産経・田北氏の安倍政権外交論を捏造・歪曲する中央日報

産経ニュースに産経新聞社の「官邸キャップ」を務める田北真樹子氏が、重要な記事を執筆しています。ただ、この記事を巡って、韓国メディア『中央日報』から、かなり悪意のこもった捏造・歪曲に満ちた記事が発信されているようです。

産経・田北氏の北朝鮮外交論

田北氏だからこそ書ける文章?

産経新聞の電子版『産経ニュース』に月曜日の深夜、産経新聞社の「官邸キャップ」を務める田北真樹子氏が執筆した、こんな記事が掲載されています。

安倍晋三首相の日朝交渉 基本方針を堅持しながら「トランプ流」も取り入れ(2018.6.25 22:51)

これは、短いものの、非常に重要な記事と見るべきだと思います。というのも、良い意味でも悪い意味でも、北朝鮮問題を巡る安倍総理の本心が、みごとに出ているからです。

田北氏といえば、今年2月に韓国・行われた平昌(へいしょう)冬季五輪の開会式に安倍晋三総理大臣が「出席する」と述べた際、阿比留瑠比氏とともに安倍総理に独占インタビューをした人物でもあります(『【速報】安倍総理の平昌参加を支持しない』など参照)。

既存メディアの記者のなかでは、田北氏に対する安倍総理からの信頼は厚いのかもしれません。このように考えると、田北氏の署名入り記事は、安倍総理(あるいは総理の側近)の「生の声」に近いと見て良いと思います。

「3つの方針」と北朝鮮との信頼醸成

あくまでも私の理解ですが、田北氏の記事のポイントは、2つあります。

1つ目は、日本にとって、非常に良い点です。田北氏は、安倍総理が次の「3つの方針」を米国と共有している、という指摘します。

  • ①経済支援などの見返りを与える時期を誤らない
  • ②北朝鮮に対する国際包囲網の構築
  • ③米国の軍事力を背景とする恫喝と懐柔

不肖ながら、私自身、安倍総理がこの「3つの方針」を米国と共有していたという事実を、初めて知りました。北朝鮮問題を巡っては、日本政府が米国と緊密に連携を取ってきたことは間違いありませんが、裏にはこの「3つの方針」があった、ということなのです。

この①~③は、いずれも過去の6ヵ国協議などの失敗を踏まえたものであり、いわば、「日本と米国は北朝鮮には絶対に騙されない」という強い意志の表れであるとともに、日米がしっかりと連携している証拠でもあります。

しかし、それと同時に、読んでいて不安になる点もあります。それは、安倍総理が「北朝鮮と信頼を醸成しながら核放棄や日本人拉致問題を解決しようとしている」、という指摘の下りです。

田北氏によれば、トランプ氏は6月12日の米朝首脳会談の直後、安倍総理との電話会談で、次のように呼びかけたのだそうです。

百パーセント、シンゾーを信頼しているから、一緒にやっていこう」。

米国大統領からこのように呼びかけてもらうこと自体は良いのですが、問題はその次です。田北氏は、「日本の行動を読み解くカギ」は、6月18日、参議院予算委員会などにおける、安倍総理の次の発言だとしています。

トランプ氏は相互信頼を醸成しながら非核化の先の明るい未来を共有し、相手の行動を促すという新しいアプローチを採用した

(北朝鮮と)信頼を醸成し、北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決した先に待っている未来図を描きつつ、その前提となる諸問題の解決に向け尽力していきたい

北朝鮮に「非核化の先の明るい未来を示し」、「信頼を醸成し」、「諸問題の解決に向けて尽力する」。どうも悪い冗談にしか聞こえません。

北朝鮮が信頼できる相手なのか?

実際、田北氏は

もっとも、日朝間の相互信頼の醸成は容易でない。拉致問題をはじめ、日本側に不信感は根強い。それは北朝鮮側にも共通する。今後、水面下での接触を重ねていくとみられるが、成否を見通すことは難しい。

と指摘していますが、この下りのうち、日本側の指摘についてはまったくそのとおりでしょう。そもそも北朝鮮は、無辜の日本国民を拉致して監禁する犯罪者集団です。そのような犯罪者集団と「信頼醸成」と言っている時点で、まったく説得力がありません。

