人民元は基軸通貨とならない③増えない人民元国際送金
~「システム整えたら基軸通貨化」という本末転倒した議論~
人民元がCIPSなどの独自の国際送金システムで米ドルの覇権に挑戦しようとしている、という話を聞きます。なんだか、意味がよくわかりません。そもそも人民元が国際的な通貨となるための条件を整えないままで、いくらシステムを整えたら自動的にある通貨が国際通貨に変わるわけはないからです。あくまでもその通貨の使い勝手が良くならないと、送金高のシェアは高まりませんし、基軸通貨にもなれません。
目次
人民元の使い勝手を阻むもの
人民元のシェアと中国の金融覇権
数日前から当ウェブサイトでは、「中国の金融」をテーマに、国際インフラ金融や通貨などの視点から、これまでにいくつかの議論を展開して来ました。
『「のろのろバス」AIIBの資産規模は最大手信金並み』(2021/11/21 05:00)
『人民元は基軸通貨とならない①成長が止まった債券市場』(2021/11/22 06:00)
『人民元は基軸通貨とならない②外貨準備では「存在感」』(2021/11/23 05:00)
もちろん、中国が米国に代替する金融覇権国の地位を狙っているらしいという点については注意が必要ですが、その一方で、現在の中国が「正規の」国際的な金融の世界において存在感を示しているという事実はありません。
このあたり、単純に「中国が経済成長を果たせば、同国の通貨・人民元が世界の基軸通貨となる」というものではない、という点には注意が必要ではないか、などと考えている次第です。
通貨の3大機能から見る人民元
さて、当ウェブサイトでは普段から述べているとおり、一般に「通貨」には、つぎの3つの機能があります。
通貨の3大機能
- ①価値の尺度…財・サービスの価値を統一的な尺度で表示する機能
- ②価値の交換…財・サービスを効率的に交換する機能
- ③価値の保存…経済的価値を未来に向けて保存する機能
(【出所】著者作成)
このうち、「③価値の保存機能」がどこまで優れているか、という点が、ある通貨が国際的な市場でハード・カレンシーとしての存在感を示すかどうかの分かれ目である、というのがこれまでの当ウェブサイトにおける議論です。
このあたり、世界の外貨準備統計を見ると、中国の通貨・人民元の投資残高が世界の外貨準備に占める割合が、少しずつ、着実に増えているという点については注意は必要でしょう。
ただ、民間機関投資家にとっては、依然として中国の金融市場には参入障壁があります。
一度に多額の資金を機動的に運用して行かねばならない国際的な機関投資家にとっては、いちいち許可を受けなければ投資できない中国市場の魅力は大変に低いと考えられますし、また、実際に規制が少ないオフショア市場における人民元建ての債券発行量も、決して多いとは言えません。
したがって、通貨の3大機能から見ると、人民元はとくに「価値の保存」機能に弱く、現状では米ドルに代替する基軸通貨を目指すどころか、そもそも「国際通貨」への十分な以降すら円滑にできていないと結論付けざるを得ないのです。
トリレンマから見る「資本自由化に踏み切れない中国」
ではなぜ、人民元市場には参入障壁があるのでしょうか。
中国が民間機関投資家に対し、国内市場の開放をためらっている理由は、おそらく、国際収支の世界における「トリレンマ」と関わりがあります。
3つの政策目標と「トリレンマ」
- 資本移動の自由…投資資金などが国境を越えて自由に行き来できる状態
- 金融政策の独立…自国内で金融政策(金利、資金量など)を自由に決定できる状態
- 為替相場の安定…為替市場が乱高下したりせず、安定的に推移する状態
(【出所】著者作成)
ある通貨が国際的な基軸通貨となるためには、この3つの目標のうち、「資本移動の自由」については必ず達成しなければなりません。
また、経済規模が比較的小さい香港やデンマークのようなケースだと、通貨を米ドルやユーロに固定(ペッグ)することは可能ですが、中国くらい経済規模が大きい国であれば、金融政策面では外国から独立していなければなりません。
そうなると、中国が自国の経済規模を維持したままで、自国通貨・人民元の国際化を目指すならば、必然的に為替相場の安定を捨てなければならない、というわけです。
ただ、「為替相場の安定」を捨てるためには、為替市場において自律的な市場メカニズムが健全に機能しているという状況が必要ですし、共産党一党独裁国家である中国にとって、「自律的な市場メカニズム」は脅威なのかもしれません。
また、もしも中国が資本規制を取っ払ってしまえば、国際的な投機筋の資金が中国市場にどっと流れ込むかもしれませんし、中国の個人が競うようにして自分の国の通貨を売り払い、外貨を手に入れようとするかもしれません。中国人民元の為替市場は、これまでに経験したことがないような大変動に晒されるでしょう。
このように考えていくと、中国が現在の「共産党一党独裁」という政治体制と経済規模を維持したままで、為替相場の安定を捨ててまで資本移動の自由を認めるとは考え辛く、したがって、「人民元が米ドルに代わって世界の基軸通貨となる」というのは考え辛い、ということではないでしょうか。
