中国当局には人民元の国際化を容認する覚悟はあるのか
まだ理由は明かせませんが、現在、「通貨の使い勝手」に関する議論をまとめている最中であり、先日の『人民元決済の現状:人民元国際化は幻想か、それとも?』も、この「通貨論」に関して執筆した論考のひとつです。こうしたなか、本稿では少し時事ネタから離れ、「通貨論」について、いくつか専門的な話に加え、ちょっとカジュアルな話題についてもあわせて紹介したいと思います。
目次
通貨の使い勝手を議論する
先日の『人民元決済の現状:人民元国際化は幻想か、それとも?』では、国際決済電文サービスを手掛けるSWIFT社が公表する『RMBトラッカー』というデータをもとに、中国の通貨・人民元の国際化、という議論を展開しました。
ちょっと議論が唐突だと思った方も多いでしょう。
じつは、現時点でまだお話できませんが、さる事情があって、現在「通貨の使い勝手」に関するデータを再び集めているのです。
著者の試算によれば、地球上には現在、160を超える通貨が存在していて、通貨の数え方によれば180以上に達するとの見方もあるようですが、このあたりは通貨の定義にもよるため、通貨の厳密な数については確たることは言えません(詳しくは拙著『数字でみる「強い」日本経済』などもご参照ください)。
ただ、これらのなかには「自国民だけでなく外国から信頼されている通貨」もあれば、「自国内でしか通用しない通貨」、あるいは「自国民からも信頼されていない通貨」もあります。
そして、著者自身は「その通貨の発行国・地域内だけでなく、国際的に広く通用する通貨」のことを「ハード・カレンシー」、それ以外の通貨を「ソフト・カレンシー」ないし「ローカル・カレンシー」と呼んでいます(これは通貨当局の公式のものではありませんが、一般によく見られる表現です)。
そして、ある国が「先進国」になったといえるかどうかについては、その国の通貨が「ハード・カレンシー」といえるかどうかで判断すべきと考えています。なぜなら、その通貨が「ハード・カレンシー」となるためには、その国が国内の資本市場を外国人に対して開放しなければならないからです。
当然、中国のように金融市場に関しては事実上の統制を継続しているような国は、人民元市場を開放することができません。というのも、金融市場を完全に自由化してしまったら、海外からの投機資金が流れ込むだけでなく、国内から資金が逃避する可能性もあるからです。
トリレンマの議論
国際収支のトリレンマと金融政策
ここで重要な議論が、「国際収支のトリレンマ」です。
『「国際収支のトリレンマ」に逆らった国・スイスの末路』でも説明しましたが、これは「金融政策の独立」、「資本移動の自由」、「為替相場の安定」という3つ(トリ)の政策目標を同時に達成することはできないという鉄則のことです(だから「トリ(3)レンマ」と呼ばれます)。
ここで金融政策の独立とは「自分の国が独自の金融政策を採用すること」であり、資本移動の自由とは「外国と自由に資本取引できること」、為替相場の安定とは「為替変動が激しくないこと」です。
このうち「資本移動の自由」、「為替相場の安定」については、見てすぐに理解できると思います。しかし、「金融政策の独立」という単語は、「聞きなれない」(あるいは「なんとなく知っているけれども正確な意味はよくわからない」)という人が多いと思いますので、あらためて説明をしておきましょう。
「金融政策」とは、とても単純化して言えば、「おカネの借りやすさ」をいじるオペレーションのことです
たとえば、当ウェブサイトの読者の方でも、「住宅ローンを借りている」、あるいは「むかし住宅ローンを借りていたけれども返し終わった」、という経験をした方は多いでしょう。その際には、借りたおカネを返すだけではなく、金利を支払う必要があります。
都内の某銀行の店頭では、「当初2年間は年金利0.55%、その後は変動金利」、というパターンの住宅ローンを見かけますが、この「0.55%」という金利は、基本的には需給(市場メカニズム)で決まります。
つまり、世の中に「おカネを借りたい」という人の方が多ければ金利は上がりますし、「おカネを貸したい」という人の方が多ければ金利は下がります。そして、「おカネを借りやすい」、つまり「金利が低い」という状況が生じれば、そうでない場合と比べれば景気は良くなるはずです。
日銀が量的緩和政策を行う理由
この「金利が高い」、「金利が低い」という状況は、基本的には世の中に出回っているおカネ(マネタリーベース)が一定であれば、純粋に世の中の需給だけで決まるのですが、日本は管理通貨制度の国であり、日本銀行はわりと恣意的に資金供給量を増やしたり減らしたりすることができます。
現在、日銀が行っているイールドカーブコントロールと呼ばれる政策は、国債を中心とする債券を大胆に買い入れ、特定年限の金利を特定金利に誘導する(たとえば10年債利回りをゼロ%近辺に誘導する)というものです。
日銀が国債をジャンジャン買い入れれば、世の中におカネが大量に供給され、おカネがダブつくことで金利は低位安定します(実際、現在の日本国債市場ではマイナス利回りが常態化している状況です)。そして、おカネの量が増え始めると、本来であればおカネの価値が下がります。これが、「インフレ」です。
