イスラエル直行便は3月まで運休:邦人早期退避の課題
案の定、イスラエルから脱出する便が限られてきました。時事通信の報道によると、外務省は26日までに、日本とイスラエルの直行便が来年3月頃まで運休となると発表したそうですが、すでに最終便は25日に出発済みなのだとか。いずれにせよ現地に在留する日本人の皆さまの安全をお祈りしたいと思う次第です。
先日の『ハマスのイスラエル攻撃報じない日本のメディアの限界』でも「速報」的に取り上げたとおり、イスラエル南部に7日、テロ組織「ハマス」が攻撃を加えるなどしたことなどを契機に、中東情勢が緊迫しているにも関わらず、日本の外務省の動きは遅いと言わざるを得ません。
外務省が運営する『海外安全ホームページ』では、しばらくの間、イスラエルはガザ隣接地区や北部地区などを除き、全土が「レベル1」、つまり「十分注意してください」というレベルにとどまっており、その後全土がレベル2に引き上げられたものの、基本的には退避勧告などはなされていません。
現時点で海外安全ホームページを見ると、「レベル4」の退避勧告が出ているのはイスラエル北部のレバノン国境付近、ガザ地区とその隣接地域に限られており、また、「レベル3」の渡航中止勧告についても、ヨルダン川西岸部分などに限られています。
ガザ地区からテルアビブ、エルサレムなどの主要都市までは、直線距離で60~70㎞程度しか離れておらず、また、イスラエル国内にもハマス関係者が入り込んでいる可能性が濃厚なわけですから、その状態でレベル1からレベル2というのにも、個人的には違和感を覚えざるを得ません。
もちろん、日本政府はその後、邦人を退避させるために、14日、イスラエルからUAEまで運行するチャーター機を1人3万円の負担で運航するなどしたほか、韓国軍の協力を得て日本人もイスラエルから退避するなどの対応も講じており、こうした措置については正当に評価すべきでしょう。
ただ、日本が三連休中だったという事情はあるにせよ、正直、外務省の動きは遅すぎます。
この点、当ウェブサイトでは10日付の『ハマスは無差別テロ:犠牲者に米国人…外務省職務怠慢』のなかで、「イスラエルから出国する便がある間に、外務省は在留邦人に対し、出国を促すべきだ」と指摘しました。
外務省『海外在留邦人数調査統計』によると、昨年10月1日時点において、「イスラエル及び西岸・ガザ地区等」に居住する日本人は1,253人で、うち永住者が741人、駐在員やその家族などの「長期滞在者」が512人だったそうです。
このうちとくに駐在員の家族などに関しては、早期に出国を促すべきでしたし、また、外務省の勧告はイスラエルに進出している企業としても認識せざるを得ないわけですから、外務省のアクションが適時になされていれば、企業側も現地派遣従業員に対し、より迅速に適切な行動を取るように指示を出すことができたはずです。
こうしたなかで、案の定、こんな報道が出てきました。
イスラエル直行便が運休 外務省、早期出国呼び掛け
―――2023/10/26 10:43付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
時事通信によると外務省は26日までに、日本とイスラエルを結ぶ直行便が当面運休となると発表したのだそうです。最終便はすでに25日、イスラエルを出発しており、「現時点では来年3月までの運休を見込む」、などとしています。
時事通信はまた、外務省が「出国を希望する邦人に対し、他の商用便を使った早期の出国を呼び掛けている」、などと報じています(逆に25日まで直行便が運航されていたという点も驚きですが)。
いずれにせよ、イスラエルに在留する日本人の人数自体は少ないものの、だからといってこれらの邦人の安全確保がおろそかになって良い、という話ではありません。とりわけ駐在員の皆さまにおかれては、くれぐれもご安全にお過ごしになられることをお祈りしたいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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今後、海外に社員を駐在させている日本企業は、(イスラエルでも、中国でも、韓国でも、その他の国でも)いざという時に、早急に社員を帰国させる手段を考えておく必要があるのではないでしょうか。
気象庁が大雨注意報を出す時は雨雲に忖度するということはないですが外務省の場合は相手国に忖度して出すのが遅れることがありえそうですね。
韓国軍の協力はありがたいところですがただより怖いものはないと言いますので、後でどんな請求書が届くか戦々恐々としています。
イスラエル(テルアビブ)との直行便って、今年の春に就航したばかりなのに残念ですね。
外務省が避難勧告を出さないのは、やはり経団連との関係ですかね!
