東京都知事選と「ホリエモン新党」巡るストーリー

東京ローカルの話題で大変恐縮ですが、そろそろ東京都知事選の時期がやって来ます。今回の都知事選は7月5日に投開票が行われる予定ですが、一部メディアの報道によると、現職の小池百合子東京都知事が再選を目指し、立候補する「意向を固めた」のだそうです。その一方で、「ホリエモン」の愛称で知られる実業家の堀江貴文氏や「N国党」の立花孝志代表らの動きが、今ひとつ、よくわからないのですが、これについてどう考えれば良いのでしょうか。

小池百合子禍

東京ローカルの話題で申し訳ありません。

早いもので、小池百合子東京都知事が当選した前回の都知事選(2016年7月31日執行)から、もうすぐ4年が経過します。

前回の選挙では、自民党東京都連が推す元岩手県知事・元総務大臣の増田寛也氏と「保守分裂」選挙となったにも関わらず、また、民進党や共産党などが著名人である鳥越俊太郎氏を推薦したにも関わらず、小池氏が291万票を得て圧勝しました。

図表 2016年東京都知事選 おもな候補と得票数、所属、当落
候補者名得票数所属・当落
小池 ゆりこ2,912,628無所属=当選
増田 ひろや1,793,453自民・公明など推薦、無所属
鳥越 俊太郎1,346,103民進・共産など推薦、無所属
上杉 隆179,631無所属
桜井 誠114,171無所属
マック 赤坂51,056無所属
七海 ひろこ28,809幸福実現党
立花 孝志27,242NHKから国民を守る党
高橋 しょうご16,664無所属
中川 ちょうぞう16,584無所属
その他 11名60,021
投票数合計6,546,362

(【出所】東京都選挙管理委員会『東京都知事選挙(平成28年7月31日執行) 投開票結果』より著者作成。候補者は)

投票総数655万票に対し小池百合子氏が獲得した票数は291万票であり、全体のじつに44%を制し、法定得票数(最低これ以上の得票がないと当選できないとされるライン)の163.7万票をも大きく上回った格好です。

政局で威力を発揮してきた小池節

当ウェブサイトなりの勝手な決めつけで恐縮ですが、そもそも小池氏といえば、メディアをうまく味方につけた人物でもあります。

実際、安倍政権が「もりかけ問題」によるマスメディアの攻撃に苦しんでいる2017年7月に行われた都議会選(定数127)で、自身が率いる「都民ファーストの会」が55議席(※追加公認含む)を獲得して圧勝し、自民党は57議席から23議席へと半分以上減らす惨敗となりました。

(※余談ですが、自民党の惨敗には東京都連会長の下村博文衆議院議員の責任も大きかったのではないかと思う次第ですが、恐ろしいことに、下村氏は2019年から自民党選対委員長を務めているのだそうです。自民党さん、下村氏に選対委員長を任せても大丈夫ですかね?)

勢いに乗った小池氏は、同年9月に安倍晋三総理大臣が衆議院の解散を決断したタイミングで、「希望の党」なる国政政党を立ち上げ、追い風に乗って衆議院で多数を得ようとしたのですが、ここに誤算が生じました。

当時最大野党だった民進党が衆議院議員選挙で候補者の公認をしないとする方針を決めたのです(『自爆スイッチを押した前原の「敵前逃亡」』参照)。

そのうえで、民進党は丸ごと「希望の党」に抱きつこうとしたものの、小池氏が「排除の理論」を持ち出し、「排除」された人たちが集まってできたのが立憲民主党であり、その立憲民主党が同年10月の衆院選で最大野党に躍り出たのです(※最大野党といっても獲得議席率は12%に過ぎませんでしたが…)。

つまり、小池百合子氏は要所要所でメディアを味方につけ、一種の「小池劇場」のようなものを展開してきたのだ、という言い方もできるのかもしれませんが、さすがに国政に手を出そうとして民進党に「抱きつかれ」て大失敗したのは彼女なりの誤算だったのではないでしょうか。

あるいは、2017年7月にメディアが「もりかけ問題」を大々的に展開したことが、かえって日本国民の「メディア離れ」のきっかけとなった、というのが正確なところなのかもしれませんが…。

