今度は岸田首相長男?「官邸情報ダダ漏れ」の雑誌報道

ツイッター界隈で大騒ぎになっているのが、雑誌『FACTA』が報じた『「官邸極秘情報ダダ漏れ」情報源は首相長男』などとする記事です。報道等によれば、岸田文雄首相の長男で首相秘書官を務める翔太郎氏を通じ、フジテレビ政治部の女性記者に「極秘情報」が漏れていたのだそうです。現時点でこれを事実として妄信するには尚早ですが、岸田政権に対する打撃のひとつとなる可能性はありそうです。こうしたなか、岸田首相が年明けにもう1回、内閣改造に踏み切る可能性があるとの報道も出てきました。

長男を秘書官に起用するということ

以前の『岸田首相、長男を「秘書官」起用』では、岸田文雄首相が自身の長男である翔太郎氏を8人の首相秘書官のうちの1人に任命した、とする話題を取り上げました。

これに関する当ウェブサイトなりの見解を申し上げておくならば、「違法性はない」けれども「政治的には挑戦」、というものです。

さすがに首相という立場で自身の身内(しかも長男)を自身の補佐官として任命すること自体、「公私混同」などのあらぬ疑いをかけられますし、すでに一部メディアからは、「後継者育成の狙いがある」などと指摘されていることも事実でしょう(たとえば時事通信の次の記事などがその典型例です)。

岸田首相、長男を秘書官起用へ

―――2022年10月04日00時09分付 時事通信より

この点、10月の時点では、当ウェブサイトでは次のように申し上げました。

このあたり、翔太郎氏という人物がどれほど優秀なのか(あるいは優秀ではないのか)については公開された情報がないため、当ウェブサイトとしては、『情実人事だ』とも、『適材適所だ』とも評価することは、現時点では不可能」。

子息を公職に就けると「親子共倒れ」のリスクが!

この考え方は、現在でも変わっていませんし、個人的にはむしろ、「子息を秘書官に任命して何が悪いのか」、「早いうちから後継者育成をしてなにが悪いのか」、という感想も抱きます。

正直、「首相の息子を首相秘書官に任命してはならない」とする法律自体は存在しませんので、任命権者が本人の能力その他の適性などを適切に判断し、しかるべきプロセスを踏んだのであれば、私たち国民として文句を言うべき筋合いのものではないからです。

それに、自身の子息を秘書にしている議員は数多くいますし、後述する通り、岸信夫氏が防衛相時代に自身の長男である信千世氏(31)を防衛相秘書官に任命していたという事実もあるなど、べつに異例な話ではありません。

また、良いか悪いかは別として、政治家の子息が政治家になるという、いわゆる「世襲政治家」の事例は、古今東西民主主義国家でもよく見られる現象でもあるのです(米国のケネディ家やブッシュ家なども、その典型例でしょう)。

その一方で大昔から「李下に冠を正さず」、といいますし、子息を公職に就けることにはリスクもあります。子息が不祥事を起こせば、「親子共倒れ」となるかもしれないのです。

こうしたなかで思い出すのが、岸氏が安倍晋三政権下で閣僚として処遇されなかったという事実です。

岸氏の場合、安倍総理が辞任し、菅義偉総理が就任した際に防衛相として入閣し、菅総理から岸田文雄首相に交代した際にも防衛相に留任しましたという実力者ですが、安倍政権時代に入閣しなかったことは、岸氏自身が故・安倍晋三総理大臣の実弟だったという事実と関係しているのでしょうか。

これについて、真相はよくわかりません。

余談ですが、岸氏は残念ながら体調悪化等により8月の内閣改造で閣僚から外れ、次期衆院選にも出馬しないと表明していますが、次の産経の報道によれば、信千世氏が後継で出馬する方針なのだそうです。

岸首相補佐官、次期衆院選出馬せず 後継に長男、信千世氏

―――2022/12/11 16:56付 産経ニュースより

岸信介元首相の曾孫、安倍晋太郎元外相の孫、安倍総理の甥という政治家一家に生まれ、しかもまだ30代前半と若い岸信千世氏には、一部の保守論客の間では、早くも「期待」が寄せられているとの話もありますが、これについても今後の展開を見守る価値はあるでしょう。

結局は適材適所が重要:そして翔太郎氏の「適性」は…?

