世界遺産巡り「事実」ベースに「世界で」論戦する意味

日本政府が佐渡金山の世界遺産登録を推薦したことを、韓国メディアがかなりの関心を払って注目しているようです。しかも、韓国メディアが日本政府の決断を見る目は、どこか不安げです。当たり前です。韓国が好むのは「日本政府が自国の主張を丸ごと飲むこと」であり、韓国が最も嫌うのは「国際社会を舞台にファクトで戦うこと」だからです。そして、世界遺産登録を巡り「国際社会を舞台にファクトで戦うこと」は、日本にとっては大変に好ましいことでもあります。

日本政府の決断をどう見るか

「なんじゃこりゃ?」

佐渡の金山の世界遺産登録を巡り、日本政府は2月1日に『世界遺産登録等に向けたタスクフォース』の第1回会合を開催しました。

タスクフォースは内閣官房副長官補を議長とし、内閣広報官、内閣官房内閣審議官、広報外交担当日本政府代表、外務省総合外交政策局長・国際文化交流審議官、文部科学省国際統括官、文化庁次長で構成されているそうです。

そして、その第1回会合の結果がPDFファイルで公表されているのですが、その全文は、つぎのとおりです。

2月1日、滝崎内閣官房副長官補の下、「世界遺産登録等に向けたタスクフォース」第一回会合が開催されました。

  1. 今回の会合には、内閣官房、外務省、文部科学省等から局長級が出席しました。
  2. 会合では、本日閣議了解された「佐渡島の金山」のユネスコ世界遺産への推薦に関し、登録実現に向けて、政府横断的に取り組んでいくことを確認しました。
  3. 今後も、必要に応じて随時タスクフォースを開催し、関係者間で対応を調整していくこととしました。

…。

著者自身を含め、「なんじゃこりゃ?」という感想を持った人が圧倒的に多いのではないでしょうか。

ファクトをベースに世界に説明を!

もちろん、第一義的な目標が、世界遺産登録を実現させることにあることは間違いありませんが、しかし、それだけでは不十分です。『やるなら徹底的に:佐渡金山登録を巡る3つのポイント』でも指摘しましたが、世界遺産登録を巡り、著者自身も日本国民の1人として、政府にお願いしたいポイントが3つあります。

それは、①ファクト(事実関係)をベースにすること、②(韓国に対して、ではなく、)「全世界に対して」説明すること、③その過程で、相手国のウソについては徹底的に粉砕すること、です。

つまり、今回は「佐渡金山の世界遺産登録」という局地的なものではなく、そもそも韓国が日本に対して仕掛けてきているウソの歴史に基づいたプロパガンダに、日本政府がどう対処するか、という問題でもあるのですが、どうもこの「議事録」とやらを眺めている限りにおいては、政府の危機意識が見えてきません。

外務省の大失態

しかも、2015年の長崎県端島(軍艦島)などの世界遺産登録に際しては、外務省が “forced to work” などの表現を使い、全世界に対し、あたかも当該施設で違法な強制労働がなされていたかのような誤解を与える発言を行っている、という、信じられないほどの「大チョンボ」をしています。

2015/07/14付の外務省『「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について)』のページには、こんな趣旨の記載があります。

  • 「意思に反して連れて来られ(brought against their will)」と「働かされた(forced to work)」との点は,朝鮮半島出身者については当時,朝鮮半島に適用された国民徴用令に基づき徴用が行われ,その政策の性質上,対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。
  • 今回の日本代表団の発言は,従来の政府の立場を踏まえたものであり,新しい内容を含むものではない。
  • 今回の日本側の発言は,違法な「強制労働」があったと認めるものではないことは繰り返し述べており,その旨は韓国側にも明確に伝達している。

…。

あまり厳しいことばを使いたくはないのですが、「何をわけのわからないことを言っているのか」と激怒したくなってしまう、本当に我々有権者を舐めた説明文です。この説明を眺めていると、外務省という組織に対する失望を禁じ得ません(ちなみに当時の外交の責任者は岸田文雄・現首相です)。

