中国の真の狙いは「人民元の国際化」ではなく「人民元経済圏」の確立である――。かつての東西冷戦時代、米ドルを中心とする西側諸国の経済と、ルーブルを中心とする東側諸国の経済は、完全に分断されていました。もしかすると、中国の真の狙いは、人民元をこのまま国際化することではなく、人民元を使う国、すなわち「経済圏」を拡大することにあるのかもしれません。
目次
人民元脅威論
人民元という通貨は国際的な資本市場で使い物にならない
先日の『アプリのダウンロード開始のデジタル人民元「脅威論」』でお伝えしましたが、著者自身は昨年、中国の通貨・人民元をテーマに、ちょっとした一連のシリーズを当ウェブサイトに掲載した(本稿末尾の「参考資料」参照)のですが、これに加えて現在、デジタル人民元脅威論について整理したものを鋭意準備中です。
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当ウェブサイトの基本的な考え方を改めてお伝えしておくならば、人民元という通貨自体、「世界の基軸通貨」の地位を米ドルから奪う、ということはあり得ないと考えています。
その最大の理由は、人民元が国際的な大口資金市場において、使い物にならないからです。
私たち一般人の日常の世界で目にする取引といえば、スーパーでダイコン128円だ、コメ5キロ1380円だ、といった具合に、数百円から数千円、あるいはせいぜい数万円というレベルです。「数百万円のクルマを買う」、「数千万円の家を買う」といった取引は、それこそ一生涯で数回あるかどうか、というものでしょう。
しかし、この世の中には債券(さいけん)市場というものが存在しています。この債券市場の参加者は、基本的には銀行や生保、年金基金といった大口の機関投資家に限られており、私たち一般人の日常感覚からすれば、想像を絶する金額が取引されています。
債券市場では、基本的な売買単位は1億円であり、債券の種類にもよりますが、通常だと1回の売買で10億円、100億円といったレベルの取引が普通になされています。そして、日本国内では1日営業あたり、100~200兆円(!)というレベルで債券が取引されています。
東京市場では外国人が自由に債券を発行・売買可能
じつは、ある通貨が国際的に広く通用するかどうかを決めている、極めて重要なファクターのひとつが、この債券市場のオープン性なのです。
日本(東京)の債券市場では、基本的に外国人投資家は何の制限もなく、自由に売買に参加することができます。日本証券業協会などのデータによれば、月にもよりますが、東京債券市場における外国人投資家の売買比率は3分の1を超えていることもあります。
そして、外国の企業や政府が日本の債券市場にやってきて、日本円でおカネを借りる、ということも、一般的に行われているのです(※ちなみに外国の企業や政府が日本の債券市場で円建てで発行する債券のことを、俗に「サムライ債(さむらいさい)」と呼びます)。
こうした海外の発行体は、日本円で借りたおカネを使って日本企業からモノを買ったり、通貨スワップ取引などを使って日本円以外の通貨(米ドル、ユーロ、英ポンドなど)に両替したり、はたまたそのまま日本円を運転資金に使ったりしています。
また、日本の場合もそうですが、ロンドン市場、ニューヨーク市場なども同様に、基本的にはどの国の企業であれ、どの国の政府であれ、自由に債券を発行することができますし、自由に債券を売買することができます。
(※ただし、債券を発行する場合には、投資家保護のため、財務諸表など一定の書類を金融当局に提出する必要があります。)
制約が多い中国の債券市場
これに対し、中国の人民元建て債券市場は、基本的には外国人投資家が自由に投資することはできません。
また、外国人投資家が自由に投資することができる人民元建ての債券市場というものも、いちおう、存在するには存在するのですが、それは香港などの「オフショア市場」に限定されています。
江戸時代の出島のようなものでしょうか。
いずれにせよ、外国の企業・政府は中国本土で債券を発行することが非常に難しく、また、外国の投資家は中国本土の債券市場で自由に債券を売買したりすることもできません。
また、外国の発行体が自由に債券を発行したり、外国の投資家が自由に債券を売買したりすることができる「オフショア市場」は、その市場規模が非常に限られており、正直、人民元を使って活発な債券取引が行われている、という状況にはありません。
