中国が日本に擦り寄って来た!その真意とわが国の取るべき対応

米中貿易戦争に中国が困惑するなか、いよいよ本格的に、中国が日本に擦り寄ってきました。日本はこの中国の擦り寄りに対し、いったいどう対応すべきなのか。1つだけ断言できることがあるとすれば、間違っても中国を米国よりも重視してはならない、ということです。そして日本は賢く自国の利益を最大化すべきです。

覇権争いの歴史と米中貿易戦争

米中貿易戦争は延々続くのか?

トランプ政権が相次いで、外国からの輸入品に対する関税を導入しています。といっても、主にターゲットとなっているのは中国であり、第一弾として今年7月6日に、818品目、340億ドル相当の輸入品に対する25%の関税を発動しています。

米、対中制裁関税発動3.7兆円 中国も即座に報復(2018.7.6 21:24付 産経ニュースより)

それだけではありません。8月23日には新たに年160億ドル相当の中国製品に対する25%の追加関税を課す「第2弾」の制裁措置も発動されており、25%の関税が課せられている中国からの輸入品の金額は、現時点までで年500億ドルに達した計算です。

【米中貿易戦争】/米国が制裁関税第2弾を発動(2018.8.23 13:04付 産経ニュースより)

こうした動きを、単に「貿易戦争」の枠組みで理解するのはやや性急です。

日本経済新聞社の元編集委員で「コリア・ウォッチャー」としても有名なジャーナリストの鈴置高史氏は、日経ビジネスオンライン(NBO)の大人気連載『早読み深読み朝鮮半島』の最新版で、今回の米中貿易戦争が、いわば台頭する中国を抑えるための覇権争いである、との見方を示しています。

米国は中国をいたぶり続ける/覇権争いに「おとしどころ」などない(2018年9月10日付 日経ビジネスオンラインより)

私もこの鈴置氏の見方には賛成です。

歴史上、覇権国家がやすやすとその地位を譲るということは、あまりありません。たとえば、共和制ローマと地中海の都市国家・カルタゴの間の「ポエニ戦争」は、紀元前264~146年という、100年以上にわたる3度の交戦で、最終的にはカルタゴがローマにより滅ぼされるまで続きました。

また、古代ギリシャにおけるアテナイ(アテネ)とスパルタの戦争、ローマ帝国とペルシア帝国との戦争など、強大国同士が争った事例は枚挙にいとまがありません。

第二次世界大戦と冷戦がセットで覇権戦争

ちなみに、全世界を巻き込んだ悲惨な第二次世界大戦と、それに続く東西冷戦も、当時の覇権国家だった英国と、欧州に覇を唱えようとしたドイツの覇権争いを発端とする新たな覇権争いだとみれば、すっきりと整理できるかもしれません。

第二次世界大戦勃発時点において、英国は落ちぶれていたものの、一応、まだ世界の覇権国家の地位にありました。しかし、開戦後にドイツが破竹の勢いで欧州のほぼ全体を制圧し、英国の命運も風前のともしびとなっていました。

こうしたタイミングで、日本が米国を真珠湾攻撃したことをきっかけに、米国が第二次世界大戦に参戦。日ソ両国は交戦状態になかったものの、日本の敗色が濃厚になってきた時点で、突如としてソ連が対日参戦し、日本が敗北したことで第二次世界大戦が終結します。

しかし、その後は英国に代わって世界の覇権を争うことになったのが米国とソ連です。実際、第二次世界大戦後に東西冷戦がはじまり、世界は「東側陣営」と「西側陣営」に分かれました。とくに、それまで「世界の中心」だったはずの欧州は、その地位を失っただけでなく、「鉄のカーテン」で東西に分断されたのです。

西側の盟主となったのはアメリカ、東側の盟主となったのはソ連です。そして、最終的にこの冷戦を制したのは米国だったのですが、これにより米国は「世界唯一の超大国」という地位を獲得したのです。

このことから、私は第二次世界大戦と東西冷戦をセットで、「米国が覇権を握るためのイベントだった」と見るべきだと考えているのです。

そして、その覇権に公然と挑戦し始めたのが中国なのです。

現在の世界情勢をまとめてみると:

第一次世界大戦直後の世界の有力国といえば、

  • 国際連盟の常任理事国(英国、フランス、日本、イタリア)
  • 世界唯一の共産主義国家・ソ連
  • 国際連盟に距離を置く中立国・米国

という構図でした。しかし、ドイツでナチス党が台頭し、やがては独裁国家「ナチス・ドイツ」が成立。欧州全体に覇権を唱え始め、第二次世界大戦に巻き込まれていったのです。

(※余談ですが、冷静に考えると、なぜ日本がこの全体主義国家であるドイツと同盟を形成したのかについては、もっと歴史家の研究が必要です。日本が全体主義国家であるドイツと同盟関係を成立させたことが、日本の破滅の道につながったのですが、これについては機会を見て、別稿にて議論します。)

そして、第二次世界大戦後の情勢は、大きく

  • 西側陣営:米国、英国、欧州共同体、日本
  • 東側陣営:ソ連、中国、東ドイツ

に別れ、争っていたのですが、ソ連は共産主義の失敗により経済的に疲弊していたところ、1980年代にレーガン政権が仕掛けた軍拡競争に乗ってしまい、ソ連は自壊への道を歩みます。結局、1991年12月にソビエト連邦が崩壊し、事実上の後継国家としてロシア連邦が成立します。

しかし、米国が「世界唯一の超大国」として君臨している間に、中国が外資を呼び込み始め、猛烈に経済発展を始めます。

米国としては「自由主義に基づく公正な競争」を旗印に掲げ、日本やEUとともに三極を形成しようとしたのですが、ルールを公然と破る共産主義独裁国家である中国が、現在、不公正貿易(ダンピング、低賃金労働、為替操作)に基づき、こうした自由貿易体制に挑戦し始めているのです。

このように考えていけば、成り行きとはいえ世界の覇権国家となった米国が、その特権を守るために、中国を封じ込めようと躍起になるであろうことは、想像に難くありません。

そして、米中貿易戦争に対するEUやロシアの動きもシンプルではありません。場合によっては、多極化した世界がそれぞれの思惑に応じ、合従連衡を繰り返す混沌とした時代がやってくるかもしれません。

そうなってくると、わが国がどう動くべきなのかを議論する必要があるのですが、そのことを議論する前に、もう少し、関連する動きを見ておきましょう。

中国はどう反撃するか?

米国内も一枚岩ではないようだが…

では、米国内ではどういう反応が出ているのでしょうか?これに関しては、ちょっとした「小ネタ」を紹介したいと思います。

U.S. Businesses Ramp Up Lobbying Against Trump’s Tariffs(米国夏時間2018/09/12(水) 00:00付=日本時間2018/09/12(水) 13:00付 WSJより)

リンク先は米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ですが、閲覧にはWSJとの有料契約が必要な場合があるほか、英語版でもあるため、読むのには多少、ハードルがあります。そこで、著作権に触れない範囲で、ごく簡単に内容を紹介すると、次のとおりです。

  • トランプ政権が導入しようとしている輸入関税は結果として米国の「ハートランド」を傷つけることになるとして、全米のビジネスマンが輸入関税の導入を見直すよう、トランプ政権に要求し始めた
  • 要求しているのは小売業、玩具製造業、農業、テクノロジー関連企業などの業界団体だ
  • トランプ氏はすでに導入された輸入関税、これから導入される輸入関税などが、米国の産業を守るためにあるとしているが、これに対して正面から異を唱えた格好だ
  • トランプ政権の輸入関税はおもに中国や欧州からの輸出品に課せられることとなっているが、製造業者は輸入した原材料価格の上昇を懸念し、農家や小売業者らは制裁関税の発動を恐れている

つまり、WSJの記事によれば、「外国に対するトランプ大統領の強引なやり方に対し、米国国内からも農家などを中心に反発が生じている」、と読めるのです。

WSJによると、こうしたロビー活動のその中心にあるのが、「NAFTAにおける自由貿易の農家連合」 (“Farmers for Free Trade at North American Free Trade Association”)と称する団体です(長いので、本稿では「FFT」とでも略したいと思います)。

このFFTなるロビイスト・グループは、「私は自由貿易を支持する(“I Support Free Trade”)」などと書かれたバッジを配布し、農民に対してトランプ関税に反対する署名に応じるよう呼びかけるなどの活動を行っているそうです。

