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外為法第16条の研究:韓国に対するカネの流れの制限とは?

(2019/07/08追記)この文章につきましては、匿名のコメント主様から「外為法第16条ではなく外為法第21条の話をしているのではないか」とのご指摘を頂き、確認したところ、条文番号の参照を間違えていたことがわかりました。平にお詫び申し上げます。条文番号は「外為法第16条」から「外為法第21条」に書き換える必要がありますが、条文の引用の部分につきましては基本的にはそのまま「資本規制の議論」として通じます。ただし、後半では第16条の制裁の議論と混同している部分もあります。そこで、本日、訂正記事『過去記事を訂正し、改めて外為法の金融制裁を解説します』を掲載しました。また、自身の不勉強の戒めとする目的も兼ねて、本稿については削除せず、そのまま当ウェブサイトへの掲載を続けたいと思います。

先日の『「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足』と『外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?』の「続編」です。最近、日本政府の韓国に対する「対抗措置」、あるいは「制裁」といった議論があまり見られなくなりましたが、私の希望的観測に基づけば、べつに日本政府は韓国に対する対抗措置ないし制裁の適用をやめてしまったわけではなく、虎視眈々と準備している最中であるはずです。ただし、外為法第16条第1項などに基づく「カネの流れの制限」には、なにかと悩みがあることもまた事実です。

2019/07/08 11:00 追記

本稿は2月26日付で公表したものですが、「外為法第16条の議論」として参照した条文が「外為法第21条」のものでした。深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

条文番号を第16条から第21条に読み替えれば、「資本規制」の議論については特段誤っていません。ただし、「第16条に基づく支払の禁止」という部分については、今度は第16条の議論になってしまっているなど、議論に混乱が見られます。

よって、のちほど訂正稿を掲載し、そちらへの誘導リンクを示したいと思います。

なお、過去の自分自身の調査不足に対する戒めという意味でも、本稿は削除せずにそのまま当ウェブサイトに掲載し続けます。

2019/07/08 12:00 追記

訂正記事を執筆しました。改めておわび申し上げます。

過去記事を訂正し、改めて外為法の金融制裁を解説します(2019/07/08 12:00付 当ウェブサイトより)

https://shinjukuacc.com/20190708-04/

韓国による不法行為の数々

以前から当ウェブサイトで何度も取り上げている話題ですが、昨年秋口以降、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)政権下の韓国の日本に対する無法の数々が目に余ります。「三権分立」を自称する韓国の「三権」と軍に限定して、1つずつ例示しても、

  • 司法府:国際法(日韓請求権協定)違反の「徴用工判決」
  • 行政府:国際的な約束(慰安婦合意)違反の「慰安婦財団解散」
  • 立法府:国際的非礼(国会議長による他国の国家元首に対する侮辱)
  • 海軍:準戦闘行為(火器管制レーダー照射)

といった具合に、それぞれの機関が日本に対して不法行為を働いているのです。これに「旭日旗騒動」や竹島軍事演習、日本海呼称問題など、大小さまざまな問題が、ほぼ100%、韓国側から一方的に仕掛けられている状況です。

司法府、行政府、立法府、そして軍がそろって日本に対し、条約違反、約束違反、侮辱、準戦闘行為などを仕掛けてきたわけですから、少なくとも私たち日本国民としては、文在寅政権下の韓国という国自体が日本に敵意を持っていると認定するのが適切でしょう。

対抗措置

なぜ対抗措置を取らないのか?

ただ、あれだけの不法行為を受けているにも関わらず、日本政府は現時点に至るまで、「日韓断交」などとは口にしていませんし、これらの韓国側の行為に対しても、何ら対抗措置を取っていません(少なくとも表面上は、ですが…)。

それどころか、安倍総理を筆頭とする政権幹部は、韓国を「基本的価値と戦略的利益を共有するもっとも重要な隣国」とは表現しなくなったものの、「日米韓3ヵ国連携が大事だ」、「日韓間の諸問題をマネージし、協力できるところは協力する」、といった姿勢を崩していません。

他国の哨戒機に火器管制レーダーをぶつけてくるような国に日本の友好国である資格などあろうはずはありませんが、それにもかかわらず、日本政府は口先では「日米韓」などと言い続けているのです(岩屋毅防衛大臣の発言などがその典型例です)。

