韓国による旭日旗ヘイトは、日本が2018年10月の国際観艦式で自衛艦の派遣を取りやめたことなどで一気に国際問題化したものですが、これを巡っては日韓間の問題にとどまらず、韓国系住民が米ロサンゼルスの学校の壁画を塗り潰させるなど、まさに日本以外の第三国にも波及しており、韓国がれっきとした「加害者」となっている問題でもあります。こうしたなか、昨年「科学を振りかざすのではなく」といった記事を掲載したことでも知られる朝日新聞が、「快く思わない人たちがいることがわかっている旗を意図的に振る行為に、『政治的主張』はないといえるのだろうか」と社説で主張しているようです。

旭日旗ヘイト問題

「韓国による旭日旗ヘイト」という問題があります。

もともとは2011年１月25日のＡＦＣアジアカップ日韓戦で、韓国の奇誠庸（き・せいよう）選手が日本を侮辱する猿真似パフォーマンスを行い、これが問題視された際に、奇誠庸選手が苦し紛れの言い訳として「スタジアムの旭日旗を見てカッとなった」と述べたことがすべての原因です。

実際、2011年１月以前に韓国が国を挙げて旭日旗を問題視したという事実はなく、逆に、韓国が旭日旗を「ナチス旗と同じ戦犯旗だ」と言い出したのは、2011年１月以降なのです。

なかでも酷いのは、旭日旗の意匠を問題視するあまり、日本とはまったく無関係な米ロサンゼルスの学校の壁画に文句をつけ、壁画を塗り潰してしまったという事件でしょう（『ＬＡの学校の壁画が修正へ　被害者でなく加害者としての韓国』参照）。

ただ、韓国による「旭日旗ヘイト」は、いまや韓国の民間団体や民間人だけではなく、いまや韓国政府が主体となって、旭日旗を抹殺しようとして、世界に向けて大々的に喧伝している状況にあります。

たとえば2018年10月に韓国・済州島（さいしゅうとう）の海軍基地沖で行われた国際観艦式では、韓国政府が日本に招待状を発送しておきながら、参加国に対して艦旗を掲揚するな、などと要求して来たため、日本は結局、この観艦式に海自艦を派遣しませんでした。

（※もっとも参加国の多くは韓国政府の要求を無視して艦旗を掲揚しましたし（『旭日旗騒動と観艦式の振り返り「全世界に恥をさらした韓国」』参照）、また、自衛艦は中国の観艦式でも堂々と旭日旗を掲揚して参加した（『自衛艦が旭日旗掲げ中国に堂々入港』参照）、というオチも付きましたが…。）

旭日旗文様は「あの新聞」にも使われている！

この旭日旗騒動を巡って唯一「良いこと」（？）があったとすれば、あの「外交事なかれ主義」の外務省が、中途半端ながらも旭日旗を擁護するための記事をウェブサイトに掲載したことです。

旭日旗（2019年11月８日付　外務省ＨＰより）

参考資料（日本語版）

現在、外務省は旭日旗に関する説明資料を、日本語、英語、韓国語、フランス語、スペイン語で作成していて、旭日旗があたかも「戦犯旗」であるかの韓国によるプロパガンダの払拭に努めています。

もちろん、外務省のこの資料については、「作らないよりはマシ」というだけの代物であり、「奇誠庸選手が日本を侮辱した際の苦し紛れの言い訳として捏造した問題であり、問題の本質は韓国による日本ヘイトである」という点を強調していない点で、実に不十分であると言わざるを得ません。

しかし、従来の日本政府だと、「外交事なかれ主義」のためでしょうか、日本政府は公式には反論せず、それどころか「韓国の国民感情にも配慮する」といった意味のわからない対応をしてしまいがちでしたので、少なくとも一歩も引かない姿勢を示している時点では一歩前進、といったところでしょうか。

いずれにせよ、旭日旗は私たち日本人が昔から大切にしてきた旗であり、現在は自衛隊にも用いられている、大変に大事な旗でもあります。『絶対譲るな！旭日旗騒動は韓国のウソ崩壊の第一歩』などでも報告したとおり、この問題を巡って日本が「譲歩」する余地はありません。

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ところで、この外務省の資料には

「旭日旗の意匠は、日章旗同様、太陽をかたどっている。この意匠は、日本国内で長い間広く使用されている。今日でも、旭日旗の意匠は、大漁旗や出産、節句の祝いなど、日常生活の様々な場面で使われている。」

とありますが、それだけではありません。

慰安婦問題をはじめとするさまざまな問題を捏造してきた、「日本のクオリティ・ペーパー」を騙る「あの新聞」にも使われています。ただ、旭日旗を問題視している韓国が、「あの新聞」の社旗を問題視しているらしい、という話は、あまり聞きません。不思議な話ですね（笑）

科学とファクトを否定するメディアとは？

さて、昨年、『朝日「科学振りかざすな」　ＳＮＳで敗北する人たち』のなかで、「科学を堂々と否定する新聞」について取り上げました。

これは、朝日新聞編集委員の佐々木英輔氏が福島第一原発の処理水の海洋放出を取り上げた、『科学振りかざすだけではなく…増え続けるタンクを考える』というタイトルの有料会員限定記事ですが、無料で閲覧できる部分には、こんな記述があります。

「いくら浄化しても、水の形で存在する放射性物質トリチウム（三重水素）を分離するのは難しい。トリチウム自体は、世界各地の原発や再処理工場からも、濃度を管理して海に放出されている。科学的に問題ないなら出せばいい、との声も上がる。しかし、これまでの経緯を振り…」

