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韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…

当ウェブサイトではここ最近、連日のように『数字で読む日本経済』シリーズを掲載して来たのですが、本日だけはこれを中断し、昨日「速報」的にお知らせした、韓国政府が日韓GSOMIA破棄を撤回したという話題について、改めてじっくりと考えてみたいと思います。総合的な判定でいえば、日本の勝利、韓国の敗北ですし、それだけでなく、文在寅氏は習近平、金正恩らの独裁者を敵に回してしまった格好ともなりました。文在寅氏がこうした窮地を脱するために、今後、今まで「隠れ蓑」にしていた「反日」の皮を脱ぎ、「反米」としての本質を出すのかどうか、そして韓国社会がますます混乱するかどうかには注目したいと思います。

瀬戸際外交の国・韓国

南北朝鮮の共通点とは?

当ウェブサイトでは以前から、南北朝鮮の両国が困ったときに取る行動は、だいたい次の3パターンだと申し上げて来ました。

  • ①あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる「ウソツキ外交」
  • ②国際社会に対してロビー活動をして、ウソを交えつつ「相手国の不当性」を強調する「告げ口外交」
  • ③国際協定や国際条約の破棄、ミサイル発射などの不法行為をチラつかせる「瀬戸際外交」

このことは、日本政府が今年7月1日に発動した輸出管理の適正化措置を思い起こしてみれば明らかでしょう。

この輸出管理適正化措置は、韓国の輸出管理において「不適切な事例」が発生したことなどを理由に日本側が発動したもので、①韓国を(旧)ホワイト国から除外する、②フッ酸など3品目の輸出管理を厳格化する、などの措置が中心です。

しかし、これに対して韓国側は、まさに「ウソツキ外交」「告げ口外交」「瀬戸際外交」を全力で繰り出しました。

このうちウソツキ外交の例としては、7月12日に韓国政府の担当者が「事務的説明会」を受けるために来日した際に、後日、この会合を勝手に「第1回韓日協議」として発表したことが挙げられます(『信頼に値しない国 やはり「言った言わない」の展開になった』等参照)。

次に、告げ口外交の例としては、▼7月のスイス・ジュネーブのWTO一般理事会、▼8月のASEAN地域フォーラム、▼8月のRCEP会合、▼G7サミットに先立つ欧州諸国へのロビー活動などが代表例ですが、基本は「無関係の国際会合で日本を批判する」というパターンです。

(※日本が輸出管理適正化措置を発動した理由やその後の韓国の反応については、詳しくは『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』などもご参照ください。)

「2つの瀬戸際外交」

さて、ここで注目すべきは、韓国の「瀬戸際外交」です。

もともと瀬戸際外交は、北朝鮮の国連安保理決議に違反して何度も短距離ミサイルを打ち上げるような外交のことを指していたのですが、当ウェブサイトでは韓国もこの「瀬戸際外交」が大好きな国だと考えています。

なかでも酷いのが、この輸出管理適正化措置に対する「2つの瀬戸際外交」です。これは、

です。

このうち日韓GSOMIAの破棄通告に関しては、韓国政府は「日本が不当な輸出『規制』を行った」という理由で韓国政府が8月22日に決定したもので、「日本が輸出規制を撤回しない限り、わが国はGSOMIA破棄を撤回しない」と宣言し続けて来ました。

また、後者に関しても「瀬戸際外交」という点では同様で、日本の輸出「規制」のうち個別3品目の輸出管理厳格化措置を巡り、「WTOルールに違反する」などとして日本をWTOに提訴することで、日本に揺さぶりを掛けたものと考えられます。

GSOMIA破棄通告の本当の目的とは?