日本政府の姿勢が「弱腰」に見える理由は、当ウェブサイトではすでに何回も触れているとおり、日米韓3ヵ国連携は米韓同盟とセットだからです。

といっても、米韓同盟の消滅の意味については、韓国観察者・鈴置高史氏の名著『米韓同盟消滅』に詳しく書かれていますし、当ウェブサイトでも『名著『米韓同盟消滅』でレーダー照射問題を読み解いてみる』などで触れたとおりなので、ここでは繰り返しません。

日本が壊れたレコードのように「日米韓3ヵ国連携が大事だ」と言い続けている最大の理由は、現時点において「日本から」日米韓3ヵ国連携の取りやめを言い出すべきではない、という判断にあるのでしょう。

私は日本政府のその判断が正しいかどうか、現段階で断言することは避けたいと思います。ただし、私たち日本国民が安倍内閣に政権を委ねている以上、安倍総理が率いる日本政府がどう判断するかについては、最終的には見守ることしかできません。

そして、私自身の「ウェブ評論家」としての役割は、ときとして専門知識も活用しながら「推論」することで、読者の皆さまの知的好奇心刺激に寄与することなのだと思うのです。

請求権協定上の「仲裁措置」が発動されない理由

しかし、それと同時に、日本は韓国に対する対抗措置、あるいは制裁措置を、必要なタイミングですぐに発動できるよう、準備しておくことが大事であり、私の希望的観測に基づけば、日本政府内ではすでにその概要は固まっているはずです。

とくに、上記のうちの「徴用工判決」を巡っては、私の見立てでは、2月中に「日韓請求権協定第3条第2項措置」が発動されるのではないかと考えていました。これは、日韓請求権協定による「仲裁手続」のことですが、この手続を進めるためには、まずは「仲裁委員会」を組織する必要があります。

そして、「仲裁委員会」の組織に当たっては、標準で60日、最大で90日の期間が必要です。仮に2月9日にその手続に入っていた場合、順調に進んだとしても、仲裁委員会自体が組織されるのが4月中旬、下手をすると5月にずれ込む、という可能性もあります。

(※日韓請求権協定に基づく手続の詳細については、以前、『徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?』などもご参照ください。)

ただ、日本政府は現時点に至るまで、仲裁手続へ移行していません。その理由は定かではありませんが、私なりに立てている仮説は、「日本政府はわざと手続を遅らせることで、時間稼ぎを狙っている」、というものです。

実損害が生じるのを待っている?

あえて日本政府の判断を忖度(そんたく)して申し上げるならば、おそらく日本政府としては、「日本企業に実損害が出るまでは、手続を中止する」、という判断をしたのでしょう(あるいは米国の朝鮮半島戦略と連携している可能性もありますが…)。

具体的には、昨年10月30日の大法院(※最高裁に相当)の「徴用工判決」を受けて、原告側の自称元徴用工らの代理人は、新日鐵住金の在韓資産である非上場株式を強制換金処分すると発表しています。

その強制換金処分が行われた瞬間をもって、日本企業に不当な不利益が生じたと認定するつもりでしょうし、逆に言えば、強制換金処分が行われない間は、日本政府は日本企業に「不当な不利益」は生じていない、と考えているのかもしれません。

もっとも、『株式差押えは「日本企業に実損出ていない」の屁理屈のため?』などでも触れたとおり、私に言わせれば、次のとおり、現時点ですでに日本企業には「不当な不利益」が生じている状況にあります。

  • 韓国で裁判を起こされた企業は、「韓国で」裁判に出廷しなければならなくなり、これにともない韓国語通訳を雇うコスト、従業員を韓国に派遣する出張旅費、韓国で弁護士を雇う場合のコストなど、莫大な費用負担が発生している
  • 韓国で裁判を起こされていない企業も、今後、韓国国内で不当な損害賠償訴訟を起こされるリスクに備えなければならなくなった
  • いずれの会社においても、本社の法務部の人件費、経理部門における重要な訴訟リスクの開示、集計コスト、監査法人対応などで余分なコストが発生しているし、また、企業によっては訴訟損失引当金の計上も必要である

それはさておき、徴用工判決の件を巡り、私などは「日本政府は策を弄さず、さっさと日韓請求権協定上の仲裁手続に移行すれば良いのに」、と思ってしまいます。なぜなら、どうせ韓国側は仲裁手続に応じないと考えられるからであり、そうなれば「韓国が日韓請求権協定を破った」ことになるからです。

