韓国企業が関わるラオスのダム決壊事故に見る中央日報の報道

すでに大々的に報じられている通り、ラオスで建設中のダムが決壊し、大勢の死者・行方不明者が出るという痛ましい事故が発生しました。まずは犠牲者のご冥福とすべての行方不明者の無事を心から祈りたいところですが、それと同時に、安否よりも自分たちの信頼を気にするという記事を発見し、ひそかに激怒しているのです。

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当ウェブサイトはペンネーム「新宿会計士」と名乗るビジネスマン評論家が、「読んで下さった方の知的好奇心を刺激すること」を目標に、個人で運営する「独立系ビジネス評論サイト」です。お陰様で7月21日をもちまして、サイト設置から丸2年が経過し、3年目に突入しました。

ところで、私自身はこの評論サイトを持ちながら、自分自身で個人経営の会社を持っており、また、夫婦で絶賛子育て中です。このため、平日は

  • ①子供が熱を出した時の保育園対応
  • ②自分自身の会社の運営
  • ③『新宿会計士の政治経済評論』の運営

という3点を、ほぼ同時並行でこなしている毎日です。当然、優先順位は①~③の順ですが、どうも最近、子供がよく熱を出すため、どうしても自分自身の会社の運営が圧迫され、さらには当ウェブサイトの執筆にまで手が回らない、ということがあります。

そこで、数日前から、記事の配信時刻を見直し、あまり読まれていなかった「午前0時公表の記事」の執筆を取りやめました。単純計算で、1日1本分、記事が減るわけです。しかし、意外なことに、ページビュー(PV)数についてはほとんど落ちていません。

なぜなのかと考えていくと、当ウェブサイトのレイアウトが悪く、新着記事がどんどん下に流れていき、消えて行ってしまうという問題点もあったからです。そこで、匿名のコメント主様などからのご指摘もあり、また少しずつレイアウトの見直しなどを進めています。

このように、ウェブ評論サイトを運営していると、読者の皆様から頂くリクエストが、結果的に当ウェブサイトの使い勝手の大きな向上につながることもあるのです。その意味で、読者の皆様には本当に、心の底から感謝申し上げたいと思います。

当ウェブサイトはコメント自由(ついでに転載も引用も自由)ですので、どうか末永くご愛読下さると幸いです。

ラオスでダムが決壊

衝撃的なダム決壊

当ウェブサイトをご愛読であれば、すでにご存じの方も多いと思いますが、東南アジアのラオスで現地時間23日(月)午後8時ごろ、建設中のダムが決壊。現時点までに少なくとも20人前後の死者と数百人の行方不明者が発生しているようです。

ただ、関連する報道をいろいろ調べてみたのですが、非常に不思議なことに、これほどまでに大きなニュースであるにもかかわらず、報じられた時間は、日本時間でいえば、事故から一昼夜経過した昨日夕方以降です。ここではあえて、英米圏のメディアの報道を眺めてみましょう。

Hundreds Missing, Some Dead as Laos Hydropower Dam Collapses(2018年7月24日 18:18 JST付 Bloombergより)
Hundreds Missing in Laos After Dam Collapses(米国夏時間2018/07/24(火) 15:47付=日本時間2018/07/25(水) 04:47付 WSJより)
ラオスのダム決壊、数十人死亡 6600人以上が家失う(2018年07月25日付 BBC日本語版より)
At Least 19 People Have Been Killed in Laos Dam Collapse. Here’s What to Know(米国夏時間2018/07/25(水) 05:35付=日本時間2018/07/25(水) 18:35付 タイムより)

ここでは、ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、BBC、ロイターなどの記事を示していますが、いずれも現地メディアの報道を引用する形で、「50億立方メートルの水量が一気に流れ出た」、「6600人以上が家を失った」、などと報じています。

また、これらのニューズ・サイトには写真や動画も多数掲載されているのですが、とくに、泥水が溢れるなかで、家の屋根に避難している人々の姿は衝撃的です。亡くなられた方々のご冥福と、行方不明者の一刻も早いご無事を祈らざるを得ません。

どうして間に合わなかったのか?