現地在住者の避難はともかく、今の事態でイスラエルに行こうという人間が少ないだろうから、直行便が無くなるのは当たり前だと思うが、むしろ、今迄あった方が驚きですね。
これだけ騒がれていても避難しようと思わないのだから、イスラエルという国とその軍事力を信頼しているのか?
日本政府も、そんな感じかもしれないですね。皆さん個人で判断出来るレベルでしょう、と。
まー日本もKC767で1回韓国人コミで日本まで政府便飛ばしとるし、次に備えてヨルダンだかカタールだかにKC767とC-2合わせて3機スタンバらせとるらしいでかいね
ポジティブリストしかない割にはソコソコやっとんじゃねか?
充分には程遠いにせよ
エルアル航空がテルアビブー成田線(週2便)の当面の運休を決定したのは、要するに乗客が少なすぎて採算が取れないからだとのこと。また、成田便以外でも運休する便が増えているそうですが、いずれも同様の理由のようです。つまり、エルアル航空およびイスラエル当局は、ベングリオン空港に危険が及ぶ可能性は今のところほとんどないと判断しているということになります。
現状、テルアビブに向かおうなどというのは、現地に家族がいる人か、ジャーナリストを含むよほど酔狂な人でしょうし、同時に運航が成り立たないほどにイスラエルからの出国希望者が少ないということであるのでしょう。現地の詳細な状況はわからないので、エルアル航空とイスラエル当局が安全と判断した根拠や、日本人を含む在地外国人が出国を急ごうとしない理由も不明ですが、ガザ地区近辺やシリア/レバノン国境付近以外では、案外それほど緊迫した状況ではないのかもしれません。あくまでも今のところは、ですが。
現在、日本政府としては、ジブチとヨルダンにC-2を2機待機させており、さらにもう1機(C-2 or KC-767)の派遣を決定しました。在地邦人がベングリオン空港まで退避するための足が確保されているかどうかは不明ですが、おそらくはその多くがエルサレムかテルアビブに所在しているであろうと思われるので、バスを数台手配すればなんとかなるのかもしれません。
なお、韓国が早々に軍用輸送機を派遣したのは、大韓航空のテルアビブ線が早々に止まったからです。おそらく今後は日本としても、邦人を退避させる必要が生じれば、自衛隊の輸送機を使用することになるでしょう。おそらくそのような事態になるころには、さすがに民間機が飛べるような状況ではなくなっているだろうと予想されるので。
ということで、現下の状況に対する外務省及び日本政府の対応は、十分かどうか議論の余地はあるでしょうが、著しく妥当性を欠いているとは思いません。少なくとも、現在もなおベングリオン空港が正常に機能しており、民間機の運行も続いていることを知らなかったなどという人がガタガタ言うのは、相当不見識な話であると思います。
>知らなかったなどという人がガタガタ言うのは、相当不見識な話であると思います。
イスラエルに居住する人で、そんな低レベルの人はいないでしょう。イスラエルのような知的レベルの高い国にわざわざ住もうとする人は、自分で情報収集力があり、情報分析力があり、自己判断力と決断力のある人達でしょう。もし、私が今イスラエルに住んでいて生活の全ての基盤がこの国にあるならば、未だ日本に避難しようとは思わないですね。日本に帰ってどうする?生活の基盤を一から作らなければならない。日本に帰るのは、最後の最後です。勿論、いざ逃げる時の為の経路や方法は入念にシミュレーションし準備しておきますが。
良識的なコメントだと思います。もっと言えば、何故イスラエルに住んでいるかという理由によっても違います。永住者のように好き好んで居住している場合はさより様の御意見の通りですが、サラリーマンだと本社を気にして自主的に非難することは難しいです。特に外務省がレベル3、レベル4に警戒レベルを引き上げていない中で、10月8日の段階で国外に脱出しようとしたら、本社は「レベル1なのに何勝手な判断で国外に脱出しようとしているの?業務規程違反だ」、となりかねない訳です。
