【夕刊】続・能天気極まりない中央日報コラム

先ほど、韓国メディア『中央日報』の記事を紹介したばかりです。これについて、三々五々になって恐縮ですが、本日、もう1本、紹介しておきたいコラムを発見しました。

中央日報、トドメのコラム

事実関係を平気で歪めるのは困りもの

つい先ほど、当ウェブサイトでは『米朝首脳会談中止と南北首脳会談をめぐる、能天気すぎる韓国メディア』のなかで、週末の南北首脳会談を含めた韓国メディアの報道の能天気さを紹介したばかりです。しかし、その「トドメ」として掲載されたこの記事に付いても、紹介しないのはもったいなすぎます。

【時視各角】金正恩が出した手を握った文在寅(2018年05月28日14時16分付 中央日報日本語版より)

記事を執筆したのは、「中央日報コラムニスト」の「チョン・ヨンギ」なる人物ですが、あまりにも能天気すぎるため、読んでいても脱力するしかありません。というのも、このコラム、書き出しからして、いきなりこうだからです。

文在寅大統領の27日の記者会見を前後に、消えかけていた米朝首脳会談がよみがえった。文大統領の羞恥に耐える忍耐と誠意が感じられる人間性が通じたようだ。韓国大統領が会見する頃、米大統領はホワイトハウスで「シンガポール会談の検討は変わらず、議論がとてもうまく進行しているところ」と明らかにした。幸いだ。トランプ大統領の「うまく進行している議論」の中には、文在寅大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長のスパイの接触のようなサプライズ首脳会談が含まれているはずだ。

ここで「羞恥に耐える忍耐と誠意」とは、文在寅(ぶん・ざいいん)氏が米国くんだりにでかけ、ドナルド・トランプ米大統領から徹底的に冷遇されたこと(『【夕刊】米韓首脳会談巡る韓国メディアの逆ギレ』)のことを意味しているのでしょうか?

これについては、事実関係がまったくことなります。トランプ氏は南北首脳会談以前の段階で、米朝会談再開の可能性に言及していたからです(『米朝首脳会談中止の敗者と勝者』参照)「文在寅氏の指導力で米朝首脳会談が復活した」というストーリーに乗せたいがために、事実関係が歪んだのでしょうか?

何が問題なのか、まったく見えていない

このコラム、順調に暴走が続きます。

南北首脳の統一閣(板門店北側地域)会談を振り返ると、2人はあたかも米大統領が出した難しい宿題を共に終わらせたようだ。

とありますが、はて、南北首脳会談で文在寅氏は金正恩と、米国が求めている核・大量破壊兵器のCVID  ((CVIDとは、「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(“Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement”)のこと))  で合意できたのでしょうか?私にはとうてい、そうは思えません。また、

核心の消息筋は「青瓦台はホワイトハウスにどのような内容を伝えたのか」という筆者の質問に対し、「トランプ大統領が非常に好む内容だと聞いている」と答えた。「では、金正恩委員長が核保有国の地位を放棄して米国が要求する完全な核廃棄、すなわちCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄)を受け入れたという意味か」ともう一度尋ねると、あえて否認しなかった。

とありますが、仮に北朝鮮がCVIDを呑むつもりなら、わざわざ韓国の大統領と会う必要などないでしょう。いわば、韓国は北朝鮮から見て、都合が良い単なるコマに過ぎないのです。

怯える金正恩

正直、冒頭はトンチンカンな文章で始まったコラムですが、コラムのすべてがトンチンカンである、というわけではありません。とくに、「金正恩がドナルド・トランプ米大統領の書簡を見て態度を変えた」という指摘については、それなりに参考になります。

金正恩委員長の態度が変わった理由は何か。消息筋の言葉を総合すると、トランプ大統領が24日深夜(日本時間)に「金正恩閣下」に送った手紙のためだった。手紙は金正恩委員長に大きな苦痛と衝撃を加えた。トランプ大統領は金正恩委員長を脅迫した。

これは、「金正恩の態度が変わった」というよりも、「金正恩が怯えている」、という方が正しい表現ではないかと思います。要するに、米国の本気度が伝わってきて、金正恩としては本気で焦った、ということにほかなりません。

文在寅大統領の昨日の会見によると、トランプ大統領の手紙が平壌に伝えられてから一日も経たないうちに(25日午後)金正恩委員長が先に文大統領に「会おうという要請」をしてきた。差し迫っていた。文大統領は自分の息子より何歳か若い30代の北朝鮮指導者が出した「助けてほしい」という手を握った。

ただ、こうした状況にあるにも関わらず、ホイホイと面談に応じてしまうあたり、文在寅大統領が「北の走狗」となっている証拠でしょう。それなのに、このコラムニストは、現在の韓国が北朝鮮に取り込まれつつあるという事実を無視してしまうのは、不思議というほかありません。

やはり焦点は「今後」

チョン・ヨンギ氏のコラムは、いわば、南北首脳会談については「文在寅氏がメッセンジャーとして、北朝鮮と米国の間を取り持った」という評価で一貫しています。実際、

昨日の労働新聞1面に「金委員長が朝米首脳会談のために多くの努力をしてきた文在寅大統領の労苦に謝意を表した」という記事が登場した

と述べていて、いわば「文在寅氏の誠意は北朝鮮によって高く評価されている」とでも言いたいのでしょう。しかし、チョン・ヨンギ氏の文章を読んで抱く違和感とは、米国の反応がまったく記載されていないことにあります。

「文在寅氏の誠意」とやらが、米国からどう見られているかという点については、当ウェブサイトでもさんざん指摘して来ましたので、あえて繰り返しません。しいて言うならば、先週の文在寅氏の訪米時に見られた、トランプ大統領の冷ややかな視線がすべてを象徴していると思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

北朝鮮核問題をめぐっては、今後は安倍晋三総理大臣がカナダでのG7会合を前に訪米し、再びトランプ氏と会談するのではないかとの観測もあります。日本の役割は、ますます強くなっているという点については間違いないでしょう。

ところで、北朝鮮核問題で日本が「蚊帳の外だ」と言い張っていた人たちは、実際に「蚊帳の外」に置かれているのが韓国と北朝鮮であるという事実を、どう説明するつもりでしょうか?私個人的には、この点についても興味を持っているのです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. ketsuro8da より:

    『文大統領の羞恥に耐える忍耐と誠意が感じられる人間性が通じた』
    ちょっと意味不明ですが、面白いですね。まだ本気で朝鮮半島の運転台に座っているという妄想と陶酔感に浸りきっているのでしょうね。

  2. めがねのおやじ より:

    < 第4弾の更新ありがとうございます。
    < およそ朝鮮民族は、チョン ヨンギという記者だろうが文在寅だろうが李明博だろうが、金正恩だろうがコトの重大性、本質がまっったく見えてない。分かろうとしない。こうあってほしい、、、だけで生きている。日本人はじめ半島民族以外あり得ない、世界的にも珍しいワールドクラスのDNA持ってます。
    < 安倍首相はカナダG7の前にトランプ大統領と会談し、更に締め上げる方策と落としどころをアドバイスしてほしい。落としどころといっても妥協ではありません。こっぱ微塵にするタッチダウンポイントです。
    < 失礼します。

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