中国恒大企業集団の「シャドバン簿外債務」17兆円説
「鬼城」「シャドバン」「簿外債務」というパワーワード
このところ連日、メディアの報道をにぎわせている話題のひとつが、負債総額33兆円ともされる中国の不動産デベロッパー大手「恒大(こうだい)企業集団」の経営不安です。これに関連し、「シャドバンから調達した簿外債務が17兆円に達する」、「恒大以外にも不動産業界に経営不安が波及するかもしれない」、「実際、中国では業者が毎日倒産している計算だ」、などとする論考や報道もありましたが、本当の中華リスクとは、まさに「実際のエクスポージャーの規模がよくわからない」という点にあるのです。
目次
恒大企業集団の経営危機
恒大が社債の利払をスキップ
『中国「総資産39兆円」企業の経営不安と日本への影響』や『実際のところ「中国発の金融危機リスク」はあるのか?』でも触れたとおり、現在、中国の不動産デベロッパー「恒大(こうだい)企業集団」に経営不安が続いています。
Evergrande: Chinese property giant ‘misses another payment deadline’l
―――2021/10/01付 BBC NEWSより
リンク先は英メディア・BBCの記事で、先週水曜日までに支払われるべきとされていた債券利息(4750万ドル)を、外国人投資家らが恒大集団から受け取ることができなかった、とする話題です(該当するBBC記事の日本語版では「債権利息」と誤植がありますのでご注意ください)。
ただし、債券の世界では、利払がなされなければただちに債務不履行(デフォルト)とみなされるわけではないらしく、実際、BBCによると現在は恒大集団が正式なデフォルトと認定されるための30日の猶予期間(grace period)に入っている、としています。
壮大なる自転車操業集団
ここで、あらためて昨年12月末時点における同グループの連結貸借対照表を確認しておきましょう(図表1)。
図表1 恒大集団の連結貸借対照表(2020年12月末時点)
項目 | 金額 | 円換算額 |
---|---|---|
固定資産 | 3962億元(17.22%) | 6兆7358億円 |
流動資産 | 1兆9049億元(82.78%) | 32兆3839億円 |
うち開発中不動産 | 1兆2579億元(54.66%) | 21兆3844億円 |
うち現金及び現金同等物 | 1588億元(6.90%) | 2兆6988億円 |
資産合計 | 2兆3012億元(100.00%) | 39兆1197億円 |
資本 | 3504億元(15.23%) | 5兆9573億円 |
固定負債 | 4435億元(19.27%) | 7兆5391億円 |
うち長期借入金 | 3811億元(16.56%) | 6兆4779億円 |
流動負債 | 1兆5073億元(65.50%) | 25兆6233億円 |
うち買掛金及びその他の債務 | 8292億元(36.03%) | 14兆0960億円 |
うち短期借入金 | 3355億元(14.58%) | 5兆7031億円 |
負債合計 | 1兆9507億元(84.77%) | 33兆1624億円 |
負債純資産合計 | 2兆3012億元(100.00%) | 39兆1197億円 |
(【出所】恒大集団・『投資家向けレポート・年次報告書』【※中国語】ページの『2020年アニュアルレポート』【※中国語、PDFファイル】P79~80を著者要約。金額のカッコ内は資産合計、負債純資産合計に対する割合。円換算は便宜上、1元=17円を使用)
なかなか、強烈なバランスシートです。
このバランスシートを見て真っ先に気付くのは、その流動負債の大きさです。
総資産が39兆円という「ガリバー企業」ですが、そのうち負債が33兆円(しかも全体の約65%が25.6兆円分の流動負債)で占められており、自己資本は全体のわずか15%に過ぎません。さらに、資産側には流動資産が32兆円(うち開発中不動産が21兆円)を占めています。
すなわち、不動産が売れなくなれば、あっというまに資金繰りがつかなくなる、という状況です。
旧公認会計士第三次試験の監査実務とかでもお目にかからないくらいわかりやすい、典型的な「自転車操業企業」ですね。
小売業でもないのに…鬼城、シャドバンというパワーワード
ちなみに、日本でも小売業(たとえばスーパーマーケット)などでは、自己資本の割合が非常に低く、流動資産や流動負債の割合が非常に高い、といった事例はよくみかけます。
ただ、小売業の場合だと、一般に商品の回転率は良いため、企業が保有する流動資産(棚卸資産)が急速に陳腐化・不良在庫化して売れなくなってしまう、といったリスクは非常に低いのが特徴です(もちろん、そのようなリスクはゼロではありませんが…)。
しかし、中国本土における不動産の購入、開発、販売に関しては、かなり以前から「開発は終わったけれども肝心の住人が存在しない街」、すなわち中国語で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンが多数出現していることが知られています(たとえば今から約8年前の英フィナンシャルタイムスの記事など)。
China told $6.8tn in investment ‘wasted’
―――2014/11/27付 FTオンラインより
あるいは、同じくFTは2015年2月付の次の記事で、「シャドー・バンキング問題」にも触れています。
China shadow bank curbs hit their mark
―――2015/02/02付 FTオンラインより