私はブログ主の「外務省は早く警報を出せ」という下りをこうしたサラリーマン組織の論理から読み取ったのですが、外務省の今回の判断の遅さは致命的です。イスラエルだけではなく南米など政情不安な国、地政学不安の国は世界に沢山あります。外務省さん、渡航勧告にはサラリーマン向けのエクスキューズとしての意味合いがあることもお忘れなく。
(ブログ主さんももう少し踏み込んで書いた方が良いかもしれません。)
このブログ、レベルが高いから楽しみに読んでいる。特にブログ主はグローバル展開している企業(商社?銀行?)で勤務経験があるのだと思うが、ブログの端々から出て来るOSINTインテリジェンスがにじみ出ているので、わかる人にはわかるコンテンツが多い。
…のだが、最近、読者コメントのレベル低下が激しくなってきた。
>現在もなおベングリオン空港が正常に機能しており、民間機の運行も続いていることを知らなかったなどという人がガタガタ言うのは、相当不見識な話であると思います。
凄い論点ずらしだと思う。
ブログ主が本文で主張している内容からは、「イスラエルに居住している人には永住者と長期在留者がいる」、という内容が読み取れる。このうち長期在留者はサラリーマン(多分IT業中心)だろう。「日本の会社員は社命でイスラエルに赴任しているわけだから、外務省というお役所が警告を出さないと退避するに退避できない」ということが含まれているのだと理解したが、違うのだろうか。
件のコメント主氏は大きな会社で働いたことがあるのだろうか。
>イスラエルに居住する人で、そんな低レベルの人はいないでしょう。イスラエルのような知的レベルの高い国にわざわざ住もうとする人は、自分で情報収集力があり、情報分析力があり、自己判断力と決断力のある人達でしょう。
これについては多分その通り。ただ、サラリーマンの中には現場レベルでこれはやばい、逃げるべきと判断しているのに本社が無理解であるということに悩んでいるケースがあるのだから、本社を突っつく意味でも外務省の警報がさっさと出ないと困るというのが実情に近いのだが。
すみません、私のコメントで複数の人のコメントを同じリプライのなかで引用してしまいました。慣れてなくて済みません。コメント削除できないようですのでお詫び申し上げます。
知り合いがイスラエルにいます 様
当方の解釈に一定の理解を頂いたようです。
それとは別に、当方がもし、社命で長期滞留者であったとした場合ですが。
もし、自分の仕事がどうしても現地で必要であったとした場合、外務省の警報がどのレベルであれ、現地で仕事を遂行するでしょう。
又、もし、自分の仕事が現地にいる必要が無い段階だと自分で判断すれば、外務省の警告がどうあれ、本社にその旨報告して、或いは、説得してさっさと帰国します。
自己判断と自己決断で仕事をするとは、そういうことです。
これは、平常時の仕事でも同じことです。
ですから、本当に主体的に仕事をしている人間は、平常時であろうが非常時であろうが、仕事のやり方、判断・決断の仕方は変わりません。
これは、机上の奇麗ごとを言っているのではなく、実際そのような仕事に仕方をして来たから言っているのです。
それから、もう少し付け加えます。
上記の長期在留者としての仕事のやり方は大前提とした上で、今の状況から鑑みて、自分の仕事はなるべく早く片付けて、自分がこの国に居なくても済むような状態にします。後は、日本からのリモートで済むような状況を整えて。
そういう状況にしてから、本社に報告をして了解を得て、さっさと帰国します。勿論、家族は先に帰しておきます。
それ位にしないと危ないのが、今のイスラエルでしょう。
ヒズボラが参戦してきたら、かなりの混乱が生じるはずです。
そのような状況を整えることが出来なかったら、家族は帰して、自分は残ります。そして最悪、殉職を覚悟します。
実際、イラン・イラク戦争の時は、イランの日本大使館員は殆ど残ったのですから。
ただのサラリーマンが殉職って…
社畜かな?