そして、この “forced to work” が韓国側に良いようにプロパガンダとして使われてしまっているのですが、これなど、1993年に当時の官房長官だった河野洋平が発した『河野談話』が、自称元慰安婦の強制連行が行われたことの証拠として使われてしまっている事実を連想してしまいます。

世界遺産推薦という決断自体は大変に良いこと

もっとも、現実の登録がなされる来年夏の評決まで、まだ時間があることも間違いありません。

その間に、日本政府には精一杯、「事実」をもとに(韓国ではなく)「世界各国を」を説得していただきたいと思います。なにより、以前から報告しているとおり、この「事実に基づいて」、「国際社会を舞台にする」というのは、韓国が最も嫌う方法だからです。

ちなみに韓国が最も好む方法は、「韓国の難癖に対し日本が何も反論せずに折れること」でしょう。なぜなら、韓国側の望みは、自国が主張する「歴史問題」とやらの存在を日本が無条件で認め、韓国が求める謝罪、賠償などを無条件に履行することにあるからです。

そして、日本政府が世界遺産推薦を決定したことについて、韓国メディアもかなりの関心を寄せている楊であり、とくに日本におけるタスクフォース初会合を、韓国メディア『中央日報』(日本語版)が、次のとおり記事にしています。

日本、佐渡金山ユネスコ登録TFチーム初会合…「3分の2賛成」目指す

―――2022.02.02 15:29付 中央日報日本語版より

中央日報は日本のメディアの報道を引用するかたちで、日本政府が「来夏の表決では韓国などの反発で委員国全会一致の登録は難しいとみて、3分の2の賛成による登録を目指す」方針だ、と報じています。

中央日報によると、世界遺産登録は慣例上、21ヵ国の委員国の全会一致で決定されますが、原則的には3分の2の14ヵ国の賛成でも可決することが可能です。したがって、全会一致の可決は難しいにしても、3分の2の賛成獲得を目指す、というわけです。

これについて、中央日報は日本政府が「佐渡金山が持つ文化遺産としての価値を強調する活動」と、「韓国の反対に対応するための外交的努力」の「2つの側面に分けて戦略を立てると予想される」と述べたうえで、こうした日本政府の戦略を、「ツートラック戦略」と呼んでいます。

韓国側の戸惑いと日韓関係

国際社会で両国の主張が正面からぶつかることの意味

「ツートラック」という用語の使い方を大きく間違えている気がする、という点はさておき、この報道が事実なら、大変に良い方向だと思います。実際、中央日報は次のように予想しているからです。

『日帝強占期の佐渡金山での朝鮮人労働者動員は本人の意思に反した強制労働だった』という韓国の主張に対し、日本側は『国際法上認められる戦時動員体制に基づく措置だった』と主張する可能性が高い」。

もしもこのように両国の主張がまったく異なっていたならば、普通の国ならば、「どちらの言い分が正しいか」については、両国が出してくる具体的な証拠に従って判断するはずです(ただし一部にはそうではない国もあるとは思いますが…)。

もちろん、一部メディアが指摘するとおり、日本政府には準備不足という側面があることは事実でしょう。ただ、べつに恐れる必要はありません。「国際社会を舞台に」、「ファクトをベースに議論する」という「実績」が大切だからです。

日本が客観的資料を出し尽くし、その結果として世界遺産登録が承認されれば大変に良い話ですし、また、万が一、世界遺産登録が拒絶されたとしても、「国際社会を相手に客観的証拠を出した」という実績が残ることは、大変に良いことです。

この点、自称元慰安婦問題が全世界であたかも事実であるかのごとく信じ込まれている理由が、歴代の日本の政権、外務省などが、きちんと反論をしてこなかったからだ、という事実を思い出すだけでも、日本政府がちゃんと対応することには大きな意味があるのです。

日本の国民感情にどういう影響を与えるのか

ただ、今回の世界遺産登録「騒動」を巡っては、じつはもっと大きな意味があります。

前回の世界遺産登録のときもそうでしたが、日本国民のなかには、この件について大いに興味、関心を持つ人が増えた、という点でしょう。必然的に、日韓関係にさしたる関心を持っていなかった人でも、否応なく、韓国の主張を目にすることになります。

もちろん、日本も大きな国ですので、なかには某新聞のように、あるいは某政党の党首のように、「相手国に配慮しなければならない」などと考える人もいるかもしれません。

しかし、そのような意見は、果たして日本国民の多数派を占めるものなのでしょうか?

