【夕刊】北朝鮮制裁を邪魔する国にも制裁が必要だ

本日は土曜日ですが、北朝鮮制裁の強化に関わる「ちょっとしたネタ」を見つけましたので、アップデートしておきたいと思います。

進む南北朝鮮の一体化

米朝首脳会談前に連絡事務所設置で合意

最近、何かと驚くニュースが続いているのですが、私が今朝、一番驚いたのは、この記事です。

南北、開城工業団地に共同連絡事務所を早期設置することで合意(2018-06-02 08:12付 ハンギョレ新聞日本語版より)

韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)によると、南北朝鮮当局者は1日、南北朝鮮の国境・板門店(はんもんてん)で高官級協議を実施し、「近いうちに」、開城(かいじょう)工業団地に当局者が常駐する共同連絡事務所を設置することで合意した、というのです。

この「南北連絡事務所の設置」自体は、4月27日の南北首脳会談の際に採択された「板門店宣言」のなかですでに謳われている構想です。しかし、常識的に考えて、6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談を前に、このような合意をしてしまうこと自体、なかなか野心的です。

米国の「セカンダリー・サンクション」

一方、先月、当ウェブサイトでは『【昼刊】「ウン・キムジョン」とシンガポールでの米朝会談』のなかで、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた、次の記事を紹介しました。

U.S. Raises Pressure on Iran, Targeting Currency Exchange(米国夏時間2018/05/10(木) 18:29付=日本時間2018/05/11(金) 07:29付 WSJより)

米国はオバマ政権時代の2015年に「6ヵ国核合意」に参加しましたが、これを先月、トランプ大統領が離脱すると表明。WSJによると、これにあわせて米国はイランの中央銀行のほか、複数の法人や個人を相手にした金融制裁を発動すると表明したのです。

このなかで、米国のスタンスを示しているのが、米財務省高官の、次の発言です。

“There are secondary sanctions consequences for doing business with these entities.”(下線部は引用者による加工)

この「セカンダリー・サンクション」とは、二次的制裁、つまり、米国が制裁を課している相手と取引しようとしている法人や個人に対しても、同じような制裁を課すことを意味しています。これを踏まえて米財務省高官の発言を、大胆に意訳すると、次のとおりです。

米国としては、制裁対象となっている国や法人、個人と取引している者に対しても、同じような制裁を加えるだろう。

冒頭で紹介したハンギョレ新聞が報じた韓国の行為は、単なる連絡事務所の設置に過ぎず、これ自体は別に、北朝鮮に対する直接の経済支援ではありません。しかし、それと同時にこれを「設置する場所」が問題です。

開城工業団地といえば、金大中(きん・だいちゅう)政権下で構想が具体化し、盧武鉉(ろ・ぶげん)政権下で運用が開始され、つい2年前まで運営されていたものです。このような場所に事務所を設置すること自体、「北朝鮮に何らかの経済的利益を提供するつもりでは?」と疑われても仕方がありません。

チーム日米対チーム朝鮮

以前から私は、朝鮮半島核問題を契機に、韓国は日米と袂を分かちつことになるに違いない、と考えています。韓国が北朝鮮と一緒に「チーム朝鮮」を結成するのか、中国の属国化し「大中華連邦」の一員となるのかはわかりません。

朴槿恵(ぼく・きんけい)前政権が続いていれば「チーム中華」が実現したかもしれませんが、現在の文在寅(ぶん・ざいいん)政権が続けば「チーム朝鮮」が実現する確率が高まりますし、「チーム朝鮮」自体が中華属国化する可能性もあります。

ただ、確実に1つ、言えることがあるとすれば、2018年4月27日の「板門店宣言」を、米国は歓迎していないであろう、ということです。後世の歴史家が振り返ると、これは韓国の側からの事実上の「米韓同盟破棄宣言」だった、とみなされる可能性もあると思います。

先月の訪米であれほど米国から冷遇されたのに、文在寅氏はまだ南北対話を続けようとしているのです。6月12日に予定されているシンガポールの米朝首脳会談自体、現時点では行われるのかどうかすらわかりませんが、かりに米朝首脳会談が決裂すれば、おそらく、北朝鮮制裁強化が発動されることでしょう。

そのときに、韓国に対する「セカンダリー・サンクション」も発動される可能性はそれなりに高いと見ていますが、それなのに冒頭のハンギョレ新聞の報道は、どこか嬉しそうに見えます。

普通の韓国人は、果たしてこの韓国の迷走をどう考えているのでしょうか?それについては非常に気になるところです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の発信、ありがとうございます。
    < 開城市は古都ですね。38度線に近く、住んでいる(住まわせられてる)のは敵性国民、動揺層が多いとか。そこに南北工業団地を作って、今度は連絡事務所(笑)。建物の中に入れたら、何をしているか分からない。
    < もうミエミエの北援助、もしくは非合法活動です。また米朝会談のあとすぐに、軍事高官級会談って12日のシンガポールも不透明なのに、もう完全に『統一朝鮮チーム』対『日米チーム+自由主義国連合』ですね。毎日、どんどん動いているので、目が離せません。
    < 失礼します。

  2. もう生理的にムリ より:

    正直南朝鮮が自ら首を絞めていくのは自業自得であり、最悪な時に最悪な選択をする民族ですのである意味どうでもいいのですが
    問題は米国の方向性です
    今回の米国の判断は、今後の北東アジアの勢力図と将来に大きく影響、というより方向を決定づけるでしょう
    南という国家の存続・北という国家の存続・中国との関係性・日本の国防国家目標の方向性、全て米国の行動次第で全く変わります
    トランプ大統領は正直何を考えているのかわかりません
    安倍首相はかなりうまく外交をやっている様に思いますが、所詮は米国の動き次第で日本は対応を変えざるを得ません
    過去の事例であれば米中の突然の和解や台湾の現状・フィリピンの米軍撤退時などを考えると、決して日本も安心してはいられません
    最悪なのは大規模な戦争や日本への直接被害などではなく、現状のなぁなぁの状態が続く事でしょう
    またその体制が続く事で中朝韓による日本へのあらゆる侵略・攻撃・誹謗中傷・集りなどが続く事、アメリカの南や中国への脅威や異質さへの認識が薄れる事、日本国内でも事態の変化の少なさからあらゆる警戒心が消え今の朝鮮への危機感が消える事、等が予想されます
    むしろアメリカがどのような形であれ、何らかの決断と方向性をもって動くことを期待します

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