「三菱は謝罪と賠償を」という韓国市民団体の論理矛盾

貿易高「台湾>韓国」基調は完全に定着か?

以前からしばしば報告しているとおり、三菱重工の在韓資産である商標権や特許権の売却命令は、典型的な瀬戸際外交であり、「資産売却スルスル詐欺」の一種でしょう。こうしたなか、この売却命令に関連し、韓国の市民団体は「三菱は直ちに謝罪と賠償をせよ」との声明を出したのだそうです。三菱が賠償をしないからこそ、資産を差し押さえているはずじゃなかったのでしょうか?大変に不思議な論理矛盾です。

実体験に基づく訴訟のコツ

以前の『個人的実体験に基づく「自称元徴用工訴訟の不自然さ」』では、「訴訟を通じて勝つ際の心構え」について、ごく簡単に説明しました。

これは、在日韓国人らを相手取って10年近く前に起こした訴訟で、当方にかなり有利な形での和解に持ち込んだこと、裁判に先立って差し押さえた資産のうち、換金できるものについては和解直後にさっさと売り払ったこと、といった個人的実体験を述べたものです。

なぜそのような訴訟をすることになったのか、訴訟当事者は何人いて、だれがどういう立場だったのか、何がどう問題だったのか、といった「個別具体的な事情」については、当ウェブサイトでは説明することを伏せます。

ここでとくに重要なポイントは、次の3つです。

  • ①差し押さえるのは換金が容易な資産に限定すること。
  • ②目的は相手の生活を破壊することではなく、当方の損害の回復に絞ること。
  • ③とにかく訴訟を引き延ばさず、早期決着を目指すこと。

今回の事案については、当方が損害を被ったという具体的な証拠が山ほど残っており、また、先方も法律に詳しくなかったらしく、訴訟の場で次々と「自爆」してくれたという事情もあり、100%とは言わないまでも、8割がたは当方の主張が通りました。

(逆に、ここまで証拠を揃えていて、判決を書かずに和解を勧めてきた判事の若い女に対しては怒りすら湧きますが、この点については本稿で主に議論する内容ではありませんので、割愛します。)

売却はあっという間に済んだ

これに加え、当方についてくれた弁護士が有能な人物だったという事情も大きいでしょう。

こちらが差し押さえた資産は賃貸に出している商業用不動産(実質的に抵当権なし)と法人預金口座、そしてその商業用不動産に入居しているテナントに対する賃料債権であり、当該債権は訴訟開始後に供託され、和解後に、法人預金口座の残金とともに、直ちに分配されました。

ちなみに商業用不動産については、当方が想定するよりも高い値段で売れました。ちょうど日銀がJ-REITの買い入れを始めた直後というタイミングで、不動産市況も活況を呈していたからでしょうか、ちょっと怖いほどの高値で買い手が付いたのです。

といっても、実際に任意売却手続を開始して以降、買い手がついて入金されるまでの間に半年ほど時間を要しましたが、それでも弁護士いわく、「諸手続を含めたった半年で終わりましたね」、「これはあっという間に売却できた部類に入りますよ」、とのことだったのが印象的です。

こうした実体験に基づいて、韓国の自称元徴用工判決問題、すなわち2018年10月と11月に韓国の最高裁に相当する「大法院」が下した日本企業に対する損害賠償命令などの件を眺めていると、違和感しか抱きません。

当ウェブサイトで何度となく報告してきたとおり、差し押さえられている資産は、日本製鉄や不二越は非上場の合弁会社株式、三菱重工については特許権と商標権(!)という、どれも売却が極めて困難なものばかりだからです。

しかも、裁判が終わってから、とりあえず換金可能性すら考えず、「差押できる資産を差し押さえてみた」、という印象があります。自称元徴用工らの代理人弁護士は、いったい何を考えているのか、と思ってしまいますね。

なぜ「絶対に」資産売却に踏み切らないのか

さて、当ウェブサイトでは世間の多くのニューズサイトなどと異なり、今回の自称元徴用工側の狙いについて、「本気で換金するつもりがないからこそ、わざと換金できない資産ばかりを選んで差し押さえている」、という仮説を提示してきたつもりです。

こうした仮説はもちろん、個人的な実体験に加え、いくつかの企業における訴訟案件を眺めてきた1人の職業的専門家としての感覚に基づくものですが、結果的に大きく間違ってはいなかったようです。

債権差押「取下げ」も顕在化してしまったコリアリスク』で詳しく触れましたが、三菱重工の件での原告側は、8月に同社(※正確にはその孫会社)が韓国企業に対して保有している金銭債権をいったんは差し押さえたものの、その後は慌てたように申請を取り下げてしまいました。