要するに、WSJは「トランプ大統領の強引なやり方に対し、米国国内からも農家などを中心に反発が生じている」、といった体裁に仕立てようとしているのですが、私はこのFFTなるグループの背景に、中国共産党の工作資金が入っていたとしても別に驚きません。

いや、むしろこれらの「反トランプ運動」に対し、独裁国家で無尽蔵に工作資金が使える中国共産党の工作資金がまったく入っていないと考える方が不自然でしょう。

この点、WSJは比較的マシであるとはいえ、米国メディアはおしなべて「アンチ・トランプ」であるというバイアスも掛かっているため、WSJなどが「トランプ氏が自由貿易の破壊者だ」と印象付ける記事を仕掛けてくる可能性も十分にあるでしょう。

ついでに余談ですが、「メディア・リテラシー」、つまり「新聞やテレビの報道を鵜呑みにせず、自分の頭である程度咀嚼して、きちんと解釈する能力」が一般国民にも必要であるという点は、日米を問わず共通していると思います。

米中貿易戦争は中国の完敗へ

ただ、数字で見てみればわかるとおり、今回の貿易戦争については、実は、中国が一方的に米国から殴られている状況にあります。

世界の統計2018』(図表9-6『主要相手国別輸出入額』、P170~)によると、中国の米国に対する2016年における輸出額は、米国側の統計で4817億ドルに達しています。これに対し米国からの中国の輸入額は1158億ドルに過ぎません。

米中貿易額(2016年、金額単位:百万ドル)
  • 【米国側の統計】
    • 中国→米国 481,718…①
    • 米国→中国 115,775…②
    • 米国の貿易赤字 365,943…③=①-②
  • 【中国側の統計】
    • 中国→米国 385,678…④
    • 米国→中国 135,120…⑤
    • 中国の貿易黒字 250,558…⑥=④-⑤

(※余談ですが、米中双方の統計では、輸出入の額に大きな齟齬が生じています(とくに①と④の金額には1000億ドル近い差異が生じています)。一般に、輸出と輸入のカウント方式は異なりますが、それにしても両者の差異は大きすぎます。)

米国側の統計を信じるならば、2016年において、中国の米国に対する輸出額は、米国からの輸入額の4倍を優に超えており、米国側が中国製品に輸入関税を課しても、中国側はそれに100%の対抗措置を講じることができません。つまり、「第一次貿易戦争」は、中国側の完敗に終わるのは目に見えているのです。

中国も座視しているはずがない

ただ、中国がこうした状況を座視するはずもありません。

おそらく今後、中国は「第一次貿易戦争」で米国に対し潔く負けを認めつつも、水面下で米国の農業関連団体などに工作資金を出しつつ、世界的にはロシア、欧州連合、日本などを味方に引き入れようとするはずです。そして、すでにその兆候は出ています。

習近平主席「安倍首相の訪中を歓迎」、拉致問題「日本を完全に支持」 日中首脳会談、北の非核化で連携(2018.9.12 13:24付 産経ニュースより)

産経新聞はウラジオストクに官邸キャップの田北真樹子氏を派遣しているようですが、リンク先はその田北氏のレポートです。

田北氏によれば、安倍総理は習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席と約40分間会談。会談後、安倍総理は記者団に対し

「(今年は)日中平和友好条約締結40周年の大きな節目にあたり、積み上げてきた両首脳同士の信頼関係の上に、来月にも私の中国訪問を歓迎するとの発言が(習氏より)あった。私の訪中に向けて調整を進めていくことで一致した

と述べたとしています。この発言、習近平氏という人物の態度の変わりよう、あるいは節操のなさには、心から驚きます。というのも、2013年頃には日中首脳会談にまったく応じようともしなかったからであり、この同じ人物が、「安倍総理の訪中を歓迎する」と述べるまでに変節したからです。

それだけではありません。習近平氏は日本人拉致問題の早期解決に向けた日本の立場を「完全に支持」すると述べたほか、朝鮮半島の非核化が「日中共通の目標」だと明言。日中が「緊密に連携する」と述べたのだそうです。

こうした発言を額面通り受け取るなら、日中関係は好転していることになります。しかし、中国共産党による一党独裁国家の「終身独裁国家元首」の発言にどこまで誠意があるのか、どこまで信じて良いのかについては大いに疑問です。

