【夕刊】またウソをついた韓国大統領府

本日2本目の配信は、「またしても韓国大統領府がウソをついた」という疑惑について触れておきたいと思います。どうしてこの話題に、既存メディアは誰もツッコミを入れないのでしょうか?私には不思議でなりません。

話題が多すぎるという悩み

最近は取り上げたい話題が多すぎるためでしょうか、当ウェブサイトでは年初より「朝刊・夕刊」体制に切り替えました。その結果、現在はほぼ1日に2回、記事を配信しています。そして、当ウェブサイトでとくに関心を払っているテーマは、なんといっても朝鮮半島に関する話題です。

朝鮮半島に関しては今朝も『平昌五輪で米国が副大統領を送り込んだ理由』で触れたばかりですが、この記事は現在の米韓関係を総括しようと思い、執筆したものです。手前味噌ですが比較的「力作」でもありますので、まだの方はぜひ、ご一読下さい。

その一方、一昨日の『【夕刊】未確定報道:文在寅氏の対北特使派遣』でも触れた「時事ネタ」についての続報が出て来ています。そこで、今回の「夕刊」では、こうした細かい動きを拾っておくとともに、きちんとその意義について検証をしておきたいと思います。

そんなことをするから信頼されない

やっぱり先に北朝鮮特使を派遣?

まずはこちらの話題について、考えてみましょう。

文大統領、トランプ大統領に「対北特使を派遣」(2018年03月02日07時42分付 中央日報日本語版より)

昨日の韓国メディア『中央日報』日本語版によると、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は3月1日午後10時、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談し、近いうちに北朝鮮に対して特使を派遣する計画だと伝えたそうです。一昨日前に紹介した、『ハンギョレ新聞』による次の記事は正しかったようです。

ポスト平昌…文大統領、“対米”より“対北朝鮮特使”を先に送る見込み(2018-03-01 07:07付 ハンギョレ新聞日本語版より)

中央日報とハンギョレ新聞で記事の日付が違う理由は、よくわかりません。もしかすると、ハンギョレ新聞の方が中央日報よりも文在寅政権に近いために、重要な情報を事前に入手しているためでしょうか?最近、ハンギョレ新聞に1~2日遅れて、中央日報や朝鮮日報が報道することが増えている気がします。

それはともかく、中央日報の記事に戻りましょう。

文在寅氏が北朝鮮に特使を派遣する目的について、中央日報は「(独裁者・金正恩=きん・しょうおん=の妹である)金与正(きん・よしょう)特使の答礼訪問」としています。よりにもよって平昌五輪での南北接触以降、初のトランプ氏との電話会談で持ち出す話題ではないようにも思えますが…。

しかも、中央日報はこの記事のなかで、「文大統領が対北朝鮮特使計画をトランプ大統領に明らかにしたことで、南北首脳会談の推進に向けた特使の訪朝に弾みがつくことになった」「訪朝に先立ち南北対話も進められる見通しだ」などと能天気に述べていますが、どう考えても分析としては楽観的すぎます。

いつもの「答え合わせ」

中央日報の報道をベースにした、米韓電話会談の要点は、次のとおりです(※ただし、原文については適宜、引用者側にて日本語表現を修正しています)。

  • ①文在寅大統領はトランプ米大統領に対し、近いうちに北朝鮮に特使を派遣する計画であると伝えた
  • ②これに対しトランプ大統領は平昌五輪の成功を祝う言葉を伝えた
  • ③文大統領は「トランプ大統領がペンス米副大統領やイバンカ大統領補佐官を平昌に派遣するなど五輪の成功を可能にした」と感謝の意を表した
  • ④文大統領は平昌五輪中に訪韓した金与正特使および高官級代表団との南北接触の結果についてもトランプ大統領と協議した
  • ⑤両国首脳は南北対話のモメンタムを維持し、韓半島の非核化に向けた努力を継続することで合意した
  • ⑥米韓首脳は今後行われる南北対話の進展についても緊密に協議していくことにした

これだけ見ると、トランプ大統領は文在寅氏に対し、平昌冬季五輪に祝意を示すとともに、南北対話の進展についても歓迎しているように見えます。ただ、こうした米韓首脳会談についての報道を見ると、その「答え合わせ」をしてみたくなるのは、「ウェブ評論家」としての職業病のようなものかもしれません。

そこで、ホワイトハウスのウェブサイトを検索してみると…ありました!

Readout of President Donald J. Trump’s Call with President Moon Jae-in of the Republic of Korea(2018/03/01付 ホワイトハウスウェブサイトより)

リンク先記事は、前回の首脳会談と比べてもさらに短く、次の文章がすべてです。

President Donald J. Trump spoke today with President Moon Jae-in of the Republic of Korea to congratulate him on the success of the 2018 PyeongChang Winter Olympics.  President Trump thanked President Moon for his hospitality to the United States Presidential Delegations to the Opening and Closing Ceremonies led by Vice President Mike Pence and Advisor to the President Ivanka Trump, respectively.  President Moon briefed President Trump on developments regarding North Korea and inter-Korean talks.  President Trump and President Moon noted their firm position that any dialogue with North Korea must be conducted with the explicit and unwavering goal of complete, verifiable, and irreversible denuclearization.  The two leaders committed to maintain close coordination.