SWIFT統計と人民元
国際的な決済通貨としての人民元
さて、ある通貨が国際通貨となるためには、通貨の3大機能のうち、「③価値の保存機能」が必要だ、という点については、何度となく申し上げてきた話ではあります。
ただ、通貨の国際的な通用度を測るうえでは、「②価値の交換(決済)機能」についても重要です。
これについて考えるうえでちょうど良い統計があります。
国際的な銀行間資金決済を担う機構「SWIFT」が公表する『RMBトラッカー』です。
RMBトラッカーでは、「顧客を送金人とする決済額および銀行間決済額(SWIFT上で交換されたメッセージ)」の上位20通貨の順位と割合が毎月公表されており、人民元の決済シェアと順位を知ることができます。
また、このRMBトラッカーは「ユーロ圏を含めた指標」、「ユーロ圏を除いた指標」が公表されており、不思議なことに、ユーロ圏を含めた場合には人民元の決済シェアの順位が上昇することでも知られています。
最新版の2021年10月時点のランクは、図表1のとおりです。
図表1 通貨別決済ランキングとシェア(2021年10月時点)
ランク | ユーロ圏含む | ユーロ圏除外 |
---|---|---|
1位 | USD(39.16%) | USD(41.94%) |
2位 | EUR(38.07%) | EUR(38.80%) |
3位 | GBP(6.41%) | GBP(4.07%) |
4位 | JPY(2.90%) | JPY(3.59%) |
5位 | CNY(1.85%) | CAD(2.12%) |
6位 | CAD(1.66%) | AUD(1.35%) |
7位 | AUD(1.42%) | CNY(1.22%) |
8位 | HKD(1.00%) | CHF(1.08%) |
9位 | SGD(0.97%) | HKD(0.70%) |
10位 | THB(0.73%) | SEK(0.69%) |
(【出所】RMBトラッカーより著者作成。CNYが中国の通貨・人民元であり、それ以外についてはEURはユーロ、USDは米ドル、GBPは英ポンド、JPYは日本円、CADは加ドル、HKDは香港ドル、AUDは豪ドル、SGDはシンガポールドル、THBはタイバーツ、CHFはスイスフラン、SEKはスウェーデンクローナを意味する)
ランキングでは、ユーロ圏においても米ドルのシェアがユーロのそれを上回っていますが、ユーロ圏内では稀に、米ドルとユーロの逆転が生じることもあります。
ただ、このランキングを眺めていて不可解なのは、中国の通貨・人民元(CNY)の地位は、ランク、シェアともに、恒常的にユーロ圏内のものを含めたベースの方が高い、という点にあります。
実際、2021年10月についても、ユーロ圏を除外した国際送金では7位でシェアも1.22%に過ぎませんが、ユーロ圏を含めた国際送金では1.85%で5位に浮上する、というわけです。
人民元が破れない「日本円の壁」
ちなみに、このランキングは月によってかなり変動がありますので、単純に1年分(※2021年いついては10ヵ月分)の平均値を取り、過去3年分のシェアの推移を取ってみると、人民元のシェアは上がったり下がったりを繰り返していることがわかります(図表2)。
図表2 各通貨の過去3年分のシェア平均値(2019年→2020年→2021年)
通貨 | ユーロ圏含む | ユーロ圏除外 |
---|---|---|
米ドル(USD) | 40.53%→40.10%→39.29% | 46.25%→44.69%→42.53% |
ユーロ(EUR) | 33.48%→34.69%→37.51% | 32.29%→34.70%→38.19% |
英ポンド(GBP) | 6.93%→6.81%→6.12% | 3.97%→3.93%→3.87% |
日本円(JPY) | 3.52%→3.58%→3.05% | 4.36%→4.34%→3.68% |
人民元(CNY) | 1.93%→1.84%→2.18% | 1.22%→1.20%→1.43% |
加ドル(CAD) | 1.81%→1.75%→1.78% | 2.28%→2.19%→2.18% |
豪ドル(AUD) | 1.43%→1.45%→1.33% | 1.53%→1.49%→1.29% |
(【出所】過去のRMBトラッカーより著者作成)
ただ、人民元のシェアについては、「ユーロ圏込み」、「ユーロ圏除外」のいずれにおいても、「日本円の壁」を破ることができていません。
じつは、過去に1度だけ、2015年8月に人民元の月間決済シェアが日本円のそれを上回ったこともあります。
具体的には、人民元のシェアが2.79%、日本円のシェアが2.76%で、わずか0.03ポイントの違いとはいえ、人民元が「世界で4位の決済通貨」に浮上したのです。
当時、SWIFTは特別レポートを出し、「ついに人民元が日本円を抜いた」などと大騒ぎしていたのですが、人民元の送金シェアが日本円のそれを上回ったのは、RMBトラッカー上はこの2015年8月の1回きりであり、それ以降、このような逆転は生じていません。
「SWIFTがダメならCIPSで」…?
