PBデザイン騒動は消費者がローソンを愛している証拠

当ウェブサイトにしては珍しく、一昨日の『「商品を普通に誤認する」と評判のコンビニ新デザイン』では、「商品デザイン」を話題に取り上げました。これは、株式会社ローソンがPB商品のデザインを刷新したことで、おもにインターネット上で苦情が相次いでいる、というものです。これについては当ウェブサイトにも思ったより多くの方からコメントをいただいたのに加え、同社の社長がデザインの変更を示唆したという事情もあり、少しだけ「続編」を記しておきたいと思います。

商品設計と装飾美、難しい問題だ

一昨日の『「商品を普通に誤認する」と評判のコンビニ新デザイン』では、当ウェブサイトにしては珍しく、「商品デザイン」というものを話題に取り上げてみました。

「商品を普通に誤認する」と評判のコンビニ新デザイン

デザインの素人であり、美的センスも皆無(笑)である「新宿会計士」が偉そうにデザインについてご高説を垂れるという点で、じつにおこがましいという気がしたものの、それでも敢えて話題に取り上げてみたところ、思いのほか多くの方々から反響をいただきました。

これは、株式会社ローソンが佐藤オオキさん率いるデザインオフィス「nendo」をクリエイティブパートナーとして迎え、プライベードブランド(PB)商品のデザインを刷新したことを巡り、おもにインターネット上で「デザインがわかり辛い」などの苦情が相次いでいる、というものです。

読者コメント欄では「さほどわかり辛いとは思わない」、「シンプルでキレイ」などの肯定的なコメントもあったものの、とくに「シャンプーやリンスの見分けがつかない」、「アルコール飲料とソフトドリンクを誤認して購入するリスクがある」などの指摘もありました。

さらには、「機能・使いやすさをおろそかにしたら本末転倒」、「芸術表現と商品設計を混同するのはいかがなものか」など、「機能」という経済的特徴に着目した、非常に具体的な指摘が相次いだのも、当ウェブサイトの読者層のレベルの高さをうかがわせる反応だったと思います。

これに加えて株式会社ローソンの話ではありませんが、「おかずの『カニクリームコロッケ』だと思って買ったら『チョコクリームコロッケ』だった」という誤認の事例を教えていただき、商品デザインの「機能」の大切さを認識する事例には事欠かないようです。

肯定的な評価も

もっとも、ツイッター上では異なった意見もありました。

それは、「インスタグラムなどではローソンの新PBに対し、肯定的な評価が高い(らしい)」、という情報です。このあたり、残念ながら「新宿会計士」アカウントはツイッターにしかないので、当ウェブサイトでインスタグラムのトレンドをチェックすることはできません。

ただ、あくまでも主観的な印象ですが、「インスタグラム」で高い評価を受けている(らしい)という要因は、最近の流行語でいうところの「インスタ映え」のようなものではないでしょうか。

確かに、一部の方からのご指摘によれば、ローソンの新しいデザインはシンプルで目立たないため、シャンプーやリンスのように長持ちする商品を風呂場に置くと、見た目はスッキリする、という効果があるのかもしれません(といっても、シャンプーとリンスを取り違えるというのは困りものですが…)。

ローソン社長が新デザインの修正を示唆

さて、前稿執筆後に、『ハフィントンポスト日本版』が配信した、こんな記事を発見しました。

ローソン社長、PB新パッケージを一部変更へ 賛否の声に「公共性あるコンビニとして解決していく」

ローソンの竹増貞信社長が6月9日夜、ハフポストのライブ番組「ハフライブ」に出演。賛否両論が起きていた同社PB(プライベートブランド)商品の新しいパッケージデザインについて、「お店で選びにくかったり探しにくかったり、色々なご不便やお手数をおかけしてしまっている」とコメントした。<<…続きを読む>>
―――2020/6/10 17:20付 Yahoo!ニュースより【ハフポスト日本版配信記事】

(※余談ですが、当ウェブサイトではとある理由があって、あまりハフポストを引用しない方針にしているのですが、本件については他メディアに掲載されていないため、本稿限定で引用させていただくことにします。)