一般に経験則として、社会全体の(期待)インフレ率が2%前後であれば、適切な経済成長が実現するとともに失業率も低下するといわれています。これが「フィリップス曲線」の議論ですが、本稿では詳細は割愛したいと思います。
「3つの目標」のどれを優先するか
さて、「トリレンマ」の議論からすれば、通貨当局者が3つの政策目標(「金融政策の独立」、「資本移動の自由」、「為替相場の安定」)のどれを優先するかというのは常に問題となります。
ただ、日本や米国、ユーロ圏や英国など、いわゆる「ハード・カレンシー」の採用国に共通しているのは、「金融政策の独立」と「資本移動の自由」を最優先課題とし、「為替相場の安定」という政策目標をあきらめている、という点です。
菅義偉政権下で副総理兼財相を務めている麻生太郎総理はしばしば記者会見で不勉強な記者から為替相場の水準についてコメントを求められ、「具体的な為替相場に言及することは控える」という当たり前の回答が来る、というパターンを見かけます。
しかし、日米欧などの主要国は、いずれも自由な資本移動と独自の金融政策という2つの政策目標を重視しているため、為替相場に関しては民間企業がみずからリスクを管理すべし、というのが政策の鉄則なのです。
これに対し、香港やデンマークなどの場合は、主要国通貨(香港の場合は米ドル、デンマークの場合はユーロ)に対し、為替相場を固定(ペッグ)することを政策目標に入れています。このため、これらの国の場合は「独自の金融政策」という政策目標を放棄せざるを得ません。
実際、香港では2000年代後半、中国本土などからの投機資金流入によるインフレに悩まされていましたが、香港金融管理局(HKMA)は為替ペッグ制を維持しなければならないため、香港ドルに買い圧力が働くなかで、香港ドルを売り続けなければ(つまり資金供給を続けなければ)ならなかったのです。
このように考えていくと、中国本土も「トリレンマ」の鉄則とは無縁でいられません。
結局、彼らが採用しているのは為替相場の安定と独自の金融政策であり、その結果として資本移動の自由という政策目標は放棄せざるを得ないのです。
通貨の3大機能
通貨の使い勝手と「通貨の3大機能」
さて、この「トリレンマ」や「フィリップス曲線」などの議論を始めると、当ウェブサイトの「定番」である「国の借金論は間違い」、「財政破綻はあり得ない」に辿り着くのですが、今月はちょうど四半期ごとの日銀資金循環統計が公表されるため、この議論は今月中旬以降に取っておきたいと思います。
それよりも本稿であらためて振り返っておきたいのが、「通貨の3つの機能」です。一般に通貨には「価値の尺度」、「交換・決済機能」、「価値の貯蔵機能」という3つの機能があるとされます。著者自身の定義で恐縮ですが、これらはそれぞれ次のとおりです。
通貨の3大機能
- ①経済価値の尺度…財貨・サービスの価値を金額で測定する機能
- ②交換・決済機能…財貨・サービス、金融商品等を売買・決済する機能
- ③価値の貯蔵機能…貨幣的価値を将来に向けて保存する機能
このうち①については、通貨の最も本質的な機能であり、これがなければそもそもの市場経済が成り立ちません。「コメ5キロとダイコン20本を物々交換しましょう」というよりも、「コメ5キロ2千円」、「ダイコン1本100円」と表示した方が、経済価値としてははるかにわかりやすいでしょう。
次に②は、「最終的に所有権が移り、権利義務関係が解消されること」です。たとえばスーパーで「ダイコン1本100円」と表示されていれば、スーパーに百円玉を渡せばダイコン1本が自分の持ち物になり、今後、その取引に関し、スーパーから追加でカネを払え、と求められることはありません。
(※なお、消費税等は無視します。また、買った大根の中身が「はらぺこあおむし」などにムシャムシャ食べられてしまっていた場合には、スーパーに文句を言うことができますが、これは瑕疵担保責任というまったく別の議論です。)
そして③は、「資産形成」などのことであり、具体的には貯金がわかりやすいでしょう。「とりあえず20万円の給料をもらったけれど、今月は15万円しか使わなかった」という人は、その5万円を来月以降の生活費に回すこともできますし、ほしいモノを買うために貯めておくということもできます。
ただし、ここで重要なのは、地球上のありとあらゆる通貨にこの①~③の機能が等しく備わっているわけではない、という点です。
たとえば①の機能は北朝鮮ウォンを含め、地球上に存在するあらゆる通貨に備わっていますが、②や③の機能については、必ずしもあらゆる通貨に成り立っているというものではありません。独裁国家などにありがちですが、通貨制度が崩壊し始めると、得てして③、②の順で機能が損なわれるという傾向にあります。
通貨制度が崩壊した極端な事例としてわかりやすいのは、2000年代初頭からの経済危機で天文学的なインフレ率を記録したすえに、通貨制度自体が崩壊に追い込まれた、アフリカ・ジンバブエのケースなどがその典型例でしょう。