もっとも、日韓GSOMIAを破棄すると韓国側が通告したことについて、もうひとつの効果が考えられます。

それは、「米韓同盟の破棄」です。

GSOMIA破棄で「反米」の正体を現した文在寅政権』でも報告したとおり、もともと文在寅政権(あるいは文在寅氏の支持者)は親北派・反米派であり、文在寅氏は「大韓民国」という国を北朝鮮に献上しようとしている人物でもあります。

その大きな目的のために邪魔になるのが米韓同盟と在韓米軍なのですが、これを排除しようとすれば、韓国国内の親米派(とくに保守派メディアの『朝鮮日報』『東亜日報』、保守政党の『自由韓国党』)などが強く反発するため、何らかの「名分」を探している状況にあります。

だからこそ、日本の輸出「規制」という、一見すると保守派をも納得させられるだけの材料が与えられたのを奇貨として、文在寅氏は一気に米韓同盟消滅に向けた攻勢をかけたのだ、という説明が、この「GSOMIA=米韓同盟破棄」説です。

ちなみにこの「親北派である文在寅氏が米韓同盟の消滅を狙っている」とする説は、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の名著『米韓同盟消滅』から着想を得たものですが、しかし、客観的に文在寅氏の行動を分析していくと、やはり彼の狙いがそこに置かれていることは間違いありません。

つまり、文在寅政権による日韓GSOMIA破棄通告の狙いは、

  • ①日本に輸出管理適正化措置を撤回させるため
  • ②南北統一の障害となる米韓同盟をなくすため

という2つがないまぜになったものだった、というのが、現在のところの当ウェブサイトの見方です。この「文在寅氏が日韓GSOMIA破棄を言い出した理由」に関する分析が正しいかどうかは、現時点ではまだよくわかりませんが、私自身はこの説明が一番腑に落ちるのです。

瀬戸際外交の敗北

文在寅氏の2つの「誤算」

ただ、上記仮説が正しかったとしても、少なくとも文在寅氏にとっては2つの誤算がありました。

それは、日本と米国の反応です。

先ほどの説明どおり、おそらく韓国政府内には、「日韓GSOMIA破棄」をチラつかせることで、

米国が日本を叱ってくれ、日本があわてて韓国に対して土下座をして、輸出『規制』を撤回し、あわせて韓国に対して謝罪してくれるに違いない

という浅はかな気持ちがあったのではないかと思うのです。

ところが、『GSOMIA破棄が外交カードにならなくて焦る韓国』でも触れたとおり、肝心の日本政府は待てど暮らせどまったく動いてませんし、それどころか日韓GSOMIAの破棄決定に対し、日本政府は極めて冷淡に、「残念だ」のヒトコトで終わらせたのです。

※ちなみに『GSOMIA破棄「残念」で終わらす日本に韓国逆ギレ』で報告したとおり、韓国政府は日本政府に対して、「日韓GSOMIA破棄を外交カードとして認識しろ!」とばかりに「逆ギレ」したことも、記憶に新しい点でしょう。

一方で、この日韓GSOMIA破棄を持ち出したことで、むしろ激怒したのは、日本ではなく米国でした。米国は韓国が「GSOMIAを破棄する」と発表した直後に、非常に強く反応したのです(『もう日本は関係ありません、今後は米韓間で直接どうぞ』参照)。

その後も米国からの圧力は続き、先週はマーク・エスパー米国防長官、マーク・ミリー米統合参謀本部議長らが相次いで韓国を訪問し、日韓GSOMIAを破棄しないように強く求めました。

さらに、韓国側にとっての誤算は、米国が日本に対してではなく、韓国に対して「だけ」圧力を掛けたことでしょう(『そもそもなぜ、米国は「韓国にだけ」圧力を掛けたのか』参照)。

これに加えて「パーフェクトストーム」などの警告もあり、日韓GSOMIA破棄期日直前には、韓国の通貨・ウォンがジリジリ売られるなど、金融市場なども米国からの「対韓金融制裁」のリスクを意識していたフシもあります(※このあたりは当ウェブサイトの私見です)。

日韓GSOMIA仮説
  • (1)日韓GSOMIAの破棄は、韓国にとっては「①日本の輸出管理適正化措置などを撤回させるための瀬戸際外交」という意味と、「②米韓同盟を揺さぶるための布石」という意味がある
  • (2)しかし①については、肝心の日本政府が日韓GSOMIA破棄を「残念だ」で済ませ、いつまで経っても「外交カード」として認識してくれていないため、韓国政府としては思惑が外れた格好となっている
  • (3)一方の②については、むしろ米国から存外の反発を喰らい、また、北朝鮮からの弾道ミサイル発射が相次ぐなかで、性急すぎる米韓同盟終了に国内の保守系から政権が強い批判を浴びている
  • (4)したがって、韓国国内では保守派メディアを中心に、「日本の譲歩がなかったとしても、無条件で日韓GSOMIAを延長すべきだ」とする主張が強まった