ハフポストによると、ローソンの竹増貞信社長がハフポストのライブ番組に出演し、「NATTO」などと表記されるなど、とくに批判が多かった一部商品のパッケージについて、「早くても7月には変更する」方針を示したのだそうです(※「早くても7月には変更する」は原文ママ)。

このあたりは民間企業である株式会社ローソンが好きに判断すれば良い話でもあるため、何とも申しあげるつもりはありません(もっとも、個人的には「変更する」のではなく「元に戻す」方が手っ取り早くて良いような気もしますが…)。

「メニュー廃止」「60秒チャレンジ」

あくまでも個人的な経験に基づいて申し上げるならば、日本企業の意思決定は一般に「ボトムアップ」、つまり「現場レベルで声が上がってトップを動かす」というケースが多く、「トップダウン」、つまり「社長の鶴の一声」で現場を動かす場合は、得てして現場で要らぬ摩擦を起こすことが多いような気がします。

なお、個人的には、「現場を知らない経営者」が暴走し、せっかくの優良企業を台無しにしていったという事例はたくさん存じ上げているのですが、いちおう公認会計士には守秘義務(自分自身が公認会計士として業務をしたときに得た秘密を守る義務)があるため、それらをこちらに記すことはできません。

ただ、一般に報じられている事例を紹介する分には問題ないでしょう。その具体例のひとつが、「メニュー廃止」「60秒チャレンジ」事件です。

具体的には、某著名ハンバーガーチェーン店が「レジでのメニュー表を廃止」、「60秒チャレンジ」などの試みを行い、おもにインターネット上で批判された、という「事件」です(これについては『ビジネスジャーナル』というウェブ評論サイトに2013年1月11日付で記事が出ています)。

こうしたキャンペーンは、某ウェブ評論サイトに2015年3月30日付で掲載された記事でも「人間の価値や経験を一切認めず、バイトは『時給700円』の人間でしかない」などと酷評されているようですが、これなど「現場を知らない人が経営に混乱をもたらした」と批判されている典型例でしょう。

(※ただし、当ウェブサイト的には某ハンバーガーチェーン店の実際的な経営について詳しく分析したわけでもなく、分析するつもりもありませんので、本件について具体的な見解を述べることは控えたいと思います。)

この点、先ほど引用したハフポストの報道によれば、今回のローソンの「PBデザイン変更」は、三菱商事出身で、ローソン副社長から2016年に社長に就任した竹増氏の「1年前からの社長直轄プロジェクト」だったのだそうです。

今回のケースについて、「現場を知らない経営者」のトップダウンが現場に要らぬ混乱をもたらしたという事例なのかどうかについては、気になるところです(このあたり、個人的には株式会社ローソンの社内風土を知る立場にないため、何とも言い難いのですが…)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もっとも、先日の繰り返しですが、当ウェブサイト的には、ローソンがパッケージを「変更すべきだ」、「変更すべきでない」、などと主張するつもりはありません。なぜなら、同社は民間企業であり、今回のPBパッケージ変更が正しかったかどうかについては、経済競争の結果、消費者が判断すべきことだからです。

この点、当ウェブサイトでは普段から「増税原理主義を掲げる財務省は解体すべき」、「法律で受信料を事実上、強制的にかき集めているNHKについては改革が必要だ」などと述べているのとはずいぶんとトーンが違うと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

その理由は、財務省やNHKなどの組織は自由・民主主義の洗礼を受けていないくせに、法律をタテに分不相応の権力、社会的影響力を握っている「特権組織」だからであり、また、腐敗しきった組織だからです。

これに対しローソンは自由主義の原理に基づき、セブンイレブンやファミリーマートなどのコンビニエンスストアチェーンと熾烈な経済競争を繰り広げています。少なくともローソンはこうした経済競争をフェアに勝ち抜いている企業のひとつだと思います。

このように考えていくと、ローソンのPBデザイン変更に対し、多くの人々が意見を述べたというのは、それだけ多くの人がローソンを愛し、ローソンを必要としているという証拠ではないかとすら思えます。

