記者クラブが海保に「速やかに実名を公表せよ」と要求

またしても、オールドメディア業界の不祥事の話題です。というのも、知床観光船事故で亡くなった方の実名を、ご遺族の意向を無視して「速やかに公表せよ」と要求したからです。いや、厳密にいえば、オールドメディア業界はこれを「不祥事」だと認識していないようです。自分で自分の要求のおかしさに気付けないほど、オールドメディア業界は腐敗しきっているようです。

記者クラブ、ご遺族の意向を無視して「実名を速やかに公表せよ」

何ともやりきれない話題です。

産経ニュースに昨日、こんな記事が掲載されていました。

知床観光船事故、記者クラブが犠牲者公表を申し入れ

―――2022/9/20 16:48付 産経ニュースより

北海道・知床半島沖で今年4月に発生した観光船「カズワン」の沈没事故を巡り、報道機関17社で作る海上保安庁記者クラブが20日、「死亡が確認された乗客を匿名とせず、速やかに公表するように求める申入書」を海上保安庁長官に提出したのだそうです。

偉そうに「死亡者の実名を速やかに公表せよ」と要求するこの「記者クラブ」とやらは、いったいなにさまのつもりなのでしょうか。

産経によると、記者クラブが氏名公表を要求しているのは、ロシアから今月10日に小樽港に遺体が到着した乗客の男女2名だそうで、第1管区海上保安本部は「家族の強い意向で現時点では氏名公表を差し控える」とした、というものです。

犠牲者の実名は報じるのに自分たちの不祥事は匿名で報じる

そもそも犠牲者の実名を公表することに「公益性が高い」といえるのかどうかは大いに疑わしい点でもありますし、なによりご遺族の意向を無視してまで「実名を速やかに公表せよ」と要求する権利が、新聞、テレビなどのオールドメディアに与えられているというのは、おそらく社会的コンセンサスではありません。

こうした事例を眺めていると、やはり真っ先に思い出すのは、今から3年前に発生した「京アニ事件」でしょう。

【速報】京アニ事件「実名報道」蛮行を批判する』などでも紹介しましたが、京都アニメーションへの放火事件で犠牲となられた方々、傷つかれた方々に対し、オールドメディアは実名の公開を要求しただけでなく、京アニ側の要望を無視し、取材と称してプライバシーを嗅ぎまわるような行動を取りました。

そのくせ、オールドメディア業界に属する者(たとえば新聞記者やテレビ局員ら)が不祥事を起こしたときには、徹底的に実名を報じないというダブル・スタンダードぶりです(『国民の知る権利が大事、マスコミ記者の実名は公表を!』、『厚労省職員に暴行を働いた東京新聞記者の実名は?』等参照)。

自殺報道、事件報道ではガイドライン違反、非常識な取材も!

そういえば、オールドメディアといえば、ご家族を亡くされて意気消沈している相手に向かって「いまのお気持ちは?」などと心無い言葉をぶつけた事件も有名ですが(『メディア記者、傷ついたご両親に「いまのお気持ちは」』等参照)、それだけではありません。

故人の自宅に押し掛けるフジ・テレ朝の「非常識」ぶり』でも取り上げたとおり、とある著名人が亡くなった際に、テレビ局の記者がそのご自宅(※もちろん住宅街です)に朝っぱらから押し掛け、「通学中とみられる子どもたちが背景に映り込む中、キャスターは近所住民に聞いた印象などを伝えていた」という「事件」もありました。

ちなみに故・安倍晋三総理の暗殺事件のときもそうでしたが、日本のオールドメディアの特徴は、衝撃的な事件が発生したときに、それをセンセーショナルかつ詳細に報じるというところにありますが、これはもちろん事件報道・自殺報道等のガイドラインに抵触する行為でもあります。

5 月 11 日に逝去された著名人の報道に関して『自殺報道ガイドライン』に反する報道・放送が散見されることを踏まえ、再度、自殺報道に関する注意喚起をさせていただきます。【※PDFファイル】

―――2022/05/11付 いのち支える自殺対策推進センターHPより

いずれにせよ、記者クラブ制度などという特権組織で霞ケ関と癒着しているからこそ、オールドメディア業界は腐敗しきっているのでしょう。そして、自分たちが腐敗しきっているからこそ、ご遺族の意向を無視して「犠牲者の実名を公表せよ」と高圧的に要求しても、自分たちがおかしいと気付かないのでしょう。