英文自体は非常に簡単なものですが、私の文責で日本語に意訳して要点を列挙してみましょう。

  • ⑦ドナルド・J・トランプ大統領は朝鮮共和国(ROK)のモオン・ジャエ・イン(Moon Jae-in)大統領と本日、電話会談を行った
  • ⑧トランプ氏はモオン氏にピェオングチャング冬季五輪の成功を祝った
  • ⑨トランプ氏はモオン氏に、開会式・閉会式で米国側の使節であるマイク・ペンス副大統領やイヴァンカ・トランプ大統領補佐官に対するもてなしに謝意を示した
  • ⑩モオン大統領はトランプ大統領に対し、北朝鮮や朝鮮相互間の対話についての進展を説明した
  • ⑪トランプ、モオンの両大統領は北朝鮮とのいかなる対話も、完全で検証可能で不可逆的な非核化という、明確で譲れない目標を達成するためでなければならないとの認識で一致した
  • ⑫両首脳は今後も緊密な協力を維持することをコミットした

(注:「朝鮮共和国」(ROK)とは韓国、モオン・ジャエ・インとは文在寅=ぶん・ざいいん=の朝鮮語読みのラテン文字音写とみられますが、敢えて原文通りの表記としています。)

中央日報側、ホワイトハウス側双方の記事を要約すれば、いずれも6つずつの箇条書きとなりますが、⑦についてはあまり意味がないので割愛すれば、実質「韓国側6項目」、「米国側5項目」です。同じ会談内容なのに、どうして数に差が出るのでしょうか?それは、韓国が勝手に付け加えた点があるからです。

ずばり、①の部分が、ホワイトハウスの報道発表から欠落しています。

いや、もう少し正確に突き合わせていくと、韓国側と米国側の発表には微妙なズレがあります。まず、きれいに対応している部分は②と⑧、③と⑨であり、④と⑩についても大筋ではだいたい一致しています(と言っても、ホワイトハウス側には細かい人名などに言及はありませんが…)。

しかし、⑤と⑪、⑥と⑫については、項目としては対応していると思われるものの、韓国政府の発表内容はデタラメです。とくに、「南北対話」については、米国側は「対話の目的は非核化以外にない」と断言。また、米国側は「南北対話の進展」などととはヒトコトも触れていないのです。

つまり、韓国側は

  • 「南北対話のモメンタムを維持することで合意した」
  • 「南北対話の進展についても緊密に協議していくことにした」
  • 「韓国は北朝鮮に特使を派遣することにした」

という3点において、米国側の発表と著しい齟齬を生じているのです。

(※余談ですが、上記⑨の文章についても、ホワイトハウス側からの強い皮肉を感じます。マイク・ペンス副大統領は文在寅氏が主宰したレセプション兼晩餐会で着席もせず、食事にも一切手を付けず、わずか5分で退席したからです(詳しくは『【速報】米韓同盟を破壊した文在寅』『米韓同盟の終了が見えた』などをご参照ください)。)

「韓国大統領府」=「大ウソつき」

韓国大統領府の発表をそのまま読むと、米国は南北朝鮮の対話に理解を示しているかのように見えてしまいます。しかし、ここで、米ホワイトハウスと韓国大統領府の報道発表は、重要な点において大きく異なっているという点については、改めて認識する必要があります。

実際にホワイトハウス側の報道発表を読めば、「何らかの対話をしたとしても、それは北朝鮮の核放棄という目標を忘れてはならない」という原則を繰り返したものです。そして、韓国が米国に断りなく、勝手に南北対話をしていることに対し、むしろ米国側の怒りが感じられるのは、私だけではないでしょう。

つまり、素直に解釈するならば、ドナルド・トランプ米大統領は文在寅氏に対し、「何のつもりで米国に断りなく勝手に北朝鮮と対話しているのか知らないが、非核化を邪魔するならば許さないぞ」という強い怒りを伝えたのではないでしょうか?

ただ、韓国大統領府は米韓電話会談の内容をすべてそのまま伝えると困ったことになると気付いているのでしょうか、それとも何かよこしまな目的でもあるのでしょうか、これほどまでに齟齬が出ているのは、どう考えても異常です。

また、ホワイトハウス側の報道発表の英文は非常に簡単であり、ちょっと調べたら米韓両国の発表に大きな矛盾が含まれていることなど、すぐにわかりそうなものです。韓国メディアは少し調べればわかることも調べようとしないのでしょうか?不思議です。

さらに、米韓両国の報道発表がまったく違う内容になっているということには、前科があります。1月の米韓電話会談については『【夕刊】韓国メディア「米国が南北対話を歓迎」のウソ』2月の米韓電話会談については『見え透いたウソをつく韓国政府に呆れる米国』でも指摘したとおり、やはり、米韓双方で報道発表に重大な齟齬が生じていたのです。