中国の「シャドー・バンキング」問題が英米メディアに積極的に登場し始めたのは2011年ごろだったと記憶していますが、これは2008年のリーマン・ショック直後に、中国が行った数十兆円規模の公共事業にともない、金融システム外での融資が急拡大した、などとする指摘が当時から頻繁に見られました。
この「シャドー・バンキング」とは、通常の銀行システムからだと融資が受けられないような事業の主体が、銀行システムの「外」からおカネを借り入れる手法のことであり、中国で2010年代を通じ、非常に発達したものとされています。
シャドバンと簿外債務
ビットコイン専門家「簿外債務はさらに17兆円」
こうしたなか、久しぶりにこの「シャドー・バンキング」という単語を見かけました。
The Macroeconomic Implications Of Evergrande For Risk Assets And Bitcoin
―――2021/10/01 11:44 EDT 付 NASDAQウェブサイトより
NASDAQのウェブサイトに掲載された、『ビットコインマガジン』のグレッグ・フォス氏によるオピニオンです(※ただし、リンク先記事はあくまでもNASDAQ社の見解ではなく、当該執筆者の見解である、というディスクレーマーが末尾に掲載されています)。
全部で1600語少々の文章で、最後は(なぜか)「ビットコインがすばらしい」という結論にいく、なかなかに謎が多い文章ですが、こうした「マーケット関係者のポジショントーク」っぽい部分については正直、あまり読む必要はありません。
それよりも個人的に気になった記述は、 “Size Of Potential Default” と題した一節に出て来る、こんな記述です。
Goldman has recently calculated potential off-balance sheet liabilities for Evergrande at $155 billion (one trillion yuan) in “shadow-banking” exposure. This is worrisome because this is more like a Lehman moment but again, it is not catastrophic in the global context.
ざっくり意訳すると、こんな主張でしょう。
「ゴールドマン・サックスが最近、『エバーグランデ』(※恒大の英語名)は『シャドーバンキング』から簿外債務の規模が1550億ドル(約1兆元)を調達していると試算した。こう聞くとリーマン時のような影響を懸念してしまうが、グローバル経済に与える影響は大したことがない」。
いったいなにが「大したことがない」なのかといえば、恒大の債務の過半は中国国内で調達されたものであり、外国の投資家からの直接の借入の規模は大きくなく、リーマン・ショックの際の6000億ドルという規模と比べれば、非常に小さいのだ、という言い分なのでしょう。
当然、恒大1社だとエクスポージャーの規模はオンバラ負債で33兆円程度であり、これに「シャドバンのオフバラ負債」が1兆元(約17兆円)分存在すれば、負債総額は50兆円へと、さらに膨れ上がりますが、GDP「世界第2位」の経済大国である中国にとっては、「たかが知れている」(?)というレベルかもしれません。
シャドバンの恐怖とは「影響が読めないこと」
ただ、古株の金融評論家であればあるほど、この「シャドー・バンキング」、あるいは「理財商品」などの表現には、非常に神経質にならざるを得ません。なぜなら、シャドー・バンキングは一般に、銀行システムの枠外でおカネの融通が行われているという意味だからです。
また、おカネを借りる側も、ケースによっては簿外で資金を調達・運用しているという事例がある、といった仮説もあるようです。
じつは、「中国リスク」の本質とは、「政府統計・企業決算」などの基礎的な情報に関する信頼性が乏しく、実際のところ、どれだけの影響が生じるかよくわからない、という点にあります。
つまり、恒大だけで危機が終わるのか、それとも「連鎖破綻」のリスクが生じているのか、「連鎖破綻」の場合にどこまでのカタストロフィが生じるのか、などについては、見極めが難しいのです。
こうしたなか、産経ニュースには土曜日、北京発のこんな記事が掲載されていました。
中国で「第2の恒大」警戒 不動産1日1社が消滅
―――2021/10/2 18:32付 産経ニュースより
産経の三塚聖平記者によると、中国の不動産業界では、恒大以外にも「資金繰りに窮する大手企業の存在が指摘」され、「『第2の恒大』となることが懸念」されており、「習近平政権も混乱が市場全体に波及することを警戒している」、のだとか。
その具体例として産経が挙げるのは、中国不動産大手の「融創(ゆうそう)中国」です。
「中国メディアによると、同社の浙江省紹興市にある子会社が、住宅販売が落ち込んで資金繰りも悪化しているとして地元当局に支援を要請したとされる書簡がインターネット上に流出したためだ」。
ちなみにこの「融創」は業界第4位だそうで、今年6月末時点の負債総額は約9971億元(約17.2兆円)に達するなか、「不動産市場の過熱を警戒する習政権の規制強化で、恒大に限らず業界全体で経営環境は悪化している」としています。
産経ニュースではほかにも、不動産大手の「華夏幸福」が、9月上旬時点で社債の元利払いの不履行に陥っているなどとしており、「規模が小さい企業はより厳しい状況」、年初から「1日平均1社のペースで(不動産会社が)消滅している計算」、などと述べています。
外国金融機関の最大損失は1兆ドル?
