輸出管理適正化に関する高安雄一教授の優れた論考
大変失礼を承知で申し上げると、時事通信には個人的にさほど良い印象を抱いていないのですが、その時事通信に掲載された、『地球コラム』という、今週水曜日付けの記事が、非常に優れているのです。執筆者は旧経済企画庁の出身者だそうですが、淡々と分析し、冷静かつ公平にバランスよく議論する力量は、並大抵のものではありません。
時事通信の「地球コラム」が優れている
こう申し上げては大変失礼ですが、時事通信といえば、「あまり公正な報道をするメディアではない」という印象を個人的に抱いています。また、時事通信の記事には誤報や勇み足の報道も多く、次のように、時事通信が大々的に報じたわりにはその続報がない、というケースも多々あります。
【速報】時事通信「日本政府が韓国に対抗措置を検討」と報道(2019/03/10 12:30付 当ウェブサイトより)
ただ、そんな時事通信ではありますが、本日、こんなコラムを発見しました。
【地球コラム】輸出管理適正化で弱まる日韓の経済関係(2019年09月11日 14:00時事通信より)
「どうせ時事通信のコラムだから、日本の輸出『規制』で日韓関係が悪化するから、日本は韓国に配慮して輸出『規制』を撤回しろ、という主張なのだろう」と思って読み始めると、逆の意味で驚いてしまいます。
というのも、私自身の目から見ても、極めてバランスが取れた、冷静かつ公平な議論だからです。
執筆者は旧経済企画庁出身者
内容を要約すると、次のとおりです。
- 日本の韓国に対する輸出管理適正化措置は①半導体材料3品目の個別輸出許可への切り替え、②管理上の優遇対象国(いわゆる「ホワイト国」)からの除外の2点に大別される
- 結論から述べれば、3品目の個別輸出許可への切り替えも、ホワイト国からの除外も、日本経済はもとより韓国経済に直接的な影響を与えることはない
- しかし、現状は、8月22日に韓国政府がGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を発表するなど、政治分野での関係悪化、経済分野での関係悪化が互いに原因となり、それぞれの関係がより悪化するといった負のスパイラルの状況に陥っている
- 韓国は輸出管理適正化措置の撤回を日本に要求し続けるだろうし、日本は韓国が政治分野での問題を解決すべく何らかの行動をしない限り、輸出管理の運用を戻すことはないとみられるなど、今後の日韓関係の解決の糸口はまったく見えない。
- 日韓関係のこじれは長期化する可能性が高いが、韓国は日本への部品・素材の依存を解消すべく動いており、日韓間の経済面でのつながりは、緩やかにではあるが、弱まっていくだろう
といっても、リンク先はウェブページで4ページ分にも及ぶ長文ですので、記事の内容の正確なところについては、是非、リンク先を直接お読みください(長文ですが、文体もすっきりしていて非常に読みやすいので、読むうえでさほどの負担はないはずです)。
この記事、オールドメディア系の記事にしては珍しく、「輸出規制の強化」ではなく、「輸出管理の適正化」という表現を用いていますが、時事通信のようなメディアに堂々と「輸出管理」という言葉が掲載されているのを見ると、逆に少し驚いてしまいます。
気になってコラム執筆者欄を調べると、大東文化大学教授の高安雄一(たかやす・ゆういち)氏とあり、また、時事通信の記事に掲載された経歴を読むと、1990年に経済企画庁に入庁後、在韓日本大使館一等書記官などを歴任されているそうです。