名分探し

こうしたなか、10月に入り、文在寅氏、あるいは韓国政府の態度が、明らかに変わりはじめます。

李洛淵(り・らくえん)韓国首相を天皇陛下の御即位にかかる儀式の機会に派遣して来たのです。

その後、李洛淵氏は安倍晋三総理大臣と20分の会談を実施(『日韓会談サプライズなし、一方でリスの銅像問題急浮上』等参照)。また、これにあわせて日経が「日韓双方歩み寄れ」とする社説を掲げるなど、日本の一部メディアも「日韓GSOMIA延長論」に傾いていきます。

さらには、文在寅氏自身、11月4日のASEAN+3サミットで、控室内で「だまし討ち」のように安倍総理に近付き、強引に「ソファ歓談」を実施しました(『「安倍・文ソファ歓談写真」は「ウソツキ外交」の象徴』参照)。

こうした韓国側の一連の動きについて、朝日新聞編集委員の牧野愛博氏は、「日韓GSOMIA延長の大義名分を日本が作ってほしい」という韓国側のメッセージだ、などと指摘しています(『GSOMIA問題は「省益の抑え込み」に成功した好例』参照)が、この「牧野説」が真相に近いのでしょう。

つまり、ついうっかりと始めてしまった瀬戸際外交が、日本に対してはまったく効果がなく、かつ、米国に対しては「それをやれば中国と北朝鮮を喜ばせることになる」「同盟が危機に陥る」などと強く警告され、引くに引けなくなってしまった、ということなのでしょう。

最終的な落としどころ

このような流れを踏まえれば、昨日の『【資料】GSOMIA等を巡る日韓両国政府の発表内容』で触れた、韓国大統領府の記者発表も理解できるでしょう。

GSOMIA関連 金有根NSC事務局長ブリーフィング(2019-11-22付 韓国大統領府HPより【韓国語】)

これを機械翻訳したうえで日本語表現を整え、便宜上、番号を振ると、次のとおりです。

  • ①韓日両国政府は最近の両国間の懸案を解決するために、それぞれ自国がとる措置を同時に発表することにしました。
  • ②わが国の政府はいつでも韓日軍事秘密情報保護協定の効力を終了させることができるという前提の下に、2019年8月23日付の終了通知の効力を停止させることにし、日本政府はこれに対する理解を示しました。
  • ③韓日間の輸出管理政策の対話が正常に進行されている間は、日本側の3個品目輸出規制に対するWTO提訴手続を停止させる事にしました。

このうち①については、おそらく後述する日本の経産省の記者発表のことを指しているのだと思います。

その一方で②については、何やら意味不明ですが、それほど気にする必要はないでしょう。

日韓GSOMIAの原文(外務省HP『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』参照)には「期日90日前に通告せよ」とはありますが、「いつでも協定の効力を終了させることができる」という文言はありませんし、日本側からは「それを承諾した」という報道発表もありません。

(参考)日韓GSOMIA第21条第3項

この協定は、一年間効力を有し、一方の締約国政府が他方の締約国政府に対しこの協定を終了させる意思を九十日前に外交上の経路を通じて書面により通告しない限り、その効力は、毎年自動的に延長される。

また、仮に韓国政府が「効力を停止させる」と発表すれば、そのこと自体がGSOMIA違反ですし、即座に米国からの報復を受けるため、現実には「いつでも効力を終了させる」ことなどできっこないでしょう。

日本の全面勝利だが…

WTO対話は従来の手続の話

ここからは、上記③について、その本質を考えておきましょう。

あくまでも韓国側は「輸出『規制』に関する日韓協議」ではなく、「輸出管理政策の対話」です。これについては、経産省側の記者発表(経済産業省・貿易経済協力局の飯田貿易管理部長の発言)を冷静に読み解けば、明らかでしょう。