一般的なサラリーマンとしての勤務態度の話と外務省のリスク管理の話をごっちゃにしないでください。イスラエルだけでなく南米などの治安情勢が悪い地域に渡航するときには、家族を守るために、時として社名に反してでも逃げることは必要でしょう。しかし、サラリーマン的に見て、勤務評価(?)は重要ですし、問題で、国が後押しをしてくれているのとそうでないのとでは大きな違いがあります。
>そういう状況にしてから、本社に報告をして了解を得て、さっさと帰国します
そりゃあなたはそうでしょうけどね。全部の社員がそうできるってわけじゃないでしょう。中には判断が遅れる社員だっているわけですから。
ここでブログ主の本文の趣旨を忖度すれば、退避するかどうかの判断を個人の責任に負わすなという話ですよ。会社も、国も。(ブログ主さん、もしそういう意味じゃなかったら申し訳ありません。)
まあ、真っ当な感想でしょうね。
ただ、勘違いしない方がいいのは、ここのコメント欄は、サイト主の主張に沿った意見以外を書いてはいけないということではないです。サイト主の提示するテーマに対して多様な意見や関連する感想などを聞けるのが、このサイトの楽しみの半分です。
そういう意味で、イスラエルに友人がいますさんの意見も面白く参考になりました。
サイト主のテーマの主旨に沿った意見しか書いてはいけないと思っているとしたら、長年のサラリーマン生活で上司や会社の考えと違う考えを持ってはいけない、という風になっているのかもしれませんね。
自分の考えを自由に持つようにしてみられたら・・・。
匿名さん
殉職するのは、自分の仕事の使命に対してです。まあ、この心境、社畜仕事しかやっていない人には、分からないでしょうけれど。
紛争の発生から現在まである程度日数はあったのだから、イスラエルを出国する意思のある人は十分出来た筈で、それでも残っているのは相応の理由がある人達なのでしょう。
しかし一度イスラエル軍の侵攻が始まれば、ハマスやヒズボラはテロ組織に近く、後方攪乱のために何でもやる集団であり、邦人の身に何が起こるか予想がつきません。
確かに日本政府として出来ることはやっています。しかし、もし自分の身内がイスラエルにまだいたならば「色々在留する理由はあっても、一旦退避する」ことを勧告しないのは、素朴な疑問として何故なのだと言うのが本ブログの主旨だと思います。
従って「現在、日本政府としては、ジブチとヨルダンにC-2を2機待機させており、云々、ガタガタ言うな」はこの疑問に答えることにはなっていないようです。
今のところハマスによる攻撃は、7日の奇襲攻撃以上は無理だと思いますので、イスラエル在住の日本人もあまり危機感は無いのかも知れませんね。
ただ、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラが気になりますね。
戦力はハマスよりもかなり強力との事で、背後にイランが控えていますし。
ヒズボラがイスラエルに侵攻すれば、イスラエルは2面作戦を強いられることになりますので、アメリカが介入するかも知れません。
このような事態になれば、イスラム過激派のテロが世界的に広がる懸念も出てきます。
イスラエルのガザへの地上軍侵攻開始がきっかけにならなければ良いのですが。