だからこそ、当ウェブサイトとしてはローソンに対し、「私たち消費者を楽しませてくれるすばらしい商品を期待しています」、とだけ申し上げておきたいと思う次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. トトちん より:

    おはようございます。毎日更新ありがとうございます。
    PB商品でちょっと意見です。PB商品が成功したのが無印良品です。無印は全て同じパッケージ、企業イメージがそのまま反映されます。私が居た会社もずいぶん前に同じ子をしていました。今はパッケージも垢抜けて?見栄えは良くなりました。最初からきっちりとデザインするのは大変難しく、現場の意見を毎月会議したりもしていました。
    後PB商品は私が居たスーパーマーケットではNB商品を売っても販売利益が有りません。ビールの安売りの時も書きましたが、通常販売で350ml6缶パック1円から6円です。レジ袋が5円ですからコストをいれた販売原価を割ってしまいます。志向商品に多くインスタントコーヒーも800円しても数十円。PB商品を売らないと会社が経営出来ません。大変なんですよ。

  2. りょうちん より:

    まあコンビニは立地が10割ですしね。
    家の近所でも道路を挟んで、セブンとローソンが向かい合っていますが、単にバスの停留所などの関係で一方しか行きません。
    あ、セブンは立ち読み防止シールで雑誌が封印されていないのも大きいかもw

  3. カズ より:

    ローソンは販売商品の自己供給(三菱商事経由)100%を目指してたはずです。
    利益追求の結果、商品コンセプトがお客様目線と乖離した感は否めないですね。

    ご年配のお客様や識別に難のあるお客様に対しての配慮に欠けてると思います。
    個の識別よりブランドイメージの統一に舵を切りすぎてしまったのでしょうね。

    *反響に対しての即時対応表明は評価したいと思います。

  4. 匿名 より:

    更新ありがとうございます

    インスタグラムのアカウントは持っていませんが、インスタ映えで成功しているなら、
    商品デザインではなく陳列棚デザインを変更するなど、もっと意思の強さがわかる対応をしてほしいと思っていましたが、
    ただ単にクレームに屈した対応になりそうで残念です

  5. 酔うよう より:

    こちらには初めてコメントをさせて頂きます
    いつもたいへん楽しく記事を拝見させて頂いております

    さて、ローソンPBのデザインですが、こちらを早々に変更すると言ったことは私は英断だと思います
    会計士様も述べられているとおり、日本のコンビニエンスストアは大手三社三つ巴が続けられています
    これは、各社がちゃんとやっているからこそだと思いますし、こういう決断があればこそでしょう
    そして私もローソンを他の二社より贔屓しております、というのもローソンが一番安心かつ口に合った食品を提供しているからです
    三菱商事が親と言うことで、食肉、特に鶏類はほとんど国内産だったかと
    また、セントラルキッチン(というか委託製造会社)が各県単位で、地方単位の他社より弁当惣菜等の味や内容に細かい調整がなされているように思えます
    それだけに、こういうオサレ優先パッケージにしたときはぎょっとしました
    商事会社は広汎に物品を集め仲買するのを業としている分、上になればなるほど地方単位、現場単位でモノを見にくくなる、冷食など全国一括で扱うものに関してついついそうした結果だったのかなあと
    今後は旧来のデザインで無くても、より見やすい、確認しやすいモノにされることを望みます
    工業デザインとしては、「確認が容易であり、間違い難い」事こそが肝要です
    これは一般消費財全体にも言えることかと思います (例えば先日花○さんの洗剤漂白剤のデザインが変わりましたが、アレだと「旧デザインと混ぜていいの?」「使い方違うの?」とかかなり迷うことになりました)
    例に挙がっている無印良品のパッケージは、上半分で統一感を出しつつ、下半分で実際の商品写真を示すなど、間違いを少なくかつ統一感を出しているお手本的秀逸なモノだと考えています
    乱文失礼いたしました

  6. 牛人 より:

    >シャンプーとリンスを取り違える
    どーでもいい豆知識ですが、
    目をつぶっていてもシャンプーとリンスを取り違えないように、
    ボトルやヘッドに刻みがついているのが普通です。
    風呂場では取り違えないかと。