  • これまで韓国とのWTO二国間協議においては、フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目について議論をしてきた
  • 今週19日にもジュネーブで開催したが、この会合を踏まえ、韓国側から外交ルートを通じてWTOプロセスを中断するとの通告があった
  • 7月以降課長級のコミュニケーションを実施し、WTO二国間協議も開催したことを踏まえ、今回の通告を踏まえると、韓国側が輸出管理上の問題点について改善に向けた意欲を示していると受け止めることが妥当と判断している
  • 日本として韓国を含む諸外国と大量破壊兵器等の不拡散に向けた協力が重要であることは論を俟たない
  • 経産省としては輸出管理政策対話について懸案の解決に資するべく課長級の準備会合を経て局長級対話を行い、両国の輸出管理について相互に確認することにしたい
  • 一方3品目については日本から韓国への輸出管理については不適切な事案があったなどことから、厳しい安全保障環境の中で国際的な責務となっている輸出管理を適切に実施することが重要だ
  • その運用に当たっては国際輸出管理レジームの基本原則、輸出管理の法的基盤である外為法に則り、個別案件ごとに厳格な審査を行っているところであり、今後も個別審査を通じて許可を行うとの方針に何ら変更はない
  • そのなかで個別品目ごとの日韓間の健全な輸出実績の積み上げ、および韓国側の適正な輸出管理の運用により、この見直しの検討が可能になると考えている

飯田部長は、この記者会見のなかで、「日本が7月1日に発動した(旧)ホワイト国リストからの韓国の除外や3品目の輸出管理厳格化措置を撤回する」とは、ただのヒトコトも述べていません。

それどころか、「今後も個別3品目については案件ごとに厳格な審査を行う方針に何ら変更はない」だの、「輸出管理を適切に実施することが重要だ」だの、「韓国の輸出管理体制に関する話し合いをしよう」だの、いずれも従来の日本政府の正当な見解をそのまま繰り返しているだけです。

また、「局長級対話」もあくまでも「韓国の輸出管理体制」に関するものであり、「韓国がその輸出管理体制の不備を修正するならば、輸出管理適正化措置を見直す可能性がある」と述べたに過ぎず、その意味で従来の日本政府の方針と何ら齟齬を来すものではありません。

総合判定は「日本の90%の勝利」

つまり、総合的に判定するならば、韓国側は日韓GSOMIAの破棄宣言を撤回させられたうえ、WTO提訴についても事実上の撤回に追い込まれた格好であり、これに対して日本側は輸出管理適正化措置をまったく動かすことなく、事実上の勝利を収めた格好です。

ただし、日韓間の争いにおいては、得てして「ゼロ対100」で韓国側が悪いという局面でも、韓国側がこれを、あわよくば「50対50」、下手すると「100対ゼロ」に持って行こうとします。

これを日本から見れば、「勝ってゼロ、引き分けでマイナス50、負けてマイナス100」という、大変理不尽な状況に追い込まれるということであり、今回も日本側が勝ったものの、得たものはゼロであるという点では、まさにこのパターンに嵌ってしまっています。

しかし、7月1日の輸出管理適正化措置発動に端を発する今回の「戦い」(?)では、興味深い発見がいくつかありました。

1つ目は、韓国側の行動パターンを読むことができた、という点です。

仮に近い将来、仮に日本が韓国に対して何らかの経済制裁措置を発動した場合、韓国が今回のように、「ウソツキ・告げ口・瀬戸際外交」を展開して来るであろうことが予想できるようになりました。当然、日本政府も今後、韓国に対して制裁を適用するうえで、今回の韓国の行動パターンを参考にするはずです。

2つ目は、瀬戸際外交に対して微動だにしないことの効果を学習できた、という点です。

「ウソツキ外交」にせよ「告げ口外交」にせよ、あるいは「瀬戸際外交」にせよ、結局、韓国が展開している外交は、いずれもインチキとハッタリの外交です。日本が原理原則を歪めず、最後まで毅然としていれば、韓国としては振り上げた拳の落としどころが見つからず、バツ悪く振り下ろさざるを得ません。

そして3つ目は、日本政府がきちんとした外交をするなら、日本国民もそれについてくる、ということが分かったことです。

とくに、日本政府が7月1日に発表した、「韓国を(旧)ホワイト国リストから除外するための政令改正案」に対するパブコメでは、4万件を超える意見が寄せられ、うち「おおむね賛成」が全体の95%にも達していたそうです。

さらには、民間報道機関が実施する世論調査でも、日本国民はほぼ全政党の支持層において、「破棄は止むを得ない」とする回答が「延長されるべき」を大きく上回ったことが示されるなど、日本国民が日本政府の毅然とした姿勢を支持したことは特筆に値するでしょう。