ただ、ここでも日本政府の姿勢を忖度して申し上げるならば、

日本企業に実損害が生じた→仲裁手続を実施した→韓国側がそれに応じなかった→国際裁判→韓国側が裁判にも応じない

といった流れを作ることで、「韓国は無法国家だ」という印象を、日本の民間企業にも植え付けるつもりなのかもしれません。

カネの流れを堰き止めよ

仲裁手続以外の「対抗措置」

さて、この仲裁手続を除いても、日本には韓国に対する厳しい措置を取る能力があります。

簡単にいえば、「ヒト・モノ・カネ」などの流れの制限などの措置を講じることができるのですが、ここではごく単純化して、図表で考えてみましょう。

図表 ヒト・モノ・カネの流れの制限パターン
制限対象 日本→韓国 韓国→日本
ヒト ①日→韓のヒトの流れの制限 ④韓→日のヒトの流れの制限
モノ ②日→韓のモノの流れの制限 ⑤韓→日のモノの流れの制限
カネ ③日→韓のカネの流れの制限 ⑥韓→日のカネの流れの制限

(【出所】著者作成)

パターン①日本→韓国へのヒトの流れの制限

最初のパターンは日本から韓国へのヒトの流れの制限ですが、これは非常に困難です。なぜなら、日本政府は自国民に対し、特定国への渡航「自粛」を求めることはできますが、基本的に「禁止」することはできないからです。せいぜい『海外安全ホームページ』で注意喚起するのが関の山でしょう。

(※なお、日本政府が個人を特定して旅券の返納を求めることはできますが、あまり現実的な方法ではありません。)

パターン②日本→韓国へのモノの流れの制限

次に、パターン②は、日本から韓国へのモノの流れの制限ですが、これは、やろうと思えば、既存の法律の枠組みを使い、わりと簡単にできます。これについては以前、『外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?』にて紹介したとおりなので、本稿では割愛します。

パターン③日本→韓国へのカネの流れの制限

パターン③は、日本から韓国へのカネの流れの制限であり、実は、これはきわめてパワフルな制裁として機能します。というのも、韓国の企業などは、日本の銀行等金融機関から最終リスクベースで約600億ドル弱のカネを借りているからです。

この「600億ドル弱」という金額の根拠については、『「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足』のなかで触れたとおりですので、ここでは繰り返しません。重要なことは、日本の金融機関は資金面で韓国企業に対する生殺与奪の権を握っている、という事実です。

パターン④韓国→日本へのヒトの流れの制限

パターン④は、韓国から日本へのヒトの流れの制限であり、具体的には観光ビザ免除プログラムや就労ビザなどの厳格化が想定されます。そして、パターン①と比べると、発動方法によっては韓国経済にそれなりの打撃を与えることはできます。

とくに、現在、韓国人観光客らに対しては、90日までの滞在であれば、観光ビザは免除されます。しかし、これでは長すぎます。私は、せめてアジアの一部の国と同様、滞在可能期間を15日ていどにまで圧縮しても良いと考えています。

パターン⑤韓国→日本へのモノの流れの制限

パターン⑤は、韓国から日本へのモノの流れの制限であり、具体的には関税引き上げ、通関手続の厳格化、韓国ナンバーのトラックの日本乗り入れの禁止、などが考えられます。このパターンは、輸出に依存した韓国経済に対して、地味に効く制裁でもあります。

パターン⑥韓国→日本へのカネの流れの制限

図表中、最後に考えられるのはパターン⑥ですが、これについては金額的にも僅少であるため、ここでは無視します。

それ以外のパターン

ヒト、モノ、カネの制限にはざっと6つのパターンがある、ということはわかりますが、制裁にはそれら以外にも方法があります。たとえば:

  • ⑦韓国が困っているときに、わざと助けない
  • ⑧韓国が日本企業を排除するような行動にでるという、いわゆる「セルフ経済制裁」に期待する

といった方法です。

ただし、⑦については前提として「韓国が経済的に困ること」が必要ですし、⑧は韓国の自爆に期待する、しかありません。したがって、現状ではやはり、⑦、⑧ではなく、①~⑥の方法で検討するのが適切でしょう。

(※なお、前回の『外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?』で、資産凍結はパターン③とは別物であると記載していましたが、本稿では外為法第16条の措置に含まれるものとして説明したいと思います。)

外為法第16条第21条第1項とは?