もっとも、「中国における統計」の信頼性が低いという点はそのとおりですが、それと同時に、「中国以外の国が中国に対して貸しているカネの額」という統計も存在します。
『実際のところ「中国発の金融危機リスク」はあるのか?』でも紹介したとおり、国際決済銀行(BIS)が四半期に1度公表している『国際与信統計』(“Consolidated Banking Statistics”, CBS)を確認すると、中国が外国の金融機関から借りているカネは約1兆ドルと、決して少なくありません。
もっとも、中国に対してカネを貸している国を列挙していくと、これはこれで興味深いことがわかります(図表2)。
図表2 中国に対する債権国一覧(2021年3月末基準、最終リスクベース)
対中債権国 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
1位:英国 | 2449億ドル | 26.70% |
2位:米国 | 1322億ドル | 14.42% |
3位:日本 | 1043億ドル | 11.37% |
4位:台湾 | 653億ドル | 7.12% |
5位:フランス | 585億ドル | 6.38% |
6位:韓国 | 289億ドル | 3.15% |
7位:ドイツ | 240億ドル | 2.61% |
8位:豪州 | 191億ドル | 2.08% |
9位:カナダ | 168億ドル | 1.84% |
10位:スペイン | 86億ドル | 0.94% |
その他 | 2145億ドル | 23.39% |
合計 | 9171億ドル | 100.00% |
(【出所】 Bank for International Settlements “Download BIS statistics in a single file” のページにある “Consolidated Banking Statistics” を著者加工)
トップに来たのは英国で、その金額は2449億ドルです。
一方、英国と並ぶ金融大国であるはずの米国と日本の対中与信額はそれぞれ1322億ドル、1043億ドルであり、ことに中国の「隣国」であるはずの日本が対中与信で3番目というのも面白いところです(ちなみにこの1043億ドルという金額は、日本のタイに対する与信よりも少ないです)。
また、国際金融の世界ではほとんど存在感がないはずの台湾と韓国の両国が、対中与信ではドイツを抑え、それぞれ4位、6位に食い込んでいるというのも興味深いところでしょう。
ただし、この国際与信統計については、データを提出している国が限られているため、たとえば香港からの中国本土への金融の実情についてはよくわからない、といった問題点もあります。
しかし、その点を除けば、とりあえずは「中国国外の金融機関が中国国内に負っている信用リスク」は約1兆ドルと考えて良いでしょう(なお、これらのうち外貨建ての債務はだいたい6500億ドル程度だと思いますが、これについては機会があれば、別稿にて議論したいと思います)。
ちなみに「外国の金融機関が中国国内に負っている信用リスクが1兆ドル」と聞けばギョッとする人も多いかもしれませんが、そもそも日本の外国に対する国際与信の額は約5兆ドル(※最終リスクベース)でもあります。
最悪のシナリオとして中国経済が破滅的な崩壊劇を迎えたとして、世界の金融システムに直接与えるであろう最大の損害は1兆ドルです(※これら以外にもちろん、外国の銀行、投資家などが保有する中国国内の株式の価格下落、中国発の株安など、直接・間接の影響もありますが…)。
「中華リスク」?なにをいまさら…
さて、当ウェブサイトでは常々、「基本的な価値を共有しない国」と必要以上に関わることの弊害について述べてきたつもりです。
そもそも、古今東西、ありとあらゆる国にとって共通しているのは、国民が平和で豊かに暮らしていけるようになることであり(いわゆる「国益」)、国家のありとあらゆる行動も、究極的には「国益の最大化」にあります。したがって、「国と国とのおつき合い」(すなわち外交)の目的も、この「国益の最大化」にあります。
ただ、日本は自由・民主主義、法の支配、積極的平和主義などの基本的価値を尊重し、実践する国であり、こうした基本的価値を共有していない国とは、おつき合いするだけで大変な負担を強いられるだけでなく、思わぬリスクを招き入れることもあるのです。