このあたり、『数字で読む「人民元の国際化は2015年で止まった」』などでも議論しましたが、おそらく中国当局の本当の狙いは、人民元を国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)への組み入れを成功させることにあったのでしょう。
本稿は、昨日の『中国当局には人民元の国際化を容認する覚悟はあるのか』では取り上げ切れなかった統計データをまとめて収録しようというものです。昨日の議論に関連し、これまで当ウェブサイトで解説してきた内容を一気に紹介しています。まだの方は是非、昨日の議論を確認したうえでご一読くださると幸いです。結論的には「人民元国際化の動きは2015年前後でいったん止まったが、油断はできない」、というものです。人民元決済・データ編本稿の位置づけは「統計データのまとめ」昨日の『中国当局には人民元の国際化を容認する覚悟は... 数字で読む「人民元の国際化は2015年で止まった」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
だからこそ、形のうえで「自由に取引可能である」(かに見える)オフショア市場を香港などに作り、中国本土の資本市場を外国に対して開放することをしていないのではないでしょうか。
したがって、現在の中国がどれほど「デジタル人民元」を推進しようが、どれほど「人民元決済システム(CIPS)」を拡張しようが、残念ながら、人民元が米ドルに代わる国際的な決済通貨、取引通貨などとなることはあり得ないのです。
「人民元経済圏」は脅威ではないのか
中国が人民元を国際化しようとしているのは脅威ではないのか
こうしたなか、とある方からこんな趣旨のことを尋ねられました。
「現状、人民元が米ドルに代わる基軸通貨とならないということは、よくわかった。しかし、未来永劫、そうならないという保証はないのではないか。中国当局は現在、デジタル人民元やCIPS以外にも、一帯一路、AIIB、人民元通貨スワップなどを推進しているではないか。これらは脅威ではないというのか」。
至極ごもっともなご指摘です。
たしかに現在、中国当局は猛烈な勢いで人民元を国際化しようとしていますし、当ウェブサイトで「人民元が基軸通貨となることはあり得ない」と述べていたとしても、破竹の勢いで進んでいる(かに見える)人民元の使い勝手の向上は、米ドル基軸体制への脅威であるようにも見えるのです。
たとえば、トルコ中央銀行は昨年6月19日、中国との間で締結した通貨スワップ協定に基づき、人民元を中国から引き出し、それらの人民元を中国企業からの輸入代金の決済に使用した、と発表しました(『トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す』等参照)。
慢性的な外貨不足に悩む中東の大国・トルコは先週、中国との人民元建ての通貨スワップを実行したそうです。トルコ中央銀行のウェブサイトによると、トルコは通貨スワップ協定に基づき、中国人民銀行から人民元を借り入れ、その人民元はトルコ国内企業の人民元輸入代金の決済に使われたのだとか。このプレスリリースを見て、個人的には「溺れる者は藁をも掴む」、「貧すれば鈍する」などの用語が頭をよぎった次第です。トルコの通貨不安トルコといえば、当ウェブサイトでは以前からしばしば注目していた国のひとつです。というのも、「... トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す - 新宿会計士の政治経済評論 |
いわば、トルコが自国通貨・リラを担保にして人民元を借り、その借り入れた人民元で中国から製品を輸入した格好ですが、これなど「人民元を使用する国が増えた」ことの典型例でしょう(あるいはトルコにとっては「貧すれば鈍す」、でしょうか)。
このように考えていくならば、「中国は一帯一路諸国などに対し、着実に、人民元建て貿易決済などを広げている」、「デジタル人民元やCIPS、人民元建て通貨スワップなどは、人民元を世界に普及させるためのツールであり、ドル基軸体制への脅威である」、といった説明は、やはり説得力を持つようにも見えるのです。
人民元は大口取引に耐えられない
ただ、ここで「ちょっと待ってほしい」、と言いたい部分があります。
それは、現在の中国がやっている行動は、貿易決済など、比較的小口の取引における人民元の国際化であり、「ワンショット10億円」という巨額の取引が行われる債券市場などの資本市場の国際化ではありません。
