日本は「カネの力」で相手国を制裁可能

昨日の『資金循環統計から見る、財政再建論の大間違い』は、日本が財政再建を必要としていないことに加え、このタイミングでの消費税の増税が誤っていることについて主張する目的で執筆しました。ただ、あらためて日本の資金循環を眺めていくと、もう1つ気付くことがあります。それは、「日本が持つカネの力」であり、外国から不法行為を受けた場合、日本は「カネの力」を使って相手国をもっと大胆に締め上げることができるのではないか、という仮説です。

経済制裁

「戦争ができない国・日本」の課題

突然ですが、日本国憲法第9条を読んでみましょう。

日本国憲法第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

これが「戦争の放棄」と呼ばれる条文です。

日本国憲法の規定では、国際紛争が生じたとしても、それを解決する手段として、武力による威嚇、武力の行使を行ってはならないこととされており、さらに第2項において、「国の交戦権は、これを認めない。」と明記されています。

このため、わが国は、もし外国から侵略や権利侵害を受けた場合であっても、「その相手国を懲らしめるために、軍事的に制裁する」、ということは、非常に難しいのが実情でしょう。

ただし、「外国を懲らしめる手段」は、何も軍事的手段に限られません。

日本にはもう1つ、「経済制裁」という手段があるのです。

経済制裁の基本と限界

「経済制裁の基本はヒト、モノ、カネ、情報を制限することである」。

これは、経済制裁について考える際の、基礎知識の1つです。

当ウェブサイトではこれまで、わが国が外国からさまざまな不法行為を受けて来た場合、その外国にどうやって制裁を加えるべきか、という点について、次の7つの視点が基本形であると考えて来ました。

経済制裁の基本的な視点
  • ①日本から相手国へのヒトの流れの制限
  • ②日本から相手国へのモノの流れの制限
  • ③日本から相手国へのカネの流れの制限
  • ④相手国から日本へのヒトの流れの制限
  • ⑤相手国から日本へのモノの流れの制限
  • ⑥相手国から日本へのカネの流れの制限
  • ⑦情報の流れの制限

ただし、現実に日本は法治国家であり、どうしても「法律に規定がない制裁」を相手に適用することはできません。このため、この①~⑦のうち、①と⑦については、現実的にとり得る制裁の手段からは除外されてしまうのです。

また、残りについても、日本が「対外純債権国」であり、外国から投資してもらわなくても困っていないという状況にあるためでしょうか、⑥についても経済制裁としてはあまり意味がありません(※「まったく意味がない」、というわけではありませんが…)。

なお、外国から日本への投資額の正確な金額は、次のとおりです。

外国から日本への投資(2019年3月末時点、速報値)
  • 貸出…189兆円
  • 債券…180兆円
  • 株式…213兆円

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)

よって、事実上、日本から外国に対する経済制裁の手段として機能するのは、現実的には②、③、④、⑤の4つに過ぎないと考えられます。

②③④は強力な制裁になり得る

さて、日本の問題点とは、「ヒト・モノ・カネ・情報」の流れを止めるための、一元的で包括的な法律が存在しないことにあります。

先ほどの①~⑦についても、事実上、①と⑦については制限を加えることができませんし、また、それ以外の項目についても、制限を加えるための根拠法と手続がてんでバラバラです。

ただし、現行の法律でできる制裁措置のなかには、それなりに強力な手続があることもまた事実です(図表1)。

図表1 日本から外国への経済制裁の方法
経済制裁の在り方根拠法制限できるかどうか
①日本から相手国へのヒトの流れの制限「日本人の渡航を禁止する法律」はないあえていうならば旅券法だが、現実には国民に特定国への渡航を禁止するのはとても難しい
②日本から相手国へのモノの流れの制限外為法第48条などリスト規制とキャッチオール規制があるため、外国へのモノの流れを止めるのは比較的簡単
③日本から相手国へのカネの流れの制限外為法第16条や第21条など外為法第48条と比べると発動が難しい
④相手国から日本へのヒトの流れの制限出入国管理法特定国民を相手に入国ビザ制限を導入することは簡単にできる
⑤相手国から日本へのモノの流れの制限関税法など特定国を狙い撃ちにした関税引き上げは容易ではないこともある
⑥相手国から日本へのカネの流れの制限外為法第27条そもそも外国から日本への投資制限にはあまり制裁効果がない
⑦情報の流れの制限「スパイ防止法」などが存在しないスパイ防止法がないため、日本はスパイを罰することができない