一方、これとは逆に、ハード・カレンシーの場合は②や③の機能が特に強いという特徴があります。国際的な商取引、金融取引、資本取引などにおいて使われる通貨は、長年、事実上は米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドなどに限られて来ました。
当ウェブサイトとしては、「このハード・カレンシーの一角に人民元が食い込もうとしている」という点について、継続的に追いかけているのであり、先日の拙稿も、まさにこうした「通貨の使い勝手」という視点から取り上げたものだった、という次第です。
旅行をしていて気が付いた、「通貨論のおもしろさ」
さて、当ウェブサイトではやたらと「通貨論」に関する記事が多いと感じる方も多いのではないかと思いますし、国際金融協力の世界における「通貨スワップ」「為替スワップ」なども、結局は通貨論の延長線上の話でもあります。
ただ、現在は「新宿会計士」と名乗っている著者自身が通貨論の面白さに気付くきっかけは、若いころの海外旅行にありました。
日本にいるとあまり意識しないのですが、海外の、自国通貨が信頼されていないような国を歩いていると、彼らは外国の紙幣を大変にありがたがります。いや、正確に言えば、「ハード・カレンシー」を大変にありがたがる、といった方が正確でしょう。
たとえば、ユーロ導入前のギリシャを旅した際には、日本に帰るときのお土産品として革製のカバンを購入したのですが、その際、現地の通貨・ドラクマではなく、日本円の紙幣をそのまま支払いに使用したのです(たしか6千円でした)。
あるいは、ギリシャの観光地ではエッチなトランプを売っているおじさんがいて、日本人観光客を見つけるや否や、日本語で「ニコデ、センエン!センエン!」などと話しかけてくるのです。
1990年代後半といえば、まだ「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の残り香があったころですが、日本から遠く離れたギリシャの地で日本の紙幣がそのまま使えてしまうというのに、大きな衝撃を受けた記憶があります。
また、2010年代前半に南米・ウルグアイの美しい観光都市「コロニア・デル・サクラメント」を訪れた際には、レストランで食事をした時の伝票に、現地通貨に加え、米ドル、ユーロ、そして隣国の通貨・アルゼンチンペソ建ての料金が記載されていたのも興味深い思い出です。
【参考】ウルグアイのレストランの請求書
(【出所】著者撮影。$uruはウルグアイペソ、$argはアルゼンチンペソ、dolaresは米ドルのことと思われる)
じつは、この論点など、「通貨の3大機能」そのものと直結しているのだ、という言い方をしても良いでしょう。
今になって思い返してみると、「隣国通貨」というケースもさることながら、発展途上国や経済が不安定な国では、遠く離れた米ドルやユーロなどを有り難がっているということを、肌感覚として知ることができたのは、非常に良い経験だったと思う次第です。
人民元にはまだその「覚悟」はない
さて、ここで今後の当ウェブサイトの問題意識をまとめておきます。
冒頭でも申し上げたとおり、当ウェブサイトともある程度は連動させるかたちで、今後、あらためて「通貨の使い勝手と人民元の未来」について議論を行っていきたいと思っています。
ただ、本稿で指摘しておきたいのは、人民元の国際化というものは、おそらく今後、しばらく停滞するであろうという予測です。
ある通貨が「国際的に通用するハード・カレンシー」となれるかどうかのポイントは、結局のところ、通貨としての使い勝手が良いかどうかという点に尽きるのであり、人民元の場合は上記「通貨の3大機能」でいう②、③の面で必ずしも使い勝手が良いとはいえません。
もちろん、個人的には最近、海外旅行にはまったく行っていませんので、現在、世界各国の街中で人民元が米ドルやユーロと同じように流通しているのかどうかについては、存じ上げる立場にはありません。ただ、少なくとも目に見える統計では、人民元の国際化は止まったままなのです。
なぜ、人民元に②、③の機能が備わっているとは言い難いのかについては、これまでも当ウェブサイトでは『債券市場からみた、「人民元が米ドルに勝てない理由」』や『国際的な債券市場と人民元:2015年を境に成長停止』などでも言及してきました。
結局のところ、中国は「トリレンマ」でいうところの「為替相場の安定」と「金融政策の独立」の2者を達成すべき政策目標に選んでいるため、自国の通貨市場・債券市場・先物市場・スワップ市場などを完全に開放することができないのだと考えた方が正確でしょう。
そんな人民元が「国際通貨として日本に挑戦する」とは片腹痛いと思わざるを得ない、というのが、個人的な偽らざる感想なのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
人民元札が世界各国の街中で使われることはないでしょう(某半島を除く)。
理由は簡単で、偽札が多いからです。
偽物を買うには偽札で十分という中国人の知恵には感心しますが、国内に留めるべきですね。
余談ですが、dolares (スペイン語) は米ドルで間違いありません。
う~ん
経済はよくわからないが
そのためにデジタル化(デジタル人民元)をすすめようとしているのではないですかね?