余談はこのくらいにして、結論からいえば、「誰を秘書官に任命するにせよ、適材適所が必要だ」という月並みな答えが出てきてしまいます。

自身の子息を公職に就けることには、その子息を後継政治家として効率よく育成するという長所があることは間違いありませんが、それと同時に、その子息を巡って何らかの「スキャンダル」が発覚した際には、親子共倒れというリスクも出てきます。

こうしたなか、これは久しぶりのスキャンダルなのでしょうか。雑誌『FACTA』が昨日、「官邸極秘情報ダダ漏れ」、「情報源は首相長男・岸田翔太郎氏か」、などと報じたことで、ツイッターなどのSNSでは昨日からかなりの「盛り上がり」を見せています。

「官邸極秘情報ダダ漏れ」情報源は首相長男・岸田翔太郎氏か/「早すぎるフジテレビ」スクープ連発/10月の秘書官就任直後から

―――2022/12/22付 12:00付 FACTA ONLINEより

残念ながら、リンク先は『FACTA』を購読していないと全文の閲覧はできませんが、無料で閲覧可能なリード文には、「官邸周辺者」による、こんな趣旨の発言が記載されています。

翔太郎氏の秘書官就任直後から、官邸内の極秘情報が外部に漏れている。疑われている流出先はフジテレビの総理番の女性記者。実に困惑している」。

「(旧)統一教会」問題で辞任した山際大志郎・経済再生相(当時)の去就を巡って、フジテレビがいち早くスクープしたことに関し、翔太郎氏がその情報源ではないか――。

おそらくはこんなところでしょう。

また、ツイッターではこの話題で持ちきりとなっており、一部のツイッター・ユーザーは翔太郎氏が「フジテレビで総理番を務めている20代の女性政治部記者(早稲田大学出身)に情報を漏らしたのではないか」、などとする説も唱えているようです。

フジテレビ・20代女性政治部記者に聞く「総理番の仕事」って?

―――2021.12.31付 JJ Official Siteより

このあたり、翔太郎氏自身が慶應義塾大学出身であることから、早慶戦と絡め、当ウェブサイトでは引用できない程度には下品な揶揄をする人もいるようです(現段階でさすがにこれはやり過ぎではないかと思いますが…)。

年明け内閣改造?それとも…

この点、そもそも単独の雑誌が報道した内容を、自動的に事実であるかのごとく認定するのは少し尚早ではあります。しかしそれと同時に、今回の雑誌報道への対処次第では、一気に政権危機に発展する可能性も出てきます。

閣僚の「辞任ドミノ」に加え、唐突な「1兆円増税」構想による党内不和や閣内不一致、政治資金規正法違反による自民党衆議院議員の辞職、さらには今回の長男に関する雑誌報道――。

メディアの調査でも内閣支持率が下落しているなかで、やはり浮上してきたのが、こんな報道でしょう。

〈独自〉首相、年明け内閣改造検討 1月10日案も浮上

岸田文雄首相(自民党総裁)は年明けに内閣改造を行う検討に入った。複数の政府・与党幹部が22日、明らかにした。<<…続きを読む>>

―――2022/12/23 05:00付 産経ニュースより

産経によると、首相が来年1月下旬に召集予定の通常国会に向け、「態勢を整えて政権の立て直しを図る」狙いで、年明けにも内閣改造を行う検討に入ったのだそうです。

これが事実かどうかは気になるところですが、それだけではありません。著者自身の記憶では、「首相の求心力は内閣改造するほど弱くなり、衆院解散するほど強くなる」などと指摘した人がいましたが、岸田政権が危険水域に入っていくのかどうかは気になるところです。