(【出所】著者作成)

たとえば②については、軍事転用可能な品目の輸出を「外為法第48条」などに基づく「リスト規制」「キャッチオール規制」で禁止することが可能ですし、また、③についても、テロリスト等に対する資産凍結措置を講じることなどが可能です。

さらに、④については、「日本に入国したいと思っている人たちがたくさんいる国」から日本に入国することに制限を加える(観光ビザ免除プログラムの厳格化、廃止など)、日本滞在ビザ(就労ビザ、就学ビザ)の発給を厳格化する、といった対抗策を講じることができます。

なお、⑤の手続は、ケースによっては関税法の改正などが必要になることもありますし、また、特定国を狙い撃ちにするような関税引き上げは、国際的なWTOルール等に抵触する可能性も生じてくるため、②~④の手続と比べると、制裁手段としての使い勝手は落ちます。

カネから見た日本経済

カネの流れの制限

さて、昨日、当ウェブサイトに掲載した『資金循環統計から見る、財政再建論の大間違い』という記事は、現在の日本全体の資金量について分析を行うことで、現在の日本が財政再建も消費増税も必要としていない、ということを説き明かすために執筆したものです。

資金循環統計から見る、財政再建論の大間違い

ただ、この記事で示した「日本全体の資金循環」について読んでいくと、なかなか興味深いことが判明します(図表2)。

図表2 日本全体の資金循環(ストック、速報値)(※クリックで拡大、大容量注意)

上記のPDF版

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)

ここで、「海外部門」に注目してみましょう。

「海外部門」とは、「日本国外の経済主体」、という意味であり、バランスシートの右側、つまり「海外部門が借りているおカネ」とは、「日本という国が外国に貸しているおカネ」、という意味でもあります。

内訳は、つぎのとおりです(図表3)。

図表3 日本が外国に貸しているおカネ(2019年3月末基準)
科目金額誰が保有しているのか
貸出1,589,464
  • 民間金融機関…83兆円
  • 公的金融機関…23兆円
対外直接投資1,760,870
  • 非金融法人企業…139兆円
対外証券投資6,021,385
  • 預金取扱機関…114兆円
  • 保険・年金基金…129兆円
  • 株式投信…98兆円
  • 中央政府…119兆円
  • 社会保障基金…72兆円
  • 家計…25兆円
その他1,241,791
合計10,613,510

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)

つまり、日本から外国への資金の流れ方については、大きく

  • 資金取引:貸出(159兆円)と対外証券投資(602兆円)
  • 投資取引:対外直接投資(176兆円)

の2つの形態がある、ということがわかります。

BIS統計に見る日本の外国への貸付

さて、この「外国への国別の貸付残高」については、国際決済銀行(BIS)が集計する「最終リスクベース国際与信統計」によって、相手国別のランクを取ることができます(図表4)。

図表4 日本はどの国にいくらおカネを貸しているか(2019年3月末)
相手国金額円換算額
米国1,825,420200.8兆円
ケイマン諸島579,67963.8兆円
フランス225,10824.8兆円
英国211,95623.3兆円
ドイツ137,89115.2兆円
オーストラリア124,10813.7兆円
タイ92,30910.2兆円
ルクセンブルク92,09710.1兆円
中国77,7388.6兆円
カナダ76,2838.4兆円
オランダ75,9308.4兆円
香港73,5598.1兆円
シンガポール68,4737.5兆円
韓国57,2216.3兆円
アイルランド48,5005.3兆円
インド46,1285.1兆円
ベルギー40,8444.5兆円
インドネシア40,6144.5兆円
スイス38,4764.2兆円
スペイン34,0503.7兆円
その他418,09046兆円
合計4,384,474482.3兆円

(【出所】日銀『BIS国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果』より著者作成。なお、「円換算額」は1ドル=110円で計算)