さて、SWIFT上も人民元の決済シェアが日本円のそれを上回った「2015年」といえば、先日から報告しているとおり、人民元の国際化に向けた動きがストップした時点とほぼ一致しています。そして、なぜかその後、人民元の決済シェアは急落し、それ以来、人民元は一貫して「日本円以下」のポジションにいます。
ここ5~6年間の客観的な数値で見る限りにおいては、残念ながら、人民元の国際化が進んでいるとは言い難いのが実情と考えて良いでしょう。
こうしたなかで最近注目されているらしいシステムのひとつが、中国が2015年8月に発足させた、「CIPS」という国際送金システムです。
CIPSとは “cross-border interbank payments system” の略で、中国語では「人民幣跨境支付系統」と呼ぶそうですが、この中国語の名称をベースにあえて日本語に訳せば「人民元越境送金システム」、でしょうか。
ただ、CIPSの仕様などの資料や決済高などの統計については、さまざまなペーパーで断片的にしか知ることができず、残念ながら、英文で手に入るものはほとんどありません。
このあたり、みずほ銀行が公表する『クロスボーダー人民元決済システムについて』と称する、ディスクレーマーを除外したら1枚もののペーパーによれば、このCIPSは「人民元建ての貿・投資に関する決済を促す金融インフラ」としてリリースされたものだそうです。
同資料によれば、2021年1月以降は「人民元クロスボーダー取引の決済はCIPSのみの使用となり、SWIFT電文からの変換が可能」、などと記載されています。
また、株式会社野村総合研究所が2020年6月26日付で公表した『人民元国際化推進の秘策は何か』という記事によれば、CIPSの1日当たり決済額は2019年時点で1日約194億ドルで、これはSWIFTの5~6兆ドルと比べ「まだかなり少ない」のだとか。
CIPSがSWIFTに代替するなら話は別だが…
つまり、このCIPSというシステム自体、現時点においては金融規制専門家のレビューに耐えうるような仕様書、統計資料もほとんど揃っておらず、断片的にわかる統計でも現時点の決済規模は微々たるものだ、ということです。
いずれにせよ、少なくとも現時点において、CIPSはSWIFTを揺るがす規模には成長していません。
ただし、「将来、CIPSの人民元決済の規模が大きくなり、SWIFTの外で人民元の決済が広まっていく」という可能性は、ゼロではありません。
ただ、「中国はCIPSを使ってドル覇権に挑戦する」、などと述べている人たちが見落としているのは、CIPSがSWIFTに代替し得るのかどうか、という視点でしょう。
当たり前の話ですが、SWIFTのような多国間銀行決済システムは、1日やそこらで設計できるものではありません。
中国が設立したCIPSを多通貨決済に対応させ、SWIFTに代替し得る大規模な決済システムに発展させるためには、世界中の大規模銀行(G-SIBs)などの協力のもと、業界で決済電文の仕組みを整えて行かねばなりませんし、また、各国通貨当局の協力も必要です。
すでにSWIFTが存在しているのに、わざわざ金融業界や通貨当局がCIPSの世界かに協力するとも思えないのですが…。
議論は本末転倒
さて、先ほども引用した株式会社野村総合研究所の『人民元国際化推進の秘策は何か』によれば、こんな記述があります。
「人民元の国際的な信用力を高めることを通じて、その海外での利用拡大を促し、国際化を地道に進めていくという戦略では、米国の国際金融覇権を突き崩すまでに相当の時間がかかってしまう。そこで中国は、ドルと『同じ土俵で戦わない』形で、人民元の国際的な利用の拡大を目指すのではないか」。
要するに、中国が「一帯一路」構想なども使いつつ、アジア、東欧、アフリカなどの国々を自国の経済圏に取り込んでいくなかで、その経済圏内で「なかば強制的に人民元を貿易決済に利用させる」ことなどを通じ、経済圏と人民元通貨圏の構築を一体的に進める、というわけです。
そういえば、当ウェブサイトでも『トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す』で、人民元建ての通貨スワップをトルコが引き出し、中国からの商品の輸入代金の決済に充てた、とした話題を取り上げたことがあります。
これなども、人民元決済拡大に向けた努力のようなものでしょう。
そもそも通貨の使い勝手とは鶏と卵の関係であり、人民元通貨圏が広まれば、その分、人民元を使う国も増え、CIPSも拡大していくであろうと想像はできます。また、最近話題の「デジタル人民元」も、人民元の「決済ツール」としての使い勝手を高めるうえでは、興味深い試みです。
