韓国メディア「輸出規制で安倍破産」

今朝方の『対韓輸出管理適正化措置は「意図せざる経済制裁」に』では、日本政府が昨年7月1日に発表した対韓輸出管理適正化措置に関する雑感を掲載したのですが、ある意味予想どおり、韓国メディアもこれに関する記事を出して来ているようです。そこで本稿では今朝の続きとして、韓国メディアの反応を紹介しつつ、今後数年かけて日本の産業が向かうべき「方向」について探ってみたいと思います。

「意図せざる制裁」の意味

対韓輸出管理適正化措置は「意図せざる経済制裁」に』では、日本政府が昨年7月1日に発表した対韓輸出管理適正化措置が、もともとは対韓経済制裁・報復を目的としたものではないにも関わらず、「意図せざる経済制裁」となりつつあるのではないか、と述べました。

その理由はもちろん、韓国側の振る舞いにあります。

日本政府のこの措置に対し、韓国側は当初から「不当な輸出『規制』だ」として激しく反発し、無関係な国際会議の場で日本を糾弾するなどを繰り返した挙句、重要な協定の破棄や対日WTO提訴などの措置を講じました。

これについて当ウェブサイトでは、韓国の外交はまるで北朝鮮にそっくりだと思っていますし、韓国の今回の行動については、まさに「ウソツキ外交」、「告げ口外交」、「瀬戸際外交」などのインチキ外交のパターンがいくつか示されたと考えているほどです。

パターン①ウソツキ外交

7月12日に経産省が韓国の求めに応じて「事務的説明会」を開催したが、韓国は一方的に「第1回目の日韓協議」「韓国は日本に立場を伝えた」などウソの内容を発表し、経産省が即否定して韓国に強く抗議した(『信頼に値しない国 やはり「言った言わない」の展開になった』等参照)

パターン②告げ口外交

7月24日にWTO一般理事会で韓国政府が日本の輸出管理に関する運用体制変更の「不当性」を訴えたが、主要国から無視された(『現代版「ハーグ密使事件」?WTO直訴事件の当然の顛末』参照)

パターン③瀬戸際外交

8月23日に日本に対し『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(俗称「日韓GSOMIA」)の終了を通告し、11月22日に事実上の撤回に追い込まれた(『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』等参照)

つまり、当初は日本政府側に対韓経済制裁の意図はなかったものの、韓国がこのような振る舞いを続けること自体が、国と国との信頼を喪失させ、日韓関係の基盤を着実に侵食していることは間違いないと考えている次第です。

韓国メディアのどこかズレた「危機感」

こうしたなか、輸出管理適正化措置1年目を迎え、韓国側の思考の一端に触れられる記事を、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に発見しました。

韓日「通商戦争」に広がった歴史問題…譲歩なき「チキンゲーム」に?

歴史問題によって触発された韓日葛藤が通商・貿易戦争に広がりながら両国のドミノ式対応が譲歩なきチキンゲームへと突き進んでいる。<<…続きを読む>>
―――2020.07.01 07:48付 中央日報日本語版より

記事冒頭から、「歴史問題によって触発された韓日葛藤が通商・貿易戦争に広がり」…、といった記述があるとおり、異なる次元の問題を混ぜこぜにしてしまい、かなり支離滅裂気味に暴走している記事です。

中央日報が挙げる具体的な「韓日葛藤」とやらは、日本政府が29日に開始した韓国産炭酸カリウムのダンピング販売容疑に対する調査です。

中央日報はこれについて、「輸出『規制』に続く報復措置」の可能性がある、などとしたうえで、与党「ともに民主党」関係者からはこうした調査自体が「韓日経済戦争だ」とする批判が出ている、と述べています。いわば、「歴史問題に経済問題で報復する」というストーリーですね。

そのうえで中央日報は、

このように、韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決によって始まった日本の輸出規制など報復措置が施行されて1年が過ぎたが、韓日両国はどちらも一歩も引く気はないようだ。

と評しています。

あたかも輸出管理適正化措置自体が自称元徴用工問題に対する報復であるかのような書き方もそうですし、また、輸出管理適正化措置を「輸出『規制』」と誤記している点については一種の「お約束」のようなものでしょう。

中央日報の「譲歩なきチキンゲーム」というタイトルからは、「日韓双方がお互いに譲歩しないことで日韓関係が破綻に至るかもしれない」、という危機意識は感じ取れますが、次元がまったく異なる問題を混ぜこぜにしてしまうと、解決できる問題も解決できなくなってしまいます。