その典型例こそ、まさに「簿外債務」「シャドバン」などが公然と市場コンセンサスとして語られるような中国という国でしょう。
近年、中国といえば、東シナ海や南シナ海での違法な軍事活動、香港における強権的な人権弾圧、台湾など周辺国に対する執拗な軍事挑発・威圧などの行動が目立っていますが、そもそも中国という国自体の「14億人の市場」「世界の工場」というキャッチフレーズ自体が非常に怪しいのです。
私たち日本人の多くは、中国の態度にウンザリしながらも、①中国は地理的、歴史的に近く、重要な国だ、②中国は14億人の市場を抱え、日本にとって大切な国だ、③中国は日本企業にとっての生産拠点として重要だ、といった「幻想」に取り憑かれているのではないかと思うのです。
ただ、『国基研で「数字で読む日中関係」について意見交換した』などでも報告したとおり、そもそも日本が中国に対し、例年、莫大な貿易赤字を計上しているという実態を見れば、「14億人の市場」云々が幻想であることはすぐに証明できます。
いずれにせよ、恒大の経営危機を眺めるにつれ、個人的には10年以上前から感じていたこの「中華リスク」に対し、「世間はなにを今さら大騒ぎしているのだろう」という気がしてならない、という次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
落ち着かない環境で入力していますので,誤植やミスタイプはご容赦下さい。
恒大を中国政府がどのような形で処理するかは未確定な部分がありますが,海外投資家の投資元本は結構傷付くと思います。日本の年金も少しは買っていたようですね。年金基金総額から見れば微々たるものですが。前にも書きましたが,海外のプロ(級)投資家は,恒大自身による債券損失より,中国の不動産価格が今後下落することを決定づけたことに注目しています。チャイナマネーの市場への流入減少,各国政府のコロナ対策予算減少,アメリカの金利上昇などの要因が重なって,株や債券の上昇基調は反転した,と考えているわけです。もちろん,また上昇する,と考えている人も多いので,上昇局面最後の乱高下はありそうで,上手にその波を拾える人も多いと思います。私は本業があって,株に張り付いているわけではないので,そっちは手出ししていません。
今は,株や債券から引き上げた資金がどこに流れるかな,というほうを注目しています。自分個人の資金についても現金で置いておくのは能がないので,次の運用先を複数検討していて,今,値動きを観察・分析中です。みなさんに発表するのは,もう少し,動きが確定的になってからにしようかと思います。はずれると,批判も大きいようなので。
それから「外国金融機関の最大損失は1ドル」と書かれれますが,バブル崩壊全体での損失はもっと大きいでしょう。損害のかなりは,政府系機関や保険・年金や初心者投資家が負うのでしょうね。
最大のチャイナリスクは,あっても相当先でしょうが,やはり台湾侵攻です。日本やアメリカも参戦するかどうか,非常に不確定です。
中国の不動産バブルが弾けて、中国経済が破綻するという話は、随分と昔から流れてました。
似たような話では、北京オリンピックや上海万博が終わったらというのが有りました。
最初は、そうかと思ってましたが、中国経済が大きくなり過ぎて、何時ごろからか「破綻するかどうかも分からない」と思うようになりました。
中国は、何時何が起こってもおかしくないとだけ、思ってます。
日本は、バブル崩壊を経験していますので、中韓より一周先に居て、その対処法を持っているように思います。
まあ、中朝に比べると日本の不動産は、安いんだろうと思います。
日本の不動産バブルを思い出してほしい。
以下のようなことが言われていた。
「今後東京23区内に居住用マンションが建つことはないだろう」
「日本の不動産は戦後一貫して右肩上がりだ。(だから下がることはない)」
「週日は東京のワンルームマンションから通勤して週末は山梨、静岡あたりの自宅に帰る」
そのころ海外からは日本の不動産価格はバブルだと言われていた。
今振り返ると、どっちが正しかったのかわかりますよね。
つまりマーケットの中にいる人たちはゆでガエルのようになって、異常なことに気が付かない。ただし異常な価格はマーケットのメカニズムでいずれ正常にもどるはず。そのときゆっくり冷えていくか、一挙に下がるか。
100兆円規模の不動産会社の倒産があと5-6社くらい出てくるかな?
