今度は「文部科学省の現役高官が飲食容疑で逮捕」の不自然さ
昨日、文部科学省の現役幹部が再び逮捕されました。逮捕容疑は総額140万円ていどの飲食による接待を受けたことであり、事実であれば言語道断ですが、それにしても総額5兆円を超える予算を取り仕切る官庁に関わる汚職としては、どうも金額が少ないような気がします。
目次
文科省現役幹部逮捕について
今度の逮捕容疑は総額140万円分の接待
またしても、文部科学省の現役幹部が逮捕されました。
主要メディアが報じたところによると、昨日、東京地検特捜部は文部科学省の川端和明国際統括官(57)を収賄容疑で逮捕。また、7月3日に佐野太・文科省学術政策局長(当時)が逮捕された際にあわせて逮捕されたた元会社役員の谷口浩容疑者(47)も再逮捕されました。
文科省幹部を逮捕、収賄容疑 東京地検特捜部(2018/7/26 10:34付 日本経済新聞電子版より)
【文科省汚職】/収賄容疑、新たに文科省国際統括官を逮捕 JAXA出向時に140万円接待疑い 東京地検特捜部(2018.7.26 10:59付 産経ニュースより)
今回逮捕された川端容疑者は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に理事として出向中の2015年8月から2017年3月にかけて、JAXA理事の職務に関連し、谷口容疑者から東京都内の飲食店で約140万円相当の飲食などの接待を受けた疑いがもたれている、とのことです。
また、谷口容疑者に関しては、
「谷口容疑者が当時役員を務めていた医療コンサルタント会社が有利な取り計らいを受けたことへの謝礼として、当時JAXA理事だった川端容疑者が接待を繰り返し受けたことが、収賄に当たると判断した」(日経)
ということから、いわば、贈賄の容疑が掛けられている、ということです。ちなみに、佐野太被告については、すでに受託収賄罪で、谷口容疑者についても受託収賄幇助罪で、すでに起訴されています。また、佐野被告の子息の不正入試を巡っては、
「同大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛(まもる)前学長(69)も贈賄罪で在宅起訴された。」(産経)
とされています。
金額の小ささと、不自然さ
ただ、報道を読んでいると、果たしてこれが犯罪なのかと思うほど、逮捕容疑はよくわかりません。
たしかに、川端容疑者が職務執行に関連して、谷口容疑者から飲食などの接待を受けていたとしたら、非常に由々しき問題です。公務員としての倫理規定にも違反していますし、そんな接待を受ける時点で収賄の容疑を掛けられても文句は言えません。
しかし、佐野被告の逮捕のときにも感じましたが、谷口容疑者の逮捕容疑は、『文部科学省の汚職捜査は「芋づる逮捕」を狙ったものなのか?』でも指摘したとおり、「私立大学研究ブランディング事業」で受ける恩恵は、金額的には非常に小さいのが実情です。
東京医科大が「私立大学研究ブランディング事業」の指定を受けることだけを狙って佐野容疑者の子息に便宜を図ったと考えるのは不自然です。というのも、佐野容疑者自身が「私立大学研究ブランディング事業」そのものについて、独断で便宜を図る権限を持っているとは考え辛いからです。
このように考えていくと、東京地検の動きは、「地検特捜部が直々に動く」にしてはあまりにもみみっちいという気がしてなりません。
文科省と癒着、天下り
本当の巨悪は何なのか?