私はむしろ、一連の発言は、中国の方から擦り寄ってきている証拠であると考えます。早い話が、「中国が積極的に日本との関係を改善しようとしている」という意味だと捉えるべきではなく、「中国がやむにやまれず日本に擦り寄ってきた」という意味だと考えるべきなのです。

ということは、あくまでも米中貿易戦争で苦境に立たされている中国が、日本との協力を取り付ける必要に迫られている、ということであり、中国が米中貿易戦争という苦境を乗り切れば、手のひらを返すことは目に見えています。

それなのに、「習近平主席の発言は日中関係が好転している兆しだ!」、「わーい、それじゃぁまた中国にたくさん投資しよう!」などと無邪気に判断する日本の経営者がいたら、私はその経営者の経営センスを真面目に疑いたいと思います。

日本はどうすれば良いのか?

好き嫌いで政治・経済を論じる愚

さて、くどいようですが、現実の政治・経済は、「好きか、嫌いか」で判断すれば良い、というほど単純なものではないことだけは確かです。

最近だと、中国や韓国の話題を検索すれば、どうしても嫌中・嫌韓サイトがたくさんヒットしますが、いくら中韓が嫌いだからといって、少しでも日本にとって不都合に読めてしまう記事を盲目的に批判するような姿勢はいただけません。

ここで、少しだけ寄り道をしておきましょう。以前、『日中通貨スワップを必要としているのは、残念ながら日本の側』を掲載した際には、日中スワップには日本が中国を助けるという側面だけではなく、緊急時に日本が中国から人民元を調達するという意味合いがある、と指摘しました。

日中通貨スワップを必要としているのは、残念ながら日本の側

すると、「武士」と名乗るコメント主から、こんなコメントが寄せられました。

日中スワッツプは,日本の方が必要という理由は/理解できない。/勝手にこのような文章を書いているがそれならなぜ中国の首相が来日したのだ。/中国経済が苦しいのは,中国通識者の人は皆発言しているでは/ないか。/中国寄りの文章を書くな(※下線部は引用者による加工。なお、無駄に改行が多いので、改行を「/」記号で置き換えている)

ヒトコトでいえば、まことに情けない文章だと思います。

何ですか、「中国寄りの文章を書くな」、ですか。情けない。実に情けない。ちょっと自分に気に入らない文章があったら、「そんな文章を書くな」と言い放つのは、自分にとって都合が悪い言論を封殺する反日極左勢力のやり方と究極的にはまったく同じであり、極めてアンフェアです。

このコメント主さんは、「中国が好き/嫌い」という感情と、「できるだけ客観的な視点から分析すること」を分けるという、言論における基本的な態度を理解したほうが良いと思います。

「分析した結果、それが中国寄り(?)に見える文章になった」としたら、それを書いたらいけないのですか?それともこの人物は、私が「中国なんて大嫌いだ!」という視点から、「日中断交!」「中国を攻め滅ぼせ!」「日中スワップは単なる中国に対する施しであり、大反対だ!」とでも書けば満足するというのでしょうか?意味が分かりません。

こういう幼稚な感情論ですべてを決めつけようとする態度は、冷静で客観的な分析を心がける人にとっては、百害あって一利なしです(※余談ですが、よりにもよって「武士」という日本人の誇りのようなペンネームを使って、このように低レベルなコメントを執筆しているあたり、個人的には非常に腹が立ちます)。

この「武士」と名乗る人物に、謹んで申し上げます。

「書くな」と言われて書くのをやめると思ったら大間違いです。私は誰に何を言われようが、いくらでも書きます。気に入らなければ反論してください。そして、私は上記記事を撤回するつもりは毛頭ありません。むしろ、何度でも何度でも、繰り返し同じ内容を主張したいと思っているほどです。

ついでに申し上げると、当ウェブサイトは全面的にコメント自由ですので、この「武士」とかいうコメント主と同様、気に入らなければ気に入らないと素直に書いてくださって結構です。しかし、コメント自由であるということは、同様に、書き込まれたコメントに対し、私が再度、批判することも自由だ、ということです。

あるいは、当ウェブサイト上での議論が気に入らなければ、どこかの匿名掲示板に転載して批判して下さっても結構です。ただし、転載するならば、転載元の記事のURLとセットにして、できるだけ正確に転載してください。

いずれにせよ、議論をするためには冷静な態度で正確に事実認定することが出発点であり、「中国寄りの文章を書くな」とばかりに自分に気に入らない言論を封殺しようとすれば、それは中国共産党とやっていることとまったく同じです。

そのことを、改めて強調しておきたいと思います。

日本政府は日本の国益のために賢明に判断すべし

さて、米中貿易戦争の話題に戻しましょう。

米中両国は現在、正面から対決姿勢を示そうとしています。場合によっては、今後は米中両国が欧州連合(EU)、ロシア、ASEAN、豪州などを巻き込み、「多数派工作」を形成しようとするかもしれません。こうした複雑な世界情勢にあって、日本政府はどのように行動するのが良いのでしょうか?