想像するに、圧倒的多くの日本国民は、「佐渡金山で朝鮮人の違法な強制労働が行われていた」などとする主張に接すれば、「本当にそうだろうか?」と疑問に感じるのではないかと思いますし、また、韓国側の主張に対し、違和感、反発などを抱く人も多いのではないでしょうか。

すなわち、今回の騒動自体が日本国民の感情を通じ、日韓関係にどういう影響を与えるのか、という側面については、少し深刻にとらえておく必要があるでしょう。ことに、当ウェブサイト自身を含め、インターネット上で、本件騒動を取り上げるウェブサイトも、おそらくはこれからどんどんと出て来るからです。

当ウェブサイトも自称元徴用工問題、対韓輸出管理適正化措置などについて、これまで頻繁に話題として取り上げてきましたが、その際、できるだけ「客観的事実」を中心に記述するように努力してきたつもりです(実際にそれができていたかは別として)。

ただ、事実関係を客観的に理解しようと努力するなかで、やはり、韓国政府の主張、韓国メディアの報道、韓国の有識者の発言などに接していけば、結果的に日本国民の感情に、良い影響を与えるとも思えないのです。

日本国民の現在の意識

この点、『外交世論調査で中韓との関係や認識の変化を読んでみる』などでも取り上げたとおり、少なくとも日本国民の多くは、韓国に対しては(中露ほどではないにせよ)あまり親近感を抱いておらず、また、韓国との関係が「重要だ」と答えた割合も、米中露3ヵ国と比べれば低いのです(図表1図表3

図表1 相手国に対する親近感(2021年9月時点)

(【出所】『外交に関する世論調査(令和3年9月調査)』より著者作成)

図表2 相手国との関係が良好かどうか(2021年9月時点)

(【出所】『外交に関する世論調査(令和3年9月調査)』より著者作成)

図表3 相手国が重要かどうか(2021年9月時点)

(【出所】『外交に関する世論調査(令和3年9月調査)』より著者作成)

こうした状況を踏まえるのであれば、韓国側で次から次へと日韓友好に反する後ろ向きな動きが出てくることが、中長期的に見て日韓関係を減退させる原動力となっているであろうことは、想像に難くありません。

貿易面では台湾と韓国が「逆転」!

おりしも、『「日本の友人」である台湾が3番目の貿易相手国に浮上』でも取り上げたとおり、日本にとっての貿易相手国としては、2021年に台湾と韓国の逆転が生じています(図表4)。

図表4-1 輸出高・台韓比較

図表4-2 輸入高・台韓比較

図表4-3 貿易高・台韓比較

(【出所】普通貿易統計より著者作成)

といっても、台湾と韓国の順序は本当に僅差であり、当然、今年以降「再逆転」という可能性もありますので、このあたりは現時点の統計データのみを根拠に、予断を持って「台湾と韓国が完全に逆転し、この傾向は完全に定着した」、などと決めつけるべきではないでしょう。

ただ、韓国は日本にとって3番目の貿易相手国でしたが、グラフで見てみると、近年、台湾との関係が急速に深まっていることもまた事実です。

このあたりは日台貿易が深まる要因があったからなのか、日韓貿易が減退する要因があったからなのかについては、今後もう少し見極めも必要ですが、いずれにせよ、日韓の近未来の関係を示唆しているように見えるのは、気のせいでしょうか?