これらのメディアの報道を読んでいると、どうもダムが決壊するまでに水位がかなり上がっていて、コンソーシアム側が「決壊すれば激流が生じる」との警鐘を鳴らしていたとしています。タイムの記事によれば、

Just hours before the disaster on Monday, the Laotian, Thai and South Korean consortium behind the project warned that one of its dams was dangerously unsafe and would send walls of water surging downstream if it collapsed, VOA reports.(VOAによると、月曜日、事故が発生する数時間前に、ラオス、タイ、南朝鮮が参加するコンソーシアムによるプロジェクト側はダムが危険水域にあり、このままだと決壊すれば、下流に激流が生じると警告した。)

としつつも、こうした警告が発せられたのはダムが決壊する直前であり、警報が間に合わなかった可能性があるとしています。また、タイムは

An official from South Korea’s SK Engineering & Construction (SK E&C), one of the companies building the project, confirmed to TIME that fractures were observed on the dam before the disaster, and an evacuation of the 12 surrounded villages was recommended.(このプロジェクトに関わっている企業の1つであるSKエンジニアリング&コンストラクション(SK E&C)の関係者はタイムに対し、ダムが決壊する直前に振動が観測されたという事実を明らかにした。また、その直後に周囲の12の村落に対し避難勧告を出した。)

と報じていますが、ダムで振動が確認されるというのは決壊の前兆を認識していたということでしょうか?

また、WSJの記事では、

Another concern is whether residents were given sufficient warning about the danger once water levels reached critical levels.(今回の事故を巡っては、水位が危険なほど上昇しているにもかかわらず、住民に必要な警告が与えられなかったのではないかとの疑念を招いている。)

“It also shows the inadequacy of warning systems,” Ms. Deetes said. “The warning appeared to come very late and was ineffective in ensuring people had advance notice to ensure their safety and that of their families.”(非営利法人「インターナショナル・リバーズ」のPianporn Deetes氏は「警告システムが適切に構築されていなかった証拠だ。警告が実際に発せられた時間は非常に遅く、また、人々に伝達し、自身と家族の安全を確保するシステムという意味でも非効率であった。」と指摘している。)

と報じられています。

このことから、どうも今回の事故は、施工不良に加え、ダム建設現場における警告システムにかなりの不備があったという複合的な要因が原因ではないかと考えられるのです。

(なお、本文中に「南朝鮮」という単語が出て来ますが、これは “South Korea” を原文に忠実に訳したものであり、とくに韓国を貶めるという意図はありません。)

中央日報の反応

中央日報も「ダム事故」一色に

ところで、今回の大惨事を発生させたコンソーシアムに韓国企業が参加していたことから、韓国国内では大騒ぎになっています。私自身が「コメント禁止措置」を喰らった『中央日報』(日本語版)を読んでいても、次のとおり、報道は「ダム事故一色」です。

韓国企業が施工したラオスのダムが決壊…6つの村で洪水、数百人が行方不明(2018年07月25日07時44分付 中央日報日本語版より)
韓国企業側「ラオスのダム決壊、事故4日前の11センチ沈下」(2018年07月25日18時27分付 中央日報日本語版より)
文大統領「ラオスのダム決壊に救援隊派遣」…政府レベルの対策を指示(2018年07月25日15時18分)

あらかじめお断りしておきますが、現段階で軽々に「韓国企業の施工不良だ」と断定すべきではありません。詳しくは現地でのさまざま調査などを待つ必要がありますし、こうした段階をすっ飛ばして「そら見たことか、韓国企業はやはり信頼できない」などと述べるべきではありません。

ただ、これらの中央日報の報道を眺めていると、ある意味で私の予想通り、言い訳、保身などが垣間見えるのです。たとえば、最初のリンクの記事だと、

SK建設は事故のニュースが伝えられるとすぐに現地とソウル本社に非常対策委員会を設置した

と、あたかも迅速に対応しているかに見えます。しかし、先ほど引用したWSJ、タイムなどの記事を読む限りにおいては、事故災害時の伝達システムにきわめて大きな欠陥があり、どうも「非常対策委員会を設置した」という対策自体、単なるパフォーマンスではないかとの疑念を払拭することはできません。

言い訳とパフォーマンスも迅速

一方で、先ほど示したリンクのうち2番目の記事によれば、コンソーシアムに参加した韓国企業同士でも、SK建設と韓国西部発電で説明が食い違っているそうです。

「(韓国西部発電の)キム社長はこの日の報告で「7月20日、セナムノイ貯水池造成のために築造した5つの補助ダムの一つが豪雨で11センチ沈下した」と明らかにした。20日に発生した沈下は許容範囲内であったためすぐには措置を取らず、ひとまず状況を眺めていたというのが、西部発電側の説明だ。これまでSK建設が説明した事故の経緯には、20日に11センチの沈下が確認されたという内容は含まれていなかった。

この「数日前に沈下が確認された」という下りは、先ほどのタイムの記事にあった「振動を確認した」という証言と整合します。くどいようですが、現時点で「施工不良のため沈下・振動が生じた」と結論付けるべきではありませんが、SK建設が説明を隠蔽したという事実は重く見る必要があるでしょう。

さらに、先ほど列挙した中央日報の最後のリンクによれば、

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が韓国企業のSK建設と公企業の韓国西部発電が工事に参加したラオスのダムの決壊事故に関連し、政府レベルの救援対策を指示した

とありますが、これについても理解できません。「救援対策」とありますが、韓国は「支援国」ではありません。「当事者」です。そのことを、彼らは本当に自覚しているのでしょうか?