いや、もう少し正確に言うならば、現在の中国が行っているのは、「人民元の国際化」ではなく、「人民元経済圏の創設」です。
かつて東西冷戦時代には、米ドルを中心とする西側諸国の基軸通貨体制に対し、ルーブルを中心とする東側諸国の経済が存在しており、「ドル圏」と「ルーブル圏」は完全に分離していました。
このような体制下では、ルーブルが「西側諸国で」自由に取引される通貨でなかったとしても、まったく問題ありません。なぜなら、ルーブル経済圏自体が西側諸国とはまったく別に存在しているからです。
じつは、現在の中国がやろうとしていることは、自国よりも経済的に弱い国を人民元経済圏に取り込み、人民元建ての貿易決済などができる国を徐々に増やす、ということではないでしょうか。
このように考えていくならば、「人民元が(西側諸国において)米ドルに代替する基軸通貨とならない」ことと、「人民元を使用する国が増える」ことは、まったく矛盾しないのです。
人民元経済圏を西側諸国から断絶させることは非現実的
それを踏まえたうえで、次に出てくるのが、「人民元経済圏が拡大したら、それは西側諸国にとって脅威なのかどうか」、という論点です。
結論からいえば、「人民元経済圏」が一時的に拡大したとしても、現在の中国が根本的なところで資本規制を解除しない限り、どこかで必ず頭打ちになります。
もちろん、中国が強引な手法を使って人民元経済圏を拡大しようとする試みに対しては、警戒は必要でしょう。
しかしながら、通貨の使い勝手を決めているのは、結局のところ、「その通貨で大口の取引、小口の取引、その他さまざまな取引ができるかどうか」、です。
先ほどはトルコの事例を例に挙げましたが、非常に残念なことに、現状、人民元は中国企業との取引にしか使えません。たとえば、トルコの企業が日本企業から商品を輸入したときに、その代金の決済に米ドルを使うことはできますが、人民元を使うことはできないのです。
また、かりに「人民元経済圏」のようなものを創設しようとしても、かつての東側諸国の「ルーブル経済圏」のような、西側諸国から完全に断絶した経済圏を創設することは、現状、困難です。なぜなら、中国自身がサプライチェーンで西側諸国(とくに日本)とも密接につながっているからです。
敢えて、「人民元経済圏」がうまく行く可能性があるとしたら、日本、韓国、台湾などの「西側諸国」のなかでも有力な経済大国が人民元経済圏に入ることかもしれませんが、それも難しいでしょう(※敢えて言えば、人民元経済圏に入りそうな国は、韓国くらいなものでしょうか)。
いずれにせよ、人民元経済圏について、中国の覇権という観点からの十分な警戒は必要ですが、国際金融の実態を踏まえず、「デジタル人民元は米ドルの基軸通貨体制を揺さぶる」、などと結論付けるのは、いささか議論が飛躍し過ぎていると思う次第です。
参考記事
ついでに、「参考資料」です。当ウェブサイトでは昨年11月に、「人民元が世界の基軸通貨になることはあり得ない」という視点で、次の7本の記事を相次いで掲載しました。
どれも、世間ではほとんど見ることができない議論ばかりですので、機会があればぜひ、ご一読を賜りますと幸いです。
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特に気をつけるべきは、中共がデジタル人民元をどう使おうとしているかでしょう。
人民元経済圏の拡張以外に、中共にとって不都合な個人・組織を見つけたとたん、その個人・組織の決済をできなくするくらいのことはやりかねないと危惧しています。
微信チャットを通じてお金の貸し借りが行われる様子を目の当たりにして驚きを感じたことがあります。時は4年ほど前です。高槻駅傍のアジア料理店で昼食を摂っていた際に同行者が中華スマホを見せて自慢してくれたのです。大陸では携帯電話契約は三大銀行口座登録とセットになっています。銀行口座と「スマホ財布」間で資金を融通させることができ、微信アカウント間で送金できるようになっています。微信チャットの会話は当局に実時間監視されていますので、スマホ利用者間の送金実態も微に入り細に入り感知するところ。誰がお金をどう動かしているかを効率的に社会監視する21世紀にふさわしい先進的なシステムなのでした。なお借り手はその瞬間にジャカルタに居ました。どんな用事で急なお金が必要になったのかは貸した側は気にしてませんでした。
日本の失われた20年とか30年とかいうのを中国は観察して、その原因が円高にあると考えている。人民元の国際化などすれば元高になり輸出減、製造業の空洞化がおこり、共産党の一党支配が揺らぐかもしれないと考えているはずだ。
