補足論点:破綻する米韓関係と日韓スワップ
私は本日、『5月9日が「日本にとっても重要な日」である理由』の中で、「韓国に待ち受ける運命は赤化統一か中華属国化であり、日本は対馬海峡を『最前線』にする覚悟を持て」と申し上げました。ところで、これらに関連し、日経ビジネスオンラインや韓国のメディアに、相次いで興味深い記事が掲載されていますので、補足として本日2本目の記事を配信します。
目次
米韓関係とスワップ協定の補足
補足:本日の記事に関する追加説明
私は本日付で公表した記事『5月9日が「日本にとっても重要な日」である理由』の中で、次のような趣旨を主張しました。
5月9日に予定されている韓国大統領選では、かなりの確率で文在寅(ぶん・ざいいん)候補かそれに類する候補者が当選し、日米との関係は決定的に悪化する。韓国に待ち受ける運命は、北朝鮮が主導する「赤化統一」か、中国の影響下に入る「中華属国化」のいずれかである可能性が極めて高い。日本もそろそろ、「韓国と軍事的に協力する」という幻想を捨てて、対馬海峡を「最前線」とする覚悟を持つべきだ。
今になって読み返してみると、やはり議論が分かれる内容だと思います。あくまでも私の印象ですが、韓国を巡っては、「保守派」を自称する論客の間でも、
日本に対して様々な無礼を働いてくるが、それでも何とかなだめすかして、うまく協力していくしかない
という見解が主流です。しかし、私は、「韓国はいっそのこと日本とは価値も利害も全く共有しない国」だと位置づけるべきだと考えています。
鈴置編集委員「米韓亀裂が明らかに広がった」
ところで、このオリジナル記事投稿と同じタイミングで、『日経ビジネスオンライン』に、日本経済新聞社の鈴置高史編集委員の人気シリーズ『早読み深読み朝鮮半島』の最新版記事が掲載されています。
米国から「同盟国」と呼ばれなくなった韓国(2017年3月23日付 日経ビジネスオンラインより)
ティラーソン米国務長官が日韓中の3ヵ国を訪問した際、韓国だけ食事会が開催されませんでしたが(詳しくは『日米中から捨てられる韓国』も参照)、これについて鈴置編集委員は、
「米韓の間の外交的な亀裂が、傍目にも分かるほどに広がった」
と指摘しています。その真相は、どうやら尹炳世(いん・へいせい)外交部長官に大きな問題がありそうです。ただし、著作権等の関係もあるため、ここでは詳しい引用はしません。詳細についてはぜひ、リンク先の記事を読んで下さい。
ただ、日経ビジネスオンラインの鈴置編集委員の記事に、私も僭越ながら、次の記事を寄稿しています。そこで、以下に鈴置編集委員の記事に対して投稿したコメントを、そのまま転記しておきます。
鈴置編集委員のすごいところは、様々なウェブサイトやメディア(英語、韓国語を含む)から客観的に確認できる情報源を使ってロジックを組み立てるところでしょう。バランス感覚と情報源の広さにはいつも感服します。ただ、このシリーズの唯一の(そして最大の)欠点は、いつもいいところで
「次回に続く」
となってしまうことです(笑)次回が待ち遠しくてならないニダ!謝罪と賠償を(略)
それはさておき、韓国は5月9日の大統領選に向けて、極端な反日・親北性向で知られる政治家である文在寅(ぶん・ざいいん)氏がぐんぐん支持を伸ばして独走している状況です。大きな情勢変化がない限りは、日本も「文在寅政権」に備えなければなりません。
これについては、実は日本国内でも意見が一致しているとは言えません。「ネトウヨ」と呼ばれる人々の中には、ともすれば「韓国が嫌いだから、いっそのこと韓国が崩壊してくれたら嬉しいのに」といった、感情的な意見を持つ人もいる一方で、「韓国は嫌いだが、地政学上の位置付けを冷静に考えるなら、韓国とうまくやっていくしかない」と考える人もいます。
ただ、現実はその遥かに先を行っています。本日の記事でも指摘されている通り、米韓関係の「スキマ」が、急速に広がっているからです。極論すれば、5月に成立する「文在寅政権」下の韓国がTHAAD配備再交渉を機に「日米陣営」から見放され、中華属国化か赤化統一が実現する可能性が高いというのが、一読者としての私の予想でもあります。