【産経・FNN合同世論調査】GSOMIA、ほぼ全政党で「破棄やむなし」(2019.11.18 16:11付 産経ニュースより)

いずれにせよ、日韓の外交戦の多くは、本来ならば「勝っても得るものはゼロ」であるはずの戦いです。

しかし、今回の「GSOMIA戦」に限定していうならば、韓国との外交におけるパターンを徹底的に学習することができたという点に加え、「もし日本政府が一歩も譲らなければ、韓国がどうへたれこむか」という点を知ることができたという点では、本当に非常に意味のあるものでした。

よって、「民主主義と日本国民の良識を信奉するウェブ評論家」という立場からは、期待も込めて「90%の勝利」と申し上げておきたいと思います。

波状攻撃は続くはず

もっとも、昨今の日韓関係を眺めると、日韓関係は相変わらず厳しい状況にあります。

とくに、昨年10月30日の韓国大法院判決に端を発する自称元徴用工問題については、一向に解決するそぶりもありませんし、ほかにも軽重はさまざまですが、韓国側が一方的に極めて非合理でかつ非友好的な行動を重ねて来ている事実にはかわりありません。

  • ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)→未解決
  • ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日)→未解決
  • ③レーダー照射事件(昨年12月20日)→未解決
  • ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)→未解決
  • ⑤慰安婦財団解散問題(7月頃)→未解決
  • ⑥日韓請求権協定無視(7月19日)→未解決
  • ⑦日韓GSOMIA破棄(8月22日)→日本の勝利
  • ⑧対日WTO提訴(9月11日)→日本の勝利
  • ⑨釜山「抗日通り」標識設置(10月30日)→未解決

今回、全面勝利に終わったのは⑦と⑧だけですが、輸出管理適正化措置に対して韓国側が再び難癖を付けて来る可能性は非常に高いと見るべきでしょうし、まだまだ油断はできません。

それに、これらの難問をすべて解決したとしても、韓国の不法行為により日本に生じた損害をゼロに持っていくだけの話に過ぎず、それ以外に日本が得られるものは何もありません。

いずれにせよ、私たち日本は、この厄介な国・韓国との不毛な対決を、当面は続けなければならないことを覚悟しなければならないでしょう。

今後の韓国

文在寅氏はデッドロック状態に

さて、今回の「GSOMIA敗戦」を巡って、特筆すべき点があるとすれば、文在寅氏が今後、デッドロック状態になる、ということでしょう。

先ほども触れたとおり、今回のGSOMIA騒動は、ほぼ韓国側の全面敗北に終わりました。

韓国国民に対して勇ましいことを言ってきたわりに、文在寅氏は結局、日本から輸出「規制」の撤回を引き出すことに失敗した格好ですし、経済失策に続く今回の「失点」により、彼の出身母体である「ともに民主党」が来年の国会議員選挙で何議席獲得できるかが焦点となるでしょう。

さらに、文在寅氏は、今回は米国の要求を呑んだ格好となりましたが、これは同時に習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席、あるいは北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)を深く落胆させる結果につながったことは間違いありません。

文在寅氏は、北朝鮮からは金剛山(こんごうさん)観光事業や開城(かいじょう)工業団地事業の再開を巡って強い圧力を受けている状況ですが、文在寅氏は、ますます「頼みの綱」である北朝鮮からの信頼を喪失したといえるでしょう。

今後は「反日」から「反米」へ転化も?

一方、今回の日韓GSOMIA破棄騒動は、表面上は「日米韓3ヵ国連携」の枠組みを何とか守った格好となりましたが、今後は「日米」対「韓」という構図が明白になるでしょう。

というよりも、おそらく米国からのメッセージの本質は、「今は米韓同盟を破棄する局面ではない」、というものではないでしょうか。

つまり、米韓同盟を、いつ、いかなる方法で破棄するかについては、米国が決定権を持っているのであり、韓国の側からそれを言い出す権利はない、というのが米国のメッセージではないかと思うのです。

米国(というよりもドナルド・J・トランプ米大統領)が何を考えているのかは定かではありませんが、少なくともコストのかかる米韓同盟をいつまでも維持しようとは思っていないでしょうし、将来的には在韓米軍を大幅に削減したとしても、まったく不思議ではありません。