こうしたなかで、私が注目しているのは、パターン③の方法であり、それを可能にするのが、外為法第16条第21条第1項という規定です。

外国為替及び外国貿易法第16条第1項第21条第1項

財務大臣は、居住者又は非居住者による資本取引(第二十四条第一項に規定する特定資本取引に該当するものを除く。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、若しくは国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるとき又は第十条第一項の閣議決定が行われたときは、政令で定めるところにより、当該資本取引を行おうとする居住者又は非居住者に対し、当該資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

この条文は、「資本取引の禁止規制」と呼ばれるものです。つまり、日本において、「資本取引」は基本的に自由ですが、

  • 我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき
  • 国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき
  • 第10条第1項の閣議決定が行われたとき

には、「その資本取引は許可が必要だよ」、と宣言することができるのです。資本取引とはざっくり次のような取引をさします(外為法第20条各号、外為令第10条)。

外為法第20条各号
  • ①居住者と非居住者との間の預金契約
  • ②居住者と非居住者との間の金銭の貸借契約又は債務の保証契約に基づく債権の発生等に係る取引
  • ③居住者と非居住者との間の対外支払手段又は債権の売買契約に基づく債権の発生等に係る取引
  • ④居住者と他の居住者との間の預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約又は対外支払手段若しくは債権その他の売買契約に基づく外国通貨をもつて支払を受けることができる債権の発生等に係る取引
  • ⑤居住者による非居住者からの証券の取得又は居住者による非居住者に対する証券の譲渡
  • ⑥居住者による外国における証券の発行若しくは募集若しくは本邦における外貨証券の発行若しくは募集又は非居住者による本邦における証券の発行若しくは募集
  • ⑦非居住者による本邦通貨をもつて表示され又は支払われる証券の外国における発行又は募集
  • ⑧居住者と非居住者との間の金融指標等先物契約に基づく債権の発生等に係る取引
  • ⑨居住者と他の居住者との間の金融指標等先物契約に基づく外国通貨をもつて支払を受けることができる債権の発生等に係る取引又は金融指標等先物契約に基づく本邦通貨をもつて支払を受けることができる債権の発生等に係る取引
  • ⑩居住者による外国にある不動産若しくはこれに関する権利の取得又は非居住者による本邦にある不動産若しくはこれに関する権利の取得
  • ⑪法人の本邦にある事務所と当該法人の外国にある事務所との間の資金の授受
  • ⑫居住者と非居住者との間の金の地金の売買契約に基づく債権の発生等に係る取引

つまり、これが発動されてしまうと、発動された相手国は、日本で有価証券を発行することが制限されますし、それどころか日本に物品を輸出しても、その代金の支払いが受けられなくなるリスクもありますし、さらに、在日資産を換金しても、事実上、国外に持ち出せなくなります(いわゆる資産凍結措置)。

タリバンや北朝鮮はこのパターン

財務省は実際に、タリバンや北朝鮮、イラクの前政権などに対して、この外為法第16条第1項に基づく措置を実行しているそうです。

る資産凍結措置等が実施されている相手
  • イラク前政権の機関等及びイラク前政権の高官又はその関係者等
  • タリバーン関係者等やテロリスト等
  • ミロシェヴィッチ前ユーゴースラヴィア大統領等
  • コンゴ民主共和国に対する武器禁輸措置等に違反した者等
  • スーダンにおけるダルフール和平阻害関与者等
  • 北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者等
  • ソマリアに対する武器禁輸措置等に違反した者等
  • リビアのカダフィ革命指導者及びその関係者
  • シリアのアル・アサド大統領及びその関係者等
  • クリミア「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者
  • 中央アフリカ共和国における平和等を損なう行為等に関与した者等
  • イエメン共和国における平和等を脅かす活動に関与した者等
  • 南スーダンにおける平和等を脅かす行為等に関与した者等
  • イランの核活動等に関与する者

これらの措置が発動された場合、経済制裁の具体的な内容と対象者のリストが財務省から公表されます。北朝鮮の場合は具体的な措置が5つほど発表されており、なかでも比較的シンプルなものは、『北朝鮮に住所等を有する個人等に対する支払』(※PDFファイル)という措置です。