侮るべきではないかなと思います
わんわん 様
その通りですね。
ただ、計算(マイニング)能力が十分にあればブロックチェーンは巻き戻せるので、中華主導では信用されない可能性が高いのです。
「元」はともかくとして「銀聯」はどうでしょう。
日本ではやたらUnionPay対応が多くなったなと言う印象ですが、世界的にどうなのかは最近外国に行っていないのでわかりません。
海外で行動するとき少額の米ドル紙幣を財布に入れておくと役に立つことがあります。
自分は実践したことはありません。あるとき混雑したバザール街頭でお土産もの販売の売り声を挙げていた男が、こっちが外国人とみとがめて「ドルならこれこれ」と言い換えたのです。デンデン太鼓のような民族楽器でした。さっと暗算したところ、現地通貨で支払うより有利でした。そのときは手持ちはなく(財布にたくさん持たないよう心掛けているため)買わなかったですが、あの値には心が動きました。もう一度出会ったら複数個買ってみたいものです。
はにわファクトリー 様
南米へ行くとき、1ドル札を10〜20枚持って行くようにしていました。
あの時は、現地通貨価格はふっかけで、米ドル価格が正値だったのではと思っています。
「よし、その値で買おう。ただし2個だ」と言ってみたくて …
宇宙飛行士だかのサバイバルキットに「ドル札」が入っているとも聞きましたね。
ヲタク的にはヨルムンガンドの最終話で「言葉わかんなくても適当に店に入ってドル札振り回して食べるマネすればなんか出てくるんだよ。」というセリフが。
通貨の歴史を紐解いてみると、通貨の生命線とはつまるところ「信用力」の有無だったのではないかと考えています。
例えば世界初の紙幣と云われている宋の公子ですが、濫発されまくり兌換機能を失い信用力を失い消滅してしまいました。我が国でも江戸時代数多くの藩札が発行されては消え去った歴史があります。近代では先の大戦中に大量にばらまかれた軍票という「子供銀行券」のような代物もありました。
現在の中国の通貨である人民元には、発行元である中国人民銀行、ひいては中国共産党の幹部連中が考えている以上に、信用力が圧倒的に不足しているのではないでしょうか。中国共産党の行動原理は、我々西側の人間からすると全き別世界のものです。
ウィグル問題や昨今の香港への扱いなど、あの国では我々には想像もできなぬほどのおぞましい事案に満ち溢れています。
EU、といってもつまるところドイツのことですが、これまで中国にかなり親和的な姿勢で中国につきあってきましたが、ここ数ヶ月その態度にも陰りが見え始めているようにも見えます。ただこれはあくまでも「そのように見える」だけのことでホンネの部分はよく分かりませんが。
ただ、心の底から中国を「信用」しているわけではないことだけは透けて見えているようにも思えるのです。
この辺り、新宿会計士様のようにデータを提示して明確に説明できないのが我ながらもどかしいところです。
外貨は蓄財手段として使われます。当方は eBay で外国からものをしばしば購入しています。もっぱら電子部品ばかりなのは職業柄で、パソコンの修理部品も買います。この頃は値段の安い大陸製品が多いです。知人は AliExpress に入れ込んでいます。北米や欧州から eBay ですとむやみに送料が高くつく。
(うかつもの投稿者ははにわです)
eBay で深セン・香港からの商品販売において、一般的な米ドルでなく、豪州ドルや欧州ユーロを決済通貨としている出店者がいます。そうやって外貨を集めているんですね。
eBayはPaypalが使えるのですが、Aliは日本からだと使えません。
さすがに中華系にカード情報を渡すのはちょっと…と思ってAliには手を出していません。
明快で解りやすい解説をいつもありがとうございます。
現状の人民元の国際化は、
貿易決済の自由化もずっと滞ったままで、
すでに中共政府はやる気が失せたと
私も思います。
今後のデジタル通貨の進展の中では、
人民元はデジタル人民元として
一帯一路経済圏国の中で流通し、あとは、
自由主義経済圏vs一帯一路経済圏の
勢力争いの構図になるのかなあ?
と漠然と思ってきました。
ただ、今月号の「選択」の記事を読んだら、
中共政府は、デジタル人民元を諦め、かわりに
アリババやウイチャットの電子マネーを据えて、
かつ、それらを政府に呑み込もうとしている
という見方があることを知ってびっくりしました。
アジアを中心に個人にまで浸透している
アリババを使ってのゲリラ戦とは
油断ならないなあと想像します。
世相マンボウさま
>アジアを中心に個人にまで浸透しているアリババを使ってのゲリラ戦とは
それはありそうな話です。オークションサイト、B2B取引サイト、携帯電話決済をかのかの国が推し進めようとやっきになるその真意は、自国通貨以外を使わせない意図があるからです。
連投すみません。
微信=ウイーチャットを介したお金の貸し借りをある日目のあたりにして心底驚いたという逸話を書きます。驚きの本質は、お金のやりとりがどこかに筒抜けなら、という恐怖でした。
ある日当方は会社訪問に同行、午前の部を首尾よくこなして主催の人物とともに昼食をとることになりました。某私鉄駅前でした。食事のさいちゅう彼がこんなことを言い始めたのです。だれそれ(共通の知り合いの中国人)が金を貸してくれと言っている。よくあることなので、今ちょうど送金してあげたよ。訪問同行者はウイーチャットの画面を見せて自慢げです。こうすればお金が相手に届くんだ。
中国人は誰もが三大銀行のうちどれかに口座を持ち、ウイーチャットアカウントはそれに結びつけらえているとは風聞で知っていました。誰の某氏はその瞬間インドネシアにいて、何か理由で即金が必要になった。用立てた人物は日本人で日本に居たままです。誰の某氏が怪しい商活動をしている可能性は大きい。ですが返済時に利息を足してくれている人物を訪問同行氏は重宝がっていました。この逸話に身が震える思いをしたら正常です。