そういえば、『共同通信「韓国の反発は必至」→本当に反発して来た』でも紹介したとおり、共同通信が「日本政府高官が米国政府に対し、韓国のG7参加に反対すると表明した」と報じたことを受けて、韓国側では対日批判が相次いでいる話も、似たような文脈で整理すべきなのかもしれませんね。

「安倍破産」という意味不明な用語

その一方で、同じく中央日報には、「むしろ日本が困っている」「安倍破産だ」とする記事も掲載されていました。

【コラム】「安倍逆風」 結局は現実になったが…

日本が輸出規制を断行してから4日でちょうど1年となる。<<…続きを読む>>
―――2020.07.01 07:51付 中央日報日本語版より

冒頭から間違っている記事です。日本は韓国に対する輸出規制を(まだ)実施していないからです。

ただ、記事の「見どころ」はそこではありません。

『安倍破産』は1年で現実になった。世界1位のフッ酸企業の日本のステラケミファは出荷量が1年前に比べ30%減少した。

フッ化水素を生産する日本企業、なかでもステラケミファが対韓輸出管理適正化措置により、業績が大きく悪化したことは確かでしょう(この点については同社の2020年3月期有価証券報告書P10にも明記されています)。

しかし、ステラケミファは「破産」していません。最終利益自体は2019年3月期と比べて減っていることは事実ですが、それでも2020年3月期も連結ベースで20億円弱の最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)を計上しています。

普通に営業を続けていて利益を計上し続けている会社を「破産」と呼ぶのもなかなか凄い話ですね。

もっとも、日本政府が講じた輸出管理適正化措置を受け、韓国側がフッ化水素などの国産化を図っていることは事実ですが、『【補遺】韓国で国産化したフッ化水素は5Nに過ぎない』等でも触れたとおり、例の「5N/12N」問題は見逃せません。

5Nとは純度が99.999%、つまり「9(nine)が5つ並ぶ」という意味ですが、日本企業が生産しているフッ化水素は、最近だと99.9999999999%(つまりN12)というものも存在しており、その純度がまったく異なるのです。

ちなみに当ウェブサイトによくコメントを下さるイーシャ様という読者の方は以前、「純度とは不純物が混じっている割合のことである」という趣旨のご指摘をされていました。

5Nの場合、言い換えれば、「0.001%の割合で不純物が含まれている」という意味であるのに対し、12Nの場合は「0.0000000001%の割合で不純物が含まれている」、という意味です。いわば、ミネラルウォーターと便所の水(?)くらいの違いでしょうか。

日本にとって韓国はバイパス可能

さて、『日本経済にとっての「韓国洗濯機」、今こそ買い替え時』なども含め、いつも当ウェブサイトで申し上げているのが、「洗濯機理論」です。

これは、「それがぶっ壊れてしまうと困る」し、「高いカネを払って投資している」という意味で、日本から見た日韓関係とは、家庭生活でいう洗濯機や冷蔵庫のような「高価な生活必需品」のような存在だと考えるとわかりやすいのではないか、という議論です。

たしかに洗濯機が壊れると家庭生活はさまざまな不便を強いられますが、「近所のコインランドリーを使って急場を凌ぐ」ということもできますし、サイフに余裕があれば、「週末に家電量販店に出掛け、すこし奮発して最新の洗濯乾燥機に買い替える」ということも可能です。

この点、日本にとっては韓国は資本財や中間素材を輸出する相手国ではありますが、それはあくまでも「オンリーワン」の存在ではありません。

もちろん、韓国は地理的に日本に近い国ではありますが、結局のところ、日本の産業を徹底的にベンチマーキングしてきた結果、産業構造も日本の劣化コピーのような存在に過ぎません(※もっとも、徹底したベンチマーキングの結果、半導体など一部産業は韓国に乗っ取られてしまいましたが…)。

逆にいえば、日本の産業が今後も生き残っていくためには、カギとなる技術を韓国(や中国、その他の外国)に握られない形にしながら、「ある国との関係が死活的に重要だ」という状況を作り出さないようにしていくしかない、ということでもあります。

ただし、現在のような産業面の日韓分業関係があと10年も続けば、そのうちカギとなる技術を韓国の側に握られてしまい、日本が韓国に対して産業面での優位を失ってしまうこともあり得るかもしれません。

その意味では、日本にとって韓国が「洗濯機」でいる間に、「株式会社ニッポン」にとってはサプライチェーンを組み直す良い機会です。武漢コロナ禍を受けた「脱中国」もにらみつつ、今後数年をかけて、「株式会社ニッポン」のサプライチェーンの組み替えが進んでいくことを期待したいと思います。

読者コメント一覧

  1. 年とともに丸くなった より:

    ん〜…韓国、日本の輸出管理にいたるところで「被害なんてないもん!(涙)」って言ってますね。
    大統領自らも何度も言ってる。
    日本政府はWTOのパネルが開かれたら「んじゃ被害ないのに何で提訴したの?」って記事の切り抜きでもWTOの皆さんに見せつつ(笑)聞いてみたらどうでしょう?
    あと「洗濯機理論」ですが、会計士様は韓国への評価が高いな…
    私なら「サンダル理論」ですかね。
    べランダに洗濯物干すために置いといた量販店で買ったサンダルがダメになった〜。
    今度買いもの行ったついでにやっすいヤツ買おう〜っと!
    …ですかね(笑)

  2. G より:

    5Nと12Nの一番わかりやすい違いは価格だと思うんですね。
    どなかた一般的な価格を出していただけないでしょうか。

  3. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (なにしろ、韓国のことで頭に血が上っているので)

     (「いざとなれば、中国の属国に戻ればよい」と考えている)韓国を
    除いて、世界中のどの国も、新型コロナウィルス感染により、国家破産
    して、どこかの国の経済的支配を受けるという可能性は、ゼロではあり
    ません。だから、どの国も、それを避けるために頑張っているのですが
    韓国メディアでは、日本だけを取り上げて書いているのです。

     蛇足ですが、(妄想と言われれば、それまでですが)韓国は「韓国が
    日本より偉い」教の国です。それだけなら、他国にも例がありますが、
    韓国の場合は、ほとんどの日本人が異教徒であることに我慢できずにい
    ます。そして韓国政府は、その日本に対して宗教戦争を仕掛けているの
    です。そして宗教戦争では、異教徒との約束を守ることは罪になるので
    す。

     駄文にて失礼しました。

  4. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    なんか、最近の日韓の展開、特にコロナ禍以後は、韓国の雑なプレーにより、日本が圧倒的に優位に立ってます。以前から大概、どの案件も制してましたが、日本側にソツが無くなり、モレ、悪手がなくなりました。「意図せざる経済制裁」となっていますネ。

    「安倍破産」「ステラケミファの出荷量30%落ち」、、、いやいや全然大丈夫ですよ。これだけ輸出出来ない状況なのに、3月期も連結ベースで20億円弱の最終利益を計上。およ!御堂筋に本社があるのですか?いいなぁ~(笑)。

     「韓国洗濯機」論、私は韓国製洗濯機など、保有していても仕方ないと思います。聞こえは悪いし、カッコだけ良くて、高価な割に性能悪いし(働かん奴やのう~)、ちゃんと汚れ取れてますか?逆に洗濯して汚れませんか?保証も無いよ(笑)。

    今、世間では犬、猫のペットブームです。洗濯機を2台置けるなら、人間用は洗面所、ベランダで雨風当たってもいいなら、ペット用洗濯機にすればどうでしょうか?大切な高価な品ではありません。

  5. 元城南都民 より:

    >これは、「それがぶっ壊れてしまうと困る」し、
    >「高いカネを払って投資している」という意味で、
    >日本から見た日韓関係とは、家庭生活でいう洗濯機や冷蔵庫のような
    >「高価な生活必需品」のような存在だと考えるとわかりやすいのではないか、という議論です。

    何年か前の貧乏な学生時代にホームセンターで買ったLGとかDEWOOの洗濯機でしょうか?
    最初から変な音がしていたけど最近はますます異音がひどくなって、
    正直捨てて買い換えようかと思っている。

    ホームセンターでハイアールのものに買い替えてもいいし、
    最近は社会人として頑張ってるのでお給与もあるし、
    もっと良いものを買っても良い。

    そんなふうに考えてるのにますます音がひどくなって・・・。

  6. ad より:

    そもそも根拠が日本のバカ新聞の記事・・・というか最初からこれが目的で書いた記事でしょう
    で、次は韓国の新聞様がこうおっしゃっているぞ!アベガーとやる段です

  7. より:

    韓国政府や韓国メディアが「NO JAPANで日本経済は大打撃を蒙り、もはやフラフラの状態だ」などという妄想を声高に叫び続けているのは、そうであることにしないと反日を煽ってきた手前カッコが付かない、あげく煽動そのものが虚構に過ぎなかったことがバレちゃうからですね。韓国側に相当な損害が生じていることをさすがに全部は隠しおおせないので、日本側にも同等かそれ以上の損害が出ていることにしないと、すべての設定が崩壊しかねないばかりか、不便や損失を強いられた国民から総攻撃されかねませんのでね。

    今や日本は韓国の手前勝手な設定には一切付き合ってもらえないのだということを、いい加減韓国人は理解するべきですね。

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