「7つのゼロ」のうち5つは「達成ゼロ」

さて、4年前、都民から圧倒的な支持を得て当選した小池氏ですが、その小池氏は「政治ゲーム」以外に何かを成し遂げたのでしょうか。

ここで改めて振り返っておきたいのが、彼女が掲げた公約のなかで著名な「7つのゼロ」です。

  • ①待機児童ゼロ
  • ②残業ゼロ
  • ③満員電車ゼロ
  • ④ペット殺処分ゼロ
  • ⑤介護離職ゼロ
  • ⑥都道電柱ゼロ
  • ⑦多摩格差ゼロ

このうち「満員電車ゼロ」は確かに達成できましたが、彼女のいう「2階建て通勤電車などを推進することの結果として」ではなく、「コロナショックの結果として」偶然達成できてしまったものに過ぎません。4年経過して明らかに達成できているのは「ペット殺処分ゼロ」のみです。

また、築地市場の機能を移した豊洲市場が開場したのも、結局は予定より2年遅れた10月11日のことであり、その時点で、築地市場の移転などを前提とした環状2号線の整備も2020年に予定されていた東京五輪は間に合わないことが確定してしまいました。

(※もっとも、武漢コロナ蔓延の影響で東京五輪が1年延期されたことで、結果的に環状2号線は東京五輪には何とか間に合う可能性も出て来ているのだと思いますが、これも小池氏の「功績」ではありません。)

また、「メディア受けの良さ」を利用し、最近だとコロナ対策で「オーバーシュート重大局面」なるフリップを掲げて記者会見に臨んだりしていますが(『「オーバーシュート重大局面」でも買占めは控えるべき』等参照)、東京都の感染の収束を小池氏の功績と見て良いかについては議論があるところでしょう。

N国?ホリエモン?

さて、産経ニュースは本日、小池知事が再選を目指して、7月に行われる都知事選に立候補する「意向を固めた」と報じています。

小池百合子都知事、知事選出馬へ 6月10日にも表明で調整

東京都の小池百合子知事(67)が都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)に再選を目指して立候補する意向を固めたことが27日、関係者への取材で分かった。<<…続きを読む>>
―――2020.5.27 12:16付 産経ニュースより

小池氏が当選するかどうかは、結局、東京都民がこの4年間をどう評価するかという点に掛かっているのだと思いたいところですが、ここにきてもうひとつ、興味深い動きもあります。「ホリエモン新党」です。

堀江貴文氏 ホリエモン新党設立会見に「俺何も知らんので絡まれても困る」

実業家の堀江貴文氏(47)が26日、「ホリエモン新党」を設立したNHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)が行った会見の内容に困惑してみせた。<<…続きを読む>>
―――2020年05月26日 17時09分付 東スポWebより

検索サイトで見つかる記事は東京スポーツなどのスポーツ紙が配信したものが多いようですが、概要をまとめておくと、「NHKから国民を守る党」(N国党)の立花孝志代表は5月26日午後、都庁で会見を開き、「ホリエモン新党」という名前の地域政党を設立したと発表。

立花氏は政党名を巡って親交のある事業家・堀江貴文氏の「許可を取った」などとしているそうですが、これに対し堀江氏の側は「何も知らない」、「聞いていない」などとするコメントを発表した、などとしています。

また、いくつかのメディアの報道によれば、「立花氏自身が東京都知事選に立候補する」だの、「堀江貴文氏も都知事選に立候補する」だの、「堀江氏のイベント企画を行う会社の代表である柏井茂達氏(36)が立候補する」だのといった情報も乱れ飛んでおり、正直、これについては狙いがよくわかりません。

ネットで流れる「噂」

こうしたなか、あるツイッター・ユーザーの投稿内容に、興味深い記述がありました。

要約すると、次のような内容です(文中敬称略)

  • ①N国の立花孝志が政治団体「ホリエモン新党」を立ち上げる。表向き、堀江貴文は「関係ない」と関与を否定する。
  • ②都知事選には現職の小池百合子以外に、堀江貴文(無所属)、立花孝志(ホリエモン新党)、小池百合子(同姓同名・無所属、ホリエモン新党が後援)が出馬する。
  • ③立花孝志と「同姓同名小池百合子」は選挙活動中、街頭演説や政見放送で堀江貴文を持ちあげ、これにより選挙に無関心な都民に「1対3」の構図を見せつけつつ、堀江貴文の票を増やす効果を狙う。
  • ④立花孝志自身は投票日直前になって立候補を取り下げ、「自分に投票しようと思っていた人は堀江貴文に投票を」と呼びかける。
  • ⑤「同姓同名小池百合子」には「小池」と書かれた疑問票を割るという狙いがあり、「現職小池百合子」と「同姓同名小池百合子」の得票比率に応じて案分される。

