故人の自宅に押し掛けるフジ・テレ朝の「非常識」ぶり

~メディア業界の腐敗が酷い~

昨日亡くなった著名タレントの方の自宅に、少なくともフジテレビとテレビ朝日の芸能リポーターらが押し掛けたようです。本当にどうしようもない業界です。昨年暮れには傷ついたご両親に「いまのお気持ちは?」と尋ねて社会の顰蹙(ひんしゅく)を買ったということに、まったく懲りていないからです。まさに腐敗した業界そのものです。こうしたなか、「いのち支える自殺対策推進センター」が厚労省と連名で、メディア業界に対し、「再度の注意喚起」を発信しています。

逝去した著名タレントの自宅に押し掛けるフジ・テレ朝

当ウェブサイトで取り上げようかどうか迷ったのですが、やはりあまりにも酷いので、取り上げることにしたいと思います。何の話かといえば、著名タレントの方が昨日、逝去され、死因が自殺である可能性が高い、などとされている話題です。

この事実関係について、詳しく触れることは控えます。

ただ、この方にはとても大勢のファンがいて、ショックを受けている人も多いと考えられるのですが、これに関連して相変わらずテレビ局などが無神経な報道を続けているようです。次のJ-CASTニュースの記事によれば、フジテレビとテレビ朝日がご本人の自宅前に押し掛けて中継をしたというのです。

●●●●さん死去後に「自宅前中継」 フジ・テレ朝の報道に「何の意味があるんだ?」

―――2022年05月11日16時45分付 J-CASTニュースより

(※記事タイトルにご本人のお名前が含まれていますので、改変しています。)

これによると、フジテレビの『めざまし8』という番組は、午前8時の放送開始直後に番組関係者が東京・中野区にある自宅前に押し掛けて中継し、「通学中とみられる子どもたちが背景に映り込む中、キャスターは近所住民に聞いた印象などを伝えていた」のだそうです。

また、テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』でも、9時30分ごろに番組リポーターが自宅前から中継。「午前9時前に到着したんですが、そのときから段々と報道陣の姿も多くなってきました」、などと現場の状況を伝えた、などとしています。

厚労省と連名で「再度の注意喚起」

相変わらず、無神経な人たちです。そして、まったく腐りきった業界です。

とりあえず、訃報に接して悲しみに沈むご家族をそっとしておこうとする考え方はないのでしょうか?また、ご近所の方々にとっても、突然テレビ局が押し掛け、平穏な日常がかき乱されることの影響を考えないのでしょうか?

J-CASTニュースはまた、日本テレビ『スッキリ』では番組の芸能リポーターが東京・新宿区にある所属事務所前から中継を行った、などとしていますが、この手の「中継」の意味が理解できません。

このあたり、テレビ局の関係者は「視聴者にわかるように中継をするんだ」、とでも主張するのかもしれませんが、わざわざ無神経に中継をしなければわからない視聴者しかテレビを見ない、ということでしょうか?それともそのような報道ばかり続けているから、まともな人ほどテレビを見なくなるのでしょうか?

こうしたなか、厚生労働大臣指定法人・一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」は厚生労働省と連名で昨日、こんな「再度の注意喚起」を発信しています。

5 月 11 日に逝去された著名人の報道に関して『自殺報道ガイドライン』に反する報道・放送が散見されることを踏まえ、再度、自殺報道に関する注意喚起をさせていただきます。【※PDFファイル】

―――2022/05/11付 いのち支える自殺対策推進センターHPより

これによると、赤い文字で次のように記載されています。

以下のような放送・報道は、自殺リスクを高めかねません。

  • 自殺の「手段」を報じる
  • 自殺で亡くなった方の自宅前等から中継を行う
  • 自殺で亡くなった場所(自宅)の写真や動画を掲載する
  • 街頭インタビューで、市民のリアクションを伝える

…。

どれもまさに、フジテレビとテレビ朝日を筆頭とするテレビ各局が行っている行動そのものです。

そして、「再度の」、という表現には、テレビ業界がこうしたガイドラインに違反しているという事例が過去に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も発生しているという点に関する危機感が見られます。

傷ついたご両親に「いまのお気持ちは?」

ちなみに同センターによると、『自殺関連報道として「やるべきでないこと」』は、次のとおりです。

報道を過度に繰り返さないこと/自殺に用いた手段について明確に表現しないこと/自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと/センセーショナルな見出しを使わないこと/写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

どれも明らかに守られていません。たとえば、昨年12月には、タレントであるお子さまを亡くされたご両親に対し、メディアの記者が「いまのお気持ちは?」と無神経な言葉を投げかけるという珍事も発生しています(『メディア記者、傷ついたご両親に「いまのお気持ちは」』等参照)。

もっといえば、現在のテレビ局が公共の福祉を増進するために役に立っているといえるのか、大いに疑問でもあります。

正直、テレビ局関係者が当ウェブサイトにごアクセスになられているとも思えませんが、万が一、本稿をテレビ局関係者の方が目にされることがあれば、少なくともご自身の行動がなにを意味するかについて、自省なさることを強くお勧めする次第です。