    日本石鹸洗剤工業会
    https://jsda.org/w/03_shiki/hitoniyasashii_01.html

    1. 匿名 より:

      なるほど、風呂場で手探りして初めて「同じのふたつ買っちゃった!」
      と気づくわけですね。とてもつらい。

  7. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    ローソンのPBが、そんなに世間の問題になってたんですか。社長が変更指示とは凄い思い切った事ですね。毎週上がって来る数字とお客様の声が、無視できなくなったんでしょう。

    最初に私が先日出した1店舗売上(1日)が大きく間違えてましたので、お詫びして訂正します。ちょっと古いんですが、昨年4月16日に「ビジネスインサイダー社」から出された3大コンビニ売上です。つまり2018年度分です。24時間営業辞める店が続出したり、廃業も多く、更に中小コンビニの統合とかで、1店舗1日売上は各社厳しいです。

    ・セブンイレブン 日販65.6万円
    ・ファミリーマート 日販53万円
    ・ローソン 日販53.1万円
    だいたい40万円切ったら、危ないゾーンです。もちろん首都圏の好立地なら100万円超えもありますし、峠のてっぺんにあれば、30万円以下もあるでしょう。

    3社とも、創業時の本家から離れて(セブン→IY、ローソン→ダイエー、ファミマ→西友、西武流通G)、風通しの良い、また資産の集中投下とか、やり易くなって、企業として良くなったと思います。

    セブンなど本業(さっぱりの総合スーパー)を背負う稼ぎ頭です。私もコンビニはローソンを贔屓にしてます(笑)。ポンタも持ってますよ。ナナコは紛失したまま。まあええわ。

    コンビニのPBは、もひとつ私は馴染めないのですが、ナショナルブランド(NB)は、そりゃ365日、1個でも多く売れる工夫をしてます。死活問題ですから。

    ルートセールスを各店舗に回らせているのは、補充と店の声、お客様の反応を見る為です。

    他のメーカー品やPB品出しもやってくれ、と店が依頼するのは違反で、断れば良いのですが、私の知る限り皆さん気持ち良く手伝っていました。強要は一切してません。と思ってます(笑)。

    コンビニがPBに力を入れるのは利益確保の為ですが、それは【売れたら】の話で、売れなかったら悲惨です。基本、買取ですから返品不可。もし、そんなことしたら、公取にタレ込まれますよ(笑)。

    メーカーからしたら、自分の売場を縮小してまで小売屋のPB如きに力を貸すと思いますか?店舗数は魅力です。セブンは2万店以上、ローソンは1万4千店もあります。1品番スポットで入れて貰うだけで億単位の収入です。

    しかし、自分のブランドは無くなります。PBがコンビニに限らずチェーンストアでも、「安いけど買わない」商品になっているのは、各社経営者層の舵取りがダメなんです。価格はメーカー品の下をくぐり、品質は上、なんて無理無理!

    あとコンビニは中小の統廃合ですね?青色黄色目印のミニ○○○○や、北海道のセ○○○○、広島山陽のポ○○らは、消費者の為にも3社に吸収される方が良いと思う。各社長さん、今が高く売れるチャンスですヨ!

    1. ブルー より:

      北海道のセ○○○○は関東じゃ与野あたりとか八潮あたりからなかなか南下して来ないですね。見かけたら「ホットシェフ」を記念に買おうと思ってるのですが。

      1. めがねのおやじ より:

        ブルー様

        ありがとうございます。
        セー○○○は、北海道で稼いでますし、家賃の高い首都圏にはなかなか出づらいですね。関東に本格的なデポや流通センターを高速道路インター付近に作らないと、デリバリーでも負けます。

        セブンが首位なのは理由はただ一つ。首都圏に昭和50年代初めから集中出店したためです。ヨーカドーやヨークベニマルで土地勘を養っていたので、そのソバに出した。西日本には出ませんでした。