外国為替及び外国貿易法第 16 条に基づき、次に掲げるものを除き、北朝鮮に住所等を有する個人等に対する支払を許可制とすることにより禁止する。

ちなみに、許可されている支払いは次のとおりです。

  • ①電気通信事業法第2条第5号に規定する電気通信事業者がする国際電気通信役務に係る精算料金の支払
  • ②万国郵便連合憲章に規定する指定された事業体間で決済する万国郵便条約及びその施行規則に規定する補償金の支払
  • ③厚生労働大臣がする労働者災害補償保険法に基づく保険給付、国民年金法に基づく給付、厚生年金保険法に基づく保険給付、その他これらに類する給付に係る支払
  • ④北朝鮮に滞在する居住者がその滞在に伴い通常必要とする支払
  • ⑤北朝鮮に住所又は居所を有する自然人に対する支払であって、次に掲げるもの(10 万円に相当する額以下のものに限る。)
    • (ⅰ)北朝鮮に住所又は居所を有する自然人がする食糧、衣料、医薬品その他生活に欠くことができない物資の購入に充てられるもの
    • (ⅱ)北朝鮮に住所又は居所を有する自然人が医療サービスを受けるために充てられるもの
    • (ⅲ)(ⅰ)及び(ⅱ)に掲げるもののほか、人道上の理由により特に必要と認められるもの

逆に言えば、「北朝鮮に住所等を有する個人」に対し、これら以外の支払を行うことができません。

また、外為法第70条第1項によれば、この規定に反して規制対象国に支払を行った場合には、「3年以下の懲役」か「100万円以下の罰金」(あるいはその両方)が科せられるとされており、また、違反行為の目的物の価格が100万円を超えるときは、その価格の3倍以下の罰金が科せられます。

単独制裁では弱い!

以前、『外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?』でも申し上げたとおり、外為法の手続は基本的には使い勝手が悪いものの、うまく使えば韓国経済を締め上げることができます。そして、その事情は外為法第16条第1項でも同じです。

つまり、日本政府としては、外為法第16条第1項(あるいは第3項)などの規定を使えば、韓国に対する資金の流れを制限することができます。

ただし、これも一種の「伝家の宝刀」ですので、「抜きどころ」を間違えてはなりません。

すでにBIS統計上、韓国の資金調達先は日本だけでなく、米国(ニューヨーク市場)、英国(ロンドン市場)など、多様化していることも事実だからです(『「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足』参照)。

いや、もっといえば、日本が韓国に対し、外為法に基づく単独制裁に乗り出した場合、韓国は資金調達源を米国や英国などにシフトする、という選択肢もあります。

やはり、日本政府が韓国に対する制裁措置に乗り出していない理由は、米国や英国を味方に付け、日米英で一斉に韓国に対する経済制裁を採用しなければ意味がないからだ、と判断しているからなのかもしれません。

新宿会計士:

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  • >日本が韓国に対し、外為法に基づく単独制裁に乗り出した場合、韓国は資金調達源を米国や英国などにシフトする
    韓国の将来を考えた場合、韓国が「米国や英国などにシフト」して借り入れできるうちに単独制裁したほうが、韓国からの返済可能性があると思いますがいかがでしょうか。
    米国や英国などにシフトできなかったら、韓国は「堂々」と返済しません。
    邦人及び日本企業の財産を守るうえで、在韓資産を引き揚げる意味から単独制裁はありかと考えます。

  • 更新ありがとうございます。

    なるほど外為法第16条第1項。こういう制裁法がありましたか。いつも難解で読み通すのも辛い私には、とても平易に簡潔に表現して戴き、ありがたく存じます。

    世界にはいろんな制裁を喰らっている国がありますが、韓国はこの仲間に列する事、何ら不思議ではありません。特に日本、米国には言いたい放題、米国には地勢を利して条件を良いように引き出そうとする。日本には反日挑発。

    で、現状は海自レーダー照射や天皇陛下への侮辱発言、慰安婦合意破棄だけでも動きにくいと。一つやられたら即やり返すのは、日本らしくないし、相手を慮ることもあるでしょう。

    しかし、韓は、、許せまじ!ですね。米朝会談終わったら、仲裁協議の声を挙げ、出て来ないだろうから行き着くのはICJか。並行で外為法制裁をやって欲しいッ。是非とも。プラス何事も韓国には関知しない。

  • 私は人の流れを早く制限して欲しいと思っています。
    これは制裁というより、治安上の問題です。いつ韓国人のテロで死傷者が出てもおかしくない状況だと思います。

    靖国での爆破テロ未遂事件も、マスコミは爆発音事件と言っていますが、この事件は1発目の爆発は大音量で周囲の注意を引き、人を集めてから2発目の爆発で殺傷するという非常にえげつない計画でした。
    2発目の爆弾が不発だったため犠牲者が出なかっただけで、もし不発でなければ大勢の死傷者が出ていたと思います。
    韓国人は、昔酷い事をされたのだから日本人には何をしても許されると思っている人が多いです。

    ノービザ廃止と共に、ワーキングホリデーも廃止するべきですね。労働ビザも制限するべき。
    去年、約7000人も興行ビザ発給していますが、多くは昔のフィリピンと同じで、ダンサー・シンガー名目の売春婦じゃ無いでしょうか。

  • 制裁時期はともかくとして手段として金融制裁があるのは判ります。ただその発動要件をクリアするのはかなりハードルが高いのではありませんか?