もっと端的にいえば、日本政府はアメリカ合衆国の「覇権国家」としての地位を維持するのに手を貸すのが正しいのでしょうか、それとも中華人民共和国がアメリカ合衆国に代わって覇権国家になるのに手を貸すのが正しいのでしょうか?

その答えは、決まっています。

日本政府は、いつ、いかなるときであっても、日本の国益を最大化するように動かねばならない

です。

この点、中国ではなく、米国と仲良くすることが日本の国益に資することは間違いありません。シンプルに考えてみればわかりますが、米国は世界最大の経済大国であり、軍事大国です。しかも、自由主義、民主主義など、日本と同じ魅力的な人類普遍の価値を持っている国でもあります。

これに対し、現在の中国は、猛烈に経済発展を続けていて、軍拡も行っていますが、少なくとも現時点において世界最大の経済大国ではありませんし、軍事大国でもありません。しかも、中国共産党は共産主義、全体主義、独裁主義、人治主義を地で行く国です。

私は米国にも悪い点は多々あると思いますが、それと同時に、米国よりも中国のほうが遥かに酷く、中国共産党こそが世界人類にとって敵のような存在だと考えています。このため、ほかに何も前提条件がなければ、現状で米中どちらに味方すべきかといえば、答えは1つしかないのです。

しかし、それと同時に日本は北朝鮮という厄介な国を処理しなければなりません。そして、北朝鮮に核放棄と日本人拉致事件の完全解決を迫るために有益であれば、その限りにおいて、中国と連携するのも1つの手ではあります。

要するに、私の主張は、「中国を米国よりも重視することはあってはならないが、連携できる分野では連携するのが良い」、という、ごく当たり前の結論に落ち着くのです。

「米>中」の順序を崩してはならない理由

ただし、一般論として、どんな相手国であっても是々非々で連携すべきだという点はたしかにそのとおりですが、それと同時に、わが国は絶対に「米国>中国」という優先順位を崩してはなりません。

いつもの主張の繰り返しですが、ありとあらゆる外国は、次の4つのパターンに分けられます。

基本的価値を共有している基本的価値を共有していない
利害関係を共有している象限①象限②
利害関係を共有していない象限③象限④

そして、外交上、優先すべき順序とは、

象限①>象限②≒象限③>象限④

です。といっても、象限②と象限③のいずれが優先されるかは、その国が置かれた状況、その国の国力等によって異なります。わが国の場合は少なくとも外国からの援助を受けなくても自立していますので、象限②よりも象限③の国を重視すべきでしょう。

また、日本にとっての基本的価値とは、

  • 自由主義
  • 民主主義
  • 法治主義
  • 資本主義
  • 平和主義
  • 人権尊重

などですが、これらの基本的価値を共有している国は、米国、欧州連合(EU)諸国、カナダ、豪州、ニュージーランドなどのいわゆる「西側諸国」に加え、台湾やインドなどの諸国であって、残念ながら中韓、ロシアなどではありません。

また、利害関係とは、おもに経済面、軍事面でのつながりのことですが、日本は海洋国家であり、中東からの石油のルートが途絶すれば国が生存することもできなくなります。

このため、日本は米国、豪州、インドなどと「セキュリティ・ダイヤモンド」を形成するニーズがありますし、この「ダイヤモンド」を補完するためには、ASEAN諸国や英国、フランスなどとの連携も大事です。

さらに、部分的に利害が敵対している中国やロシアとの間であっても、連携すべき点は連携すべきであり、対立が生じていても、それが武力衝突に発展しないよう、適切に管理する必要があります。