        逆にローソンはダイエー系なので関西エリアに集中出店しました。で、親がコケたから今商社が必死に取り組んでいる、という差ぐらいだと思います。

        くどくなりますが、関東のセブンの店舗は昔からあるだけに稼いではいますが、老朽化している店が多いです。だから最新型のコンビニのフォーマットで勝負して、古いセブンの近くに出店したら、北海道のセー○○○でも、ローソンでも勝てると思います。

  8. j より:

    コンビニは、ユーチューブでセブンイレブンの場合奴隷契約なり、オーナーが自殺した動画を見ました。
    それ以来コンビニには、ほとんどいかなくなりました。

  9. ブルー より:

    悪評はさておき、と言える程のいいデザインじゃないってトコがなんとも。
    色抜き英字前面出し、って、こう言っちゃなんだけど「商品パッケージリニューアル」というお題があったらデザインの専門学校生の大半が出してきそうな割りと在り来りなモノのような気がして。
    アブラエイジはギャグとして成功してるとは思うけど。
    客の購買意欲を向上させ、他の製品の中からそれを選ばせる動機を作る、とという機能も商品パッケージに要求されているのだとしたら、商品選択において悪評が発生してしまっていてはデザインの批評として失敗だ、という評価であっても仕方がない気がします。
    しかしエントリーの論旨の通り小売り商売はどんなことでも売り上げという形でダイレクトに結果が現れ、否応なしに責任問題になる話ですからね。

  10. 問題を発見し、解決方法を考え、実行する人は誰もがデザイナー より:

    デザインの技術的失敗なのか、スタイリングをデザインと勘違いしたのか。

    うろ覚えですし誰かの「解釈」ですので正しいかどうかはわかりませんが、明治時代にdesignという言葉を輸入して
    翻訳する際に問題解決を図るための設計という意味も含んでいたけれど、カタカナでデザインと表現されるようになり、その辺りが曖昧になったと何かで読んだ記憶があります。

    個人的にはデザインとは
    「何かの問題を解決するための方法や手段」
    であり
    「スタイリング」とは違うと思っております。
    デザインはロジックで説明できるが、スタイリングはロジックではなく、ちょっと手を入れていい感じに魅せるとか、フワッとした表現が使われる、問題解決というよりはうまく整えるイメージです。インスタ映えという言葉がありますね。うまくニュアンスが伝われば良いのですが、、、。

    さて、ローソンはSDGsを全面に打ち出して世界の問題を解決すると表明しています、その一つの手法としてユニバーサルデザインを使ってパッケージを誰にでも視認しやすく、手にとりやすい商品を作るというコンセプトかと思います。
    残念ながら今回はユニバーサルデザイン目線で問題解決を図るどころか錯誤を発生させてしまっています。

    流石にローソン社内のステージゲートを通す際にロジックではなくフワッとした表現を使う、インスタ映えするか等いい感じのビジュアルであるかが基準となるとは思えないし普通はそれでは通らないでしょう。
    受注側もデザイン学校でデザインとはなんぞやということは叩き込まれると思うのでスタイリングをデザインと勘違いすることはないでしょう。
    そう考えればデザインの技術的な失敗なので鬼の首を取ったように騒ぎ立てる必要はありません。誰でも失敗はします。問題を発見し、解決方法を考え、実行すれば良い。

    逆に、
    スタイリングをデザインと勘違いして、しかもそれが各ゲートでツッコミも受けずに消費者のところに商品として届いて、ユニバーサルデザインなのに錯誤まで発生させてしまったのであれば、一部パッケージの変更で済ませるというのは完全に悪手だと思います。チョチョイと手を入れていい感じに整えましたので問題はなくなりましたは流石にマズい。
    デザイン会社はデザインを何もわかっていないと思われるし、ローソンもSDGsを全面に打ち出して世界の問題を解決するといっているのに、問題解決以前にそもそもの問題発見が出来ない企業というイメージは痛いでしょう。

    考えすぎかな?
    デザイン業界の人はどう考えるのでしょうか。聞いてみたい気がします。

    1. 阿野煮鱒 より:

      > 受注側もデザイン学校でデザインとはなんぞやということは叩き込まれると思うのでスタイリングをデザインと勘違いすることはないでしょう。

      あるべき姿としてはその通りと思いますが、教える側の講師・教授が何を言おうとも、教わる側の学生・生徒が、それを完全に理解するとは限らないので、勘違いした「デザイナー」は次々に世に放たれます。

      先にも書きましたが、一流のデザイナーであれば、こんなしょうもない問題は起こしません。しかし、一流のデザイナーは供給数が少なく、いつもそうした能力あるデザイナーに仕事を依頼できないので、ハズレを引いてしまうことは避けられないのです。だから、発注者側が自分たちの狙いを明確に意識して言語化していないと、ハズレに振り回されることになります。

      もっと身も蓋もなくいうと、インダストリアル・デザイン業界にもっとも多く人材を供給する教育機関は美術大学/美術学校でして、元々は絵を描くのが好きとか、彫刻が好きとか、芸術系の脳みそを持った人々です。金型成形樹脂の損益分岐点計算とか、アルミ引き抜きダイスとか、そういう事に興味関心が薄く、いくら教師が口を酸っぱくして教えても頭に入りにくい種族です。地頭が良い学生なら直ちに理解できることでも、芸術脳で精一杯の学生には入りません。そのまま卒業・就職します。私は、予算の限界ゆえ、そういう底辺層のデザイナーとの付き合いを余儀なくされました

      スタイリングとデザインの違いは、おっしゃる通りと思います。しかし別の観点から違う定義もできます。

      ファッションの分野で言うと、デザインは、スケッチ→型紙起こし→素材選定→縫製→試着のサイクルを回して、意図通りの服を作り上げる工程です。芸術的才能を求められると同時に、製造業的現実感覚が必須です。一方スタイリングは、「この服とこの服をこのように組み合わせたらオシャレじゃね?」みたいな着こなしのノウハウです。スタイリング如何で、同じ服がダサくもオシャレにもなりますので、消費者側としては必須の知識と思います。生産者側はスタイリングの提案はできますが、消費者がそれに従わないとしても拘束はできません。

      音楽業界ですと、二流・三流のミュージシャンに就職先はありません。音楽を続けるなら趣味とするしかありません。一流のミュージシャンであってもスターになれるのは限られた人々です。多くの才人は、市井の音楽教師として糊口を凌いでいます。デザイン事務所や企業に就職先がある分、デザイン業界は恵まれていると思います。

  11. 酒が弱い九州男児 より:

    まず、デザインは権威主義であるため、有名なデザイナーとか権威あるデザイン事務所とか、自分が崇拝する人などのデザインは、改善を言いにくいですよね。
    権威的な人がデザインしたものは「間違うはずがない」「素晴らしいものに違いない」という思い込みもあると思います。

    それは置いといて、今回の件で昔の事を思い出しました。
    20数年前ですが、まだ私が九州のロイヤルホストでバイトをしていた時のこと、新しい社長が何を思ったか、メニューを全て「挿絵」に変えてしまいました。今まで写真で掲載していたものが挿絵になったのです。

    お客様からは「どんな料理かわかりにくい」という当たり前の反応で、それはそれは不評で、説明が大変だったのを記憶してます。

    当時お店は全国に200店舗ほどだったと思いますが、3か月でメニューを差し替え、その費用が数億円と言うオチがついたと聞きました。

    メニューの撮影経費をケチったのかわかりませんが、現場を知らない人が思い付きで口出すとろくなことはないと言う典型だったと思います。

    1. 匿名 より:

      >権威的な人がデザインしたものは「間違うはずがない」「素晴らしいものに違いない」という思い込みもあると思います。
      15年ぐらい前の懐かしい話ですが、ゲーム機について「著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖つける人はいない」とおっしゃった方もおりましたね

      1. 酒が弱い九州男児 より:

        匿名様、レスどうもです。

        > 15年ぐらい前の懐かしい話ですが、ゲーム機について「著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖つける人はいない」とおっしゃった方もおりましたね

        「それがPSPの仕様だ」でしたっけw
        懐かしいですね。今考えればとんでもないことです(笑)

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