ただし、野党側が「もりかけ国会」により、憲法改正などを全力で妨害する戦略を取っているなかで、憲法改正は日本人拉致問題を解決するのに間に合いそうもありません。そうであるならば、現実的に北朝鮮と直接の交渉を通じて信頼醸成を図る、というアプローチもやむなし、なのかもしれません。

私など、「北朝鮮に強制拉致査察を実施せよ」とする声が、むしろ国民の側から上がるべきだと思います。これは、自衛隊などの軍事力を北朝鮮に送り込み、場合によっては最高権力者である金正恩(きん・しょうおん)の身柄を拘束して、日本の司直が北朝鮮で強制捜査を行う、というものです。

しかし、国民の側からこのような声が上がっていない以上、安倍総理としては「北朝鮮との信頼醸成」という、やや意味不明な選択肢を取らざるを得ない、という実情があるのかもしれません。

どうしてそうなるの!?

中央日報の悪質な捏造「安倍総理が黙って従う」

つまり、この田北氏の記事は、安倍総理が「米国と完全に歩調を合わせて連携する」という点には成功しているものの、肝心の米国自身(あるいはトランプ大統領自身)が北朝鮮核問題をめぐってブレているため、トランプ氏のコントロールに苦慮する安倍総理、という姿が見えて来てしまうのです。

ただし、現状の日本は米国と共同歩調を取る以外に方法はありません。その意味で、安倍政権の対応は、少なくとも歴代の日本政府と比べると、最も現実的で最も優れたものであると断言して良いでしょう。田北氏のレポートには、日本国民の1人として、深く感謝申し上げたいと思います。

ところが、この田北氏のレポートも、韓国メディア『中央日報』の手にかかれば、こんな酷い代物に変わります。

「黙って従う」…安倍首相、日朝関係改善もトランプ流で(2018年06月26日15時55分付 中央日報日本語版より)

中央日報の記事タイトルには「黙って従う」とありますが、いったいどこをどう解釈すれば、安倍総理が米国に「黙って従う」と述べた、と解釈できるのでしょうか?この記事のタイトル、きわめて悪質であり、ここまで来れば、一種の「フェイク・ニュース」です。

ちなみに、田北氏の記事を読み返してみたのですが、「安倍総理がトランプ流に『黙って従う』方針だ」と述べた下りはありませんし、そのように勘違いしてしまうような箇所は見当たりません。この記事を執筆した人物は、よっぽど読解力がないか、それとも安倍総理に対する悪意に満ちているかのどちらかでしょう。

記事本文も劣悪

中央日報の記事は、タイトルも酷いですが、本文はもっと酷いです。中央日報は、田北氏の記事を

この報道によると、安倍首相は今後、拉致問題解決や国交正常化など日朝関係を進展させる過程にもトランプ方式に従う方針だ

と歪曲。さらに、

今までも安倍首相は「米国と百パーセント、共にする」と述べ、トランプ大統領の立場と歩調を合わせてきた。「具体的な行動を取るまでは最大限の圧迫を維持しなければならない」という立場も、米朝会談後には180度変えた。

と述べていますが、いったいいつ、安倍総理が「北朝鮮が具体的な行動を取らなくても最大限の圧力を緩和する」と述べたのでしょうか?記事を捏造するのも大概にしてほしいものです。そんな中央日報は、日本に対する悪意に満ちた表現で、次のように続けます。

米朝首脳会談に対する評価が世界的に冷ややかな中、トランプ大統領を肩を持って盾の役割を自認したのも日本だ。/北朝鮮から具体的な非核化の約束はなかったが、菅義偉官房長官は「日本にいつミサイルが向かってくか分からないという状況は明らかになくなった」と述べ、安倍首相は「米朝首脳会談を主導した大きな指導力がある」とし突然金委員長を称えるようになった。これに対して専門家の間では「無条件的なトランプ追従が安倍外交の本質」という冷笑的な評価が出た」(※下線部は引用者による加工)

おそらくこの下りは、先ほどの田北氏の記事にもあった、安倍総理が18日の参議院予算委員会で「拉致問題の解決には大きな決断が必要。金正恩委員長には米朝首脳会談を主導した大きな指導力がある」と述べたことを指していますが、これを「金正恩を突然、称えはじめた」と見るには無理があります。

また、下線部では「専門家の冷笑的な評価」とありますが、中央日報さんのいう「専門家」とはいったい誰のことですか?まさか、朝日新聞のことでしょうか?もしそうだとしたら、こちらの方こそ「冷笑的」だと思います。

「安倍は3選も危ぶまれている」?