微信に信用があると言うよりは、中国人社会での長年の地下銀行運営のノウハウなのでしょう。
逆に微信で決済できるくらい、破ったときの超法規的な制裁システムがあるということ。
ジャカルタで彼は何を? 東京にいるはずなのに。
彼の場合目こぼしにあずかっているか、それとも当局とぐるかも知れないw
万年金欠に違いない誰の某氏が、当月のクレジットカード引き落としを切り抜ける自転車操業生活をしているだけ、だとそれほど心配でないのですけど。
はにわファクトリー様
>驚きの本質は、お金のやりとりがどこかに筒抜けなら、という恐怖でした。
微信でのやりとりは、中国共産党政権の息のかかった国有企業(?)が扱うビッグデータとして「全て筒抜けである」と言っても過言ではないでしょう。
先月、ある中国ビジネスセミナー(オンライン)に参加したところ、上海・北京での駐在経験が長い(今は帰国済み)弁護士先生が「中国(大陸)では『中国共産党にあらゆる情報が筒抜けだ』ということを前提(当たり前の事実)として社会が成り立っている。翻って見ると、それが仮に民間企業であっても個人情報を扱うことに抵抗感がないとも言える。日本では社会通念上とてもやりにくい新規事業であっても、中国でそれを試してみてはどうか。『情報が当局に筒抜け』であることが前提の社会なので、特定のデータを収集するにはもってこいの市場がそこにありますよ」という旨の説明をされていました。
とても誤解を招きかねない話ですが、その弁護士先生は決して悪事を勧めているのではなく、「それが良いか悪いかは別にして、中国という市場は使い方次第で日本企業にとって大きなチャンス(メリット)が生まれる可能性を秘めている」ことを伝えたかったようです。
詳しい方に一気呵成で語っていただく機会が提供されていること、自然に各界のご専門家のかたが集って自らの知見を語っていること、これが会計士どのが達成できたひとつの高みのように当方は思っています(発言を許していただいているサイト主さまに感謝しております)
名古屋の住人さま
>ビッグデータとして「全て筒抜けである」と言っても過言ではないでしょう
知っててあのように表現しましたw
ボスに自分と職場をスパイさせる社員が居ます。すなわち、ちゃんと仕事している忠義を示すために、スパイ装置を仕掛けるのです。困ったものです。
中国国内企業以外の外国企業が義務付けられている公認ソフト(確か税務ソフトだったかな)にゴールデンスパイというバックドアを作るスパイウェアが埋め込まれていたと、今年8月ドイツ情報局よりドイツ企業に警告があったのをご存知ですか。同時に米FBIも米企業に警告を発しています。
米国がティクトック他中華アプリの使用禁止したのも、個人情報が中国に筒抜けになることを確認したからとか。
多分、中国に進出している日本企業も相当に情報を窃盗されている筈です。バックドアということは取引関係の金額だけででなく、バックドアを通じてサーバーに侵入し技術情報を窃盗することも可能となります。
まあ、欧米日だけでなく中国にある韓国サムスンも結構盗まれているのでしょうね。最近レノボがサムスンとそっくりな二つ折りスマホを出せたのも技術情報を窃盗したからかとか、勘ぐりだすときりがありません。
近い将来、中国に進出した企業は資本だけでなく虎の子の技術まですっかり身ぐるみ剥がれた上に追い出される姿がだんだん見えてきました。
百度には日本では目に触れない情報が山積みになってました。若い衆に百度を使ってもらったことがあるのです。中国に生産委託している世界企業が部外秘で渡した資料や、製品の外注開発過程で作成された部外秘資料がざっくざくでしたーw
外注したあなたの会社の資料実名入りで百度にあがってます(たぶん)
はにわファクトリー様
>知っててあのように表現しましたw
ご存知でしたか~(笑)
はにわファクトリーさま
りょうちんさま
名古屋の住人さま
匿名29号さま
帰宅してコメント欄見たら
私の知らないディープな情報まで
ふんだんに教えていただいていて
驚き感謝しています。
そしてこのような場を設けていただいている
新宿会計士様にあらためて感謝申し上げます。
中国美女の誘惑には騙されないし
向こうも寄っても来ない私ですが(笑)
アリババなど中国通販でPC買えなくなるぞ
と脅されたらコロっと寝返ってしまいそうです。
Facebookが主導する
次世代仮想通貨Libraが勢いを持ってた頃、
私は、あんな ザッパー・バーカ(?)なんかに
世界の金融の覇権を握らせてなるものか
と感じていたものです。
その後Libraは、米国公聴会で
ザッカー・バーグがコテンパンに叩かれて
涙目で今や風前の灯です。
ただ、
フェイスブックがアリババで
米国政府が中共政府だと置き換て考えたら、
そうした自由主義社会における
SWでのフォースを重んじるようなありかたは
中国というダークサイドを前にしては
苦戦を強いられるものかもしれないと
最近日々感じています。
>中国当局には人民元の国際化を容認する覚悟はあるのか
私はまだその覚悟はない、いやまだそのタイミングではないと考えます。あくまで個人的な見解ですが、人民元の国際化は中国共産党が最も恐れる「外国勢力による平和的手段による政権転覆」に直結する事項であり、中国共産党にとって「もろ刃の剣」であるためです。
少し古い話ですが、時の鄧小平が1992年1~2月の「南巡講話」で「発展才是硬道理(発展こそ正しい道だ)」と述べ、計画経済の維持にこだわる李鵬総理等の保守派に強烈な一撃を加え、その後の高度経済成長の道を驀進するきっかけとなりました。