これで見ると、日本が外国に貸しているおカネは、2019年3月末時点で約4.4兆ドルであり、仮に1ドル=110円だったとすれば、実に482.3兆円という巨額に達しています。

このBIS統計(CBS)は、民間銀行などが相手国企業などに対して実行した貸出と、相手国企業が発行した債券の取得高を合計したものであり、先ほどの日銀資金循環統計でいうところの

  • 貸出(159兆円)
  • 対外証券投資(602兆円)のうち民間銀行が保有する部分(114兆円)

などから構成されています。

159兆円と114兆円を足しても273兆円にしかならず、482.3兆円とは200兆円以上のズレが生じていますが、こうしたズレは、資金循環統計と国際与信統計の両者の集計される範囲が異なっていることに起因するものです。

(資金循環統計には邦銀(メガバンクなど)の海外支店の資金取引が集計されていません。)

対外直接投資

一方、対外直接投資はおもに金融機関以外の企業(メーカーや商社など)が外国に直接、支店を作ったり、工場を建てたりするようなときに計上される金額です。英語の “Foreign Direct Investment” を略して「FDI」と呼ぶこともあります。

このFDIについて、2018年12月末時点で相手国別に集計したものが、図表5です。

図表5 日本の2018年12月末のFDI
相手国金額円換算額
米国503,93755.4兆円
英国163,49818兆円
オランダ132,75614.6兆円
中国123,77513.6兆円
シンガポール78,5198.6兆円
タイ68,9727.6兆円
オーストラリア66,8337.4兆円
ケイマン諸島47,0385.2兆円
韓国39,1474.3兆円
香港33,0043.6兆円
インドネシア30,3913.3兆円
ドイツ29,0393.2兆円
インド24,4502.7兆円
ベルギー22,1792.4兆円
ブラジル21,3482.3兆円
カナダ17,4321.9兆円
ベトナム16,9681.9兆円
マレーシア16,6261.8兆円
フランス16,3921.8兆円
台湾15,4031.7兆円
その他178,16119.6兆円
合計1,645,868181兆円

(【出所】JETRO『直接投資統計』【日本の直接投資(残高)】より著者作成。なお、「円換算額」は1ドル=110円で計算)

こちらも凄い金額です。

合計すれば1.6兆円少々という巨額の投資が行われているということです(※ちなみにさきほどの資金循環統計の「2019年3月末時点で176兆円」という数値とも、だいたい整合しています)。

「日本が金融制裁発動」の意味

さて、当ウェブサイトでは以前から何度も取り上げているとおり、わが国の通貨・日本円は、世界でもかなり広く取引されている通貨であり、それだけ日本円が深く信頼されている、という意味でもあります。

(※余談ですが、言い換えれば、日本国内で使い切れなかったおカネが外国に流れている、という意味でもありますし、「世界最大級の債権国であること」は、必ずしも良いことばかりとは限りません。ただし、この点については、機会があれば、また別稿で議論します。)

しかし、事実として日本は世界最大級の債権国であり、全世界に対するマネーの供給という意味では、非常に重要な国であることは事実でしょう。

そして、日本が外為法第16条や第21条などの「カネの流れを止める制裁」を発動した場合、日本からのカネの流れが止まることに加えて、国際的な金融市場の動向全体にもかなりの影響を与えることもつながります。

現在、日本が金融制裁を発動している相手は、タリバーン関係者や北朝鮮、イランなどの「テロリスト」「ならず者国家」が中心ですが、最近だとロシアによるクリミア併合に関わった者や、ロシアの銀行なども、金融制裁の対象となっています。

ただし、個人的な印象ですが、日本はこの「金融制裁」を、もっと大胆に使って良いのではないかと思います。軍事的制裁手段が使えない日本だからこそ、経済制裁、とりわけ金融制裁(カネの流れの制限)は、相手国を徹底的に締め上げる(あるいは経済的に焦土化する)のにちょうど良い手段です。

そのことについては、改めて強調申し上げておきたいと思います。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 七味 より:

    すごい金額なんですね♪集計大変だったと思うのですが、ありがとうございます m(_ _)m

    FDIの表に続く記述で
    >合計すれば1.6兆円少々
    のとこはドルですね (。˃ ᵕ ˂。)