もっとも、この中央日報の記事に、私が同意できる部分もあります。それが次の下りです。

トランプ大統領と同じ船に乗り北朝鮮の明るい未来を強調するトランプ流で、日朝関係を進展させるという安倍首相の戦略が通じるかはまだ未知数だ。

この点については確かにそのとおりでしょう。この「北朝鮮に明るい未来を見せつけて態度の変化を促す」というアプローチには、金大中(きん・だいちゅう)、盧武鉉(ろ・ぶげん)の2人の元韓国大統領がやった「太陽政策」に似たものを感じます。

私は、トランプ氏の「現代版・太陽政策」には強い不信感があるのですが、これについては昨日も『「北朝鮮制裁継続」のトランプ政権、目的は対中封じ込め?』で申し上げたとおりですので、ここではくりかえしません。

ただ、この下りを除けば、中央日報の記事は「酷い」というほかない代物です。田北氏はヒトコトも書いていないにも関わらず、田北氏が「(安倍総理は)黙って(トランプ大統領に)従う」と書いたかのように記事を扱うのは、単なる「フェイク・ニュース」の範疇を超え、むしろ卑劣ですらあります。

では、どうして中央日報はここまで酷い記事を書くのでしょうか?そのヒントとなるのが、次の下りです。

安倍首相は9月20日ごろに行われる自民党総裁選挙で3選に挑戦する。日朝関係などでの成果に基づいて圧勝を収めるというのが安倍首相の希望だが、結果を出すことができなければ足かせになる可能性もある。

「日朝関係などの成果に基づいて圧勝を収めるのが安倍総理の希望だ」と勝手に書いていますが、この記事を書いた人物は、安倍総理が自民党総裁選の3選も危ぶまれている状況にある、とでも思っているのでしょうか?

「自民党総裁選」は自民党の国会議員や党員が投票権を持っていて、安倍総理はその自民党の国会議員や自民党の党員から圧倒的に支持されている、という事実を無視している(あるいは単に取材不足でその点に気付かない)ということだと思います。

「もりかけ事件」の罪

ただ、本件に関していえば、「中央日報の記者が取材不足だ」などと単純には言えません。その理由は、日本における「もりかけ問題」の報道が、諸外国のメディアに対しても、大きな誤解を与えている可能性があるからです。

いうまでもありませんが、「もりかけ問題」とは、もともとは

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、個人的な友人が経営する学校法人に対して違法な便宜を図った問題

のことです。安倍総理が自分の友人のために賄賂を貰い、法律違反を犯たというのならば、安倍総理は直ちに内閣総理大臣を辞職し、場合によっては衆議院議員も辞めるべきです。なぜなら、収賄は犯罪だからです。

もし、「安倍総理は何か怪しい」と主張したいのならば、「安倍総理が何の法律にどう違反していて、どういった犯罪を行ったのか」を明確にすべきでしょう。それを行わずに、ただ単に「安倍総理は何か怪しいから辞任すべきだ」などと主張するのは、相当に頭が悪い行動だと思います。

なぜなら、現実には、安倍総理が何らかの違法行為を働いたという証拠は、1年半もの「もりかけ騒動」のなかで、ただの1度も出て来ていないからです。何のことはありません。これは朝日新聞が仕掛けた倒閣運動の一環であり、悪質な報道犯罪、あるいはクーデターだからです。

(※余談ですが、私は、この「もりかけ問題」を捏造報道した朝日新聞については、訂正報道では済まされない犯罪行為を働いたと考えており、もしも朝日新聞が反省をするならば、今すぐ廃刊すべきだと思います。そして、朝日新聞が反省しないなら、国民の手で朝日新聞社を倒産させるべきだと思います。)

ただ、中央日報を含めた海外メディアの記者の皆さんが、日本国内の偏向報道を眺め、「安倍政権は危機にある」と勘違いしていたとしても不思議ではありません。

「北朝鮮との関係構築に失敗したら安倍総理の3選も危うい」といった、かなり頭の悪い記事を掲載する中央日報も、その意味では朝日新聞による「もりかけ報道テロ」の犠牲者なのかもしれません(笑)。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. R より:

    田北さん、虎ノ門ニュースにもでていらっしゃいますが、素晴らしいですね。
    bloodhttps://freshlive.tv/toranomonnews/265227

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