しかし、1997年7月に始まったアジア金融危機に対し、中国共産党政府は相当の危機感を抱いたと言われています。欧米のヘッジファンドが世界金融に与えうる影響力をまざまざと見せつけられたにもかかわらず、それに対抗しうる経済力も軍事力もなかった当時の中国のトップは江沢民。俗に中国共産党トップ集団の中でも経済に明るいと言われる上海閥であり、1998年3月には中国共産党きってのテクノクラートと呼ばれた朱鎔基が李鵬に代わって国務院総理の座に就いた頃でした。
ここからは私の独断と偏見に基づく独り言ですが、中国共産党は将来的には人民元の国際化を成し遂げる方針は間違いなく持っているでしょう。但し、それは世界唯一の超大国である米国を下し、名実ともに世界唯一の超大国になった後のことではないかと思います。
そのためには、まず経済力をつけること、次に軍事力を整備すること、そして世界唯一の超大国を下すこと。それが成し遂げられた暁には、ドルの基軸通貨としての地位は既に雲散霧消しており、それにとって代わるのは何を隠そう「人民元」であると。そのために、サラミ・スライス戦術を続けていくのではないかと考える次第です。
米国の空前絶後の不正選挙の最終結果がはっきりしない中、相手は着々と準備を進めて一つ一つ手を打ってきています。もりかけ・桜と下らないことばかりに時間を費やした挙句に、「我が党は反対一辺倒ではない」等と耳汚しの言い訳をしている国会議員たちを二度と国会に送ることがないように、次の国政選挙も必ず足を運ぼうと改めて思いました。
> まず経済力をつけること
中国が「資本移動の自由」を実現するために、どうしても必要なのは経済構造を「個人消費主導型」にすることだと思われます。現在の中国経済は貿易と設備投資に極端に依存しています。そのため、外貨流失危機の可能性がある資本移動の自由化にはなかなか踏み切れません。流失により外貨が不足すれば、たちまち貿易が止まってしまいかねないからです。現在のような経済構造では、どれほど貿易量が増加しようとも(=経済成長しようとも)、あるいはむしろ貿易量が増えれば増えるほど、外貨流失の懸念がある資本移動の自由化は果たせないということになります。つまり、「経済力の向上」は単純に規模の拡大というだけの話ではないと思います。
でも、中国が現在の体制のまま、例えばアメリカや日本のように、GDPの60~70%を個人消費が占めるような経済構造に転換できるかというと、個人的な観測では甚だ悲観的です。ということは、意図や意志はどうあれ、中国で資本移動の自由化が行われることはなく、同時に人民元がハードカレンシーとして扱われるようになる日も来ないだろうということになりますね。
龍様
コメントありがとうございます。
>現在の中国経済は貿易と設備投資に極端に依存しています。
「設備投資」というと、企業が事業に用いる設備に対して行う投資を思い描きがちですので、どちらかという「公共投資」の方が実情に近いと思います。
例えば、世界の港湾都市トップ10のうち7都市を中国が占めています(香港を含む)。また高速道路を含む道路総延長距離はアメリカ、インドに次ぐ世界第3位、鉄道路線の総延長距離もアメリカ、ロシアに次ぐ第3位です。このように、世界第3位の広大な国土を逆に強みとして、一党独裁政権ならではの強引さで道路や鉄殿整備の邪魔になる民家を半強制的に排除し、秀吉の一夜城張りの驚くべき短納期で公共事業を完成させています(どこまで行き届いているかは別にして、強制排除した住民には別の場所に住居と仕事を与えるような施策があることはあります)。
中国では「成田闘争の一坪地主」のような問題が起きうる余地が一坪はおろか、1平方mmもありえないことが、日本と決定的に異なる点ですね。
<ご参考>
世界港湾都市ランキング
https://worldscities.net/2020/03/03/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%B8%AF%E6%B9%BE%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84%E9%87%8F%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0top252018/
世界ランキング・中国の統計
http://top10.sakura.ne.jp/China.html
そうですね。量的には確かに不動産が絡む公共事業の割合が大きいと思います。
ただ、ここ10年ほど、中国政府にとっての重大な課題の一つは「産能過剰」にどう向き合うかという問題でした。主に国営大企業により、需要も何も考えずにガムシャラに生産能力増強に励んだ結果、膨大な過剰生産能力(=「産能過剰」)を抱える羽目になりました。そもそも一帯一路政策も、この「産能過剰」の捌け口を探すためだったとも言われています。帝国主義的意図も込められてはいるでしょうが、「産能過剰」の捌け口を探してやらないと、遠からず生産設備の大量廃棄を余儀なくされます。それは大量の人員整理を伴わざるを得ないため、一応社会主義を標榜する国家の国営企業としては、可能な限り避けたい事態には違いありません。
……というようなことが頭にあったので、「設備投資」と表現しましたが、もっと単純に「投資」とした方が適切だったかもしれませんね。
龍様
>ただ、ここ10年ほど、中国政府にとっての重大な課題の一つは「産能過剰」にどう向き合うかという問題でした。
いえいえ、龍様の仰る「設備投資」も中国の経済成長を嵩上げ(水増し)する重要な手段だといって差し支えないと思います。
