「GDP日独逆転」の裏で史上最高値に近づく日経平均
ずいぶんと、象徴的です。日経平均株価が15日前場で一時38,127円85銭と、13日に続いて日中最高値ベースで38,000円の大台を突破しました。終値ベースで38,000円の大台を超えていたのは1990年1月11日が最後でしたので、もし本日の終値ベースでも38,000円台を維持すれば、それは34年ぶりの快挙です。GDPで日独逆転が生じたとされるなかでも、日本が強く買われていることは間違いありません。
目次
GDP「日独逆転」にばかり注目する日本のメディア
内閣府が15日に発表した2023年10-12月期のGDPは、名目で596.4兆円、実質で557.3兆円(※2015暦年連鎖価格ベース、以下同じ)となり、成長率はそれぞれ名目が+0.3%(年率+1.2%)、実質が▲0.1%(年率▲0.4%)となりました。
実質がマイナスになってしまったのは個人的には意外感もあり、また、名目で「600兆円の大台乗せ」を期待していたなかで、名目ベースで600兆円に届かなかったことは少し残念、という気はしますが、いずれにせよ名目で見ると過去最大であることは間違いありません。
ただ、これに関するメディアの報じ方が、大変興味深いです。今朝の『名目GDPの日独逆転でも日本経済はまったく心配ない』でも予想したとおり、日本の名目GDPがドイツに抜かれて世界4位に転落したことを、既存メディアがいっせいに取り上げているのです。
日本のGDP、世界4位に転落
―――2024/02/15 08:59付 Yahoo!ニュースより【日テレNEWS24配信】
23年の名目GDPは591兆円、ドイツに抜かれ世界4位に転落
―――2024年2月15日 9時06分付 朝日新聞デジタル日本語版より
2023年の名目GDP、日本はドイツに抜かれ世界4位に
―――2024/02/15 09:00付 読売新聞オンラインより
こんなことをやるから日本のメディアは信頼を失う
「日本経済が悪くなった」という話題をわざわざ見つけて来て、大々的にタイトルに掲げる日本のメディアの報じ方、なんともわかりやすくて、思わず驚いてしまいます。こんなことをやるから、日本のメディアは信頼されなくなるのかもしれません。
そもそもニューズバリューとして最も大きな点のひとつは、名目GDPが過去最大だったという点ではないかと思うのですが、この「名目GDPが過去最大」を記事タイトルにして報じた記事が、主要メディアにはメディアが見当たらないのは不思議です(※著者自身の探し方が悪いだけかもしれませんが…)。
いずれにせよ、GDPなどの経済統計にはさまざまな見方があることは間違いなく、たとえば今回のGDPについても「実質ベース」で2期連続マイナスとなっているなど、日本経済の先行きが順風満帆とはいえない点は間違いありませんが、それにしても「名目過去最大」を大きく報じないのには、なにか理由でもあるのでしょうか。
日中最高値ベースでは13日に続いて38,000円台に突入
ただ、その一方で、株式市場では象徴的な出来事がありました。
日経平均株価指数が前場で一時、38,127円85銭と、38,000円の大台を再び突破したからです(※ただし、前場引けベースでは37,948円35銭と、再び38,000円の大台を割り込んでいます)。
過去に終値ベースで38,000円の大台を超えていたのは38,170円13銭だった1990年1月11日が最後でしたので、もし終値ベースでも38,000円台を維持したならば、じつに34年ぶりの高値です。
しかも、「日中最高値」ベースで見ると、すでに2月13日の時点で38,010円69銭と38,000円の大台に乗せていますが、ここ数日は過去最高値を試す展開が続いていることは間違いありません。
この点、『円安と株高の相関消えても日本経済はまったく心配ない』でも指摘したとおり、そもそも東証時価総額というベースだと、2024年1月末で931兆円と、1989年12月末時点のバブル期最高値である611兆円を大きく上回っています。
しかし、インデックスというベースでも「バブル期最高値」の更新が実現すれば、象徴的に、日本経済は新たな局面に入ったといえるのではないでしょうか。
ドル建てGDPに一喜一憂しても意味はない
ところで、ドル建てGDPに一喜一憂して、なにか意味があるのでしょうか?しかも、不況期に突入しつつあるドイツに対し、しかも「為替換算の影響」でGDPを追い抜かれたとして、いったい何の問題があるのか、真剣に理解に苦しみます。