最初にざっと文章を読み、次に経歴を確認し、再び文章を精読して感じたのですが、ひとつひとつの文章が丁寧に練られていて、過度に感情的にならず、かといって過度に卑屈にならずに、できるだけ客観的な立場から淡々と現状を記述することに努めているように見受けられます。
要するに、メリハリが利いていて、とても読みやすいのです。
このような文章を執筆するような人物が、現在でも日本政府にいてくれたら、日本国民としてはどれほど心強いかと思います。
また、経済企画庁は各省庁から独立して、中立的な立場で経済分析・提言などをすることを目的とした官庁でしたが、2001年の省庁再編により解体されてしまいました。これについて私個人的には、「増税原理主義を掲げる財務省によって潰された」と考えています。
今回の高安氏の記事を読むと、往年の経済企画庁という官庁のありようを見ることができる気がするのです。
もっと最新記事を拝読したい
さて、リンク先の記事は9月11日付のものですが、『韓国のWTO提訴はセルフ経済制裁への近道』で取り上げた、「輸出管理適正化措置を巡り韓国が日本をWTOに提訴した」という話題は、記事には出てきません。
おそらくその理由は記事執筆・締切時点の関係によるものと思われ、個人的にはこの韓国の「逆ギレ」についても、ぜひ、高安氏の見識をお伺いしたいという気持ちでいっぱいです。
こうしたなか、当ウェブサイトではしばしば、「オールドメディアには将来性がない」と申し上げることがあるのですが、その理由は、『韓国、財務省、NHK、共産党の共通点は議論の拒否』などでも述べたとおり、「結論を決めつけて、押し付ける」という議論のスタイルが、いまや多くの日本国民から拒絶され始めているからです。
しかし、時事通信を含めたオールドメディア側が、この手のきちんとした記事を、もっと積極的に掲載するようになれば、もしかしたらオールドメディア側にも起死回生のチャンスはあるのかもしれません(※あまり期待していませんが…)。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
輸出管理を禁輸だと最初に報道した読売新聞は罪深いですね。
ここまで逆ギレ誘発できるとは思ってなかったかも。
メディアリテラシーの観点から解説記事があったのでご案内します。(既読でしたらすみません)
https://lite.blogos.com/article/388784/
特別優遇を廃止しただけで、輸出規制でもなければ輸出制限でもないものを、禁輸であるかの様に報道する、則ち、韓国側の言い分を先取りする、という事は、読売新聞も、相当深刻に汚鮮されているという事です。
韓国メディアは「フッ酸が輸出されてないニダ。」とか叫んでますが、実態は、韓国企業側が輸出書類作成に必要な情報の提供を拒否しているからであって、日本側が何かしている訳ではありません。
輸出規制でも輸出制限でもない、中身は無いけど、韓国側のプライドにのみ触る事をするだけで、韓国がセルフ制裁をして自滅の道を歩むという読みは大当たりですね。
これからもドンドン、中身は無いけど、韓国側のプライドにのみ触る事をして、韓国が順調にセルフ制裁し続ける様、励ましてあげましょう。
P.S.
台風13号被害からの復興工事に、日本製重機を使うなんて、文在寅さん反日が足りてませんよ。そんな事をする地方首長は親日罪でブチ込みましょう。
韓国人観光客を減せば、彼等の迷惑行為に辟易していた他国の観光客が増え、単価最低の韓国人観光客を、より金を落とす他国の観光客へ切り替える事により、2乗的に日本の観光収支が潤うのは、結構な事です。
使う重機の会社は、ちゃんと戦犯企業のリストから省いているらしいです。姑息ですね。
南朝鮮は重機も自前で調達できないんですか!!
