【昼刊】国民民主党、政党支持率ゼロ%の衝撃

本日『毎日新聞の「軌道修正」と「もりかけ問題」の限界』という記事を公表したばかりですが、もう1つ、日本経済新聞の報道で興味深い話題もありました。そこで、本日は「支持率ゼロ%の衝撃」などの話題を追加でお届けしたいと思います。

世論調査の母集団

日経の世論調査のブレが大きすぎる!

今朝方、『毎日新聞の「軌道修正」と「もりかけ問題」の限界』のなかで、最新の内閣支持率世論調査の一覧を紹介しました。私自身が日本経済新聞電子版の報道を見落としていたので、これを補ったうえで、再掲しておきたいと思います。

図表1 最新の内閣支持率の調査結果
メディアと調査日支持不支持
共同通信(6/16~17)44.9%(+6.0)43.2%(▲7.1)
朝日新聞(6/16~17)38%(+2)45%(+1)
読売新聞(6/15~17)45%(+3)44%(▲3)
産経新聞・FNN(6/16~17)44.6%(+4.8)45.6%(▲2.9)
NNN(6/15~17)39.4(+7.0)41.9%(▲8.7)
ANN(6/16~17)39.4(+5.3)44.5%(▲6.6)
毎日新聞(6/23~24)36%(+5)40%(▲8)
日経・テレ東(6/22~24)52%(+10)42%(▲11)
ニコニコ動画(6/21 21:46)56.5%(▲0.4)19.5%(▲0.6)

(【出所】各社報道より著者作成。カッコ内は前回調査との比較)

日経の世論調査だと、支持率が52%と前回比10%ポイントも上昇。一方で、不支持率については42%と、前回比11%ポイントも下落しています。正直、ここまで調査がブレまくりだと、世論調査そのものの手法に問題があるように思えてなりません。

それはともかく、図表に紹介した9件のうち、ニコニコ動画の調査を除けば、いずれも支持率が前回調査と比べて伸びており、また、朝日新聞の調査を除けば、不支持率は前回調査と比べて落ちている、という共通点があります。さらに、ニコニコ動画の調査を除き、支持率と不支持率はほぼ均衡しています。

これをもっとわかりやすく、グラフ化してみましょう(図表2)。

図表2 支持率・不支持率(※クリックで拡大)

(【出所】図表1をグラフ形式に書き換え)

これをどう見るべきでしょうか?

支持率・不支持率の格差がいっせいに縮まった!

もう少し詳しく見ていくと、「支持率と不支持率の格差」が一斉に縮まった、という特徴があります。つまり、「支持率の上昇度合い」と「不支持率の下落度合い」を足してみると、ニコニコ動画、朝日新聞、読売新聞、産経・FNNの4つの調査を除き、いずれも10ポイントを超えています(図表3)。

図表3 支持率と不支持率の変化
メディアと調査日支持率変化(A)不支持率変化(B)(A)-(B)
共同通信(6/16~17)6-7.113.1
朝日新聞(6/16~17)211
読売新聞(6/15~17)3-36
産経新聞・FNN(6/16~17)4.8-2.97.7
NNN(6/15~17)7-8.715.7
ANN(6/16~17)5.3-6.611.9
毎日新聞(6/23~24)5-813
日経・テレ東(6/22~24)10-1121
ニコニコ動画(6/21 21:46)-0.4-0.60.2

(【出所】著者作成)

この数値が大きければ大きいほど、調査としての「ブレ」が大きい、という証拠です。もっとも大きくブレたのは日経・テレ東による共同調査であり、支持率が+10%ポイント、不支持率が▲11%ポイントとなったため、支持率・不支持率の格差は21%ポイントも縮んだ格好です。

また、NNN(15.7%ポイント)、共同通信(13.1%ポイント)、毎日新聞(13%ポイント)、ANN(11.9%ポイント)なども、支持率と不支持率の差が大きく変動しているのです。

ここで冷静に考えてみましょう。はたして、この1ヵ月間で、「安倍政権の支持率が平均10%ポイント上昇し、不支持率が平均10%ポイント下落する」ような要因があったのでしょうか?

正直、私自身にとっては、そのようなイベント、思いつきません。あえて申し上げるならば、6月12日に米朝首脳会談が行われ、米朝共同声明などに人々(というよりもマス・メディア)が話題として飛びつきましたが、これこそが「政権支持率浮上」の理由ではないでしょうか?

情報弱者層に振り回される世論調査

つまり、6月12日を境に、マス・メディアの報道の内容が変化した、という仮説です。敢えて断定的な言い方をすれば、「もりかけ問題」「安倍(総理)は怪しい!」といった報道に終始していたのが、6月12日以降は米朝首脳会談に関する報道にシフトしたことで、政権叩きが弱まったのです。

そして、ニコニコ動画を除く各メディアの世論調査の母集団は、マス・メディアの報道を真に受ける人たちである、という仮説とあわせて考えるならば、図表3に示した「支持率と不支持率の落差」については、「情報弱者層」に大きく振り回された結果である、と見ることもできるでしょう。

国民民主党、支持率ゼロの衝撃

さて、既存のマス・メディアの調査では、ニコニコ動画などのネット調査と比べ、内閣支持率は低く、内閣府支持率は高く出る傾向がある、という点については、同意して頂けるでしょう。これは、どちらの調査が正しいか、間違っているか、という問題ではありません。単に母集団が違うだけだと思います。

ただ、その一方で、「政党支持率」については、意外なことに既存メディアの調査でも野党に対して厳しい結果が出ています。

内閣支持率、10ポイント増の52% 不支持率と逆転(2018/6/24 18:04付 日本経済新聞電子版より)

おもな政党支持率は

  • 自民党…44(42)
  • 立憲民主党…9(12)
  • 国民民主党…0(1)
  • 公明党…4(4)
  • 日本維新の会…1(2)
  • 自由党…0(0)
  • 社民党…1(1)
  • 希望の党…0(0)

だそうです(カッコ内は前回調査)。

自民党の支持率は44%で、野党最大の支持率をもつ立憲民主党の約5倍にも達しており、さらに、国民民主党、自由党、希望の党はゼロを記録しました(もちろん、本当にゼロ%であるというわけではなく、単に四捨五入などの都合でゼロと表示されているだけだと信じたいと思いますが…)。

なかでも国民民主党の低支持率は、衝撃的です。所属議員数で見ると、自由党は6人、希望の党は5人に過ぎませんが、国民民主党には63人もの議員が所属しています(衆39、参24)。そして、5月19日時点においては、参議院では立憲民主党を抑え、最大会派となっています。

63人もの議員が所属する政党に対する支持率がゼロ%なのです。もちろん、政党支持率がゼロ%であたっとしても、個人の議員レベルでは選挙区で勝てるというケースもあるかもしれませんが、中には再選がおぼつかないという議員も多数いることでしょう。

遅くとも来年の参議院議員通常選挙までに、再び野党再編・政党名ロンダリングは、十分にあり得る話ではないでしょうか?

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