ハンバーガーと抹茶CFはロシアを敗戦に導く戦略物資

ロシアで「マクドもどき」に続き「スタバもどき」登場

ここまでくると「あさましい」を通り越し、もはや、見苦しいというべきでしょうか。ロシアでスタバが撤退した後の店舗を流用するために、「スターズコーヒー」なるブランドが立ち上げられたのだそうです。「円形で女性」という、スタバと類似する(が色合いは茶色という)ロゴの類似性の狙いについて、オーナーは「旧スタバとの継続性を求めたもの」と述べたのだとか。ただ、それ以上に重要なのは、いまやハンバーガーや抹茶クリームフラペチーノが、ジャベリンやHIMARSと並ぶ「戦略物資」だ、という事実でしょう。

ウクライナ戦争開始から、もうすぐ半年

ロシアが国際法に違反し、ウクライナに対するいわれのない戦争を仕掛けてから、もうすぐ半年が経過します。残念ながら、現時点においてロシアが敗北したという朗報はまだ入ってきていませんが、その一方、西側諸国がロシアの戦争遂行能力を低下させようとして、さまざまな対策を講じてきたこともまた事実でしょう。

たとえば、西側諸国がロシアが保有していた外貨準備(2022年1月末時点において6302億ドル)を凍結したことで、ロシアの外貨準備はロシア当局の発表ベースで3000億ドル、当ウェブサイトなりの試算では4000億ドル前後が、事実上失われた計算です。

また、ロシアの政府、企業などは西側諸国での債券の新規発行を禁止され、ロシアの主要銀行はSWIFTNetから除外され、さらにはクレジットカードの国際ブランドがロシア事業の停止などを決定したことにより、ロシアは国際的な金融システムから、事実上、排除されてしまいました。

さらには、西側諸国がロシアに対する航空機のリース契約を解除するなどしたこともあり、現在、ロシアの航空機は「共食い整備」を余儀なくされ始めているとの情報もあります(『対ロシア制裁:見えてきた航空機「共食い整備」の影響』)。

ロシア経済の混乱は、まだ始まったばかりなのでしょう。

マクド撤退と「インチキマクド」

ただし、ロシアにおける話題は、それだけではありません。

「鉄のカーテン」崩壊の象徴だったはずのマクドを筆頭に、西側諸国の企業などは相次いでロシアにおける事業を中止・終了し、多くの企業がロシア市場から撤退しつつあります。いわば、文化的にもロシアは西側諸国から見限られ始めている、というわけでしょう。

こうしたなか、『ロシア下院議長「西側制裁にアナザーG8で対抗を!」』などでも取り上げたとおり、ロシアではマクドが撤退したあとの店舗を流用するかたちで、「Vksno & tochka(おいしい、それだけ)」という名称の店舗が営業を開始したのだそうです。

なかなか反応に困る話題です。

そういえば一時期、マクドの「m」のゴールデンアーチを90度転倒させた「イワンおじさん(Дядя Ваня)」なる商標がロシアで出願された、とする話題を取り上げたこともありましたが(『マクドロゴが転倒し「イワンおじさん」に華麗に変身?』等参照)、やはりインチキはインチキなのでしょう。

今度は「インチキスタバ」

こうしたなかで、さらに驚くべき話題がでてきました。

ロイターの8月20日付のツイート動画によると、ロシアで「スターズコーヒー」なる店舗が出現したのだそうです。

ロイターによると、これはロシアから撤退したスターバックスの旧店舗にできた「新たなブランドのコーヒー店」だそうであり、ロゴマークも「星を頭に乗せた女性」と、なんだかどこかで見たようなものとソックリです。

オーナーによると、「円形・女性」というロゴマークは「旧スタバとの継続性を求めたもの」だとしつつ、「葉巻のような男性的な茶色が良いコントラストになっている」と狙いを明らかにしたそうですが、それと同時に「でも円形を除けば何も共通点を見つけることはないだろう」とも述べたのだとか。

なんだか「イワンおじさん」といい、「おいしい、それだけ」といい、KFCをもじった「KGB」といい、どうにも苦しさは払拭できません。とくに「スターズコーヒー」に至っては、ここまでくると「あさましい」のを通り越し、もはや「見苦しい」と言わざるを得ないでしょう。

ロシアによるウクライナ侵略が失敗に終わらんことを!

ただ、こうした西側諸国のブランドの撤退と、それに代替し得る新たなブランドの乱立は、やはり西側諸国企業の撤退がロシア国民に対し、かなりの傷を与えていることを間接的に証明しています。

ロシア国民の戦意を挫くという意味では、じつはハンバーガーは半導体と同じような戦略物資だったという言い方もできるのでしょう(奇しくもハンバーガーと半導体はおなじ「はん」の音で始まります)。

そして、半導体、航空機、ハンバーガー、ポテト、ナックマゲット、コーラーなどに続き、今度はコーヒーです。やはり「スターズコーヒー」を訪れるロシア人は、スタバの味が忘れられないのかもしれません。

いずれにせよ、西側諸国企業のこうした行動は、「文化の力を使い、ロシアによるウクライナ侵略を失敗に終わらせる一因となった」、と後年の歴史教科書は指摘するかもしれません。

もしも「ウラジミル・プーチンを引きずり下ろし、クリミア半島から撤退してウクライナ戦争を終わらせれば、またマクドやスタバが楽しめる」と思うなら、こうしたロシア国民の想い自体が、ウクライナ戦争を終了につなげる可能性があるからです。

その意味では、HIMARSやジャベリンだけでなく、ハンバーガーと抹茶クリームフラペチーノも、広い意味では「西側諸国がウクライナのために提供している兵器」のようなものといえるのではないでしょうか。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 古いほうの愛読者 より:

    ロシアよりドイツの状況が危機的で,ロシアからのエネルギー供給が途絶えたら,この冬を乗り切るのが大変な状況なようです。原発廃止先送りなど,いろいろな対策を行おうとしていますが,それでもガスの確保が大変なようです。他のEU諸国も似たような状況の国が多いようです。イギリスだけは「ロシアを叩け」と血気盛んで,世界にアピールしています。アメリカは世論が割れているようです。ですから,英米発のニュースばかり見ていると,現実を見失います。日本の世論はイギリスに乗せられているように見えます。

  2. はにわファクトリー より:

    偽マックの味はどうなったかという素朴な疑問の答えを知るには、
    「Niki from Russia」という Youtube チャネルに動画投稿があります。
    ペテルブルグ在住で街頭撮影動画を投稿し続けている若いあんちゃんです。
    『I tried Russia’s “New” McDonald…』
    https://www.youtube.com/watch?v=K6H2KqEINio
    2022-6-27 投稿動画
    彼は「1420 Russia」氏と関係があったんですね。
    当方が目にしているロシア国内動向動画よれば、いわゆる西側ブランド店舗の活動停止は首都モスクワやペテルブルグでは俊敏であったが、地方都市のモール店舗は営業停止に至るまでばらばらで時間差があった模様です。

  3. 愛知県東部在住 より:

    これ、いよいよロシアが支那化(或いは韓国化)しつつある、という証拠ではないでしょうか。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

愛知県東部在住 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告