日韓は普通の関係を目指せ

この点、当ウェブサイトで何度も申し上げてきたとおり、著者自身は日韓関係について、良くも悪くも「普通の関係」になるべきだと考えています。

1980年代ごろまでは、韓国でも日本語を解する人たちが現役世代で働いており、同窓生が両国で活躍している、といった事例も見られました。だからこそ、政治家や企業経営者らは、日韓両国は「切っても切れない関係」だと勘違いしたのかもしれませんし、日韓双方は一種の「阿吽の呼吸」で話ができたのかもしれません。

しかし、現在の韓国では、少なくとも日本統治下の朝鮮半島で教育を受けた人たちは、現役世代にはほぼいなくなってしまいましたし、かつてのような「阿吽の呼吸」が通じなくなりました(これも、ある意味では当たり前の話ですが)。

いずれにせよ、日本政府は不完全ながらも、韓国を「普通の外国」として取り扱い始めていますし、このインターネット化社会において、韓国に「特別扱い」をすることは、国民の理解が得られませんし、韓国に下手な妥協をすれば政権が倒れかねません。

この点、先日の『鈴置論考に見る文在寅政権の5年と「日韓関係の未来」』でも紹介した、わが国を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の『韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず』という記事を思い出す必要があります。

鈴置氏は、もしも韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)政権の次に「保守政権」が誕生した場合、その「保守政権」が米国に「親米保守政権に戻ったのだから韓日対立の際は韓国側に立ってくれ」と頼み込み、日本に妥協を迫るのではないか、などと指摘するのですが、そこでこんな記述が出て来ます。

一方、日本の保守の間には『岸田文雄政権は中国と韓国に弱腰』との警戒感が強まっていますから、妥協を引き出すのは安倍晋三政権や菅義偉政権の時より却って難しいかもしれません」。

この見方は、大変鋭いものです。

私見ですが、「何でも先送り」の岸田首相が世界遺産登録推薦を決断したのも、衆院予算委員会で高市早苗・自民党政調会長から質問を受けたこと、安倍晋三総理ら保守派政治家がさまざまな場で発言したことなどが決定打になったのではないかと考えています。

世界遺産登録が結果的に成功に終わるか、失敗に終わるかはわかりませんが、いずれにせよ間違いない点があるとしたら、日本政府が水面下でこそこそと韓国政府と協議する、という時代は終焉した、ということではないかと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. イーシャ より:

    一番よいのは、「韓国への愛はないニカ?」と泣き言を言わせ、
    「ねえよ、そんなもん」と突き放し、それを世界に公言すること。
    それで、韓国は勝手に落ちて行くでしょう。

  2. 同業者 より:

    韓国の目的は、世界遺産登録の阻止ではなく「歴史の書換え」ですからね。
    朝鮮半島で繰り返されてきたことです。
    日本は、それにお付き合いする義理はありません。

    1. イーシャ より:

      同業者 様
      大事な観点ですね。
      韓国の目的は「歴史の書換え」。
      最大の論点に据えるべきです。

  3. 匿名 より:

    韓国はセイタカアワダチソウですね。根から毒素を発して他の植物の成長を阻害し、一時的に大繁殖してしまうけど、自ら発する毒素で自身の発芽障害を引き起こしてしまう。結果、他の勢力に巻き返される。
    河原のススキの如く日本流の風媒花を貫き、虫が自由に飛び回れない環境を作り上げられれば、虫媒花の韓国は自らの毒素で河原から撤退させられる。さしずめ中国は虫かな。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      多くの植物が他の植物の生育を邪魔する毒を撒き散らしている

  4. 月路です より:

    1971年,アルバニアなど23ヵ国が提出した[中華人民共和国政府の代表権回復,中華民国政府追放]案が可決され,中華民国が追放されたときから,国連は中共の手先と化した
    https://ncode.syosetu.com/n0129gu/15/
    今こそ,国連を,中共の軛から解き放つ努力為すべきとき
    フィクションの映画やドラマを作ってイメージを浸透させ,そのイメージを利用して国会等で追求し,捏造歴史を定着させる手口に負けてはならない
    「歴史戦」の意義は,
    「歴史修正阻止を至上命題とする改竄歴史死守派」主張の論拠を崩壊させること
    [歴史戦]とは、NHKや国連がしている事の意味を多くの人々に知らせて、当該機関が一般庶民の自由と幸せ向上の為に働かざるを得ないよう仕向ける戦い

