ついにマクドがロシアから撤退へ

本日の緊急速報です。ついに西側諸国による「あの最終兵器」が発動されることになりました。ロシアの一般市民にとっては非常に残念な結果となりそうです。マクドの「ゴールデン・アーチ」が90度傾いて「イワンおじさん」に取って変わるとでも言うのでしょうか?いずれにせよ、ロシアにはまたひとつの「マイナスの戦果」が生じた格好です。

ロシアにマイナスの戦果が続々!

2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻開始から3ヵ月近くの時間が経過しているにも関わらず、ウクライナ全土の制圧はおろか、非常に限られた地域を占領したにとどまっている状況です。いや、それどころか、この戦争はロシアに対し、さまざまな「マイナスの戦果」をもたらしているようです。

  • ロシアが保有していた約6400億ドルの外貨準備のうち、少なくとも3000億ドルが凍結された。
  • ロシアの政府や企業は西側諸国での起債を禁止された。
  • ロシアの主力銀行が相次いで国際的な決済電文システムSWIFTから排除された。
  • ロシア国内で発行されたクレジットカードの国際ブランドが外国で使用できなくなった。
  • ロシアの航空機は欧州諸国などの領空を通過することを禁止された。
  • ロシアに対する半導体などの戦略物資、奢侈品などの輸出が禁止された。
  • 実戦投入された地上戦力の3分の1が失われた。
  • ロシアが誇る黒海艦隊が孤立した。
  • 黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が(おそらくは)撃沈された。
  • ロシア産の天然ガスや石油などの輸出が西側諸国で禁止される方向にある。
  • 世界各国のロシア大使館前でさまざまな嫌がらせが行われている。

…。

よくぞここまで、と言いたくなります。

ロシアは地上戦力の5分の1を失った計算

ちなみに英国防衛省の『インテリジェンス・アップデート』の5月2日付説明によると、今回、ロシアがウクライナ戦争(ロシアに言わせれば「特殊軍事作戦」)に投入したのは、地上戦力の65%だそうです。

また、同じ『インテリジェンス・アップデート』の15日付のツイートによれば、ロシアが喪失した戦力は現時点で投入戦力の3分の1に達しているのだそうです。

ということは、英国防衛省の一連の情報発信が正しければ、現時点においてロシアは全地上戦力の5分の1を失った計算です。

フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を正式決定

ちなみにロシアにとっての「重要なマイナス戦果」は、それだけではありません。昨日は、長らくNATO非加盟を貫いてきたフィンランド、スウェーデンの両国が、NATOに加盟申請をすることを正式に決定したとする報道もありました。

スウェーデンとフィンランド、NATO加盟申請を正式決定

―――2022/05/16付 BBC NEWS JAPANより

英メディア『BBC』の報道などによると、両国のNATOへの加盟にはトルコの反対というハードルを乗り越える必要があります。ただ、とくに200年以上にわたって中立を貫いてきたスウェーデンが軍事同盟に参加するのは、非常に画期的な話でもあります。

もっとも、「中立国」という意味では、すでにスイスが対露制裁に参加しているため、今回のウクライナ戦争に限定していえば、伝統的な「中立国」が現在も中立を保っているというものでもないように思えます。

いずれにせよ、いみじくもフィンランドのサウリ・ニーニスト大統領自身が述べたとおり、今回のNATO参加決定を招いたのがロシア自身であることに疑いはありません(『プーチン氏、うっかりフィンランド大統領に「脅威は存在しない」と言ってしまう』等参照)。

その意味で、ロシアは巨額の戦費と甚大な犠牲をを払い、ウクライナのごく一部分を占領するのと引き換え、西側諸国から圧倒的な経済・金融制裁を喰らった、というわけです。これがロシアにとって「割に合う戦争」なのかどうか、どうにも理解に苦しむところです。

マクドがロシアで「脱・ゴールデンアーチ」

こうしたなかで、ロシアにさらに「追い打ち」となる報道発表がありました。

McDonald’s To Exit from Russia

―――2022/05/16付 マクド・ナルド社HPより

世界最大級のファーストフードチェーンのマクド社は現地時間の16日、ロシア市場から完全に撤退(de-Arching)し、ロシア全土の約850店舗をすべて地元企業に売却する方針を発表したのです。

いちおう、『クレジットカードからマクドまでロシア事業停止相次ぐ』などでも触れたとおり、これまでマクドはあくまでも「一時的に休業している」に過ぎなかったのですが、今回のマクドの決定により、「ゴールデン・アーチ」(the Golden Arches)はロシアから完全に姿を消すことになります。

これに関し、マクド社のクリス・ケンプチンスキー(Chris Kempczinski)CEOは、ロシアでの事業展開の将来が見通せなくなったことなどに加え、ロシアでビジネスを営み続けることが、マクド社が大切にしている「価値観」と一致しないとしています。

このあたり、まさに32年前、旧ソ連時代にプーシキン広場前に第1号店が開店した際にできた長蛇の列が、3月にマクドの一時休業が発表されたときに再現されたというのも象徴的でしょう。

逆にいえば、私たちがその気になればビッグハンバーガー(夜限定の肉2倍サイズ)やナックマゲット大盛りなどを食することができるというのも、西側の価値観の恩恵、というわけでしょう。

ちなみに「ゴールデン・アーチ」といえば、ロシアではそれを90度傾けて「イワンおじさん」(Дядя Ваня、ジャージャ・ヴァーニャ)なる代物が商標申請されていたとの話もありますが(『マクドロゴが転倒し「イワンおじさん」に華麗に変身?』等参照)、これについては真偽は不詳です。