個人的にあまり考えたくはないのですが、トランプ氏であれば、北朝鮮と国交を開き、場合によっては同盟を組む、といったことすらやりかねないと思います(実際、米国はカダフィー政権下のリビアと国交を回復したという実例があります)し、そうなれば、米国から見た韓国の戦略的価値は消えます。

あるいは逆に、韓国を経済的に焦土化したうえで、在韓米軍をすべて沖縄や対馬などに撤収させ、韓国を北朝鮮の管理下に置かせる、といったシナリオも考えられるでしょう。いずれにせよ、在韓米軍の撤収は、北朝鮮核問題、あるいは北朝鮮と韓国との関係を含め、トータルに解決するつもりなのかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

それよりも、個人的に強い関心を抱いているのは、今回の外交的敗北で窮地に陥った文在寅氏が、今までの「反日」という隠れ蓑を捨てて、いよいよ「反米」にシフトして来るかどうか、という点です。

とくに、今回の「GSOMIA破棄決定の撤回」について、「米国からの圧力でそのような決定をした」とする説明が広まっていけば、文在寅氏の支持層を中心に、「反米」としての本質が表に出てくる可能性は否定できないでしょう。

その意味で、週明け以降の韓国の動きには、注意が必要ではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • 更新お疲れ様です。

    分かり易かったです。

    チンピラのイチャモンには毅然とした姿勢でしっかりはっきり拒否を示すのが正解だって事ですね。

    韓国切り捨ての始まりの一章って事で、第二章以降に期待してます。

    …それにしても残念でした。

  • 朝日新聞はどうしても日本も譲歩したことにしたくて仕方ないらしい
    韓国の求めに応じて日本が協議を再開したと書いているけど、これって韓国の方が過去2年応じてこなかった輸出管理の協議に戻ってきただけでしょう?

    • 韓国では「日韓」を「韓日」と、北では「朝日」と称します。旭日旗新聞がどういう新聞がわかりますよね、今さらですが。

  • おはようございます。いつもありがとうございます。

    GSOMIAについて、ある元自衛官の方が書いたコラムを読みましたが、もしこのままGSOMIAが破棄されれば、アメリカは北朝鮮政策を見直し、半島を再度緊張状態に持って行くことで韓国を米韓同盟側に戻そうとするのではないか、と言われていました。韓国が同盟としてどれほどの価値があるか、とは別に、米中対立が深まる中、中国側にタダで手札を渡す気はない、ということでしょうし、今回のアメリカの行動を見ると、文政権の間は飴よりも鞭を使って同盟を維持する、ということでしょう。私も米韓同盟の消滅は今のタイミングではない気がしますし、今の米国の対応であれば日本に不利なことはあまりなさそうなので、GSOMIAが維持されて、とりあえずはよかったかな、と思います。

    今後の予測としては、米国は文政権の交代を目論む、具体的には来年4月の選挙での与党敗北に向けてなんらかの工作を仕掛けて来るのではないでしょうか。いつ中国に渡っても良い駒として、ある程度力を削ぎながら。ただ、来年4月の選挙でもし野党(保守党)が圧勝することになり、米韓関係が改善していったとき、そしてその時に日本の首相がトンチンカンな人だった時・・・、ちょっと怖いですね。

    日本としては米韓同盟が続いている間に防衛体制の根本的な見直しを急ぐべきでしょう。今回の件で日本側も「局長会談」という譲歩をして文大統領の顔を立ててあげたことですし、なんとか文政権が国民世論をうまくごまかし、今回の危機を乗り越えて続くことを、そして次の大統領も共に民主党の人がなり、今回のようなグダグダを続けながら、日本の防衛体制が整うまで米韓同盟が維持されることを祈るばかりです。

  • GSOMIA廃棄停止は予想していなくて,また,大きな読み間違いをしてしまいました(反省)。
    中国からの国交断絶の脅しより,アメリカからの経済焦土化(+諸々)の脅しのほうが怖かった,ということでしょうか。アメリカは今回の件で,韓国とは話し合うより,脅して言うことを聞かせるほうがよい,と学習したのかもしれません。文在寅氏の今後の国政運営は多難を極めるでしょう。あと,中国はこれからどういう行動に出るか。そのあたりに注目していきたいと思います。