“元”で破綻する分には、中国外への影響は大きくない、というのは同感。
だから、些細な事ですが、円やドルに換算した値を載せるのには、注意が必要だと思います。
にしても、中国共産主義が、ここまで不動産に毒されているのは、面白いですね。
まあ、国の発展のプロセスとしては、必要なことなのかもしれませんが。
恒大集団に関して、ちょっと調べてたり考えたりしていたのですが、現状で気になることを整理しておきます。
(リンク先は全て私のブログ記事です。ご注意願います。)
主に証券業界の人たちからは、早くから、
「リーマンショックのような大きな混乱には至らず、中国当局が恒大集団の救済に動き、LTCM破綻時に近い動きになると予想する」
との声が聞こえてきました。
これに関して、以下の3つの観点から異論があります。
(1) 中共は一つではなく、習近平と旧勢力(江沢民派)の権力闘争という背景を考える必要がある
習近平は恒大集団を救済しないでしょう。
これについては、「恒大集団の破綻も「THE LONGER TELEGRAM」から読み解ける」に書いた通りです。
私の場合、THE LONGER TELEGRAM に毒され過ぎているかもしれませんが。
(2) 恒大集団の事案は、日本のバブル崩壊と比較すべき
リーマンショックやLTCMより、日本のバブル崩壊と似ているのではないでしょうか?
この場合、うまく行けば、問題は中国の長期低迷だけで済みます。
ただ、物流の混乱により、世界中で悪性のインフレが発生しないかが心配です。
(3) LTCMの場合救済することで巨額の利益を得られた可能性がある
LTCMは、大き過ぎてつぶせなかったのではなく、救済することにメリットがあったのではないでしょうか?
流動性危機に遭遇してはいたが、市場が安定し歪みが解消されれば利益を産むポジションを、LTCMは多数保有していたはずです。
市場を安定させると共に、そのポジションを引き継ぐことにより、実際には巨額の利益を得た者がいたのではないでしょうか?
恒大集団の場合、中国の住宅バブルがよほど続かない限り、救済しても直接の利益は得られないでしょう。
最も関心があるのは (3) なのですが、情報が得られませんでした。
詳しい方がいらっしゃいましたら、お教えいただければ幸いです。
なお、リーマンショック化する恐れも、完全には否定できません。
これについては、「恒大集団は誇大妄想集団も破綻させるのか」に書いた通りです。
5年ほど前に、計画ベースで34億人分と言われてた住宅開発。
鬼城に住む人も無し。
立ち並ぶ高層ビル群が、魄〔タマシイ〕の鎮座を待つ墓標のように思えてなりません・・。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
中国政府が、この後、中国不動産業界をどうしようとするかは、中国貧困層が「恒大企業集団の現状を見て、ざまぁみろ、と思う」か、それとも、「恒大集団の破綻で、貧困層に想定外の悪影響が出る」かで、決まるのではないでしょうか。(もっとも、「ざまぁ、見ろ」と思っていても、自分たちの生活に悪影響が出れば、騒ぎだすでしょうが)
もしかしたら、中国のネットで、「恒大集団の破綻で、生活に困る貧困層」の映像が出回るかもしれません。(この映像がファクトなのか、フェイクなのか、盛っているかは分かりませんが)
蛇足ですが、「コロナ渦のなか、中国不動産業界が不況になれば、失業者が増えるぞ」と、中国当局を脅すところが、出てくるかもしれません。
駄文にて失礼しました。
列車事故のときと同様、被害者ごとなかったことにするアル。
イーシャ様
>列車事故のときと同様、被害者ごとなかったことにするアル。
その被害者が外国人でも、一般人なら、なかったことにする。
破綻額が額だから
無理に救済しようとしたら、それこそ失業者が増えるのでは?
恒大を含め中共の住宅問題で、マスコミが負債予定額をドル・円・元で表示している事が
大きな問題です。 元建部分と円建・ドル建等外貨部分と分けるべきです。
元部分だけなら中共国内の問題で、それが銀行等金融機関か闇金融かは問題では
ありません。中共内部で処理すれば良い事だからです。
円部分とドル部分等外貨部分がどれだけあるかが、問題なのです。
外貨部分はだいたい怪しげなファンドの中にこっそり潜んでいる事が多いからです。
年金運用とかファンドで個別に解るのであれば対処できますが、丸ごとファンドだと
対処方法がありません。(ミソもクソも一緒にしてAAA格付けする為)
リーマンショックでの問題が、これでした。
何故か、日本のマスコミ報道の一部に恒大を助けるべきとの論調がありますが
日本が助ける意味がありません。