  5. ムッシュ林 より:

    「第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について」の外務省HP記載は、実に役人らしい巧妙な表現だと思いました。役人の習性として、以前の政府の行為は正しく間違ってましたということは余程のことがない限り言わないというのがあります。なので、この手の文章を書く時は以前の発言が間違ってないことを前提に、とは言いつつも虚偽答弁をするわけにはいかないので、最大限嘘にはならないように書くわけです。
    「その政策の性質上,対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。」つまり、国民徴用令には募集、官斡旋、徴用があって、徴用の場合は意志に反することがあるので、ユネスコでの発言が間違いとは言えません、でそれは、徴用を指して意志に反することがあることを認めただけで強制労働を認めた訳ではないという論法です。だから何もまちがってませんよと。

    実際には、徴用などごくわずかですが、国際的には日本政府は強制労働を認めたととらえられているわけで、全くふざけた答弁ですが、こういう役人の習性を打破できるのは、菅元総理のような役人掌握力の高い政治家の強力なトップダウンだけです。

  6. カズ より:

    ”事なかれ”では解決しないと、やっとこさ気付いたのでしょうか?
    今更だとしても、”気付きに遅すぎるってことは無い”と思います。

    せっかくの機会なのですから、一刻も早く姿勢を正すことですね。
    行動しないのなら、気付いてないのと変わらないのですから・・。

    >日韓は普通の関係を目指せ

    日本:異常な忖度意識を捨て、普通の国へ・・。
    韓国:異常な損得意識を経て、不通の国へ・・。

    1. 匿名% より:

      カズ様
      >韓国:異常な損得意識を経て、不通の国へ・・。

      不通=閉塞と捉えれば、事の全てが干上がり、結果はミイラ化となる。
      日本はそんなミイラと普通の関係は築けないから、国境を閉鎖し、捨て去る。 と、解釈できますね。

    2. 老兵R4 より:

      上手い!!
      星5つ進呈します。

  7. taku より:

    ”佐渡金山の世界遺産登録推薦”の持つ意味は、戦前の植民地支配等への罪の意識から、中国や韓国が反対(主張)すると、事実関係はさておき、引き下がってきたこれまでの経緯から、日本がようやく抜け出したことではないでしょうか。従って、今回の主たる目的は、ユネスコに登録されることではなく、世界に”事実”をきちんと説明することです。副次的に韓国の主張が、事実と異なる・独りよがりの論理だと、明らかにされると思います。残念ながら登録がうまくいく見込みはそう高くないと思います。2015年の外務省の対応につき非難もあるようですが、あの当時はまだ日本の認識も、韓国をうまくなだめて(ごまかして)軍艦島のユネスコ登録を勝ち取ることにあったと思うので、今更あれこれ言うことには、賛成しません。今度は、優秀な官僚の方々ですから、きちんと準備するでしょう。頑張ってください。

  8. 匿名 より:

    >この点、自称元慰安婦問題が全世界であたかも事実であるかのごとく信じ込まれている理由が、歴代の日本の政権、外務省などが、きちんと反論をしてこなかったからだ、という事実を思い出すだけでも、日本政府がちゃんと対応することには大きな意味があるのです。

    それも大きいですが、身内が後ろから大砲を撃ちまくってたことも大きいと思います。

    今回の件も
    文化遺産としての価値はあくまで江戸時代が対象だから、の一点張りでは歴史戦争は負けてしまいます。

  9. クロワッサン より:

    >ただ、事実関係を客観的に理解しようと努力するなかで、やはり、韓国政府の主張、韓国メディアの報道、韓国の有識者の発言などに接していけば、結果的に日本国民の感情に、良い影響を与えるとも思えないのです。