    • 愛読者様

      >GSOMIA廃棄停止は予想していなくて,また,大きな読み間違いをしてしまいました(反省)。
      いやいや、今回の件は予想不能です。歴史的にはよくある事です。
      誰も今回の落ちを読めるものなぞ居ません。
      情報を積上げ、解析・分析するのが人であるなら、突発的行動で予測不能な行動するのも人です。
      かつて小生も予測を分析ミスで大きく外しましたが今回の予測外れは是非に及ばずの感です。
      ただ、大魚を逸した悔しさの方が強いのも事実ですが。

  • 今回の「直前タンマ騒動」で明らかになったことのひとつは、韓国に対する輸出管理強化がはっきりと実効を上げている事実でしょう。去る8月現職大統領は声を荒げて、輸出管理強化を梯子を外す行為であると指弾しました。彼こそ不運を呼び込む貧乏神です。その手があったかと認知を巷間に広める結果を導いたからです。ホワイト国リストから外されたことに対するヒステリックともいうべき反発は、彼らの大事なメンツをつぶされるだけでなく、友好的で善良なる経済関係が損なわれればかの国に産業マヒをもたらす「かも知れない」懸念を顕在化しました。鈴置氏の指摘する、独り相撲を取って勝手に土俵から転げ落ちる韓国が今回も眼前で実演されたと言えるでしょう。

  • おはようございます。
    軍事負担要求について向こうはなにもクリアできておりませんで、おそらくこれを飲むことになるので
    反日から反米への切り替わりは十分あるでしょうね。

    まぁ他所は他所でいいとしても、日本国内の反日勢力が一掃されない限りは、いつ韓国の二の舞になるかもわからない。
    そして愚民はイメージ戦略だけでいとも簡単に政権与党を交換させうるという実績もありますから、一安心ともいかないのがなんとも、モヤモヤしてしまいます。

  • GSOMIAは韓国が廃止を中止したため、延長が決定しました。
    従って今後1年間条約は継続する事になります。

    「韓国はいつでも破棄できる」なんて寝言もいいとこじゃないでしょうか。
    国内向けの言い訳でしょう。
    こんな発表すること自体真面な国家とは思えません。

    日本政府は、「韓国の破棄撤回により条約は1年間継続した」と発表すべきでしう。
    黙っていては、「韓国はいつでも破棄できる」を認めたことになりかねません。

  • 巷間言われるように「朝鮮人は叩いて躾ける」以外に方法は無いのがよく分かりました。
    勿論直接叩いたのは米国ですが、日本もなんら譲歩せずに立ち位置を変えなかったのは「叩いて躾けの共謀罪」には当たるでしょう。
    今までの「大人の対応」が如何に馬鹿馬鹿しいものであったか能く判ったと思います。聞いてるかっ!日韓議連っ!

    閑話休題

    これで韓国が「何時でも停止できる」と強がってもGSOMIAがカードに使えないことは明らかになった訳です。
    逆に日本は「輸出管理の厳格化」が予想以上に効いていることが判りました。米も撤退時の焦土作戦に使える武器が増えたと思っているでしょう。
    つまりこのカードはまだまだ使えると言う事です。未解決の問題は徴用工・慰安婦・竹島以外にもいくらでもあります。
    それらの協議に合わせて、輸出管理を締めたり緩めたりしてやれば良いのです。

    案外スペードのエースかも知れませんね。

  • 土壇場での問題先送りにがっかりです。GSOMIAはウヤムヤで訳の分からない延長状態に入ったらしい。経産省の会見など不要でしょ?まるで口実を与えたみたいでがっかり。安倍さんにはいつものガッカリ。
    ポスト安倍の次に期待する。日本のトランプよ出でよ。

  • 記事更新ありがとうございます。凄い情報量があった昨日のアフター5でした。主様のおっしゃるとおりここからかの国の動向は要注意ですね。しかし仮に文大統領が降板すると後継は何を売りに後を継ぐのでしょう? 向こうのネットの声では既に土着倭寇文と言う声飛び交ってるので“私は文より反日です!”を売りにするのかはたまた国を上げての反米か…用日に戻るのは勘弁願いますがこちらの準備も進めないとなのですがね…桜まだやるのか…=_=

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