重要:悩みを抱えている皆さまへ

なお、先ほど紹介したJ-CASTニュースには、『悩みを抱える人へ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口』と題した記述がありましたので、当ウェブサイトとしてもこれをそのまま掲載したいと思う次第です。

悩みを抱える皆さまへ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口
  • いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟) 0570-783-556(ナビダイヤル)/0120-783-556 (フリーダイヤル)
  • こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
  • #いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338
  • よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338/(岩手県・宮城県・福島県から)0120-279-226
  • チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター) 0120-99-7777 (フリーダイヤル)
  • 子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省) 0120-0-78310(フリーダイヤル)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. わんわん より:

    いつまでも学習しないね
    BPO対象にするのも一つの手です
    “視聴者からのご意見について | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |”
    https://www.bpo.gr.jp?page_id=967

    1. わんわん より:

      J-CAST 続報
      >厚生労働省は同日夜にツイッターで以下のように伝えた。

      「本日、各報道機関に対し、WHO自殺報道ガイドラインに準じた報道を実施するよう要請を行いましたが、一部の報道機関でこれに反する報道が行われているため、あらためて要請を行いました」
       対応の速さ(厚生労働省)は評価するが「喉元過ぎれば…」厳しい対応はできないのでしょうか?

    2. 匿名 より:

      BPOはある人の見立てではマスゴミを守るための、組織
      身内が身内を守るために作ったものだと。

      だから、普通であればモリカケなんかを延々と報道できるわけないのに、罰する組織ないため続けられているんです

  2. 匿名 より:

    一つ、人様の不幸をネタにし
    二つ、ふざけた騒ぎを起こす
    三つ、醜いマスゴミどもを

    ……誰か斬ってくれませんかねぇ、と言っても許されると思うくらいダメな「報道」でしょ

  3. sqsq より:

    テレビつけると、食べてるか、歩いてるか、おかしくもないことで笑ってるか。または韓流ドラマかテレビショッピング。要するに低予算でできることが限られてるから、芸能人の自殺など恰好の標的。自分がやらなきゃ他局がやるから早いもん勝ちで現場に押し寄せる。

    遺族に「今のお気持ちは?」芸能人の家族だからってなんでそんな目に遭わなきゃならないの。

  4. G より:

    まずは故人の御冥福をお祈りいたします。

    自殺関連報道には今までのやり方通りにしつつ「いのちの電話」などの電話番号掲載をしとけば良いぐらいに安易に考えている節がありますね。あり得ないことです。

    自殺の一報を出すのはいいと思います。その知らせを聞いて暫し絶句して、、、その後「御冥福をお祈りします」。そこで終わり、では次のニュース。でいいじゃないですか。それ以上報道してもあなた方の売り上げを伸ばすだけじゃないですか。自殺をネタに潤うなんて恥ずかしくないですか?

    1. sqsq より:

      自殺は伝染するからこわい。

      かなり昔アイドルが飛び降り自殺してその後何人もの後追い自殺が出た。

  5. トシ より:

    日本のワイドショーは悪質極まりない。

    まず、コロナを煽りに煽り芸能人や一般人に過度な自粛を要請。

    社会全体が委縮し芸能界も大ダメージを受ける。
    結果として芸能人や一般人の自殺者数が増える。

    すると芸能人について故人や周囲の意思を無視しこれでもかと報道。
    一般人についてもうつ病の専門家などを出し大体的に報道。

    ひと段落するとまたコロナを煽り~(以下繰り返し)

    こんなことを2年以上もやっている。
    はっきり言ってワイドショーは日本にとって有害でしかない。

    日本テレビは今年も24時間テレビをやるらしい。
    (フジテレビは3年連続で27時間テレビを断念)

    今から断言するが、ウクライナ避難民を利用した感動の押し売り演出を絶対にするだろう。

    この姿勢にはホントに反吐が出る。

  6. 三門建介 より:

    今回の件もそうですが、自分が気にしているのは知床遊覧船の取材です。

    遺族の方へのインタビューほもちろんですが、加害者側の社長を必要に追いかける。夜討ち朝駆けのようになっていますね。

    警察との合同記者会見等が行われていますが、報道関連が入れない事実をかみしめて襟を正してほしいですね。

    あることないことや憶測を報道するから締め出されているのと違いますか?

    仕事をしている体を醸し出すための見せかけの取材のようにも見えます。
    知床遊覧船事件の加害者に寄り添うのでなく好奇心でしかないように見えますね。少々大人の行動を期待します。

  7. 一之介 より:

    だから
    所謂マスコミは、ゴミ(マスゴミ)扱いされるのでしょうね。
    ゴミは燃やして熱エネルギーとして回収すれば世の中の役にたちますが
    こちらのゴミは使いようのないただのゴミ?

  8. めたぼーん より:

    最近のテレビはコストをかけずに稼ごうとする番組ばかり。よって他人の不幸もその一部くらいにしか考えていない気がします。貧すれば鈍すに陥っている。

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