戦後日本が繁栄できたのはアメリカの同盟国としてアメリカのリッチな市場に入れてもらったためだ。韓国、台湾、シンガポールも日本の後に続く。アメリカと仲の良い西側諸国は繫栄し、仲の悪いロシア、キューバ、北朝鮮は貧しい。中国はアメリカの鷹揚さのおかげで成長したが、今その本性をみせてしまった。アメリカの市場に頼らず人民元経済圏などできるのだろうか。
コロナの発生源をめぐる発言でオーストラリアからの石炭を輸入禁止にしたように、今後経済力に見合ったいやがらせを続けるだろう。そのような国が経済圏などという大それたものを構築できるとは思えない。
>敢えて、「人民元経済圏」がうまく行く可能性があるとしたら、日本、韓国、台湾などの「西側諸国」のなかでも有力な経済大国が人民元経済圏に入ることかもしれませんが、それも難しいでしょう(※敢えて言えば、人民元経済圏に入りそうな国は、韓国くらいなものでしょうか)。
個人的にはドイツにも一票です。
中国企業によるドイツ企業の買収を阻止してはいますが、ドイツ企業による中国国内への投資を控え始めているようには見受けられないです。
ドイツ政府、中国企業による買収阻止 安全保障上の懸念で
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN28J0H3
メルケル引退で何が起きるのか。対中関係、EU域内の国家間格差…ドイツで懸念される2つの「超難題」
https://www.businessinsider.jp/post-243185
メルケル後継の三党連立が「不安しかない」理由。中国に「人権遵守」「香港統制緩和」要求、早くも対立
https://www.businessinsider.jp/post-246989
緑の党の外務大臣は対中姿勢で厳しめとあるので、韓国よりは可能性が低そうですね。
個人的な疑問でCNH(オフショア人民元)とCNY(国内用の本物の人民元)の関係がよくわからないところがあって、少々ググってたのですが、「人民元の国際化」的なキーワードで検索すると、2015年以前の資料(金融機関のレポートとか)はたくさん出てくるのですが、最近のものはほとんど見かけませんでした。
人民元の国際化は、当時は界隈では「流行ってた」んでしょうかね。(あるいは流行らせていたか)
2017年にペンス副大統領の鉄のカーテン演説がありましたが、あの頃に西側当局の対応姿勢が変わっちゃって、その後は人民元の国際化は中国自身だけでできることを地道にやるモードに変わったんだろうかと邪推しました。
ついでに。CNHとCNYはほぼ別通貨であって、CNHとCNYの決済は当局指定のクリアリング銀行のみで取扱うことで、障壁を設けて管理しているそうです。(ここを知りませんでした。CNHって別通貨じゃんと思ってましたが、一応接続はしていると。)
CNYを思い切って世界に開くつもりは当面はないのでしょう。
国際化は主に中国人民銀行が任されているようですが、巨大な中国市場で使えるCNYを自由に取引させることなく、国際化を進めるという難度の高いチャレンジをさせられているのでしょうかね。
結局のところ、中国はブロック経済圏の構築を目論んでいるのかもしれません。人民元経済圏ブロック内部では人民元が唯一の基軸通貨となり、ブロック外とのインターフェースは中国が独占するという形で、閉鎖的な小宇宙の主宰者たることを目指しているようにも見えます。
そのような観点から考えると、AIIBは、USドル経済圏向けのADBに対応する人民元経済圏向けの融資機関となるべく設立されたものであり、一帯一路構想も人民元経済ブロックの拡大を図るものだったのかもしれません。今のところ、AIIBも一帯一路構想も当初の思惑通りには進んでいないようですが、外枠は作ったのだから、あとは内側を固めていくだけだと考えているのかもしれません。
そこで一つの指標になりそうなのが、香港ドルの扱いです。現状、香港ドルはUSドルにペッグしていますが、近い将来に人民元とのペッグに切り替えさせるという可能性があります。外側から見ると一国二制度の完全な終焉に見えるかもしれませんが、真の目的は香港経済を人民元経済圏に完全に組み込むことです。香港ドルは名目上は残るかもしれませんが、人民元ペッグとなれば、独自通貨としての意味をほとんど失います。このような香港ドルの扱いを契機に、人民元経済圏に組み込まれた国々の通貨を人民元にペッグするようにすれば、ブロック内の金融政策などはすべて北京によって決定されることになるでしょう。