以上を踏まえ、私の持論による、日本が外交上重視すべき国の順序とは、次のとおりです。

  • 1位…米国【価値も利益も深く共有している国】
  • 2位…海洋同盟たる自由民主主義諸国(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、インド、台湾、英国、フランスなど)【価値と利害を共有している諸国】
  • 3位…海洋同盟以外の自由民主主義諸国(EU加盟国など)、TPPイレブン加盟国、ASEAN諸国など【価値か利益の少なくともどちらかを共有している諸国】
  • 4位…日本と価値を共有しないが戦略的利益を共有する国(ロシア、中国)
  • 5位…日本と価値も利益も共有しないが地政学的に無視できない国(韓国、北朝鮮)

念のために、日本と対応して中国の価値をリストアップすると、

  • 【日本】資本主義⇔共産主義【中国】
  • 【日本】自由主義⇔全体主義【中国】
  • 【日本】民主主義⇔独裁主義【中国】
  • 【日本】法治主義⇔人治主義【中国】
  • 【日本】平和主義⇔先軍主義【中国】
  • 【日本】人権尊重⇔人権軽視【中国】

と、まぁ見事に価値が対立しています。そんな国を米国よりも重視するなんて、あり得ない、ということがよくわかると思います。このことは非常に大切な話ですので、当ウェブサイトでは今後も、何度でも繰り返して強調していきたいと思います。

読者コメント一覧

  1. Noro より:

    経団連会長の中西が、この間一帯一路で中国との経済関係を発展させたいというような主旨の発言してたんですが、是非経団連という名前を出して批判して欲しいです。

  2. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    <「武士」とかいうコメント氏は、何ですか読んだらこれは脅迫状に近いですね。『中国寄りの事を書くな』、また無駄に改行多いとは、古い私などグリコ森永事件(略グリモリ)に被って見えます(笑)。『毒入り危険。食べたら死ぬでえ』(笑)。こんな表現、ゲスすぎ、寄越すなよ!

    < 中国は米国との貿易戦争で、相当ダメージを受けてます。貿易数字発表も中国より、米国がより精度は高めでしょう。だから実質ボロ負けだ。第二次大戦の大本命発表の膨らまし過ぎの数字と、やや誇大ぐらいの米国統幕の違いぐらいです。

    < ◉拉致被害者問題に日本を支持する◉北朝鮮の核破棄に賛意、などマユツバです。が、今それに乗って損はない。シナの気が変わる手前まで、北に圧をかけて貰いましょう。一つでも解決する第一歩になれば儲けもんです。

    < もちろん、日本は第一に米国と自由主義友邦ありきです。一党独裁国家に命は預けられません。300億ドルのスワップに続いて、中国とのパイプが更に太くなるかもしれないが、一帯一路などは絶対にNO!

    < 開けた文明国になってから、隣国として、真の友誼を保とう、で良いと思います。共産党独裁の間はそうならないとは思いますが。(笑)

    1. めがねのおやじ より:

      < 訂正

      < 大本命 → 大本営 でした。

  3. りょうちん より:

    >歴史上、覇権国家がやすやすとその地位を譲るということは、あまりありません。たとえば、共和制ローマと地中海の都市国家・カルタゴの間の「ポエニ戦争」は、紀元前264~146年という、100年以上にわたる3度の交戦で、最終的にはカルタゴがローマにより滅ぼされるまで続きました。

    中国の場合、国土に塩を蒔くまでもなく、自分で毒物を蒔いてますけどねw

  4. ふなP より:

    関連して…

    アイドルゲームの声優の仕事にサヨク案件があったとして、一部で盛り上がっています。
    https://anond.hatelabo.jp/20180801192140

    イデオロギーを問われず職につけるのが、日本の良いところだと思うのですが、
    これを批判する方は、日本のあるべき姿をどのように考えているのでしょうか。
    これは、主様のおっしゃる通り、
    「感情論」であり、
    「自分に気に入らない言論を封殺しようとすれば、それは中国共産党とやっていることとまったく同じ」であると思います。

    日本人も賢くならなければ!

