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【資料】GSOMIA等を巡る日韓両国政府の発表内容

先ほどから当ウェブサイトに掲載している、韓国によるGSOMIA破棄通告の撤回について、資料が出て来ましたので、ここでは一番重要と考えられるものを2つほど紹介しておきましょう。

韓国政府の発表

まずは、韓国政府の公式の発表内容について確認しておきましょう。

GSOMIA関連 金有根NSC事務局長ブリーフィング(2019-11-22付 韓国大統領府HPより【韓国語】)

これを機械翻訳したうえで日本語表現を整えると、次のとおりです。

  • 韓日両国政府は最近の両国間の懸案を解決するために、それぞれ自国がとる措置を同時に発表することにしました。
  • わが国の政府はいつでも韓日軍事秘密情報保護協定の効力を終了させることができるという前提の下に、2019年8月23日付の終了通知の効力を停止させることにし、日本政府はこれに対する理解を示しました。
  • 韓日間の輸出管理政策の対話が正常に進行されている間は、日本側の3個品目輸出規制に対するWTO提訴手続を停止させる事にしました。

発表内容自体は非常に短いのですが、ポイントは次の3つです。

  • 韓国政府は8月23日のGSOMIA破棄通知を撤回する
  • ただし、韓国政府は日韓GSOMIAの効力をいつでも終了させることができるものとする
  • 日韓協議が行われている間はWTO提訴手続を中止する

日本政府側の発表

その一方で、日本政府側も昨日18時から経済産業省・貿易経済協力局の飯田貿易管理部長が記者会見に応じています。

飯田部長の発言内容(動画でいうと7:30~10:43)の要旨は、次のとおりです。

  • これまで韓国とのWTO二国間協議においては、フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目について議論をしてきた
  • 今週19日にもジュネーブで開催したが、この会合を踏まえ、韓国側から外交ルートを通じてWTOプロセスを中断するとの通告があった
  • 7月以降課長級のコミュニケーションを実施し、WTO二国間協議も開催したことを踏まえ、今回の通告を踏まえると、韓国側が輸出管理上の問題点について改善に向けた意欲を示していると受け止めることが妥当と判断している
  • 日本として韓国を含む諸外国と大量破壊兵器等の不拡散に向けた協力が重要であることは論を俟たない
  • 経産省としては輸出管理政策対話について懸案の解決に資するべく課長級の準備会合を経て局長級対話を行い、両国の輸出管理について相互に確認することにしたい
  • 一方3品目については日本から韓国への輸出管理については不適切な事案があったなどことから、厳しい安全保障環境の中で国際的な責務となっている輸出管理を適切に実施することが重要だ
  • その運用に当たっては国際輸出管理レジームの基本原則、あるいは輸出管理の法的基盤である外為法に則り、個別案件ごとに厳格な審査を行っているところであり、今後も個別審査を通じて許可を行うとの方針に何ら変更はない
  • そのなかで個別品目ごとの日韓間の健全な輸出実績の積み上げ、および韓国側の適正な輸出管理の運用により、この見直しの検討が可能になると考えている

これらをどう読むか

この2つの報道発表をざっと読んだところでいえば、

  • 少なくとも、日本側の報道発表内容を読む限りは今までとまったくスタンスを変えていない(とくに韓国側が強く求めていた(旧)ホワイト国除外手続の撤回や個別3品目の輸出管理厳格化の撤回にはまったく応じていない)
  • 日韓ともに「輸出規制の日韓協議」ではなく「輸出管理政策の日韓対話」と表現している

といったあたりであり、これを素直に読めば韓国側の全面敗北(あるいは日本側の全面勝利)、といったところでしょうか。

もっとも、これらについてどう読むべきかについては、詳しくは明日、じっくりと触れたいと思います(申し訳ないのですがここ数日掲載し続けていた『数字で読む日本経済』については、明日は休刊とさせていただきます)。

新宿会計士:

View Comments (40)

  • 現状だと日本は実利的には損失無く済んだ感じですが
    もう少し韓国側を精神的に叩き折って欲しかったと感じるのは
    感情的過ぎでしょうか

    後は日本側が水面下で何か譲歩していないことを願うばかりです

  • 「わが国の政府はいつでも韓日軍事秘密情報保護協定の効力を終了させることができるという前提の下に、2019年8月23日付の終了通知の効力を停止させることにし、」

    って、こんな不平等条約みたいな条件に「日本政府はこれに対する理解を示しました」のは誰なんだい?