なお、「マクド・フライポテト」論争に関しては『それ、マクドフライポテトやない』で、金融評論家兼ハンバーガー評論家としての立場については『金融工学等の立場からコスパで論じるハンバーガー概論』などで、それぞれ詳しく論じていますので、まだの方はこの機会に是非ともご一読ください。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 雪だんご より:

    休業ではなく正式に撤退ですか。たかがファストフード、されどファストフード。
    ましてやマクドナルドは「ビッグマック指数」なんて物が出てくる程の国際的超大企業。

    そんな超大企業が、「ロシアに未来なし」と宣言した……これは大きいですね。
    「もうお前らはハンバーガーなんか食える程裕福にはなれないぞ」と言っているんですから。

    以前、「戦争の結果次第ではロシアと言う国家そのものがなくなり、元ロシア人が
    ロシア人を名乗るのを嫌がる様になり、ロシア文化までなくなってしまう」事を
    懸念しているとこのサイトに書き込みましたが……いよいよ、現実味を帯びてきたかも。

  2. sqsq より:

    バーガーキングはフランチャイズ契約の関係で営業を継続しているそうです。
    ということはマックはすべて直営店だったということでしょうか。

  3. はにわファクトリー より:

    ウクライナの鉄道網を標準軌ゲージに改軌してしまい、ポーランドとの直通列車運行を可能にしてはどうでしょうか。バイバイレーニン、バイバイソ連、ようそこ欧州。凶悪兵器がばんばんロシアから運び込まれる脅威からおさらばできます。

  4. 元ジェネラリスト より:

    戦況の話です。
    ハリコフ(北東部)の東のドネツ川を、ウクライナ軍が渡河に成功し橋頭堡を築いたようです。
    渡河地点の先にはVovchanskというロシア軍の兵站ルート(鉄道)の町が目の前です。

    航空万能論:ウクライナ軍がドネツ川渡河に成功、ロシア軍は補給ルートを失う可能性も
    https://grandfleet.info/european-region/ukrainian-troops-successfully-cross-the-siverskyi-donets-russian-troops-may-lose-supply-routes/
    地図がわかりやすいです。

    先週、ロシア軍が同じドネツ川渡河(東部、ドネツクとルハンスクの境目あたり)に失敗して甚大な損害を出したのと対象的です。作戦が拙すぎて、ロシア国内の軍事ブロガーからも批判され始めているようです。
    https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-may-14

    ウクライナ(+西側)とロシアでは、状況把握力に違いがありすぎるんじゃないですかね。
    プーチンが大隊レベルの意思決定に口を出しているという報道もありますね・・・

    1. 元ジェネラリスト より:

      「ハリコフ」は「ハルキウ」とも言いますね。最近は。(笑)
      自分はなかなか切り替わりません。

  5. 匿名2 より:

    マクドナルドがロシアから撤退したのは、もうこの国に未来は無いと感じたからでしょうね。こういう庶民相手の会社は、その国の末端の血管や神経について、おそらくロシア政府以上に把握できてしまっているような気がします。そういう意味では重大な出来事だと思います。

    別件ですが、マクドナルドからドナルドがいなくなって久しいですが、私はドナルドが好きで、動画のドナエさんとかドナルドと松岡修三のコラボ企画とかたのしかったのですが、もうドナルドは無くなったのか、アメリカでは生きているのか不明です。日本だけでも復活してほしいです。

    1. 匿名 より:

      あの白い顔が文化剽窃として問題になったとか?

      1. りょうちん より:

        道化恐怖症の人から訴えられたとかw

        1. 匿名2 より:

          あのしらじらしいフレンドリーさプラス、ホラーがかった無神経な感じが
          アメリカ的で好きだったんですが。

  6. カズ より:

    ロシア発「プランB」の続報をありがとうございました。

    店舗等の売却代金は何としてでもドルで受け取って欲しいところですね。
    商標権等の扱いも、無法国家においての法律論は無意味なのかもですね。

    先日、夜マクドの機会があり「倍ビッグバーガー?」とも思ったのですが、想像だけでお腹いっぱいになりました。(ニーズの多様化に応えた”適材適者”のメニューですね)

  7. よし より:

    EU上空飛行禁止もそうですが
    ロシア上空通過する際に支払ってした手数料
    EUだけで約500億円+EU以外◯◯◯億円も
    入らなくなります。
    一方エアラインは飛行距離伸びますが
    燃料代は手数料分で相殺されるようです。

    1. りょうちん より:

      ロシアにレンタルしてた旅客機を接収しましたが、マトモに整備も出来ず、二度と使えない状態になったら、とてつもない賠償金を請求されそうです。
      どうすんだろう。

      1. とある福岡市民 より:

        そうなったらロシアの航空会社は飛びますね。会社が。
        もっとも、賠償金を払わずバックれるかもしれませんけど。

  8. とある福岡市民 より:

     関係ない話ですみません。
     ふと思ったのですが、江戸のファストフードだった握り寿司が現代では高級料理となったように、現代のファストフードであるハンバーガーが、高級料理となる未来は来るのでしょうか?
     素材にこだわった手作りハンバーガー、1個5000円、みたいな。

    1. 某都民 より:

      1個5000円まではいかなくとも、1個3000円は見たことがあります。
      ビックマックバリューセットを4点買ってもまだお釣りが来ますね(笑)

      しかし、世界には驚きの価格で売られていたハンバーガーも有りますね、オランダで1個約65万円!と思ったら一人ではとても食べきれない量みたいです(笑)
      https://internetcom.jp/207606/most-expensive-hamburger-daltons-golden-boy

      ハンバーガーの場合高級料理路線化よりは、高価格帯と低価格帯の二極化が進みそうな感じがします。

    2. 引っ掛かったオタク@心理的に…無理 より:

      「人口爆発に既存の食糧調達が追い付かなくなったAD20XX、人類はむいむいさんを原料に人工蛋白材を…」

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