    佐渡金山に関して韓国が異を唱えた事は、結果がどうであれ日本にとって利益になる、というのは楽韓さんとかも書いてますね。

    いわゆる日本軍慰安婦問題にしろ、韓国や韓国に協調する日本の自称リベラルの嘘吐きっぷりが暴かれる事はとても良い事だと考えます。

    暴かれた結果、日本国民の対韓感情が悪化したり、自称リベラルの主張に耳を貸さなくなったとしても、それは「差別の助長」ではなく「自業自得」ですし。

  10. sey g より:

    歴史選において、韓国とドイツの親和性は高いです。
    ドイツとしては、日本を道連れにし あわよくば反省しているドイツ、謝りもしない日本という構図を作りたいので 韓国の行動は渡りに船ですね。
    逆に日本は、イスラエルとの連携を強化して援護射撃してもらうのもいいかも。
    韓国がよく日本の植民地支配はナチスのユダヤ人大虐殺と同じくらい悲惨なものだと言ってますが これから日本が証拠を基に否定した場合 イスラエルはこんなものもナチスの悪逆と同様とするのはユダヤ人に対する侮辱だと怒らないといけません。
    併合時代、朝鮮半島から命のビザのような朝鮮人エクソダスなどなかったし、人口は倍に増えてるし、日本に来れば、選挙権や被選挙権もあるという、これのどこにナチス占領下のアウシュヴィッツと同じなのか?
    大々的に発表したら、黙ってたらこれとナチスの政策が同じだと思われてしまいますよ。
    この様に世界に仲間を増やす努力も必要だと思います。

  11. 無病息災の男 より:

    015年7月6日に「明治日本の産業革命遺産」が何とか世界遺産に登録されたのですが、当時の経緯は、次のようであったと考えています。

    (1) 2015年6月28日に第9回世界遺産委員会が開催される一か月以上前、朴槿恵(パク・クネ)大統領は2015年5月20日に国連のユネスコ事務局長と会談して日本の世界遺産に反対を伝えた他、委員長国のドイツなどに働きかけて日本の遺産登録つぶしを画策した。さらに韓国側から世界遺産委員会の委員や諮問機関のイコモスに対して、日本が申請している施設では、朝鮮人労働者の強制労働=「forced labor」があった、と喧伝して日本はずしのロビー活動が行われていた。
    (2)韓国側の活動の結果、諮問機関イコモスから「各施設の歴史全体を理解できるような計画を追加する」ように日本側に勧告が出された。
    (3)その対策として、6月21日、22日に日韓外相会談が行われることとなった。その席上で、日本側は韓国側に、強制労働=「forced labor」という語は受け入れられないが、その代わりに「forced to work under harsh conditions」=(過酷な条件下で働くように強いられた)という語を入れる、ということを説明した。それで韓国側は日本側の説明に納得した。(日本側が強制労働を認めたのだから、当然だ!)
    そして日韓の外相・外交部長官は日本の「明治日本の産業革命遺産」、韓国の「百済歴史遺跡地区」が同時の世界遺産に登録されるように互いに協力していこう、ということで合意した。
    (4)7月5日、「明治期日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を決定した世界遺産委員会において、日本政府代表佐藤地(さとう・くに)ユネスコ大使が登録決定後に文書に配布し、それを読み上げた。その文書には「forced to work」と書いてあり、内容は、「1940 年代にいくつかの施設において、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府として徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である」というものあり、イコモスに配慮しつつ、韓国側にしてやられた内容であった。

    失敗点、反省点、が多いです。当時の岸田外相が、「韓国政府から、戦後賠償に絡む「請求権で利用する意図はない」との言質を取っていると明言したらしのですがと、岸田さんも外務省も、『韓国は政権が変わればそれ以前の政権との約束はなかったことになる』、ということを、今も理解されておあられないのでしょうか。しかも、外務省とその大臣が世界に向かって強制労働のあったことを認めてしまったとあっては、自称は外交のプロでも、実態は交渉ごとの素人集団としか言えません
    金山登録では、同じ失敗を繰り返すことのないように、祈ります。