たとえば、佐野容疑者の逮捕容疑に関連し、「私立大学研究ブランディング事業」について今年度の予算は56億円ですが、これは文教・科学技術予算の総額の約5.4兆円、うち文教関連費が4兆円少々などと、これと比べても0.1%少々です。
また、川端容疑者が谷口容疑者から受けた接待の金額は140万円ですが、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が獣医師の関連団体から受け取った寄付金の額(100万円)などと比べて、桁外れに大きいという気はしません。
このように考えていけば、どうも東京地検の狙いは、もっと別のところにあるような気がするのです。
そもそも、文部科学省は叩けば埃が出てくる可能性が非常に高い役所です。というのも、私立学校に対しては、「私学振興助成法」に基づいて、教育経費の半額が補助されるという制度があるからです。そして、文科省が許認可権限を握ることで、私立学校と癒着している可能性はかなりあると見て良いでしょう。
しかも、非常に困ったことに、文部科学省の組織の腐敗を追及するはずのマス・メディアの矛先も、何かと鈍いのには、理由があると考えられます。その理由の1つが、天下り問題です。
たとえば、文部科学省、読売新聞社、朝日新聞社などの天下り先として有名な国際医療福祉大学という事例がありますが、私が昨年7月ごろから同大学ウェブサイトをチェックしていると、次のとおり、元文科省関係者や元朝日新聞関係者などの名前を多数発見しています。
- 箱島 信一(理事、元朝日新聞社社長)
- 木村 伊量(理事・特任教授、元朝日新聞社社長)
- 佐藤 禎一(教授、元文部省事務次官)
- 丸木 一成(医療福祉・マネジメント学科・学部長・教授、元読売新聞社医療情報部長、生活情報部長)
- 水巻 中正(教授、元読売新聞東京本社社会保障部長)
- 金野 充博(教授、元読売新聞政治部主任、解説部次長、人事部次長、北海道支社総務部長、紙面審査委員会委員など)
- 大熊 由紀子(医療福祉ジャーナリズム分野責任者、元朝日新聞社医療福祉担当論説委員)
(※敬称略、昨年7月ごろからの国際医療福祉大学ウェブサイトをもとに著者作成)
別に国際医療福祉大学への天下りが「違法である」と申し上げるつもりはありません。適法な手続を経ているのであれば、大手を振って天下っていただいて良いと思います。しかし、文科省と並び大手新聞社の元役職員らが、同様に天下りを行っているという事実については看過できません。
既得権益は絶対に腐敗する
文部科学省は、もともと私立学校に対する補助制度などを通じ、私立学校に対して多大な影響力を持っている役所です。いわば、許認可権自体が利権となっている可能性はかなり高く、文部科学省を巡る不祥事はあとを絶ちません。
なにより、前川喜平氏のように、違法天下りの斡旋により事実上更迭された人物が、事務次官を務めていたような組織です。文部科学省はさまざまな問題が頻発している役所でもある、という事実を、私たち有権者は重く受け止める必要があるでしょう。
とりあえず、文科省の問題については検察による捜査を待つ必要があります。ただ、それと同時に、マス・メディア、野党議員などのように、「国民から選挙で選ばれたわけでもないくせに多大な権力を握っている人たち」へのメスを入れることは必要でしょう。
最後は有権者による監視が重要
文科省だけではありません。巨額の予算の執行を管轄する役所であれば、国土交通省しかり、厚生労働省しかり、大なり小なり、不祥事が生じるおそれから逃れることはできません。とくに、私立大学の許認可権限は絶大であり、役所が「絶対に腐敗しない」と考える方が不自然です。
犯罪捜査は検察当局の仕事ですが、公表されている予算書や行政機構などを調べ上げ、何らかの不正が存在するかどうかを監視するのは、私たち一般国民にもできることです。さらには、現代社会にはインターネットという情報発信手段もあります。
100万円少々の飲食による接待を受けた川端容疑者が有罪だというのであれば、獣医師の関連団体から100万円という巨額献金を受け取り、獣医学部の新設を妨害する観点からの国会質問を行った玉木雄一郎・国民民主党共同代表など、明らかに真っ黒でしょう。
いずれにせよ、ダブル・スタンダードは許してはなりません。インターネット空間と「言論の自由」を最大限に活用し、官僚、マス・メディア、国会議員などの権力者の監視を続けるのがウェブ評論家としての使命に他ならないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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>「地検特捜部が直々に動く」にしてはあまりにもみみっちいという気がしてなりません。
東京地検特捜部というのは、別に犯罪の軽重ではなくて、政治的にどういう意味合いを持つかという行動原理で動く特殊な組織です。
言ってみれば、特捜部の「特」は特高警察の「特」です。
別件逮捕から、蛇の様に本丸に忍び寄るのも常套手段。
今の東京地検特捜部は、官邸と最悪の関係にあるそうですから、しばらくしたら、また出所不明の安倍政権攻撃ネタを「野党」が掘り出してくるんじゃないでしょうかねえw