科学的に問題ないなら出せば良い。

当たり前の話でしょう。

「これまでの経緯を振り…」からあとの記載については有料会員にならないと確認できませんが、おそらくは「科学を振りかざすな」という記事タイトルから類推するに、「科学的に問題ない」という議論に何らかの反論を加えているものだと考えて良いでしょう。

この際、朝日新聞さんに一番申し上げたいのは、

「ファクト（事実関係）や科学を無視して正確な議論などできるわけなどない」

という点です。

福島第一原発の処理水を巡っては、科学的知見に加え、世界各地の原発や再処理工場も、濃度を薄めたうえで海洋放出しているという事実（※下記経産省レポート参照）を踏まえれば、海洋放出がもっとも合理的な選択肢と考えられます。

平成２８年度発電用原子炉等利用環境調査（2017年３月付　経産省ＨＰより）

「食品添加物を大量に摂取すれば人体に毒だ」というのと同じであり、科学的・技術的想定を無視した議論に意味はありません。

（※どうでも良いのですが、福島第一原発の処理水の海洋放出を批判しているのが日本の極左系のメディアと韓国政府だという点を踏まえると、何やら複雑な心境になってしまいますね。）

侵略の歴史に思いを致すなら…

さて、朝日新聞に昨日、こんな社説が掲載されていました。

（社説）東京五輪の年に　旗を振る、って何だろう（2020年1月11日 5時00分付　朝日新聞デジタル日本語版より）

社説の書き出しは、こうです。

「あなたはこれまで旗を振ったことがあるだろうか。／運動会の応援やスポーツ観戦、あるいはイベントやデモに参加したとき……。／いったい旗とは何か。米国では、星条旗をこう表現するそうだ。『あなたの信じるすべてのものになりうるだろう』」

「旗を振る、って何だろう」。

なかなか良い着眼点だと思います。

そもそも論として、旗とはいったい何なのか。歴史的、文化的な経緯などを調べたうえで、うまく論じていけば、それだけで非常に深い政治学や文化論に関する論考が出来上がりそうなものです。ただ、おそらくこの社説の主眼は、そこにはありません。

「『日の丸』に対しても、複雑な感情を抱く人々がいる。／戦後７５年が過ぎても、そうした人々から見れば、日の丸を掲げる行為そのものが、侵略戦争の暗い記憶を呼び起こすものにほかならない。」

日の丸を掲げる行為が侵略を受けた側の暗い記憶を呼び起こす。

はて、75年前の戦争で「侵略を受けた側」（？）であるアジア諸国のうち、日の丸を問題視している国は、あるのでしょうか。

韓国と北朝鮮は当時日本領でしたので「侵略を受けた側」ではありませんし、中国が長年、人民に対して反日感情を煽っていたことは事実ですが、それにしても中国以外のアジア諸国において、対日感情が非常に良好であるという調査結果を無視するのはいかがなものかと思います。

だいいち、「侵略を受けた側の歴史に配慮せよ」とおっしゃるのなら、ユニオンジャック（英国旗）のもとに行われた苛烈な侵略行為や植民地支配の歴史を糾弾しなければおかしいですし、ベトナム戦争における韓国軍の蛮行に思いを致すなら、同様に韓国国旗を批判しなければフェアではありません。

まずは社旗を廃止なさってはいかがでしょうか？

そのうえで、社説の「ハイライト」は、次の部分でしょう。

「東京五輪で旭日旗を振るのを禁止すべきだ――。最近、韓国の人々からは、そんな声も伝えられる。旭日旗は旧日本陸海軍の旗であり、いまも海上自衛隊の自衛艦旗である。／日本政府は『（旭日旗が）政治的主張だとか軍国主義の象徴だという指摘は全く当たらない』と反発している。／そう簡単に言い切れるものだろうか。」

奇誠庸選手の苦し紛れの言い訳という事実関係に言及しない時点で、議論としては見苦しいとしか言いようがありませんし、あくまでも「政治的主張だ」「軍国主義の象徴だ」というのは韓国側が「主観的に思っている」という内容なのですから、「主観的な認識の違い」を議論しても意味がありません。

それよりも、朝日新聞は

「快く思わない人たちがいることがわかっている旗を意図的に振る行為に、『政治的主張』はないといえるのだろうか。」

と述べているのですが、それを問題提起するよりも前に、まずそもそも論として、なぜ「旭日旗に不快感を覚えるのか」を問題視するのが筋ではないでしょうか。

また、仮に朝日新聞社さんが「韓国に配慮して旭日旗を禁止すべきだ」などとする持論をお持ちなのだとしたら、「隗より始めよ」ではありませんが、ご自身の社旗において旭日旗の意匠が使われていることを今すぐ韓国政府と韓国国民に対して大々的に謝罪すべきでしょう。

なにより、「快く思わない人たちがいることがわかっている行為をやめろ」というのが朝日新聞社さんとしての主張なのだとしたら、朝日新聞社はいますぐ朝日新聞を廃刊すべきです。というのも、朝日新聞社さんのロジックに照らすならば、

「快く思わない人たちがいることがわかっている新聞を意図的に発行する行為」

は糾弾されるべきだからです。

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今年はねずみ年で、十二支の始まりの年であるとともに、1964年以来、56年ぶりに東京で五輪が開かれる節目でもあります。そんな年の始まりだからこそ、「ファクトと科学を否定するメディア」について、私たちはじっくり立ち止まって考えてみる価値があるのかもしれません。