    ①我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき
    ②国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき

    ①の要件を適用するのは現在の情勢では、韓国が制裁破りに加担していると認定される等がなければ無理でしょう。先般のレーダー照射事件などは限りなく「制裁破り」に関連していることを窺わせますが、これだという証拠を突き付けなければシラを切りとおされますし、安保理での決議も中露どころか米もウンとは言わないでしょう。
    実際のところは日米とも証拠を握っているような気がしますが、今はこれを出してくる時期では無いと考えているように見えます。
    ②の要件は日本が認定すれば単独で行えますが、今のところ北の核開発に資金援助しているとか、ISに武器供与しているとかの、これも証拠を必要とする話で、日本の情報能力ではとてもそんなことは出来ていないと思います。反日だから世界平和の妨げとは言えないですからね。

    そう考えると金融制裁(その他の制裁にしろ)の発動は日本としては決断できないと思います。
    旭日旗・レーダーに対する反発として防衛協力を縮小するとか、天皇謝罪発言に対して式典招待を中止するとか、徴用工差し押さえに対して韓国資産の差し押さえとか、個々の案件に対して同等の対応(制裁に非ず)をすることくらいてしょうね。残念ながら。

  • 日本政府は公式にはいろいろ言っていますが、韓国側がどうせ仲裁手続きとか国際司法裁判所提訴とかには乗ってこないことは当然織り込み済みのようです。米欧での資金調達についても利に聡い彼らは「旨みがある」と思えばとっくにやっていたはずで、文在寅政権に対する安全保障上の危惧、徴用工問題で浮かび上がってしまった信用問題への不安、そして何より経済大国である日本が制裁に踏み切ったとなれば韓国の思惑通り事が運ぶかは極めて疑問です。
    外為法16条以外の制裁もいろいろ検討されていると聞いていますが、制裁を日本政府が故意に遅らせているという新宿会計士さんの指摘はとても正鵠を突いていると知人が絶賛していました。要するに諸般の情勢を検討すると韓国経済の破綻は大方の予想よりはるかに早く起きる可能性があるという事です。であれば何も日本が率先して波風を立てる必要は無いからです。
    先日文在寅の娘夫婦がタイへ戦略予防的に脱出したと話題になりましたが、日本駐在の韓国人が家族を呼び寄せたとか、新聞には載らないですが、日韓関係に大きな蠢きが目に見えないところで始まっているようです。

  • >>単独制裁では弱い!
    全く同じ意見です
    制裁をかける以上、韓国に大きなダメージを与えるものでなければ意味がないと思います
    また制裁によって、日本・世界の産業・経済が大きな影響を受けることも、できるだけ避けないといけないと思います

    ですので、制裁の方法は、瀬取りなどを理由に国連レベルのセカンダリーボイコットが一番効果があって良いと思います
    ただ、その前に韓国を国際分業のサプライチェーンから外しておかないと、日本・世界の産業・経済に影響が出ると思います
    幸いなことに韓国にしか作れないものは一切ないし、昨今の韓国の行動からカントリーリスクが上がっているので、民間企業独自の判断で部品の調達先から韓国を外し始めてるように見えます。 推測ですが、あと半年くらいでかなりサプライチェーンから外すことが進むと思っています
    現状の韓国企業の業績悪化が物語ってますね

    もっとも、信念を持って韓国をサポートしたい会社は放っておくしかないですが、大きな欠損をだせば、株主からで背任で訴訟されるかもしれないですね

    スケジュール的には、今年の秋ころが、日米の韓国切りのタイミングでしょうか?

    • 今までロム専でしたが(汗)
      米主様の、スケジュールを考慮した指摘に同感致します☆

    • そうだといいなと強く思います。財務省や経産省あたりが間接的にでも企業に伝えてるものと信じたいです。がっつり韓国にかかわっている東レあたりはどうするんでしょうかね。時間的猶予を与えたうえで残ったら自己責任としか言えませんが。

  • 現時点で対抗措置が為されていないのは弱腰と言えば弱腰ですが、企業側からすれば嫌がらせ染みた訴訟では国は助けてくれないと映ると思います。
    それに、嫌がらせでも相手国の法制度ですから、訴訟が連発される事を理由に対抗措置を講じるのは難しいのではないでしょうか。
    ただそれは、転じれば韓国特有のカントリーリスクでもあります。
    日本政府は8番のセルフ経済制裁の準備をしている韓国を眺めてるだけかもしれません。

  • 他サイト等では輸出信用などについて述べているものもありますが、このあたりはいかがなんでしょうか?