しかし、もしも中国が今後、「なかば強引に人民元経済圏を拡大する」という方策で米国のドル覇権に挑戦し、SWIFTをはじめとする既存の国際社会の秩序に反するような強引な人民元経済圏拡大を試みるならば、必ず国際社会の反発を伴います。
しかも、実際に2015年以降、債券市場の国際化も、SWIFT上の送金シェア拡大も停滞していることは、現実に中国が人民元市場に対する資本規制を解除しておらず、また、オフショア人民元市場の使い勝手を向上させるという努力をしていない証拠です。
そうした努力を怠り、また、資本自由化という重要な決断を先送りしたままで、さらには、人民元が国際的に通用しないという現状を放置したままで、CIPSだ、デジタル人民元だ、といったツールの議論をいくらやったところで、意味がありません。
それこそまさに「本末転倒」でしょう。
いずれにせよ、人民元経済圏を拡大しようとすると、どうしても「現在の資本規制をどうするのか」という問題の解決から逃げることはできませんし、CIPSやデジタル人民元は、こうした疑問に対する答えになっていないことは間違いないでしょう。
本文は以上です。
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中国の長い歴史には偉人がたくさんいたと思うけど
>すでにSWIFTが存在しているのに、わざわざ金融業界や通貨当局がCIPSの世界かに協力するとも思えないのですが…。
ADBが存在するのにAIIBを創設し、それなりの国が参加、協力した訳で、経済ではなく政治として協力するかもです。
>そうした努力を怠り、また、資本自由化という重要な決断を先送りしたままで、さらには、人民元が国際的に通用しないという現状を放置したままで、CIPSだ、デジタル人民元だ、といったツールの議論をいくらやったところで、意味がありません。
ぼやっとした言い方ですが、自由経済主義や混合経済主義の立場から新宿会計士さんは語っているのだと思うのですが、統制経済主義とか計画経済主義の立場から語ると違ってくるのでは?と感じました。
クロワッサン様
>自由経済主義や混合経済主義の立場から新宿会計士さんは語っているのだと思う
私もそう感じました(笑)
但し、今の中国は戦時中等の統制経済でもなく、また改革・開放前の計画経済でもありません。弱肉強食まったなしの、ガチの市場経済だと思います。
とはいえ、その市場経済に対してガチガチに口出しをしてくる中国共産党政権があります。その点が明らかに異質であり、それが故に「社会主義市場経済」というのでしょうね。
カクイウ私も社会主義市場経済とは何かを説明できるだけの知識は持ち合わせておりません m(__)m
名古屋の住人 さん
ありがとうございます。
社会主義市場経済も何だかボヤッとしてて、そうなると結局人民元の国際通貨化もボヤッとなっちゃいますね(*_*;)
>そこで中国は、ドルと『同じ土俵で戦わない』形で、人民元の国際的な利用の拡大を目指すのではないか。
株式会社野村総合研究所のこの見解がポイントだと思います。
中国共産党は、共産主義でも資本主義でもない「社会主義市場経済」なるものを提唱し、既にそれに成功したという自負を持っていると推察します。
即ち、既存の概念や制度にはとらわれず、自らにとって「都合の良いもの」を打ち出し、長い年月をかけて実現させること、それを目指しているのではないでしょうか。
また、かつてトウ少平が語った「韜光養晦(とうこうようかい)」。数年ばかり陽の目を見なくても、かれらにとっては微々たる時間でしかなく、もっと先を見据えていることでしょう。
→余談ですが、今の習近平政権にはそうした鷹揚さは見られず、中国共産党政権維持(というか、自らの権力基盤維持)に汲汲としている様子が目立ちますね。
しかし、社会主義市場経済はあくまで自国内のこと。人民元の国際化は、諸外国を巻き込むこと。全く方向性が異なります。
敢えて「諸外国を巻き込むこと」という表現にしたのは、中国共産党政権が諸外国と協調するという意志がまるでみられないからです。
よって、「ドルと『同じ土俵で戦わず』」、自らの強権を発動できる陣地を徐々に広げ、そこにCIPSを機能させようとしているのかもしれません。
中国は受注した途上国でのインフラ整備も自国民・自国企業を使って遂行しているんですよね。
真に人民元を国際化したいのであれば、”現地雇用・人民元支払い”くらいすればいいのに・・。