業界人としては調べが迂闊でした。サムスンといいヒュンダイといい、キーパーツ、キーコンポーネントを輸入に頼ってアッセンブリーだけですか。子供のプラモデル趣味と同じですね。
政府の依頼でわざと煽っているのだと思いますが
こちらは何もしていないのに馬鹿みたいに踊ってくれました。
十分な効果があったと観測できます。
イスラエルかペンタゴンか知りませんが、きっと満足してくれたと思います。
GSOMIAまで飛び出して、韓国政府が何者なのか周辺国も再認識したはずです。
以前韓国ネットの噂レベルですが、国産化もしくは他国産に踏み込もうとした企業に対して海外の顧客が日本の機械や材料を使用しないのであれば購入できない、と言われたらしいです。
それでも毎日のように国産化のニュースが韓国で出てきていますが、現時点では単なる国民へのメッセージと株価対策レベルだと思います。
ただ、今後は政府が助成金も出しますし、徐々に国産化や他国産のもので代替していく方向性は変わらないと思います(もともと依存性を減らそうとしていましたし)。
ここで出て来るメディアの論調が、韓国が国産化や他国のものを使用するようになったら日本の素材企業が苦しむことになる、というものです。
これに対しては、すでにネットの多くがマイクロンや台湾半導体企業、東芝が出て来るから心配ないというものです。これはそのとおりだと思いますが、それでも韓国の企業に特化したものがある可能性があるので、変にこういった企業に被害がいかないようにある程度国が見て上げる必要はあるのかもしれません。
(こういう対応を行ったために、半導体技術は韓国企業に盗まれていきました)
ホワイト国除外はちゃんと理解すれば、何の影響もなく IMFの発表でも正しく把握しているし韓国企業の株もちゃんと上がっていることから、投資家も正しく理解しており、韓国民だけが韓国政府に騙されている形に見えます。多分韓国政府はこれを機に反日に舵をきったのだと思いますが、このために韓国経済は本当に危険な状況だと思います。
私も最近は韓国メディアや日本メディアの記事を真剣に読むことはなくなりました。レベルの低い考察が多く、ネット情報に比べても信憑性や読みの深さがないと感じています。これはどうしようもないんでしょうかね。一般人は情報がただの時代に入ったために、オールドメディアの収入が減り、その偏向性もあいまって、あまり優秀な人も多くなくなっているのかもしれません。
高安教授の論考、すっきり読めて十分納得できました。
日韓問題、特に韓国の度重なる不条理な行為を、こういった筆力のある論者の方々が海外のメディアに積極的に寄稿するなどして明らかにし、何が起きていて何が真実なのかを、世界の人々に知ってもらう必要があります。
外務省のロビー活動だけではあまりにも心許なく、これから熾烈を極めるであろうプロパガンダ戦を戦い抜く多様な方策を考え、実行していかねばなりません。その一環として。
Web主様、ご推薦の高安氏のコラム、拝見させていただきました。
ただ、おっしゃるように、事実だけを淡々と展開する論調で、ちょっと物足りない。私、何を求めているのでしょうね(笑)。
コラムでは、自国の産業の日本依存が高いことを再認識した韓国政府がその依存から脱するべく舵を切ったとのこと。でもねぇ、政府が舵を切っても、韓国企業がついてくるのかしら?
日本に依存している分野の産業を成長させることは、それこそ、韓国の人々が”霊的に生まれ変わらない限り”ムリな話だと思うのですけど。
そんな、ムリなことを自国企業に強いるより(だって、できませんわよ。)、輸出入の不正を正したほうが、近道だとおもいますけどねぇ。
まあ、文在寅政権には事情があるのでしょうけど、政権の事情が国内産業に優先するということですかしら?いいですか、さらっと申し上げましたけど、韓国の皆さん、あなたがたの政権は、あなたがたの生活より、政権の事情が優先すると申し上げているのですよ。
それから、もっと深刻なのは、あなたがたの政権が、自らのプライドのために日韓GSOMIA破棄したことです。いいですか、韓国の皆さん、あなたがたの政権は、あなたがたの安全保障より、政権のプライドを優先させたのですよ。
いくら、物心ついて以降、反日教育を受けているとはいえ、いい加減、気付きますけどね。普通なら。
まあ、どうでもいいですけど。
仰るとおりだと思いますが、いくら言ってもムリ、ムリ、ムリ・・でしょうね。
李栄薫氏等が著した「反日種族主義」で、韓国人の心に日本に対する「無条件に絶対不変の敵対感情」が醸成されていることが指摘されています。
凄まじい反日教育を変えないことには、どうにもならないようです。
一国民様
>いくら言ってもムリ、ムリ、ムリ・・でしょうね。
そうだとすると、滅亡、消滅は歴史の必然ということになります。
せめても、それが後世に美しく語られるように、散り際は美しくって、あら、これもムリな相談でございますわよね。ダークサイドからのご提案ですが、元から無かったことにいたしません(にやり)?