実際、岸田内閣は8月10日に内閣改造を行ったばかりであり、そこからわずか5ヵ月でもう1回改造をするというのは、非常に迷走しているかの印象を有権者に与えかねません。

この点、著者自身は「岸田文雄首相には首相としての適性がない」と考えている人間のひとりですが、ただ、かつてのように首相が1~2年単位でコロコロ変わるようになってしまうのは、日本の政治にとって決して好ましいことではないとも考えています。

これに加え、岸田首相を含めた宏池会出身閣僚らには危うさも感じるものの、自民党が事実上の「集団指導体制」となり、岸田政権が「ステルス安倍・菅政権」のようにになるのであれば、さほど悪い結果にはならないと考えていることも事実です。

実際、先日の『安保3文書巡る米中露台韓5ヵ国「わかりやすい反応」』や今朝の『朗報:政府が既存原発などの「最大限の活用」方針示す』でも取り上げたとおり、岸田政権は「やるべきこと」についてはきちんとこなしています。

その意味では、岸田文雄氏の自民党総裁としての任期が切れる2024年9月まで、岸田内閣が続投できるかどうかについては気がかりでもあると思う次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 引っ掛かったオタク より:

    安倍晋三総理も安倍晋太郎外務大臣秘書官としての海外経験が活きたといわれていたような…
    キッシーJr.についてはシバシ様子見っすかね

  2. 門外漢 より:

    >結局は適材適所が重要

    会計士様も厳しい事を仰いますねww
    そんなことを言い出したら、親の方は適材適所なのか?と言う事になりますわねえ。

  3. 青い鳥 より:

    適正や実力は結果から測るしかないけれども、岸田総理は愚駄ついた挙句の判断、決断での失敗パターンばかりで敢えての過程での評価すら出来ませんしねえ…
    息子さんの件も踏まえると、規模を問わず組織のトップに就く器ではないかなと
    家族の長くらいで満たされる器なんじゃないかなぁと個人的には思います

    1. ねこ大好き より:

      韓国の文大統領の事を、最悪の時に最悪の選択をする、などと揶揄していましたが、岸田首相も常に最悪の時に最悪の選択をしますね。普通に考えると後3年は国政選挙はないので、党内を抑えておけばまだまだこの喜劇(国民にとっては勿論悲劇です)を見る事ができますね。

  4. より:

     まぁ、岸田さんは良い人なんですよ。
     総理大臣に向いてるかどうかは別として、良い人なんでしょう。

  5. ねこ大好き より:

    岸田翔太郎氏は代議士になる前に醜聞沙汰を起こしましたね。これって笑い話しですよね。

  6. クロワッサン より:

    >このあたり、翔太郎氏自身が慶應義塾大学出身であることから、早慶戦と絡め、当ウェブサイトでは引用できない程度には下品な揶揄をする人もいるようです(現段階でさすがにこれはやり過ぎではないかと思いますが…)。

    夜の早慶戦って事ですかね?

    朝まで?朝から?ハッスルしてる場合もあるでしょうが。

  7. ラスタ より:

    岸田さんが特段に身内を取り立てているとは思えません。
    仲間が不足していて、協力してくれる人がいないから、
    仕方なしに身内を使っているというのが真相のような気がします。

    安倍元総理は、すべての責任を自らの一身に負う政治家だったと思います。
    総理になることが目標なのか、総理であることは手段なのか、
    安倍さん菅さんに比して、岸田氏はスケール感が弱いように思います。

    この勢いで突っ走ってくれれば化けるかも、という期待はしつつ、
    唯一、報道される韓国対応が何か違和感あるのです。
    実際のところ、何の譲歩もしていないという事実は抑えておきたいと思います。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告