃”もあってバイデン政権からネジ込まれ、またしても日本国民の血税を南に垂れ流し…という悪夢をみたような悪寒…
文禄・慶長の役直前に、李氏朝鮮は日本に使節を派遣しました。本当にヒデヨシは攻めてくるのかどうかを調査するのが目的でした。ところが、帰国後、正使と副使は正反対の内容の報告書を出しました。採用されたのは「ヒデヨシが攻めてくることなどありえない」とした報告書でした。なぜならば、時の政権を担う党派に属する人が書いた報告書だったからです。つまり、内容の妥当性よりも、党派性のほうが遥かに重要なことだったのです(それなら、そもそも反対党派の人間なんか送るなよとは思いますが)。
韓国人の行動様式や考え方は、その頃と何も変わってないのだと思えば、「ああ、またいつの通り」となり、心騒がせる必要もきっとなくなるでしょう。