人命より自分たちが大事なのか?

私は今回の事故について、最初に示した記事の末尾にある、次の一文に強い怒りを感じるのです。

業界では「もしダムが決壊して今回の事故が発生した場合、建設工事を引き受けた企業は金銭的側面だけでなく信頼度でも相当な打撃を受けることになるだろう」と予想する。

この期に及んで現地の方々の安否よりも「韓国の信頼度」を気にするとは!呆れて物も言えません。この記事では他にも、

現在まで韓国僑民や駐在員、施工者関係者の被害は確認されていない

という下りもあるのですが、あれだけの大事故で施工関係者に被害がまったくなかったということは、もしかしてダムの崩落を予想してさっさと逃げたということでしょうか?

このあたりについても真相解明が待たれます。

セウォル号事件を振り返る

くどいようですが、現時点では「韓国企業が杜撰な施工をしていた」だの、「工事関係者がダムの崩落を予想してさっさと逃げた」だの、「韓国企業がさっそく責任逃れを始めている」だの、根拠もなしに断定するつもりはありません。

ただ、客観的事実として、2014年4月に発生したフェリー船「セウォル号」沈没事件のことを振り返っておく価値はあるでしょう。

といっても、セウォル号事件については過去に当ウェブサイトとしても詳細に議論したことがあるため(詳しくは『歴史に沈む韓国』、『相次ぐ「韓国経済崩壊」論と商道徳』などをご参照ください)、ここでは、客観的事実を箇条書きとして列挙しておきましょう。

歴史に沈む韓国

相次ぐ「韓国経済崩壊」論と商道徳

設計上の瑕疵
  • 荷物積載場所を確保するためか、バラスト水が不足していた
  • もとは日本製の中古フェリー船だったが、韓国の船会社が購入後、違法改造し、重心が高くなっていた
  • 韓国の法令上、義務付けられていたはずの検査が形骸化していた
運航上の問題
  • 転覆時点で上限値の4倍近い貨物が過積載されていた
  • 転覆時に同号を操舵していたのが、船長ではなく未熟練の三等航海士だった
  • 転覆時に船長はステテコ姿でギャンブルに興じており、転覆時に乗客の誘導を行わず、自分だけ真っ先に逃げ出した
関係者の対応
  • 船会社の対応…責任者(経営者)は事件後、国外逃亡を図った
  • 韓国政府の対応…朴槿恵大統領(当時)は事故直後、7時間ほど行方不明だった
  • 被害者家族の行動…沈没現場最寄りの港湾に近接する体育館などを長期間にわたり占拠。彼らのために「仮設住宅」が建設された
  • 相次ぐ虚偽証言…事件直後に「関係者」と称する者が多数出現し、「沈没現場から電話を受けた」など虚偽の証言が相次いだ
事件の余波
  • 産経新聞支局長刑事訴追事件…事故直後に朴氏が所在不明となったことを指摘した朝鮮日報の記事を引用した、産経新聞・加藤達也支局長(当時)が「大統領に対する名誉棄損」の罪で刑事告発・起訴された
  • 朴氏の南米訪問…事故後一周年記念式典にあわせて朴氏が南米歴訪に出掛けるなど、ここでも「責任者不在」が強く批判された

よくもまぁ、ここまで酷いことが発生するものですね。

いずれにせよ、人類史上未曽有の非常識な事件を頻発させている国が、わが国と対馬海峡を隔てて存在しているという事実を、私たちは重く見る必要があるのかもしれません。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < まずは事故で亡くなられたラオス国民の皆様、建設作業員の皆様のご冥福を衷心からお悔やみ申し上げます。

    < 4日前に11cmもダムが下がったって、決壊の前兆です。水量が耐えれなくなった。小さい方のダムらしいが、なぜその時点、あるいはせめて当日に、下流地域へ避難指示を出さなかったのでしょう。

    < 想定を超えてなんて、言い訳。電力会社、施工の韓国5大財閥のSKと当然、韓国政府も賠償と真摯な謝罪をすべきです。なんせ数百人の死者、行方不明をだし、6600の家屋を失ったんですから。