    それはともかくとして、毎日いろんなこと調べて、解説して、論評するのってらスゴイことなんだと思うのです

    これからもよろしくお願いしますね m(_ _)m

  2. 門外漢 より:

    紛争解決に武力を使えない以上、札束で張り倒す方法も選択肢に行けなければなりませんが、実際に韓国を名指しで口座凍結や送金停止にすることはなかなか難しいと思います。
    しかし財務省の銀行に対する監督権限を有効に使えば、韓国政府機関は別にしても、韓国企業への貸し出しが適正か否かを監査するのは何時でもできます。
    貸出先分類が不適当とか、貸し倒れ引当金が少ないという評価が付けば当該企業向けの貸出利率を挙げねばならなくなるでしょう。
    それ以前に監査の対象になると言う事自体が銀行としてはありがたくない、貸出先から外したいと思うでしょうから、期限が来ても借り換えに応じないなんてことも起きます。
    そうなったとしても、政府としては民間企業の裁量範囲だから特段のコメントは無いってことですよね。

    サムスンに続いてロッテの総帥も邦銀回りをしているらしいですから、既にそんなリークがあったかもしれません。
    希望的観測ですが。

    1. 匿名 より:

      ✖行けなければなりませんが
      〇入れなければなりませんが

    2. りょうちん より:

      他のスレで貿易関係者っぽい方の方が書き込んでいましたが、

      >しかし財務省の銀行に対する監督権限を有効に使えば、韓国政府機関は別にしても、韓国企業への貸し出しが適正か否かを監査するのは何時でもできます。

      これを匂わすくらいのことは既にやっているんじゃないですかねえ。
      財務省・金融庁の忖度をすることにかけては、素早い銀行ですから。

    3. 匿名 より:

      〉札束で張り倒す

      麻生大臣がハットをかぶりそうしてる様が浮かびました。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    日本の持つ金融資産って凄いんですね。大変細かい分析と分かりやすい解説、ありがとうございます。それにしても韓国に対するパイプをいきなりチョッキンするのは難しいですが、パイプに異物混ぜてチョロ出にするだけで、破綻でしょうね。アー見たいな(笑)。

  4. 元左派系?の初老 より:

    誠意に満ちた韓国民族の、この世で滅多に拝む事のできない尊い一人芝居を、偉大な文様の誕生以来目にさせて頂いております。尊い教えに感謝感激です。但し、あまりにも恐れ多くて、下賎な身の日本人は、お付き合いする事は出来かねます。

    さて本題ですが、『韓国崩壊+朝鮮半島の無力化を願う会(yahooコメントを観ていると、心情的同士は結構いる様ですが)』の一員として、会計士さんの主張大賛成です。
    ※主張
    金融制裁は、韓国を徹底的に締め上げる(あるいは経済的に焦土化する)のにちょうど良い手段です。・・韓国ご指名ではありませんが

    7/1以来大変気になっていることがあり、毎日yahoo等を観ていたのですが、
    今朝関連情報(下記参照)を見つけることが出来ました。ボルトンさんの解任は不確かですが、やはりトランプは自分の思いに戻ったようです。大量兵器の廃棄を求めていくと後退しています、トランプは何も言っていませんし、やはりボルトンが首にされた北の現状存続が濃厚です。
    元をただせばアメリカです、本当の元は日本が負けたことですが(ここまで行き着くと我ながら??)、責任を認識し/責任を取ってもらいたい。トランプが存続したとしたら後5年、この5年でどうなるのか、賤日/復讐心に凝り固まった『核、化学兵器、相応の国力を持った』8000万朝鮮族との新たな敵対関係という悪夢が始まるのでしょうか。
    悪夢を防ぐ韓国崩壊と書くのは容易なのですが、政府の真意も分かりませんし、政治を動かす層の思考も分かりません。大多数の国民は考えていないでしょう、悪夢の再来を。
    何に期待すれば良いのでしょう、トランプの怒りを招く北の勘違い行動?/セイカダイの暴発?、日本を守る政府の真意と行動?アア、アア、アメリカ次第か、現実は。
    以上、妄想だけは描ける、無力な/真面目な、一国民の行き場のない暗い気持ちでした。

