安倍晋三総理の自由度は公職を離れて飛躍的に増加した

一介の衆議院議員の発言に中国外交部が反発するというのも凄い話です。安倍晋三総理大臣は、却って公職を離れたことで発言や行動の自由度が飛躍的に高まったのかもしれません。靖国参拝、対台湾議員外交などでさまざまな活躍をしている安倍総理ですが、例の北京五輪「外交ボイコット」についても発言があったようです。

一介の議員の発言に中国が反発

先日の『安倍総理の台湾外交に中国が反発』では、台湾のフォーラムにリモート登壇した安倍晋三総理が「台湾有事は日本有事」、「台湾のTPP参加を支持する」などと述べたことに対し、中国政府が猛反発した、とする話題を取り上げました。

そんな安倍総理は先週、なかなか興味深い発言をしています。

日経電子版の次の記事によると、3日夜のインターネット番組で安倍総理は、自身の台湾を巡る発言に中国が抗議したことに対し、「一国会議員に注目してもらい大変光栄だ」などと述べたのだとか。

安倍氏、中国の抗議「大変光栄」 台湾巡る発言で

―――2021年12月3日 23:40付 日本経済新聞電子版より

考えてみれば、これも当然の話です。

たしかに安倍総理自身は単なる総理経験者ではありません。通算で3188日、連続で2822日、内閣総理大臣を務めた人物であり、どちらも史上最長です(※ついでにいえば、野田佳彦元首相は「史上最長の前首相」でもありました)。

自民党の最大の派閥である「清和政策研究会」(95人)の前会長だった細田博之氏が衆院議長への就任に伴い会派を離脱したことを受け、安倍総理が同会の会長を引き受けたため、これに伴い同派が「安倍派」と俗称されているなど、政界に隠然たる影響力を持っていることは間違いないでしょう。

中国と日本では指導者の論破力がまったく異なる

もっとも、冷静に考えるとわかりますが、現時点で安倍総理は、少なくとも岸田文雄内閣の閣僚などの公職には就いておらず、基本的にはただの衆議院議員に過ぎません。考えてみれば、そんな一介の議員に過ぎない安倍総理の発言に、中国外務省はずいぶんと必死になっているようにも見受けられます。

このあたり、民主的な選挙で選ばれたわけでもないにもかかわらず、中国の事実上の独裁政党であり、党内に明確な序列を持っている中国共産党とは、事情はまったく異なるのです。

これも個人的な持論で恐縮ですが、やはり中国のような独裁国家の指導者と、日本のような完全な民主主義国家の指導者では、論破力がまったく異なります。習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席が全人代で野党議員の舌鋒鋭い質問に必死で応戦する、といったことは考えられないからです。

やはり、日本のような国で長年政権を維持し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」などの概念を提唱してきた安倍総理の指導力、あるいは「全体を俯瞰する力」は、卓越していると考えて良いでしょう。

むしろ自由度が上がった安倍総理

さて、そんな安倍総理、内閣総理大臣という公職を離れてからの方が生き生きとしているように見受けられるのは、気のせいでしょうか。

じつは、安倍総理自身、昨年9月に内閣総辞職して以降、靖国神社にも参拝していますし、先日触れたとおり、台湾のセミナーにオンライン登壇するなど、日本政府の立場をある程度気にしないで自由に動けるようになったのかもしれません。

個人的にはまだ60歳代の安倍総理が「再々登板」する可能性がゼロではないとは思うのですが(※ただし、次の自民党総裁選がある2024年には70歳代に突入してしまいます)、それでもむしろ公職を離れた現在の立場の方が、何かと自由に動けるものなのかもしれません。

こうしたなか、『外交ボイコット巡り優柔不断な首相に保守系議員が不満』では、ジョー・バイデン米大統領が打ち出した「北京オリパラへの外交ボイコット」を巡る、「決められない」岸田文雄・現首相の優柔不断さについて取り上げました。

これに対しても、安倍総理がこんな発言をしたようです。

安倍元首相、北京冬季五輪「政治的メッセージ求められている」

―――2021/12/9 13:00付 産経ニュースより

産経によると、安倍総理は9日、安倍派の会合で次のように述べたのだそうです。

ウイグルでの人権状況について政治的な姿勢とメッセージを出すことがわが国には求められている。日本の意思を示すときは近づいているのではないか」。

この安倍総理の発言、当然、向けられている相手は岸田首相その人でしょう。

さまざまな活動が…

もちろん、日本は議会制民主主義の国であり、さまざまな実権は行政府である内閣が持っています。

憲法上、国会は「国権の最高機関」などと書かれていますが(憲法第41条)、その国会の側にできることといえば、せいぜい「予算や法案を審議する」、「国政調査を行う」といったことであり、法律を具体的に施行するための政令を始め、国を動かすさまざまな機関は、あくまでも政府です。