ちなみに大陸・中国の特徴として、「○○業界が儲かる」がトレンドとなると、猫も杓子も「○○業界に新規参入し、既存の企業は更なる過剰な設備投資へまっしぐら」という傾向があります。直近ではコロナ禍の影響で世界各国でマスク不足が社会問題化し、中国国内では「マスク大増産じゃ~~」っと、俄かマスクメーカーが雨後の筍のごとく誕生し、そろそろ赤字企業の淘汰が始まっているであろうことは想像に難くありません。
また、この「産能過剰」(生産能力の過剰)の最たるものが鉄鋼産業ですね。中国は世界の粗鋼生産の約半分を占めており、国内の粗鋼生産能力過剰と輸出補助金政策に支えられ、安価な鉄鋼製品を世界中に輸出した結果、世界各国から「中国発の供給過剰による市況の悪化」に対する厳しい目を向けられているだけでなく、足元の中国鉄鋼生産大手も業界再編の荒波から免れない状況にあるようです。
>それは大量の人員整理を伴わざるを得ない
大陸の政権党としての中国共産党に「正当性」がなく、高度成長期が終焉した現代中国にとって、15億人ともいわれる人口に絶えず「中国夢」を見続けさせない限り、近い将来必ず政権を追われる時が来ることは中国の数千年の歴史が物語っています。
よって、「大量の人員整理」は中国共産党にとって決して見てはいけない「悍ましい悪夢」でしかなく、龍様の仰る「可能な限り避けたい事態」であることは疑いようがありませんね。
日経新聞(有料サイト)中国粗鋼生産、3年連続で過去最高(2020年1月17日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54519670X10C20A1FF8000
名古屋の住人さまの基本ご認識に賛成です。
>但し、それは世界唯一の超大国である米国を下し、
>名実ともに世界唯一の超大国になった
>後のことではないかと思います。
経済戦争しかけては
局地戦仕掛けて勝てても
所詮は反撃食らって終わりと知っていて
寛容な自由主義社会を
不遜な態度でかわしつつ力を蓄え
覇権を目指すのが基本戦略だと思います。
ただ一方で、
経済ではまだまだ勝ち目なくても
武器に重点投資して勝ってしまえたら
経済もひっくりかえせる(?)
と今は思ってる節もあり
油断はならないとは感じます。
そうした点でトランプさんならではの
この時期に経済戦争しかけらてしまったのは、
中共政府は大いに慌てたはずで、
バイデン勝利で今はほっとしている
ことでしょう。
通貨の使い勝手にという論点かはわかりませんが、地方住民にとって日本円は高過ぎだと思います。
北海道円とか、違う通貨にしてくれれば、為替で調整できるのにと、妄想してます。
ただ、日本円使わされているかわりに、為替レートの差分を地方交付税交付金として、補填できていれば、文句は言えないのですが。
「為替相場の安定」を重視し、かつ内情の不透明な人民元は、通貨信用の裏付けを外貨保有高に求めることになるのではないのでしょうか?
中国の中央銀行が外貨発行権を有しないことからも、現体制での人民元国際化には限界があるのだと思います。
人民元で雑貨は買えるが、中国の土地は買えない。なので人民元が蓄財の手段に択ばれる可能性は低い。
ブログ主の文章にもあるが、経済学は理論は数えきれないくらい提唱されているが、政策運営の基軸は経験則だったりする。それは、人間心理という、まことに不安定なものに左右される場合が大いから、仕方がない。
日本円がハードカレンシーだから日本大丈夫、みたいな意見が少なからずあるが、いつまでも持続するものではない。日本の経済成長の低さは、官による規制でがんじがらめになっているからで、これを解決(規制緩和)しないと、「ああ、日本の衰退が目に見えてきたね」ということで日本円の地位は急落する。これは妄想ではなく、そう遠くない将来に起きること。
お虎様
>中国の土地は買えない
中国の土地は国有資産なので、土地の所有権を持つことはできません。
但し、土地の使用権を売買することは可能であり、日本でいう「定期借地権付きの土地」に近い概念です。
ちなみに中国では居住用地は70年、工業用地は50年という期限が定められています。よって、中国に設立された日系企業の経営期限は一般的に50年が限度です。
日本の老舗企業は100年~200年と続いてきますが、中国では最大50年という制限があることについてある専門家の方に質問をしたところ、面白い(?)回答が返ってきました。
「中国はまぎれもない一党独裁政権ですね。日本のマンションの建替時期じゃないが、50年経営期限が到来する外資系企業が相次いで出てくるころには、中国政府が法改正をして経営期限を延長しているはずだ。つまり、中国共産党一党独裁が続く限り『50年という経営期限は半永久的に経営できる』と置き換えて理解すべきだ」と。
今一つ半信半疑な表情をしていた私に対し、その専門家が更に一言。「中国のローカル企業は税金を払わない。いかに税金を払わずに済むかということばかりを考えている。それならば、日系企業はどうだ?生真面に企業経営に勤しみ、法律法規を遵守して粛々と納税しているではないか。そんな「金の卵を産む鶏」を50年で手放すバカな政府がどこにいるのかね?」
・・・。どこかとても身近な国にそんな政府いるような気がしないでもない・・・のですが。
<ご参考>
JETRO 中国 外資に関する規制
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/cn/invest_02/pdfs/cn7C010_tochishoyukahi.pdf
中国はトリレンマを「資本移動の不自由」で凌いでいるのでしょう。
今までは香港との間にドレインがありましたが、今年から目詰まりしそうです。
中国へ投資した企業は、どうやって利益を本国へ持ち帰るのか。
毎年利益を中国に再投資させられた挙句、結局は特別損失???