実際のところ、日本はGDPに対する輸出入の金額割合がG7諸国の中でも米国に次いで低い「内需依存国家」でもありますし、日本国民の圧倒的多数は米ドルではなく日本円で生活していますので、ドルベースのGDPを真剣に議論しても意味があるとも思えません。
それに、たとえば貿易統計上も、輸入金額の約3割を占める「鉱物性燃料」(石油、ガス、天然ガスなど)を除けば、日本は「資源を大々的に輸入している国」とはいえません。輸入品目の多くはPC、スマホ、衣類、雑貨、家電といった「最終製品」が中心だからです。
また、日本には製造工程でいうところの「川上産業」が集積していて、円安が続くようであれば、より製品に近い「川下産業」が戻ってくる素地があります(日本に製造業が戻ってくるかどうかは、労働供給と電力事情次第ではありますが…)。
この点、株式市場というものは、株価が上がったり下がったりするものですし、外国人の資金の流れでも株価は大きく変動する点には注意は必要ですが、ただ、長期トレンドとして見れば株高が続いていることは間違いありません。
こうした株高の理由も、結局のところ、市場参加者が『数字で見る「強い」日本経済』の実情を見抜いているからではないか、などと思えてならないのですが、いかがでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
オールドメディアは、「日経平均が過去最高値」と書くと、(自社の)経営陣や愛読者に褒められる(?)となったら、書きまくるのではないでしょうか。
為替で上下するドル建GDPで一喜一憂しても仕方ないですし、投資家心理で乱高下する株価に振り回されるのもどうかなと思います。
今、世界で問題になっているのはお金が偏在している事です。金持ちは金を増やす事には関心がありますが、金を消費する事には積極的ではありません。
お金が回っていく社会を作る必要があります。これは政治的イデオロギーに関わらずです。
金融フィーバーは格差を拡大する方向に作用しますから困ったものです。
ひねくれたジャーナリストやマスコミなら、この件は都合が悪いので無視する、というだけでは物足りず、日経平均を「ドル建て」でグラフ化して日本を卑下できないかとかとか裏で画策している気がします。
で、何か卑下案件化できたら嬉々として報じると。
オフィシャル卑下ダンディズム、ってヤツですか。
誰が上手いこと言え言うてん
さっそく日経記事が日本下げ話法を使っています。
彼らには現実は見えないのです。
あるべし論の空中戦こそがジャーナリズムだと思いあがっているとしか考えられません。
日本の景気が良くなる日、日経が廃れる日
今週止めましょ、新聞購読
弊社も御社も赤字解消
社長笑った三年ぶり(効果には個人差があります)
日本下げは、「・・だから、現政権はダメなんだ」と結論づけるための論法。
木鐸は元来、「良く響くだけで中身が詰まってない(中空)」ものなのです。
・・・・・
*大事なことなので繰り返します。
メディアによる「ためにする批判」の実態は、
メディアをより『ダメにする批判』・・です!
ここのみなさんはお見通しのとおり
GDP順位の変動は単に円安での
ドル換算額減少が主要因です。
ところがなんとかこれをネタにして、
日本下げ、政権攻撃に繋げたい
偏向メディアと特定野党とそのどぶサヨ支持者
そんなものので溢れて、
放送を紙面をネットを汚してて
まったく迷惑極まりないと感じています。
それにしても、「GDP4位転落」を題目に
さらっとまるで為替換算はたいしたことないかの
記載で過ごしあとは価値のないお説を垂れ流すのに
筆をなめなめとっても苦労してお見えなのですが、
円安収束し順位上がったら逆のしょもない表現に
送ろうなされるのでしょうなあ。(笑)
一般社会でも、
人の悪口にするための発言ばかりの人は
見透かされ相手にされないのと同じように
ただでさえも少数の劣化した左翼や反日韓流さんの
位置づけを役たたづとさらに低くしてしまうだけなのに
と心配してしまいます。
いずれにしても、
そんなしょもない画策に頑張るTVを見るのも
時間のムダで、ましてや森林資源を浪費する
新聞買うなどはもってのほかであり
そうした愚かな無駄遣いを
私も避けたいとあらためて思います。
オールドメディア「顧客が望む物を提供しているだけですよ。貴方達が好む物を書いても、
”そんな情報は自力で得られる”って言って貴方達は買ってくれないでしょ?」
こういう商売上の理屈なら一応納得できなくはない。
先細りでいつか滅びるのを覚悟しているのなら、だけど。
こうしてまずい食事を出す定食店から客足が遠のき、
味の分からないお客だけを相手に経営を続けることになりました。
めでたし、めでたし。