ただ、安倍総理のような「全体を俯瞰することができる」人物が政界で自由な立場にいるということは、案外、日本にとって必ずしも悪いことではないのかもしれない、などと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. taku より:

    私は、健康状態さえ許せば、安倍元首相の再々登板を期待しております。①TPP推進、FOIP、クアッドなどの国際的かつ将来を見据えた構想力②政権に批判がちな大手マスコミ、それに乗りたがる国民世論を向こうにまわしての国政選挙6連勝という政局への強さ③持論はお持ちでしょうが、憲法改正、靖国参拝、女系天皇等では立場を踏まえた柔軟な対応④坊ちゃん育ちにもかかわらずあのトランプと友好的な関係を築ける人間関係構築力⑤なによりも世界における日本のステータスを大きく引き上げたこと、どれをとっても歴代総理のなかで、群を抜くと考えております。菅前総理も頑張っておられたとは思いますが、やはり差があります。岸田総理は、人の話を聞くのはよいですが、自らのお考えははっきりしません。中国という専制国家が、米国に代わって世界の覇権を握る惧れについて、どう考えているのか。この時期に「外相訪中の打診を受けた」と公表するようでは、話になりません。台湾有事は、日本(日米)の有事であることを、習近平政権のみならず、日本国民もしっかり認識しなければなりません。

  2. 引きこもり中年 より:

    毎度、バカバカしいお話を。
    鳩山由紀夫(元)総理が、「公職を離れた安倍晋三(元)総理が、好き勝手なことを言っている」と批判しているんだって。
    おあとが、よろしいようで。
    蛇足ですが、民主党政権時代の元総理も、北京冬季オリンピック外交ボイコットに関して、何か発言して欲しいものです。もちろん、その結果、民主党の流れをくむ現政党に、どんな影響があるかは分かりません。

    1. だんな より:

      引きこもり中年 さま
      招待されるんじゃない。

    2. 世相マンボウ 。 より:

      鳩ぽっぽさんがそんなことを(笑)

      まあ、中国さんに見込まれて
      日本に出資させて不良債権肩代わり狙いの
      AIIBの理事として餌をもらってる
      鳩ぽっぽさんなのですから
      日本を嵌めるのに失敗した分を
      取り返そうと頑張ってみえるのでしょう。

      すでに書きましたが
      中東のアルジャジーラが昨日づけで
      米国の民主主義サミットに対抗して
      「中国は同様のテーマの民主主義に関する
       国際フォーラムを開催」した
      とのお笑いニュースを載せてました。
      その出席者として
      日本のミスター民主党御大将鳩ぽっぽさんが
      ご発言されたとのくだりもありました。

    3. 通りすがりの官能小説家 より:

      私は個人的な意見として、岸田総理には、北京五輪の政府代理として、鳩山元総理の派遣を求めたいと思います。

      元総理という格の高さ。
      しかも政府はおろか、議員からも離れているのでアメリカにも言い訳が聞きます。
      なんなら、ルーピーと認知されてるので、アメリカも問題視しないでしょう。

      なお、無事お勤めを果たされたあとは、最低でも国外で50年ほどコロナ防疫のために隔離しなければなりません。
      再入国などもっての外です。
      また、元総理という重要人物がもし仮に、仮にですよ。中国政府によって不当に拘束された場合には、一人だけなら誤射、じゃなくて、間違いかもしれません。
      しかしながら、誠に遺憾ながら、日本政府は鳩山元総理が拘束されたことに対し、遺憾砲を打つしかできることがありません。
      惜しい人を亡くしました。
      あ、まだ残念ながら亡くなってなかったですね。

  3. 匿名 より:

    いいですよね、彼の行動。
    議員でいる間は続けてほしいですね。

  4. 匿名 より:

    せっかくポッポを使ってかき回そうと思ってたのに、安倍ちゃんが首相経験者としての発言を上書きしちゃうもんだから。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      普通に安倍以前から自民党の元総理いるから
      ポッポの言動はいくらでも上書きできていたのでは?

      1. 匿名 より:

        影が薄い人ばっかりだったし、麻生さんは国際関係ではあんまりとんがったこと言わないイメージが。安倍さんぐらい存在感のあった元首相って、、、小泉ぐらい?

  5. 匿名 より:

    再々登板もありですが
    第二のアベガーモリカケガーサクラガーが始まりそうでげんなりします
    総理にはならず陰で実権握ってるほうがいいかもしれません

  6. 匿名 より:

    たしかに中国国家主席が全人代で野党議員の舌鋒鋭い質問に必死で応戦しません

    しかし、共産党内部の権力闘争は 平和で民主的ではなく
    共産党中で主席に登り詰め、その座を維持する事は命懸けの論破力が必須と思われます

    1. ちょろんぼ より:

      匿名様

      命懸けの論破力とは、何なんでしょう?
      ナイフ・毒・ビルの屋上からのジャンプ力? それとも現ナマ?
      もしくは腹案がああるとか?

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