    以上の参考資料 産経新聞 これでは慰安婦外交の二の舞ではないか! 2015年7月23日
    https://www.sankei.com/article/20150723-2XV3BPJFLJPZHBZJJZ64VMUQSQ/1/

    1. 無病息災の男 より:

      ところどころに 誤字、抜け字があって、すみませんでした。
      第9回世界遺産委員会(誤)⇒ 第39回世界遺産委員会 (正) です。

    2. 名無しの権兵衛 より:

      無病息災の男 様へ
       「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の経緯については、記述のとおりだと思います。
       その上で、「佐渡島の金山」の世界遺産登録に対する韓国政府の最終的な狙いは、
      ➀日本政府から「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録時と同じ約束を取り付けること。
      ➁「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録時の約束が履行されていないことを世界遺産委員会に認めさせ、日本政府に対して約束の完全な履行を義務付けること。
      の2点で、この2点を達成できれば韓国政府の「勝利」だと考えていると思います。
       韓国政府が「強制労働が行なわれた施設は、世界遺産登録から除外すべきだ」などと主張すれば、「エジプトのピラミッド」も「中国の万里の長城」も世界遺産認定の取消が必要になりますから、そのような主張は無理筋というものです。
       また、韓国政府は「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録時にも、1930年に国際労働機関(ILO)で採択された「強制労働条約」が禁止していた「強制労働」が「明治日本の産業革命遺産」で行われていたことを、最終的に日本政府に認めるよう要求した訳ではありません。
       したがって、韓国政府としては、今回も「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録時と同じ約束を日本政府から取り付ければ、国民に対して「日本に勝利した」とアピールできると考えていると思います。
       日本政府は、「佐渡島の金山」が「端島(軍艦島)」と同様に、第二次大戦中に朝鮮半島出身者が労働に従事したことが事実である以上、同じ約束を拒否することはできないと思います。
       また、昨年7月、世界遺産委員会が「明治日本の産業革命遺産」について、東京の展示施設を調査した上で「戦時徴用によって労働を強いられた朝鮮半島出身者に関する日本側の説明(展示)が『不十分だ』として、改善を求める決議を採択した」ことにどのように対応するのかが大きな課題になると思います。

      1. 無病息災の男 より:

        名無しの権兵衛様
        ご意見を承りました。答えにはなっていないかもしれませんが、思うところを追記します。
        (1)名無しの権兵衛様のご意見の通りに、日本側が、佐渡の金山にも「forced to work under harsh conditions・・」と説明文を入れると世界遺産に登録はされることになると思います。その時に日本側が解決しないといけない問題も、名無しの権兵衛様のご指摘のとおりで、日本側は哀れな姿をさらさなければならないのかもしれませんが、反論は出来ます。その案の一つを(2)に書きます。

        (2)>「韓国政府は、・・・1930年に国際労働機関(ILO)で採択された「強制労働条約」が禁止していた「強制労働」が「明治日本の産業革命遺産」で行われていたことを、最終的に日本政府に認めるよう要求した訳ではありません」 というご意見について、私の考えていること。