  5. ふなP より:

    あれ、コメントがスパム扱いに…??

    https://anond.hatelabo.jp/20180801192140

    「感情論」と「自分に気に入らない言論を封殺しようとすれば、それは中国共産党とやっていることとまったく同じ」という意見に激しく同意を感じました、というコメントでした。

    1. ふなP様

      いつもコメントありがとうございます。
      また、先ほどはスパム判定プラグインのエラーで勝手にスパム認定されてしまい、大変申し訳ございませんでした。
      自分自身で使用しているプラグインにも関わらず、どうもアルゴリズムが理解できないのですが、どうやら、コメントにリンクが含まれている場合にはスパム判定されるリスクが上昇するようです。
      引き続きご愛読並びにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

      1. ふなP より:

        はてブがスパム規制されているのかな?と思ったのですが、URLでリスク上がる…なるほど、です。

        埋もれたコメントを拾ってくださりありがとうございました。
        ちゃんと目を通されていることを実感し嬉しく思いましたよー!!

  6. 韓国在住日本人 より:

     ブログ主様が珍しくご立腹でいらっしゃるようです。

     小生としても、白黒二元論で外国との関係を語るべきではないと思います。中国がいかに嫌いであろうと、そこには国や個人の利益や事情があります。小生も嫌いなこの国で済んでいるのは、自身の経済的理由もさることながら、メンツやプライドと言った部分もあります。「武士」様ももう少し冷静になれば、ブログ主様のお考えが理解できるかと思います。
     
     しかし、小生がみると中国は本当にしたたかな相手だと思います。小生も10年ほど前に、仕事上何度か入国したことはありますが、その頃から「すごい国」だと思っています。クレーム処理で出向いたのですが、ある商品(薬品)から10%ほど中身を抜いて、その分水で希釈し、何食わぬ顔で販売してました。つまり、商品が1割増えるわけです。当然、得意先からは消耗量が多すぎるとクレームがきます。これが発覚するのに1年ほどかかった記憶があります。日本では自社の信用が失墜するのでまず有り得ないです。従って、中国との関係は可能であれば、国や個人の利益を最優先とし、それ以外の深い関係はできるだけ築くべきではないと思います。

     中国に負けず劣らずこの国も酷いです。ある日本メーカーの工作機械をデモ機と称して日本から持ち込み、関連会社で分解してコピーを作らせました。何せ、関税、輸入代理店のマージン等で、日本の価格の2~3倍の値段になりますので、安く上げたいのは納得します(やり方は別にして)。ところが、作ったは良いが精度が出ません。そこは日本メーカーの職人技の部分があり、結局倉庫に十数台もの使えない機械が並んでいました。さらに信じられないことに、これを開発部署はこの模倣を「研究開発」と称しているんです(本当に開発テーマ上がっているんです)。これも日本では考えられません。

     中国にしても韓国にしても、日本の技術は非常に良いと理解してます。日本も昔は欧米の技術に全くかないませんでした。しかし、日本は地道な努力で欧米を追い越しました。中国、韓国は地道な努力より、楽な方を選んだため、蓄積した技術がありませんし、クリエイトする能力もないです。特に韓国には全くと言っていいほどありません。

     駄文にて失礼しました。

  7. たけ より:

    初めて投稿します。
    アメリカに痛めつけられた中国が日本に秋波を送ってきたのを利用して、
    日本が考えている事が2つあるのではないかと思っています。
    一つは中朝の引き剥がしによる北問題解決と、
    もう一つは一帯一路の乗っ取り。
    貿易戦争で急速に外貨を減らす中国に変わって、
    東南アジア向け協力への影響拡大を目指している気がします。
    TPPへ台湾を取り込み、台湾の経済的な中共依存を減らす取り組みも同時進行しなくてはなりません。
    その為には中共フルボッコは不可避で、日米の談合が暗にあったようにしか思えない。

  8. たけ より:

    なんで安倍首相はこのタイミングで中国との関係改善を急いだのか、ずっと不思議に思ってました。

    安倍首相は、日中が新時代に入ったとおっしゃってました。

    対米共闘するはずのEUが米と妥結して反中体制になってしまった。
    東南アジアも新植民地主義に反旗を翻し反中になっている。
    孤立化した中国は、米との不利な戦いを単独でやらなくてはならなくなってしまった。

    安倍首相は、この波に乗って中国との諸問題を片付けて、「日中新時代」を中国に認めさせ、過去を切り離して中国の反日を取り除くかもしれません。
    勿論、基軸の日米同盟はそのままで。
    日欧EPAとTPP11で通商はきっちり確保し、中国もある程度助けてあげて日中友好も取る。

    そうなると韓国はどうなるのでしょうね。

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