その理由はおそらく、金銭債権の場合、差し押さえたことにより債務者が当該金銭を供託したら、その瞬間から、三菱重工(あるいはその孫会社)にとっては「期日までに売掛債権が入金されない」という「実損害」が発生するからです。

2018年当時から、安倍晋三総理、河野太郎外相(当時)、菅義偉官房長官(当時)らは、「日本企業に不当な不利益が生じることは許されない」という見解を述べてきましたし、こうした見解は、菅総理や茂木敏充外相、加藤勝信官房長官らにも引き継がれています。

(※きっと岸田文雄「首相」や同政権下の外相、官房長官らにも引き継がれると信じたいところです。)

だからこそ、原告側は、金銭債権を差し押さえて債務者がそれを供託した瞬間、日本企業に実損害を与えてしまうと「越えてはならない一線」を越えたことになってしまうということに、何らかの理由で気付いたのでしょう(もしかすると彼らも日本国内のウェブ評論サイトなどをチェックしているのかもしれません)。

韓国の市民団体「三菱は謝罪と賠償を」の論理矛盾

こうした当ウェブサイトの見解が、ほぼ正解であるという間接的な証拠が、また出てきました。

ここでは、韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事を紹介します。

釜山市民団体「三菱資産売却命令は正当…即刻賠償を」

―――2021.09.29 15:56付 中央日報日本語版より

中央日報によると、「日帝強占期」の「強制労役被害」(※誤植は原文ママ)に対する補償に「背を向けてきた日本企業」に対し、釜山の市民団体が被害者に対する「謝罪と賠償」を促したのだそうです。

これは、『徴用工問題の真の加害者は「国際法破り」の韓国の側だ』を含め、当ウェブサイトでは何度か取り上げて来た、韓国の大田(だいでん)地裁が三菱重工の特許権と商標権の売却命令を出したとする話題に関わるものです。

中央日報によると、市民団体は「釜山日本領事館の前で」(※ここ、笑うところでしょうか?)記者会見を開き、「裁判所の資産売却命令は正当だ」、「戦犯企業の三菱は即刻謝罪、賠償すべき」、などと主張したのだとか。

この市民団体とやらと自称元徴用工らの関係は明らかではありませんが、この「市民団体」とやらの声明からは、韓国側のホンネが見て取れます。

裁判について少しでも知っている人が見れば、「戦犯企業の三菱が賠償しない」のならば、「その戦犯企業の三菱から資産を取り上げて強制売却すれば良いじゃないか」、という発想に、当然のごとく、たどり着きます。

その発想にたどり着かない時点で、深刻な論理矛盾を来しています。もし本気で賠償を求めるなら、三菱の許可なく、差し押さえた資産をさっさと売却すれば良いだけの話だからです。

いずれにせよこの手の声明を読むにつれ、韓国社会では今回の一連の判決、資産差押、売却命令が「戦犯企業である三菱に謝罪と賠償をさせるためのツールに過ぎない」と、当然のごとく、認識されているという証拠であるように思えてならないのです。

オマケ:貿易高では「台湾>韓国」が完全に定着か?

こうしたなか、韓国で「資産売却スルスル詐欺」をなさるのも自由ですが、そんなことが続けば、国際社会から「韓国は法治国家ではない」とみなされるリスクを、自分で勝手に高めているようにも見受けられます。

そして、少なくともコーポレート・ジャパンに関しては、「韓国除外」に向け、粛々と歩みを進めているように思えてなりません。

昨日公表された貿易統計のデータを眺めていて気付いたのですが、『台湾が韓国を抜き「3番目の貿易相手」に浮上した意味』や『6月の輸出高も「台湾>韓国」:基調は定着するのか?』などでも触れた、「貿易高における台湾と韓国の逆転」が、基調として定着してきたようです(図表)。

図表 日本の貿易(2021年8月)
相手国輸出高/輸入高貿易高/貿易収支
中国1兆4211億円/1兆6293億円12兆9842億円/▲3兆0504億円
米国1兆1506億円/7576億円5兆7313億円/+1兆9082億円
台湾5210億円/3239億円2兆2956億円/+8449億円
韓国4785億円/2771億円2兆2382億円/+7555億円
豪州1128億円/5263億円3兆2414億円/▲6391億円

(【出所】財務省税関『財務省貿易統計』より著者作成)