        当時の日本政権(外務省)がどう考えたかと言いますと 韓国が主張する「forced labor」=強制労働 という言葉を説明文に盛り込むと、日本が1932年に批准した国際労働機関(ILO)の強制労働条約第1条 「一切の形式における強制労働(=forced or compulsory labour)の使用を廃止する」 と定められた条項に絡んでしまう、つまり強制労働があったと認めてしまうことになる、韓国の狙いはそこにあると考えて、それを避けるためにわざわざ「forced to work」という語を使ったそうです。当時の日本側の行動指針はILOの「強制労働条約」と無関係とはいえず、逆にそれを強く意識していたと思います。
        そして、ILOの強制労働条約第2条第2項(d)によれば、戦争時は地震、洪水などと並んで「緊急の場合」の一つとされていて、その緊急時に強要される労務は強制労働にはあたらない、と定められています。
        従って、佐藤地(さとう・くに)ユネスコ大使が登録決定後に読み上げた文書に「1940 年代にいくつかの施設において、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府として徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である」とあったのは、明らかにILOの強制労働条約第2条第2項(d)を意識してのことでしょう。
        つまり、日本側は、「1940年代は戦争中であったので強制労働にはあたらない」という意味で、「強制労働はなかった」ということを守ろうとして、「forced to work under harsh conditions・・」という語を使ったのに、日本側が何を言いたいのか周囲は理解できなくて、返って泥沼に入りこんでしまったような気がします。
        たとえば、あの文書の中で、1940年代の日本は戦争中であり、ILOの条約に従って判断すれば、当時の労務は強制労働には当たらないとされている、と書くか言えばよかった。
        名無しの権兵衛様のいうように、「エジプトのピラミッド」も「中国の万里の長城」も、当時の膨大な労働が強制労働なのかどうか、この委員会はどう判断したのか、日本の場合はILOの条約に従えば明らかに強制労働とは言えない、と問えばよかった。
        日本側はもっと強気で交渉に臨むべし。
        (なお、これは、反論案の一つです。実際に反論する時には、相手のさらなる逆反論への準備が必要なことは、いうまでもありません)

  12. りょうちん より:

    アメリカに続いて日本もユネスコ脱退しちゃえば良いのに。
    アメリカの脱退により、もはや中国の走狗に成り果てています。
    たったの32億円しか拠出していないのですが、その金で独自にアメリカと一緒に支援活動した方がマシでしょう。

    といっても、もはや世界遺産ビジネスの恩恵にどっぷりつかった日本には無理だろうなあ。

  13. 迷王星 より:

    >2015年の長崎県端島(軍艦島)などの世界遺産登録に際しては、外務省が “forced to work” などの表現を使い、全世界に対し、あたかも当該施設で違法な強制労働がなされていたかのような誤解を与える発言を行っている、という、信じられないほどの「大チョンボ」をしています。

    これに関しては直接的には軍艦島登録交渉を行った佐藤地ユネスコ大使が悪いということになります.

    しかしながら本当に最も悪いのは,交渉に臨む同大使に対して,交渉での譲歩の限界点(つまり韓国なり他の国なりが登録を認めるにはそれ以上の厳しい条件を日本に呑ませようとして来たら登録を諦めて交渉を打ち切るべき点)を明確に指示しておかずに同大使任せにした(あるいはどんな条件を呑んでも登録するようにと指示した)当時の外相の岸田さんだと私は考えます.

    これに関しても最終的には当時の安倍総理が岸田外相に指示しておかなかったのが悪いという意見があるかも知れません.

    しかし慰安婦合意のような我が国の最重要相手国である米国政府からの指示のような我が国にとって外交・国防の根幹に関わる大問題ならば所詮は1国務大臣として1つの省庁の長に過ぎない1大臣でなく内閣全体の長たる総理大臣に判断の責任を問うべきでしょうが,無数に生ずる外交交渉の一つでのアクセプト・リジェクトの判断ぐらいは(総理任せでなく)外務大臣自身でやってくれないと,外務大臣というポストをわざわざ置く意味がありません.その程度の判断すら外相の岸田さん自身では出来ないと責任逃れするのならば,外相ポストなんて総理の兼任ポストにしてしまえば良いのですから.

    (だから今までも何度も書いている通り,慰安婦合意を結んだことに関して批判するならば,岸田外相でなく安倍総理を批判すべきと私は考える.日本にとって国防や経済を始めとする全ての面で最重要で関係を損ねれば日本という国が立ち行かなくなる危険性さえ十二分にある相手国のアメリカ政府の強い意向で結ばされたあの合意に関しては,外相の岸田さんの役割は本質的には使いっ走りに過ぎず,合意を結ぶという最終判断の責任を単なる使いっ走りに問うのは不当だからです.それとユネスコでの軍艦島登録交渉とでは岸田外相の役割は全く異なる)

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