  • なるほど、外為法第16条1項、できたら、強力ですね。
    しかし、現在まで、行使された対象国を上げて見ると。

    イラク、ユーゴースラヴィア、コンゴ、スーダン、北朝鮮、ソマリア、リビア、シリア、中央アフリカ共和国、イエメン共和国、南スーダン、イラン。

    となってます。
    どの国も、人権侵害、内戦、核開発などで、明らかな国際的な大批判を浴びた国ばかりです。

    主さまは、本気でここに、韓国を加えることができる、とお考えでしょうか?

    私には賢明な主さまが、そんな判断をされるとは思えません。
    ということは、1つの案として掲載されたわけでしょう。
    つまり、現実的ではない仮説であるということです。

    残念ながら、主さまは私が以前から提案している、韓国への経済制裁のもう1つの方法を忘れてらっしゃいます。

    恐らく、こちらの方が、容易で、効果的であるにも関わらず、なぜ真面目に考えてくれないのか、私は、残念でなりません。

    その方法は「韓国関連日系企業の株購入を日銀およびGPIFが止める」という方法です。

    ご存じのように、現在日銀は毎年、6兆円のETFを市場から購入しております。
    ETFというのは運用会社がいろんな株式をパッケージにした金融商品です。
    現在、日銀が買っているのは

    TOPIX
    日経平均株価(INDEXNIKKEI: NI225)
    JPX日経400
    「iSTOXX MUTB Japan 積極投資企業 200 インデックス」
    MSCI 日本株人材設備投資指数
    JPX/S&P 設備・人材投資指数
    野村企業価値分配指数

    だそうです。
    そして、現在、日銀のETF残高は28兆円、実に日経平均時価総額645兆円の4%を越えました。
    当然市場は歪になり、日銀が大株主になっている企業も数多く出てきており、中には元々安定株主の比率が高い創業者企業などはもう浮動株ベースでは60%を越えているところまで来ております。
    当然、有識者の間では、購入比率を変えなければいけないと、様々な意見が出てきております。

    一方、GPIFの方ではもっと酷くて、なんと現在日本株の残高が42兆円、他の共済等公的資金の日本株残高は50兆円だと言われています。
    私はここで、将来の年金資金がアベノミクスの博打で危険に晒されてる、なんてアホなことは言う気はありません。
    私が言いたいのは、運用会社に、一言、営業拠点が韓国にある日系企業をETF構成銘柄からはずすように運用会社にそれとなく言ってほしいだけです。

    どうせ、購入銘柄の組み替えを定期的にしなければならないのです。
    前回 
    設備人材投資指数関連などというETFを組み入れたのなら、今度は、例えば製造業では国内に生産拠点がある企業のみのETFとか、外需ならばインド、ベトナム、マレーシア中心の商業件を持った企業のみのETFとか、あからさまに韓国はずしをすることができないのなら、そんな感じでいくらでも韓国に無関係な企業群の組成ETFを作らせることはできるはずです。

    そうすれば、必然的に、目ざとい投資家たちは、「どうやら韓国で商売してる企業は日銀や年金から買ってもらえないようだよ」という噂が流れます。

    そうして、もし、福島みずほや辻本清美が国会で「なんで公的資金は韓国関連の企業の株を買わないのか?」と追求してきても、麻生さんはお得意の人を小バカにした口調で薄笑いを浮かべながら歪んだ口で「そんなことありません、たまたま、外れただけです」とすっとぼけたらいいのです。

    そうすれば、韓国から日系企業はそう撤退するし、それが経済制裁になりますし、しかも現行法でできるし、簡単だし、そして日本国民も喜ぶ、いいことづくめじゃないですか。

    ということです、以上(笑)