新宿会計士様
>時事通信を含めたオールドメディア側が、この手のきちんとした記事を、もっと積極的に掲載するようになれば、もしかしたらオールドメディア側にも起死回生のチャンスはあるのかもしれません
ご自身も、あまり期待してないとのことですが、ちゃんとした記事を載せるだけでは難しいと思うのです
というのは、新旧関わらずメディアの収入源って、その大半は広告収入だと思うのですが、広告費が、媒体としては紙や放送から離れてネットに移ってきてるみたいで、収入がなければ先細りの未来しかないと思うのです
会社としてのメディアであれば、HPに良質な記事を多く載せて、訪問者を増やすことで、ネットでの広告収入を増やすことができるかもなんですけど・・・
地方勤務したときは、折込広告やご近所でのイベント情報目当てに取ってたこともあって、地域密着の地方紙には何とか残っていて欲しいのですが・・・
個人的には良質な1次情報の集積やきちんとした査読というか校閲を経た論考の集積のためにも、新宿会計士様のような個人が運営するサイトだけじゃなくて、規模の大きな組織が運営主体となるポータルも大切だとは思うのです♪
なんか引用先の広告収入が、引用元の広告収入に繫がる仕組みがあって、変に政治的な動きをしない会社がそういった役割を担ってくれないものかと思うのです♪
高安教授の主張をオリジナル記事で読んでみましたが、確かに淡々と冷静・公平に状況をまとめておられると思います。
>このようにこじれた日韓関係は長期化する可能性が高い。そうした中、韓国は日本への部品・素材の依存を解消すべく動いており、日韓間の経済面でのつながりは、緩やかにではあるが、弱まっていくだろう。
この部分については、そうであってほしいと私も思いますが、そううまくはいかないと思います。教授自身も述べておられますが、部品供給のツリーダイアグラムは強靭で信頼性の高い中小企業に支えられていないと成り立ちません。平たく言えば安価・短納期で頑張ってくれる下請けなしでは、日本の名だたる大企業であってもお手上げということです。
これに関する韓国の難点は下記のとおりです。
・持続力がない
:今は日本への依存度の高さを認識して騒いでいますが、その認識を持続し方針を継続することが出来るのでしょうか。長期的スパンの臥薪嘗胆というのは、韓国において極めて困難かと思います。バイ・コリア熱が醒めた時に、安価で高品質な日本製部品を排除し高価で低品質な自国製品を選択できる種類の「愛国心」を韓国人が持っているとは思えません。彼らの「愛国心」というのは花火のようなもので、派手に打ち上げるものの継続しないと考えています。
・動機がない
:中小企業というのは日本においても不遇なことが多いです。上下関係を異常に重視する韓国において、下請けがどういう扱いを受けるか容易に想像できます。政府が中小ぎ業育成の旗を振ったとしても、その不遇職に一生をかける企業人がどれだけいるのでしょう。そしてもしそういう人材が少数なら居て、さらに少数が成功を収めたとして、その中小企業は独立を保てるでしょうか。財閥の囲い込みと、それに伴う中小ならではの機動性の喪失、価格競争力の減退が待ち受けるだけのことだと思います。
・開発力がない
:ここにいる皆さんには周知のことと思いますが、彼らの誇る先端産業にしても結局はアッセンブリー業であり、韓国オリジナルの技術というものは貧弱です。同程度の品質のものをより安価で中国が生産し始める→シェアを失う、という点からも明白です。この点を韓国が克服するためには、実りの少ない血のにじむような試行錯誤と、それに対する忍耐心が必要となりますが、彼らの性情としてそれに耐えられるとは思えません。
・技術力がない
:これもご周知のことと思いますが、お笑い韓国軍でよく引き合いに出される戦車・潜水艦・イージス艦について、オリジナル部品なら成り立つ構成が、韓国製品に置き換えた途端にトラブルが頻発する問題、あるいは仏国では運用に問題のないTGVが韓国では故障続きの点は、仕様も設計図書もそろっているのに同等品が作れないという韓国の能力を示しています。
彼らの韓国独自育成論を見ると、そろそろ季節となるノーベル症のことが思い出されます。韓国の0行進が続く中、いつも「基礎科学に投資しなければならない」と叫びますが、それが具体的に実行されたことがあるのでしょうか?