台湾と韓国の貿易高は、とくに今年に入ってから逆転傾向が顕著になり出したのですが、このあたり、時間があれば近日中に品目別分解などの分析をしてみたいと思います。

読者コメント一覧

  1. G より:

    いわゆる「戦犯企業」と韓国が指定する日本企業は、すでに韓国国内では現金商売以外出来なくなっています。もちろん現地拠点を作ることも出来ません。韓国国内に資産を持つと差し押さえられるからです。既に例外なくそのような対策がされているはずです。

    それってある意味「セルフ制裁」なんじゃないですかね。韓国企業が、日本の有力企業と取引する際に商慣習上当たり前の一切の支払い猶予を受けられません。

    実は韓国にはこのように自分がやったことの結果として苦しんでいてでも絶対に被害を訴えられないような話がたくさんあるのではないでしょうか。日韓漁業協定が復活せずに苦境にある漁業関係者もそうでしょう。日本産の魚介類を使わないと営業できるわけない飲食店ってのもありますね。
    そもそも放射能言いがかりに関連して日本産の魚の産地偽装が検挙されたりしますが、あれってどうやって調べるのでしょう。日本産も韓国産もたくさんある魚種なら、それがどちらか確認する手段はありません。「そもそもこの魚種は日本産しかない」からこそ摘発できるのではないでしょうか。

    セルフ制裁。我慢しきれなくなるまで続けてほしいです。彼らは意地でも音をあげませんが、結構きついように見受けられます。そう思って韓国を観察していると、なんだか見方も変わってきます。 まあ頑張ってね〜

  2. どみそ より:

    過去 韓国に金融不安、金融危機が起きた時、 日本は通貨スワップでの支援、IMF経由での支援(ただしその資金の供給元は日本)、また 欧米銀行団の韓国からの資金引き上げを 日本が説得など、多くの便宜を提供してきました。
    このことから 韓国が傾いても最後は日本がなんとかすると 欧米の認識があるとも思います。
    ここで 麻生さんが 「韓国に金融危機が起こっても日本は知らん。自分で解決しろ。」
    と 口を滑らせてくれるだけで 絶大な反響があると思います。
    これ まったく制裁ではありませんけど。

  3. だんな より:

    >この市民団体とやらと自称元徴用工らの関係は明らかではありませんが

    中央日報には、「釜山ギョレハナなど市民団体」と書かれています。ギョレハナは、代表的な中朝工作機関で、辺野古など日本国内でも活動しています。
    釜山ギョレハナは、領事館前に慰安婦像を設置した地方支部です。
    市民団体と自称徴用工の関係は、反日扇動団体とその道具と考えられます。

    新宿会計士さんは、この辺をわざと書かないのか、どうでも良いと思っているのか良くわかりませんが、韓国の市民団体や労働団体を知ることは、全体を見る上で重要だと思います。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      「しっかり匂わせていたから、わざわざ明記する必要もない」という判断じゃないの?

  4. イーシャ より:

    論理矛盾?
    そんな難しいことがわかるなら、いつまでも韓国人なんかやっていないニダ。

  5. めがねのおやじ より:

    論理的矛盾なんて、韓国のいつもの事です。とにかく自己中でわがまま言い放題、すぐにデモ活動、特に日本には一歩も引かない。
    でもこんな事やっていると「セルフ制裁」になってます。貿易額も日本は台湾>>韓国になりました。更に5位、6位、7位と転落する可能性がある。金額ベースも減って、良い具合です。

    首相が変わったので、ココぞと韓国は挑発するでしょう。岸田総裁はあまり話し上手とは見えません。よって、官房長官や外務大臣にはオシの効く人をお願いします。

  6. 元日本共産党員名無し より:

    > ②目的は相手の生活を破壊することではなく、当方の損害の回復に絞ること。
    訴訟事の基本ですね。
    この法廷を用いた芝居の韓国側はこれとは逆方向に動いて居ますね。日本企業を貶め辱め、できれば日本を破壊する事を目指している。形式としては「声闘」と言われる中朝のエリアで特異に見られるネガティブな「文化」の形式。表向きは日本を全て破壊するぞと脅し、実質は日本を奴隷化しようとしている。肝心カナメの訴訟の発端の原告なんて神輿に担ぎあげるただの偶像。幾らでもサラミスライスして「現金化するぞ」と脅し続ける。国内でアピールし続ける。1970年代の東アジア反日武装戦線の様な日本側のシンパシーが強化される事を願っている。

  7. はにわファクトリー より:

    「台湾と韓国の逆転」は基調定着するかの設問に関しては、伸び代があり成長余地は大きいと言って間違いないと思います。日台経済産業連携は今でこそ分野は限られているが、広がりのようなものが生まれることを期待します。
    「未来志向をカタる」「20世紀からやってきた亡霊たち」とこれ以上関わるのはたいがいにしたいものです。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。