日本国民は今度こそ、憲法第9条第2項に正面から向き合い、対馬海峡を「国防の最前線」にするだけの覚悟が求められるでしょう。
日韓・中韓スワップ巡る韓国の能天気な楽観論
さて、韓国は現在、色々な意味で窮地に立たされています。
軍事的・外交的には、米軍との間で合意された高高度ミサイル防衛システム(THAAD)を巡り、中国からの経済制裁が本格化しつつあり、金融面では脆弱な外貨ポジションがますます窮地に立ちつつあります。
韓国は「3700億ドルを超える外貨準備を有している」などと自称していますが、これまでの私自身の分析では、これらのうち本当に外貨準備として使えるのは最大でも1000億ドル程度であり、残りはおそらく、実体のない資産です。つまり、北朝鮮有事が発生するなどして、韓国からの資金逃避(通貨危機)が発生した場合、韓国は自国通貨を防衛することができない、ということです。
こうした脆弱な韓国の外貨ポジションを支えるのが諸外国との通貨スワップ協定(BSAなど)です(図表)。
図表 韓国が保有する対外スワップ協定
相手国 | 失効日 | 韓国ウォン | 相手国通貨 | 米ドル換算額 |
---|---|---|---|---|
オーストラリア | 2020/2/22 | 9兆ウォン | 100億豪ドル | 約76億ドル |
マレーシア | 2020/1/24 | 5兆ウォン | 150億リンギ | 約34億ドル |
インドネシア | 2020/3/5 | 10.7兆ウォン | 115兆ルピア | 約86億ドル |
中国 | 2017/10/10 | 64兆ウォン | 3600億元 | 約524億ドル |
合計 | 88.7兆ウォン | ― | 約721億ドル |
これらのスワップは、金額自体は700億ドル少々に達しています。しかし、これを「外貨準備を補完する手段」と見るのは早計です。なぜなら、次のような欠点があるからです。
- 韓国が保有する通貨スワップは100億豪ドル(約76億米ドル)を除けば、国際的な決済手段として通用しない「ソフト・カレンシー」ばかりである
- 約721億ドルのスワップのうち、70%以上を中国一国が占めており、金融面でも韓国にとっての中国の重要性は極めて大きい
つまり、韓国が保有するスワップ(特に中国とのスワップ)は、金額ばかり大きくても、危機の時に使い物にならないのです。そして、その使い物にならないスワップですら、韓国にとっては「藁にもすがる」ほどの重要なものになってしまっているようです。
韓国副首相「韓中通貨スワップ、延長中止の可能性は全く考えていない」(2017年03月23日06時34分付 中央日報日本語版より)
この記事は、柳一鎬(りゅう・いっこう)副首相兼企画財政部長が、「(中韓スワップについては)延長が中止になるとは全く考えていない」と述べたのだというものですが、本気でそう考えているならば楽観的過ぎます。
時期的に今年10月がスワップの期限だということですが、中国は間違いなく、「スワップを延長して欲しくばTHAADを撤回せよ」と韓国側に突きつけて来るでしょう。中国からの様々な経済制裁に苦しむ韓国が、「文在寅大統領」のもとで、米国に対してTHAAD撤回交渉を持ちかける可能性は極めて高くなると思います。
あくまで高圧的な韓国副首相
この柳一鎬部長は、日本とのスワップ再開交渉についても、「日本の態度が変わらなければならない」と述べています。
ユイルホ副首相「日本に通貨スワップ先に手案内押す(2017-03-19 06:00付 イートゥデイより【韓国語】)
リンク先は原文が韓国語ですので、私の文責において日本語訳を示しておきます。
「G20財務相及び中央銀行総裁会議」に出席するため、ドイツバーデンバーデンを訪問しているユイルホ副首相兼企画財政部長官は17日(現地時間)通貨スワップの交渉を一方的に中断した日本側に最初に手を差し伸べるという立場を表わした。