    ⚫︎気になってた事項・・© Japan Business Press Co., Ltd. 提供
    北の核保有認めボルトン大統領国家安全保障担当補佐官解任
    ⚫︎「米核凍結は最初の段階」米報道官、見返り言及せず
    2019/07/10 18:02 国務省、ー読売新聞
     【ワシントン=横堀裕也】米国務省のオータガス報道官は9日の定例記者会見で、北朝鮮の非核化交渉に関し、「核開発の凍結は最初の段階であり、決して終着点ではない」と述べた。米国が完全な非核化を求める原則を堅持しながら、7月中旬にも再開される米朝の実務者協議で、凍結案と北朝鮮への見返りを協議する可能性が出ている。これを受けて、米国の北朝鮮政策の目標が完全な非核化ではなく凍結水準に後退するのかという憂慮が提起された。
    オータガス氏は、北朝鮮が核開発の凍結に応じた場合の見返りについては言及しなかった。一部の米メディアは凍結案を巡り、米国のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表が見返りとして、人道支援や米朝双方での連絡事務所設置などを模索していると報じていた。
     オータガス氏は一方で、「我々は北朝鮮の大量破壊兵器が完全に除去されることを求めている」と語った。凍結案だけでは、米国が事実上、北朝鮮を核保有国として認めることになるとの懸念を踏まえ、完全な非核化を改めて要求した発言とみられる。

  5. spaceman より:

    更新ありがとうございます。

    金の力は重要ですが、もう一つ、サイバー戦力とでもいうべきものが今や不可欠ですね。日本はおそらくこの点でかなり遅れをとっているのではないかと危惧します。

    今回の会計士さんの文章と直接的な関連があるわけではないのですが、ちょうど現代ビジネスに面白い記事がありました。

    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65810

    “War by another mean”という言葉が紹介されていますが、政治、金融、そして情報の戦争ですね。より具体的な“Economic Statecraft(ES)”という言葉も登場します。

    国家戦略に関わる技術や生産能力の獲得を賭け、国をまたいで企業や人材のえげつない争奪戦や潰し合いが水面下で起こっていることなど、日本の多くの人は知らないのではないでしょうか。

    もはや古い言葉になりましたが、今まさに「文明の衝突」が起こっているわけですね。

    中国やロシアのような国は、主権者の意向によって、どんなえげつないことでも実行できる。ときには民間の動きに見せかけて。西側のリベラルな諸国では、基本そんなことは不可能です。アメリカでさえやりたい放題ができるわけではない。
    プーチンは「リベラルはもう古い」なんて言っているわけですが、これはいわば非対称戦です。

    日本と韓国の軋轢にもこの非対称戦の様相があります。アチラは独裁者のごとき大統領の権力に加えて、非常に煽動しやすい国民という武器を教育によってせっせと製造しているわけで。(まあ、この武器は対日戦ぐらいにしか役立たない諸刃の剣ですが)。

    日本がフェアネスばかりを気にかけているとやられてしまうわけです。しかし、フェアネスを捨てることもできない難しさが、まさに現代的だといえる。
    つまるところ、見える武器も見えない武器も、保有するに如くはないということでしょう。

  6. ノーベル より:

    桔梗屋と代官がヒソヒソ話

    代:北の店と南の店をくっつけるぞ!
    桔:手前は如何すれば…
    代:北はワシが手懐けた、おぬしは南に荷が入らないようにしてくれ!
    桔:ついでに貸した金を、引剥がしておきます…
    代:わしは今、西の店にかかりっきりで忙しい、おぬしに任せたぞ
    桔:お代官様もお人が悪い(笑)、これならノーベル賞も間違いなし

    黄門様も助さん・核さんも、弥七から耳打ちされたが、ソロバンを弾くのに忙しく、そっと印籠を片付けた

  7. りょうちん より:

    すげえ・・・

    https://japanese.joins.com/article/403/255403.html
    韓日「二国間協議」の格下げを狙う日本…12日に東京で「課長級」実務接触へ

    韓国人が空気を読もうとした!

    経産省の方も「課長補佐代理心得」あたりを出席させれば、韓国人にもわかりやすくていいですね。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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