…。

にわかには信じられない内容ですね。

ちなみに立候補に必要な供託金300万円は、立花氏、堀江氏にとっては少額であり、それでいて街頭やテレビで3週間も大騒ぎでき、話題も掻っ攫うことができるなど、非常にコスパの良い宣伝戦術だ、というのがこのツイート主の見立てです。

ストーリーとしても、それなりに面白いですね(※もし彼らが本当にそういうことを考えているからといって、べつに褒めているわけではありませんが…)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

とくに、このストーリーに出てくる「同姓同名」戦術というものについては、その戦略が相手の票を削ぐのに有効かどうかは別として、公選法の穴を突いた戦略でもあります。

実際、『静岡の補選で自民勝利 ついに「野党利権」が崩壊へ?』でも触れたとおり、N国党は衆院補選で野党統一候補である田中健氏(42)と票を割るために、同姓同名の田中健氏(54)を立てたという実例があります(※といっても票を割る効果はほとんどなかったようですが…)。

それに、「『小池百合子』を候補として立てるぞ」というのは、実際、毎日新聞が4月11日付記事『N国、同姓同名「小池百合子」擁立も 立花氏「新型コロナ対策受け入れなければ」』でも触れられているので、あながちでっち上げでもなさそうです。

当ウェブサイトとしては、今のところ小池氏、堀江氏、立花氏などを具体的に「推す」という考えはないのですが、都知事選については何らかの波乱があってもおかしくはないと思っている次第です。

読者コメント一覧

  1. 心配性のおばさん より:

    肝心の東京都民はどう思っているのかしら?

    いえ、東京都は一地方自治体とは違います。都政が日本政治にも及ぼす影響を考えると私たちにも腹立たしく思う権利ぐらいありますわよね。

    「N国党」の立花孝志さん、お調子に乗り過ぎではありませんの。政治はおもちゃじゃありませんのよ。

  2. ブルー より:

    スマイル☆のマック赤坂、頭が良くなるナントヤラのドクター中松、パワートゥザピポーのアイムユウヤウチダ、スクラップアンドスクラップの外山恒一、我々は放送出来ないよいなところから生まれてきたんでしょうか後藤輝樹、腹を斬っての又吉イエス、といった歴史に堀江エクスカリバーアルマーズ貴文が新たに加わるんですか。胸熱だなあ。

  3. だんな より:

    都知事の投票は、名前を書く方式なんですかね。

  4. 匿名希望 より:

    いつもありがとうございます。
    当方横浜市民ですので、言う資格はなさそうですが、小池さんて何かしましたっけ。実績あるんですか。 
    オリンピックで騒ぎ、今回の武漢肺炎で騒ぎ、訳のわからない横文字でごまかすだけとしか傍目には見えません。テレビで知られた芸人や、タレントが票を集めるというのはもういい加減にしてもらいたいものです。国会議員や知事はそんな簡単な仕事ではないでしょう。会社の社長を選ぶのにこんな風に選びますか。
    たった一票ですが、面白半分に扱うと結局投票した側の不利益なるだけではありませんか。

    1. 匿名 より:

      あと豊洲でも騒いでましたね。

  5. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    都知事選の件、3年前にもコチラにコメントさせていただきました。何かと話題になりますネ。前回は選挙結果を「何故小池百合子を選ぶのか」「有り得ない選択」と書くと、集中砲火を浴びましたよ(笑)。人気あったんですね〜。

    革新都政で有名?な美濃部さん(公営ギャンブル廃止、後楽園競輪潰した知事、跡地は今の変な色のドーム)以後で言うと以下の通りです。美濃部亮吉→鈴木俊一→青島幸男→石原慎太郎→猪瀬直樹→舛添要一→小池百合子。