中国が世界征服して元が国際通貨になるまで待つ???
成功できなかった新薬開発経験者様
>中国へ投資した企業は、どうやって利益を本国へ持ち帰るのか。
こちらは未だに誤解されていることですが、中国の現地法人から日本の親会社への利益送金は「合法」であり、「実務的にも可能」です。
中国の会計年度は1月1日~12月31日迄です。中国国内に設立された日系企業は一般的に翌年3月中に董事会および株主会(株主総会に相当)を開催しており、そこで利益送金に関する事項を討議・決定した内容に基づき、本社に利益送金を行っています(私が勤める会社の連結決算にも、この中国現地法人からの利益送金額が毎年組み込まれています)。
1983年9月に日中両国間で日中租税協定が締結されており、中国での利益送金時に源泉徴収された税金に対し、日本で外国税額控除制度を利用できます。
この制度を存分に利用する方法として、「当該現地法人が単年度黒字(初期投資の累積赤字あり)の状況であっても董事会で決議すれば利益送金ができる。更に日本で外国税額控除を利用することで、本社サイドの合法的な節税措置が可能」という話を中国税務セミナーで幾度か耳にしたこともあります。
また、以前は現地法人の内部留保分を以て増資(再投資)した場合、企業所得税(法人税)の優遇税制を享受できた時代がありました(あいにく現在も享受できるかどうかはよく知りません)。
外国における似非慰安婦/偽徴用工問題のプロパガンダではないですが、一旦そうなのかと思ってしまった情報というのは、人々の記憶の中でなかなか更新されないものですね。
連投恐れ入ります。
今日のWedge Infinityに東京大学大学院の平野教授の記事が掲載されていました。その一部を抜粋します。
>中共は、西側諸国が彼らの経済・文化的な魅力を社会主義国に広めることで、いつの間にか社会主義国を内側から崩壊に導くという「和平演変論(平和的体制転換論)」を軸に据え、こうなる前に中共自身が外資と技術を採り入れて経済発展を図り、新興の中間層を党内に取り込もうとした(1ページ目 第6段落)。
この「和平演変論(平和的体制転換論)」は、中国共産党にとって「核心的利益」と同等レベルの最重要項目であり、これを軸に据えている限り「人民元が国際化される日は決して来ない」と私は考えます(万一その日が来てしまったとしたら、日本は大陸の第○番目の自治区になっているかも・・・)。
新宿会計士様も私たちが一般的に考える常識をベースに本稿を記されたものと推察いたしますが、中国共産党は私たちの価値観とは全く相いれない、とても異質な考え方の下で意思決定をしていることは論を待たないことでしょう。
この「人民元国際化を容認する覚悟はあるのか」という表題について、もし私が大陸生まれ大陸育ちの生粋の中国共産党中央幹部の一人であったとしたら、こう答えるかもしれません。
「『人民元の国際化を容認する覚悟』とは、御主は何を言いたいのか?『人民元の国際化』とは、中国共産党を未来永劫存続させ、自らの権益の最大化を図るための手段の一つに過ぎず、通貨の使い勝手云々等という寝言のような話には興味はないぞ?」
ああおぞましや、おぞましや。
<ご参考>
周庭氏らに下った実刑判決 日本よ、それでも中国を信じるのか
平野 聡 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21571
中国政府は「人民元の国際化」などは考えておらず、究極的には「国際社会の人民元化」を目論んでいるのかもしれませんねえ。手始めは「韓国ウォンの人民元ペッグ化」かな。
全体主義独裁体制が先の大戦を始めたとの一般知識になっていますが、当時どの国も国家主導で目前の問題、すなわち世界恐慌がもたらした荒廃から脱出を図りました。日本だって満州国を実験国家として政策的先行させてそれを本国へ持ち帰って国家改造しようとした。戦争遂行挙国一致体制が日本では敗戦後に国土復興主義のちに経済発展至上主義にそっくりそのまま転用されたように、ヒトラーやスターリンに劣らずトルーマンだって国家主導に入れ込んでました。
対コロナの戦いは、形を変えた全体主義(と言っていいのか)に程度の差はあれ向かいます。命と生活を護るためです。そのありように合意が取れないので、全世界てんでばらばらなことに。
世界は中国のようになるときっと中共は確信しており、それへの道筋を彼ら流に着々と整備しているのでしょう。