    ら。『半万年恨む』と日本に嘘をでっち上げて言い放つなら、ラオスにされても恨みっこ無しですね。こちらは『事実』ですから。また、韓国人作業員は被害者出てないと中央日報など韓国紙は、さも大事そうに送信する。狂ってます。多分、我れ先に逃げたんでしょう(失笑)。朝鮮戦争と同じだ。

    < いや、セオゥル号と同じ。船長はじめ乗組員がにげだす。国際社会から締めだされるゾッ。
    ラオスはまず緊急事態だが、韓国などに任せず、国際チームで救助を依頼して下さい。日本は一番に行きたいが、韓国があとでイチャモン付ける。
    以上。

    <

  2. りょうちん より:

    ラオスの被害者に黙祷。
    だけど、まあちょっとペトロナスツインタワーとかKB橋とか釜山の斜塔のことを知らなかったのはアレですな。
    ちなみに韓国関係者の被害者がいなかったのは数日前から現地の韓国人会に避難勧告が出ていたという証言もあるようですが、ソースは不明です。
    ただ、原因に関しては、そもそも鉄筋コンクリートの塊のダムの予定工期を大幅短縮って、どう考えても養生不足だよなあ。

    エターナル・フォース・ヤスモノガイ
    予定より大幅に工期を短縮して受注建築物を完成させる。相手は死ぬ。

    バーニング・プロジェクト・オブ・デスマーチ
    約束された世界名品を格安で受注する。永遠に完成しないことに苦しむ。担当者は死ぬ。

    1. りょうちん より:

      関連記事を読みあさっていたら、こんな隠し球もあったようです。
      https://matome.naver.jp/odai/2144465591255004401
      いつ事故が起きてもおかしくないと言われているマリーナベイサンズの真実

      そもそもデザイン重視の設計ミス案件で、清水建設やフランスVINCIですら入札から手を引いた。
      予定工期の48ヶ月なのに27ヶ月で工事を終え数百億ウォンのインセンティブを受け取った
      受注した企業は既に倒産済み

      という満貫ですw

    2. りょうちん より:

      ダム板にいって勉強してきましたがw、今回のダムはロックフィルダムという形式のもので、鉄筋はほぼ関係ありませんでした。
      しかもフェイシングは、コンクリートとは限らず、アスファルトかもしれないとのこと。
      いずれにせよ、施工責任は免れるものではありませんが、先だってのレスは誤りでした。

      1. とある東京都民 より:

        …その写真、この件を取り扱ったまとめサイト複数で見たけど…。

        アースダム???と思った…。

        ふーん、ロックフィルダムでしたか。
        ダム建設において、
        ダム堤体直下の基礎地盤の条件が、コンクリートダム(重力ダムやアーチダム)より緩い…、
        ツ~か、堤体体積が、コンクリートダムより、非常に大きいので、
        地盤の条件が、コンクリートダムの建設がダメでも、ロックフィルダムなら建設が可能って事…。

        やっぱ、手ヌイたんやないか?
        建設期間を数ヶ月前倒しして、湛水試験中のダム決壊なんて、普通聞くか?
        古今東西…。初めて聞くよ?

        こんなこと…。

  3. とゆら より:

    今後の韓国の対応の動きはセウォール号沈没事件、駐韓リッパート元米大使テロ事件、
    ライダイハンへの対応が参考になるかと思います。

    SK建設はセウォール号の船長のようにわが身かわいさに逃げ続けることでしょう。
    一番情報を持っている立場のものが真っ先に避難、責任からも逃げるのは今回のケースもあてはまります。

    リッパート氏や米国に対しては、朴大統領は同じ被害者として共感し米韓両国の絆が深まったと
    他人事のように振る舞っていました。
    今回もラオス-韓国関係を美談に仕立て上げることでしょう。

    被災者へはライダイハン被害者と同様に困窮者に韓国の文化(K-Pop、ハングル書籍)提供で慰めたと頓珍漢な対応をするかもしれません。

    あとは最悪ラオス政府に事を荒立てるなと裏で脅迫めいたことをするかもしれません。
    これは韓国の核開発が露呈したあとにIAEAの事務局長を脅迫していました。

    1. りょうちん より:

      >SK建設はセウォール号の船長のようにわが身かわいさに逃げ続けることでしょう。

      ところが、今回は彼らの得意技である責任企業が倒産・逃散ができない財閥企業なんですわ。
      SK・Hynixのメモリなんか、もしかしたら今お使いのパソコンの中にも入っているかもしれませんよ。

      もっとも財閥イジメが大好きな文在寅ですから、さっくり解体身売りをさせて賠償金を供出させるようなミラクルも期待できます。
      ええ慰安婦や徴用工問題で金払いが渋いと彼らが主張する日本が恥じ入る様な誠意ある対応というのを見せてもらいましょうw

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