    見事に時の話題の人ばかり当選してます。ま、首都だし話題作りの為にもオールスター級でないと、無名では困りますもんね。しかし、こう並べてみると、ロクな奴おらんな(笑)

    「小池は石原慎太郎の遺産を食いつぶした」という書き込みを見た記憶があります。しかし、石原慎太郎ってそんなに有能な知事だったんですか。う〜ん疑問。今は認知?(失礼)。

    あとホリエモン。あの方、まだ話題性あるのですか?私の頭の中からはほぼ、消えてますが。何とかいうIT企業作ってた頃や刑務所暮しの頃は覚えてますが。

    同姓同名選挙って、スミマセン、あまり興味無いです。仕掛けても静岡で大敗しているでしょう?売名行為というか泡沫候補みたいです。N国党もやる事が理解不能。退場ですね。

  6. 雑把 より:

    新宿会計士 様

    自民党都連、誰を推薦しますかね?
    もし、百合子ちゃんだと都議会は、都ファと自民の連立政権になっちゃいます
    与党になれるし、百合子ちゃん選挙強いので、自民の選挙応援し出すと、
    自民党都連、乗っ取られちゃいますねぇ

    都連をテコに、国政復帰
    私は、その方が怖いです

    ホリエモンなんて推薦したら、独自ネガティブキャンペーン
    ですね、自民党都連

    ハテサテ どうなることやら?

  7. 酒が弱い九州男児 より:

    ツイッターのうわさ、初めて読みましたw
    第一印象は「立花氏ならありうる」です。彼の政策実現のためならなりふり構わない姿勢は一定程度評価していますが、、、

    さて、都知事ですが、都知事はは特に、バランスが求められると思います。
    民意に迎合するだけの舛添じゃだめ、自分のやりたいことだけで周りの見えない猪瀬だとダメ、六角形のパラメータがあれば、円に近い人がいいんじゃないかと思います。円がちょっと小さくても。

    その点、堀江さんも難しいんじゃないですかね。

    私見でした。

  8. 都の東北 より:

    コロナ問題では鬱陶しいほどのメディア露出で、実績なしでの再選対策もバッチリかもしれませんが、カイロ大卒の学歴詐称問題の方は疑惑が深まるばかりで、野村沙知代氏の前例にもあるように、この問題で足をすくわれる可能性もありと睨んでいます。ホリエモン氏については未知数ですが、好き嫌いは別にして多くの都民が都政に興味と関心を持つことだけは確実なので、その行方を注視したいと思います。それ以外の方は泡沫候補で自分の投じる一票が確実に無駄になりそうなのでパスします。

  9. オブ より:

    確かにNHKにも問題はあると思いますが、立花氏も経緯や言動を見ると主張以前にいろいろと問題はありそうですね。堀江氏も意見だけ見れば「まあそう思えないこともないな」と思うこともありますが、話し方が生理的にだめです。いずれも所詮「世の中は広いのでなかにはこういった人もいる」といったキワモノかなと思います。まじめに考えればない選択肢かなと思いますね。

  10. 頓珍韓 より:

    この小さなバケツの中には、ゴミしか入っていません。
    生きるために、私はゴミ漁りをしなくてはなりません。

    綺麗で美味しいものは滅多にありません。
    見かけが悪くても腐っていても、食べられるものもあります。
    そんなものが見つかれば非常にラッキーです。
    しかし、ほとんどは食用になりません。

    ゴミ漁りは危険がつきものです。
    誤って食すと死んでしまうこともあります。
    ロウソクの火で焼いて食べたけど、食した直後から幻覚を見るようになり、崖に飛び込んだ人を私は知っています。
    水曜日になると崖の端っこに立って海に向かって叫んでいるような変わった人でしたから、もともと何か変なものを食べていたのかもしれません。

    私は今、前回食べたもので、おなかを痛めています。
    それは、きれいな白い百合の根っこでした。
    後になって気づいたのですが、百合には食用になるものもあれば毒を含むものもあるらしいです。
    それとも、腐っているものを単に白く塗っただけのものだったかもしれません。
    とにかく、「小さな百合だから大丈夫」と思ったんです。
    今は、失望です。

    すでに希望などはないけど、腹をいためたけど立件などありえないです。
    そんなわけで、また私は手を汚しながゴミ漁りをします。

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