【夕刊】韓国メディア「米国が南北対話を歓迎」のウソ

見え透いたウソをつく韓国政府に呆れる米国

まったく呆れて物も言えません。

お知らせ:明日も同じ話題です

さて、明日のコンテンツにつき、1点、お知らせがあります。とくに予定が変わらなければ、明日も朝鮮半島に関する話題を取り上げたいと思っています。

当ウェブサイトでは、普段だと同じような話題を連続して掲載しないように努めています。しかし、近いうちに朝鮮半島情勢が大きく動く可能性が高いことから、「周辺論点」ついて、もう少し深く掘り下げておきたいと思うからです。

どうかご期待ください。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 夕刊早いね〜ありがとうございます。
    < またまた嘘ついたんですか、韓国は!まあそういう民族というのは百も承知ですが、毎日、万単位で嘘つくというのは、地球人として同じ種ではないな、と感服します(しないよ)。
    < ついに面と向かって『北に付くニダ』ってお電話で伝えたんですね。いや、言えなかったんだな。コレが狡いんだよ。堂々と言ったふりして、官製、御用マスゴミに伝えて間接的に言わす。それを愚民が信用する『さすが我らの大統領!』(大統領を総書記に変えたら北ですな)。米国もまともに相手出来ない国だ。会談、電話しても、何処までが両国承諾なのか、分からない。テメエの都合の良いように、昨日と今日では解釈が違う。何枚舌なんだ、韓国は。
    < 日本、米国始め完全な非核化、廃絶以外の交渉はない、と言い続けてもコレだ。統一して『ウリにも核爆弾欲しいニダ』と金正恩にオネダリするつもりだろうが、その前にアンタラ北派は生きちゃいないよ。バカだな、それが分からんとは。
    < 米国ももう、サンクなんてキッパリ捨てて、南鮮は撤収していいだろう。日本も出来るだけ関わりたくない(赤化の方が直接危険だが、今のふらふらタカリ激しい侮日よりマシ。遠慮せずマトに出来る)。お荷物でどこに仕掛けがあるか分からん地雷だ。根性治らないから、米軍は金も命もドブに捨てるようなもの。日本と米国主力であと加、豪、台、比、越南、尼、印辺りで日本海太平洋インド洋を第一線として防衛ラインを構築するべきだ。韓国不要、北鮮有害、半島無益(本音を言うと済州島ぐらい橋頭堡で必要だが、もう関わらないのが正解でしょう)。
    < 失礼します。

  2. 歴史好きの軍国主義者 より:

    いつも知的好奇心を刺激する記事の配信有り難うございます。

    安倍首相や河野外相の力で連合国憲章の敵国条項廃止出来ないですかね?

    もしくは南北朝鮮が敵国条項の範囲であることの明記に変更でも良いです。

    国際社会からの「己の分をわきまえろ」のメッセージをはっきり伝えるべきと思いますね。

  3. a4 より:

    「見え透いた嘘をつく韓国政府に呆れる米国」日本人から言わせて貰えば、今更何ですかと呆れますね。
    矢張り遠くから見ているから解らないのですかね、現在大使も臨時ですしオバマもコロッと騙されてたのですかね。
    今まで、解っていたけど使い勝手が良かったので知らない振りしてたが、少し盲動が激し過ぎると言うのが正解なのでしょうか。
    産経記事に「フジテレビ、BSフジが「プライムニュースの集い」安倍晋三首相らが駆けつける」の報道。
    安倍総理は「電波・通信改革をしていく中で、大競争時代に生き抜いていけるコンテンツを提供することが必要だ」と求めた。
    宮内社長は「フェイクニュースが世界を席巻する中、徹底的な深い取材と物事の本質に迫る本格ニュース番組を放送すると述べています。
    日本のマスコミも少しずつ変わっていく様です。

  4. きよはる より:

    今日の産経ニュースに、
    こよなく韓国愛に浸って来た産経ソウル駐在の黒田記者が、韓国内の分裂危機を心配しております。

    >「数百人の反日・官製デモと数万人の普通の人びとの反北・反政府デモ」
    報じられるのは数百人の反日・官製デモ、反北・反政府デモは一切無視されていると。
    あれっ、この光景どこぞで見た記憶が。
    そうそう、日本の報道そっくりじゃありませんか(わらい

    報じない自由と文政権に都合良いデモは大々的に報道する。
    こうして韓国内には、いつ爆発するかもしれないマグマがどんどん蓄積されていきます。
    政府側が反政府デモ鎮圧に動けば、デモは暴徒化し大変な流血惨事を引き起こすでしょう。

    朝鮮らしいと言えばそれまでですが、国内騒乱は北の侵攻を誘発しかねない。
    どうなることやらね、これからワクワクドキドキしますね。

  5. 清明です より:

    きよはる
    ひらがなのままポチっとしてしまいました。orz

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告