この日の副首相は、現地で記者たちと会って「韓日通貨スワップは、昨年交渉開始にかなり進展したが、他の理由によって、中断した」とし、「鍵を握っているのは日本だから、私たちが先に提案しなければならないだろう」と強調した。
彼は「日本は本当に別の問題を持ち出して、これ以上通貨スワップ交渉を進展しないとしてしまった状況だ」とし、「私たちの方から(※翻訳不能部分のため中略)通貨スワップの話をしようともすることができない」と述べた。
特に副首相は、日本側が釜山総領事館少女像の設置を口実に通貨スワップ交渉を中断したことについても不快感を示し(中略)、「日本が立場を変えない以上は、日韓通貨スワップ交渉開始はないだろう」と断固とした立場を堅持(中略)。その一方で日本側が態度の変化を示して再交渉要求時には応じることができるという可能性を開いていた。(後略)
つまり、「日本が一方的に通貨スワップ再開協定の対話を打ち切った」ことに「不快感」を示したうえで、「日韓スワップ再開のためには日本側が態度を変えなければならない」と、あくまでも高圧的な姿勢を崩していません。
韓国の中では、あくまでも「日本が下で韓国が上」であり、日韓スワップも「日本が態度を変えなければならない」という姿勢を維持しているようです。果たしてこのような高圧的な国に対し、日本がわざわざスワップを提供しなければならないものなのでしょうか?大いに疑問です。
「日韓スワップは日本にメリット」の大嘘
それから、韓国のメディア報道などを見ていると、「日韓スワップは日本にもメリットがある」、といった表現を見かけることがあります。その主なロジックは
- 円・ウォンの為替相場の安定に寄与する
- 韓国の信用力を高めることで、韓国に進出している日本企業を助ける
- 円の地位上昇に寄与する
といったものですが、これらはいずれも欺瞞であり、大嘘です。たとえば、日韓スワップが存在していれば、韓国は大手を振って為替介入を行い、ウォンの価値を円に対して不当に下げる操作を行い、日本に対する輸出競争力を高めるのに悪用されます。実際、李明博(り・めいはく)政権時代、日本は散々円高圧力に悩まされました。
また、日韓スワップが存在すれば、それだけで韓国の潜在的な信用力が上昇することは間違いありません。しかし、「好きで韓国と関係を持っている日本企業」を「日本国民全体の税金」で救済するのは、それこそ一部の企業に対する政府による不当な支援と全く同じであり、到底許されるロジックではありません。
さらに、「円の地位上昇に寄与」の下りに至っては、全くもって意味不明であり、一顧の価値すらないでしょう。
本日の話題は籠池氏の証人喚問
ただ、私が本日の段階で韓国ネタを提供したのは、あくまでも「中間報告」であり、本当の脅威は5月9日(火)の韓国大統領選で、文在寅氏(あるいは彼に類する極左候補)が当選した時から始まります。その意味で、この韓国ネタについては、これから不定期に、当ウェブサイトでも追いかけていきたいと思います。
その一方で、本日いちばん「ホットな」話題は、森友学園の理事長で、支離滅裂な言動で知られる籠池泰典氏の国会証人喚問でしょう。参議院予算委員会では午前10時以降、衆議院予算委員会では午後2時50分以降に質疑が行われます。
北朝鮮問題をはじめ、日本には議論すべき課題が山積しているにも関わらず、野党4党側は、これまで「森友学園問題」で国会を空費して来ました。しかし、「ウソつき理事長」に乗っかって、これまで散々、国会と国民を愚弄してきた民進党・自由党・共産党・社民党や、彼らに乗っかってゴシップ報道を繰り返してきた「マスゴミ」の皆さんには、ここらで年貢を納めてもらおうと思います。
証人喚問の結果次第では、明日の当ウェブサイトでもこの話題を取り上げてみたいと思います。
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