このようなシナリオを本当に北京が構想しているかどうかはわかりませんが、おそらくではありますけど、香港ドルで実行する前に、マカオ・パタカで試行しようとするでしょう。現状、パタカは香港ドルにペッグしているような形で、実際、マカオでは香港ドルがそのまま通用しますが、香港に先立ち、マカオで人民元ペッグ化を行って、その影響を試してみるということが十分考えられます。元々、香港やマカオの一国二制度は時限的なものであり、香港(2049年)もマカオ(2051年)もいずれ中国の一部になることが最初から決まっています。それに先立って、まず通貨から「人民元化」するというやり方は、他の国々をブロックに組み込む際に大いに参考になると思われます。
以上の見立てが正しいとすると、この先パタカの扱いがどうなるかということに注目すべきであるのかもしれません。
私も同じ事を考えました。人民元を国際化させるのではなく、人民元ブロック経済を作って版図を拡大させるのが狙いだと。
第二次大戦前のブロック経済の考え方を援用するなら、ブレトンウッズ体制は「USドルブロックによる他のブロックの吸収合併」、国際化・グローバル化は「USドルブロックの規模拡大の一環」と解釈する事もできます。そのUSドルブロックから独立して人民元ブロックを作ろうとする事は人民元の国際化(=USドルブロックへの加入)よりも容易であり、共産党幹部の自尊心を満たす事もできます。
ただし、世界中の経済がUSドル中心に一体化しつつある現状で、人民元ブロックがどこまで構築・維持できるのかは疑問です。ルーブルブロックのように封じ込められて自滅する可能性さえあります。
調子に乗って「その先」まで考えた場合、最終的には人民元とユーロをリンクさせるというところまで視野に入れていたのかもしれません。東欧諸国くらいまでを人民元ブロックに組み込んだ上で、ユーロと何らかの形でリンクして、人民元=ユーロが支配するユーラシア経済ブロックの構築が最終目標というわけです(その場合でも、インドとロシアの動向は不明ですが)。
元々、ユーロ自体、USドル一強体制を苦々しく思っていたフランスあたりが旗を振ったという側面もありますし、EUの牽引車だったメルケル氏は、誰の目にも明らかなくらい中国に傾斜していました。妄想を逞しくすれば、フランスを巻き込んだ上で、独中の間に何らかの密約があったという可能性すらあるかもしれません。
もちろん、上記はほとんど妄想に近いもので、現実には、その第一歩目からすでに躓いているように見えます。そもそも中国が「帝国」を支えきるだけの力がいずれ備わるとも思えません。USドル経済圏が、アメリカの軍事・経済の両面における絶対的と言えるほどの力を背景としていることを考えると、そもそもの「構想」自体が無理無謀とも言えます。しかし、昨今のアメリカの「変調傾向」を見るに、もしかしたら30年後には「構想」を部分的にも実現できるかも、などと考えさせているかもしれないと、ふと思ったりもするのです。
# 新年早々の大法螺(^.^)
以前、藤沢市の古書店で当時最新の人民元が店頭販売されていて驚きました。
書物やチラシとか古物商の商い対象なのでしょうか?
世界に存在する紙幣の2/3が人民元だという噂も聞いた事があります。
たまたま、今日見つけた記事です。
ついに中国のデジタル人民元「e-CNY」を8億人以上の利用者を抱えるWeChat Payが追加へ
https://gigazine.net/news/20220107-wechat-pay-chinas-digital-currency/
「WeChat Payがデジタル人民元対応をする」という建付けで大規模に開始するようです。
>2021年12月には、上海市にあるマクドナルドに対してe-CNYを使えるように圧力をかけていたと報じられています。
ということで今後、普及させるために中国ならではの出来事がいろいろありそうです。
直近のパイロットテストは個人決済が対象で、利用者は人民元をデポジットした範囲のデジタル人民元が使えるという、単なる電子通貨でした。
今回の細かい仕様はわかりませんが、記事の末尾で中国のアナリストがWeChatPay、AliPayからアプリを切り替えるのは現実的でないと述べたことが紹介されていますから、おそらく同じ形態で大規模化するのでしょう。
ドル覇権への挑戦ってなんのこと? です。
サムライ債か
鎌倉時代から一貫して、サムライは商人から金を借りて首が回らない存在だったね