利権は腐敗で業界ごと崩壊する

もっとも、正直なところ、オールドメディアには将来がありません。

BPO、NHKに「重大な放送倫理違反」とする意見書』でも指摘しましたが、いまや50歳未満の日本人のネット利用時間は、テレビを視聴する時間、新聞を読む時間、ラジオを聞く時間の合計よりも多くなってしまっています。

ネットの伸長という社会的な変革が生じるなかで、「犠牲者の心の傷をえぐり取ってでもセンセーショナルに事件・事故を報じる」、「新聞記者やテレビ局員らの不祥事については、かのうな限り実名報道しない」というダブルスタンダードに批判の目が向き始めている、といった社会的な変化が生じています。

結局のところ、オールドメディア業界というものは、(「記者クラブ制度」という特権組織を持つ日本の場合はとくにそうですが、)既得権益にまみれているうちに社会の良識との乖離に気が付かなくなっているのでしょう。

だからこそ、インターネットで一部の口の悪いネットユーザーが好んで使う「マスゴミ」というネットスラングが、多くの人々の支持を集めるゆえんでもあるのです。

いずれにせよ、新聞部数の減少速度から逆算して、早ければあと5年もすれば新聞業界が消滅し、さらに5年から10年もすれば、テレビ業界も新聞業界の後を追う、というのが著者自身の仮説なのですが、オールドメディア業界の態度の悪さを眺めていると、オールドメディアの崩壊と滅亡の時期は早まるかもしれませんし、早まってほしいとも思う次第です。

読者コメント一覧

  1. 豆鉄砲 より:

    オールドメディアが上手く絶滅してくれるといいのですが、中途半端にネットで生き残ると、これまたやっかいですね。

  2. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    記事の中の「(実名公表の)公益性が高いことは十分認識しており」とか、「被害者の実名公表が公共性が高い」とは、意味が分かりません。実名を知って誰か得をするのかいな?

  3. sqsq より:

    U18野球ワールドカップで韓国に大敗したというニュースが大々的に出て、てっきり日本は予選敗退なのかと思っていたら三位決定戦で韓国に勝ち銅メダルとのこと。

    悪いニュースばかり出して囃し立て、いいニュースは知らんぷり。
    まあいつものことだけどね。

    1. たかしま より:

      マスコミ的には、韓国が日本に勝つというのは良いニュースなのでしょう

    2. わんわん より:

       ルールが複雑なことをメディアに押し付けるのはちょっと違うんじゃないかな?

      決定戦(1位2位 順位決定戦)への出場条件
      https://full-count.jp/2022/09/17/post1282041/

  4. 引っ掛かったオタク より:

    “剣より強し” なら銃刀法より厳しい法規制下に置くコトも範疇に議論すべし
    なーに包丁も鉈鎌鍬鋤斧剃刀なんかも生活の要に実用されとるんじゃけ、要るモン適正に使うとるぶんにゃ”弾圧”やないっちゃろ?

  5. マスオ より:

    マスコミに公平性や一貫性がないことは、もう周知の事実ですね。

    うろ覚えですが、京都のラグビー部の性犯罪がすぐに氏名が発表されたのと対照的に、千葉の大学生や、慶応大学生の同じような犯罪は、最後まで匿名のママだったように思います。
    池袋暴走事件は、上級国民という事で、最初は匿名、その次は尊称が付いた報道だったように思います。(間違えてたらゴメンナサイ)

    スポンサーは、早くこの汚れた業界に見切りをつけて欲しいと切に願います。

    1. sqsq より:

      池袋暴走事件、なぜ元の所属官庁、役職まで出さなきゃいけないの?

      テレビ朝日やTBSの職員が定年退職後に交通事故起こしたら元テレビ朝日取締役とか公表するのかな? このへんルールを決めといた方がいいと思うけど。

      昔は逮捕された容疑者を前科xx犯とか平気で放送してたけど今はやらないよね。

    2. ひろた より:

      慶応大生、東大生のわいせつ事件も実名報道しているし、池袋のほうはネットでデマが拡散していました。
      加害者は骨折して入院。逮捕してしまえば送検、勾留など身柄拘束に時間制限がある。取り調べに耐えられない体調であれは無駄に時間が過ぎる。被疑者は老人で骨折しているので逃亡の恐れもない。そのために警察はあえて逮捕を退院後にした。報道は、警察が逮捕しなければ容疑者と言う言葉は使わないのです。

  6. ひろた より:

    オールドメディアのない世界。
    映画好きですし本も新聞も読みます。テレビもラジオもなくなったらつまらない世界になってしまいます。新聞はネット版が主ですが。
    タテヨコも不十分な世界になりそうです。
    さて、ポリティコの数人が集まりアクシオスというネットニュースサイトを立ち上げました。そしてそのアクシオスは現在コックスメディア=ラジオ、テレビ中心 傘下にありますが論調は変わりません。ドキュメンタリー番組も放映されています。
    インデペンデント紙、クリスチャンサイエンスモニターはオンラインオンリーとなりましたがやはり変わりません。雑誌のUSニューズもしかり。
    メディアは情報伝達手段ですから情報を出す人が変わらなければアウトプットされる情報も変わりませ
    関係ないですが読売新聞にポーランド大使の記事がありましたがああいうのはやはり新聞社じゃないとなかなかできないのではないでしょうか。

    1. 元ジェネラリスト より:

      別記事のコメントも興味深く拝見しておりました。
      本記事では、オールドメディアの中の全ての機能が無意味で無駄ということではなくて、今の企業体として存在することの弊害が大きすぎると言うことをおっしゃってるのではないでしょうか。

      世の中から必要とされる機能はネットという媒質の中で形を変えて生き残っていくと思います。
      ただ、どの組織にも言えることですが、余裕や遊びから新たな価値が生まれる側面はあって、オールドメディアが企業として消滅すれば、その効果はしばらくは得られなくなるかもしれません。ただ1年で販管費を半減した会社もあるように、今の収益構造では既にそれを期待するのは無理かも知れませんが。

      私個人としては、少なくとも今のオールドメディアと言われる組織が何の反省も無く温存されることは望みません。

      1. ひろた より:

        ご意見ありがとうございます。
        私は、メディア=記録媒体、記憶媒体。オールドメディア=インターネットメディア登場以前のメディアと定義しています。新聞社、雑誌社は媒体社、Media Companyであり、オールド、ニュー、または、両方ともメディアを持つ企業、なかには報道の役割を持つものもある。と定義しています。
        みなさんはどうですか?
        定義の違いにより意見の違いはあると思います。
        英国議会のインターネットメディアによるフェイクニュースの調査報告書を読むとかなり深刻かと。
        オールド、ニューのどちらのほうが悪い決めることももちろんできません。

        1. 元ジェネラリスト より:

          >私は、メディア=記録媒体、記憶媒体。オールドメディア=インターネットメディア登場以前のメディアと定義しています。

          おっしゃっていることがわかりました。
          厳密な定義の下であれば、もっと有意義な議論が膨らむかも知れませんね。
          こちらの記事は大手新聞テレビ会社の既得権の問題が焦点のようですから、少し違った論点になってくると思いますが、それはそれで。

          媒体としてのオールドメディアが無くなることは寂しいと思いますが、技術の淘汰によるもので仕方の無いことなのだろうと思います。
          その他の論点は残念ながら議論する材料を持ち合わせておりません。

  7. 門外漢 より:

    実名報道はさておき、国交省の責任論が一向に出て来ない不思議があります。
    当該観光船に対して適切な監査・指導をしていたのか?
    海保の出動が間に合わなかったのは何故か?
    背近者は誰か?など、みんなすっ飛ばしです。
    歴代国交大臣を出してきた某宗教政党の責任も大きいと思うのですがねエ。

  8. わんわん より:

    実名報道に関する考え方 
    https://www.pressnet.or.jp/statement/report/220310_14533.html
    ※PDF

     矛盾ばかり

    会員社一覧
    https://www.pressnet.or.jp/medialink/

     

     

  9. ジン より:

     実名を報道した方が様々な数字を稼げるという
    思惑でしょうか。想像力の欠如により報道される
    側の不利益などには考えが及ばないのでしょう。
     トレードオフやそれ以上のことになることなど
    頭の片隅にも無いようです。

  10. トシ より:

    テレビ、新聞の忖度や報道しない自由も大問題。

    https://bunshun.jp/articles/-/57556

    巨人の坂本選手が女性と中絶トラブル。
    だが全テレビ局、全スポーツ新聞は一切報道せず。

    これはテレビ、新聞の巨人軍番記者が忖度して社内の報道をストップ。
    中には「長嶋茂雄の情報を渡さない」という交換条件もささやかれている。

    直前の香川の報道の過熱とは明らかな好対照。

    オールドメディアは自分たちの都合の悪いことは何も報じない。
    ジャニーズタレントの不祥事にもすさまじい忖度が見られる。

    だがネット社会ではそれは通用せず、このような姿勢もオールドメディアの崩壊を早めるものとなる。

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