    • カニ太郎さんへ

      >韓国関連日系企業の株購入を日銀およびGPIFが止める
      素晴らしい
      けだし名案

    • > 「韓国関連日系企業の株購入を日銀およびGPIFが止める」

      同じく、いい案だなーと思いました。
      「韓国経済リスクあるしー」、で採用できないかな。
      スジがいいと思うのですが。

    • ジャブとしてよさそうな気がします。あたりどころによってはそのジャブでKOしてしまうかもしれないしれませんが(笑)
      どこが韓国関連日系企業に該当するのかが気になるところではありやすが。
      韓国にモノを売ってる企業であれぱ、トヨタや新日鉄住金など非常にたくさんありますし。やはりサプライチェーンに韓国を組み込んでる企業になりましょうか...東レとか。

      • 政府購入のETFから韓国関連銘柄をはずすというのは、良い案であると思いますが、
        韓国がしてきたことを考えれば、韓国を制裁対象国に含めるというのは、十分に
        ありうる選択肢であると思います。

        ただ、ホワイトリストから韓国をはずすという案に対しては否定的なサイト主が、
        16条での資金凍結は可能というのは、自分のバランス感から言えば、逆であると
        思います。ホワイトリストからはずすという方が、措置としては軽く、やりやすいと
        思います。

        韓国に対するすべての送金が許可が必要となった場合、日本企業の韓国在住の
         赴任サラリーマンなどは、かなり資金繰りに困ると思いますので、実現は、
         かなり厳しいと思います。(それでも、やってしまえと思ってしまうことが
         ありますが、日本政府は、そこまでやらないであろうとは思います。)

        なお、韓国が、慰安婦合意や日韓請求権協定を破るのであれば、
         韓国産業銀行などの勧告政府系金融機関の円建て口座をすべて凍結して
         しまえばよいと思います。

        Lineなどのすべての韓国企業(又はその子会社)の預金口座まで凍結してしまうと
         海外から非難されそうですが、韓国産業銀行等の政府系金融機関は、100%韓国政府が
         持っているので、批判は、そこまでいかないと思います。

        韓国系政府系金融機関が、1200億円のサムライ債を発行して、日本で資金調達などと
        昨年も報道されていましたが、日本を馬鹿にしている国の債券を買う投資家も投資家だと
        思いますし、それを日本で発行させる日本政府も、日本政府だと思います。

        そして、その債券発行を引き受ける証券会社も、証券会社だと思います。

        結局、色々なところに、韓国のことが大好きな方が日本にいるので、
        いつまでたっても、韓国になめられっぱなしなのです。

        各企業の韓国との関係を、マスコミが、全部洗い出し、韓国経済が破綻したときの
        各社の損害額をランキングにして公表したりしないかと期待してしまいます。

        • 日本証券業協会「有価証券の引受等に関する規則」

          (適切な引受審査)
          第 12 条 引受会員は、引受けを行うに当たっては、発行者が将来にわたって投資者の期待に応えられるか否か、募集又は売出しが資本市場における資金調達又は売出しとしてふさわしいか否か及び当該発行者の情報開示が適切に行われているか否かの観点から、引受審査部門(第5条第2項の場合には、当該引受審査案件に係る引受審査業務を遂行する担当者)において、第16条から第19条までに規定する引受審査項目について厳正に引受審査を行わなければならない。

          韓国政府は、コーポレートガバナンスめちゃくちゃで、日本との合意もすべて破るような国なのに、なぜ、その韓国政府が100%もっているような政府系金融機関、しかも、WTO違反の支援を行っていると批判されている所が、日本で、資金調達できるのか、不思議です。

          毎年、徳政令を出している国で、北朝鮮との統一/北朝鮮からの侵攻などとなれば、
          直ちに、破綻しますし、そうでなくても、日本政府が、追い込みにかかれば、韓国経済
          は破綻するでしょう。

          政府は、きちんと頭を使って、韓国経済をきちんと破綻に追い込んで欲しい。

          韓国系政府系金融機関に好き放題やらせるから、日本のメーカーだってつぶれるんじゃない。

  • 日本政府がとっている制裁手段は、たしかにスローモーションのようですね。(笑)
    日本国民としては、日本政府が考え(魂胆)があって、そうしている。と思いたい。
    ひょっとして、近々、起こるとして韓国自壊を持っている?その上で国際社会の誰にも分らないように、消極的制裁を加えて臨終を看取る。ってことかな?かなり陰険だけど、私的にはOKですよ。それに相当する相手だと思うので。

    私が気になるのは、韓国のことなんかじゃないです。あの国の文在寅政権が断末魔に北朝鮮との統一国家を急ぐ。それが、北朝鮮の非核化以前になることが心配です。トランプさん、そのGOスイッチ押しそうな雰囲気だし・・

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