    さんざん脅しのネタに使っておいて、失効寸前に「いややっぱり待ってやるよ、ただし気に入らなかったらすぐに失効させるからな」と言っているのに「理解を示した」だと。

    • 韓国が言う「理解を示した」は「とりあえず貴方の主張は理解しました、と言った」と同じ程度の意味ですよ。
      前からアメリカの要人のとの対話で同じような表現してますがアメリカ要人の実際の反応は「言ってることはわかったが、米国としては不介入」みたいな感じです。

      現状だと「韓国の言い分が日本政府にとりあえず伝わりはした。」ぐらいのことしか明らかでは無く、実際に韓国の言い分を受け入れてGSOMIA延長するかどうか自体日本政府の発表待ち、と言う状況ですよ。経産省の発表は建前上GSOMIAとは無関係ですし。

  • 同時に会見すると予告したけど、韓国政府の発表が終わってから経産省の発表始めてましたね。
    土壇場でひっくり返すかもしれないという用心だったのかも。

  • 韓国側は早速「GSOMIAをいつでも失効できるが、とりあえず猶予期間を日本に与えた」と吹聴してますね。これでは全く反省することなどないでしょう。個人的には一度韓国のメンツを完全に潰さない限り同じことの繰り返しだと思います。残念ながら今回は文在寅が土壇場で「用日」に化け、日本は無駄に時間を与えてしまったという印象です。

  • 何かがおかしいと感じているのはわたしだけではないでしょうね。証拠もないのに裏を読んでも仕方ないのですが、佐藤外務副大臣のコメント通りならいいのですが。

    韓国がGSOMIAの効力をいつでも停止出来るという点、ムンヒサン氏の旧朝鮮半島出身労働者問題の解決案が契機になったという記事が不安にさせますね。

  • あくまで日本は、ルールを守れ、適切に対応しろ。

    昔から、周辺国を巻き込んで、グタグタになる国。
    北、中国、米国から相当圧力をかけられる、どうみても。
    47億ドル、本当にむしり取られる可能性が出てきた。

  • >韓国側が輸出管理上の問題点について改善に向けた意欲を示していると受け止めることが妥当と判断している

    どうだかw よっぽど上院の全会一致決議がこたえたみたいですね。

  • 「そのなかで個別品目ごとの日韓間の健全な輸出実績の積み上げ、および韓国側の適正な輸出管理の運用により、この見直しの検討が可能になると考えている」との文言。。。

    こんなことまでを言ってしまうと、半年か1年くらいでちゃんとしたと言って見直しを要求してくる可能性大。

    そのときに、まだ早いと日本側が言おうものなら、信頼できないと判断された国とGSOMIAの継続は不可能と騒ぎ立てるだろうな。
    全体にこれまでをふまえても、甘すぎる認識。

    はめられた気がする。

    • >はめられた気がする。

      同感です。 会計士様は日本の勝利とおっしゃっていますが、今後の主導権はいつでもGSOMIAを失効させられる韓国が握り、輸出管理の件が思い通りになるまで話し合いとやら、実際は恫喝を続けることができるではないですか。

      完全に韓国に騙されています。即座に「そんな条件呑めるか」と返せなかった日本側の交渉担当者がアホだったと言うことでしょう。

      • 主導権を握っているのはアメリカだとよくわかったじゃないですか
        韓国は主導権なんて握ってませんよ

    • >そのときに、まだ早いと日本側が言おうものなら、信頼できないと判断された国とGSOMIAの継続は不可能と騒ぎ立てるだろうな。

      騒がせておけばよいのでは?「適正な輸出管理の運用」ができているかどうかを判断するのはあくまで日本側ですから。

  • GSOMIAに対する終了の通告の破棄といつでも終了出来る条件付き継続というわがままを日本は受けるのか、受けるとしてどう協定の文章上に落とし込むのか知りたいです。日本側のGSOMIAに対するステートメントが欲しいですね

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