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日本とトルコの通貨スワップがロシアに対する牽制に?

当ウェブサイトでは、国際金融協力の世界における通貨スワップや為替スワップについて、以前からさまざまな議論を紹介して来ました。こうしたなか、中東の地域大国であるトルコが通貨危機のリスクに直面していて、日本や英国などに対し、通貨スワップの締結を要望している、といった報道がなされています。本稿では、トルコの通貨危機と「日土通貨スワップ」の地政学的な意味について、考えてみたいと思います。

スワップが面白い

国際金融協力の世界における通貨スワップや為替スワップといえば、金額的なインパクトが大きいわりには用語が見慣れないこともあり、「いったい何のことを言っているのか?」と疑問に持つ方が多い論点であることは間違いありません。

当ウェブサイトではこのスワップについての一般的な用語を『【総論】4種類のスワップと為替スワップの威力・限界』あたりでもまとめていますが、ごく簡単に内容を振り返ると、次のような意味合いがあります。

図表1 国際金融協力の世界におけるスワップ
用語 概要 当ウェブサイトの略し方
①二国間通貨スワップ 二国間の通貨当局同士が締結する、お互いに通貨を交換する協定 Bilateral Currency Swap Agreement を略してBSAと呼ぶことがある
②二国間自国通貨建て通貨スワップ 二国間の通貨当局同士が締結する、お互いの自国通貨同士を交換する協定 Bilateral Local Currency Swap Agreement を略してBLCSAと呼ぶことがある
③多国間通貨スワップ 多国間の通貨当局同士が参加する、お互いに通貨を交換する協定 Multilateral Currency Swap Agreement を略してMSAと呼ぶことがある
④為替スワップ 相手国の通貨当局を通じて民間金融機関に対して短期資金を貸し出すための協定 Bilateral Liquidity Swap Agreement を略してBLAと呼ぶことがある

(【出所】著者作成)

スワップあれこれ

単純ではない「スワップ考」

よくお隣の国から出てくる「韓日通貨スワップが必要だ!」などと称するときの「通貨スワップ」は、上記のうちの①のことで、韓国が米ドルなどの外貨不足に陥った際に、日本の通貨当局(米ドルは財務省の外為特会、日本円は日本銀行)からハード・カレンシーを融通してもらうための協定のことです。

なお、日銀の過去の報道発表などを読んでいると、②や④については厳密に区別していないこともあるようであり、たとえば、外国の通貨当局と結んだ為替スワップのことを、英語では “Local Currency Swap” 、つまり上記図表でいう②のカテゴリーで発表しているケースもあります。

いずれにせよ、重要なポイントは、国際金融協力の世界でいう「スワップ」とは、通貨当局同士が直接、通貨を交換するための仕組みである、という点です。

多くのケースでは、通貨ポジションが強い国(外貨準備が潤沢な国や自国通貨が国際的に通用する国)の通貨当局が、通貨ポジションが弱い国(外貨準備が少ない国、自国通貨が国際的に通用する通貨ではない国)を助ける、という意味合いが強いです。

ただ、近年では日米英欧瑞加6ヵ国が相互に常設・金額無制限の為替スワップを締結するなど、必ずしも「強い国が弱い国を助ける」という意味合いがあるものではありません。理屈のうえでは英国の銀行が円資金不足に陥るときに「日英為替スワップ」で円とポンドを交換するという取引も考えられるからです。

実際、英国の欧州連合(EU)離脱に備え、英欧の中銀が「英欧為替スワップ」を発動する準備に入った、などと報じられたこともありました(『ブレグジットの混乱で日英為替スワップは発動されるのか?』等参照)。

日本は12ヵ国・地域と14本のスワップを保持

また、日本の場合、多国間通貨スワップの一種である「チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)」を除くと、12ヵ国・地域と合計14本のスワップを締結していますが(図表2)、これらも単純なものではありません。

図表2 日本が諸外国と締結するスワップ(CMIMを除く)
契約相手 交換上限 交換条件
米連邦準備制度理事会(FRB) 無制限 (為)日本円と米ドル
欧州中央銀行(ECB) 無制限 (為)日本円とユーロ
英イングランド銀行(BOE) 無制限 (為)日本円と英ポンド
スイス国民銀行(SNB) 無制限 (為)日本円とスイスフラン
カナダ銀行(BOC) 無制限 (為)日本円と加ドル
豪州準備銀行(RBA) 1.6兆円/200億豪ドル (為)日本円と豪ドル
中国人民銀行(PBOC) 3.4兆円/2000億元 (為)日本円と人民元
シンガポール通貨庁(MAS) 1.1兆円/150億シンガポールドル (為)日本円とシンガポールドル
タイ中央銀行(BOT) 8000億円/2400億バーツ (為)日本円とタイバーツ
インドネシア銀行(BI) 227.6億ドル (通)日本円または米ドルとインドネシアルピア
フィリピン中央銀行(BSP) 120億ドル (通)日本円または米ドルとフィリピンペソ
シンガポール通貨庁(MAS) 30億ドル (通)日本円または米ドルとシンガポールドル
タイ中央銀行(BOT) 30億ドル (通)日本円または米ドルとタイバーツ
インド準備銀行(RBI) 750億ドル (通)米ドルとインドルピー

(【出所】日銀『海外中銀との協力』のプレスリリース、財務省『アジア諸国との二国間通貨スワップ取極』等より著者作成。「交換条件」欄に(為)と示しているものが為替スワップ、(通)と示しているものが通貨スワップ。なお、通貨スワップについては「相手国が日本から引き出す際の条件」のみを記載している)

目的に応じてさまざま

このうちインドとの750億ドルの通貨スワップ、インドネシアとの227.6億ドルの通貨スワップ、フィリピンとの120億ドルの通貨スワップなどは、明らかに相手国の通貨当局が外貨不足に陥った際、相手国を助けるための協定です。

しかし、日本が中国とのあいだで保持している日中為替スワップの場合は、どちらかというと未熟な中国の資金市場で日本の金融機関が発行した人民元建ての債券「パンダ債」などの償還ができなくなった場合などに備え、人民元流動性を中国本土で確保する、という意味合いがあります。

実際、日中為替スワップを「通貨ポジションが弱い中国を通貨ポジションが強い日本が支援するための通貨スワップだ」などと勘違いした人も多かったようですが(『通貨スワップと為替スワップを混同した産経記事に反論する』等参照)、これは通貨スワップと為替スワップの違いを理解していない暴論でしょう。

さらに、最近だと米国が諸外国と締結している為替スワップを巡り、日米為替スワップの引出残高が圧倒的な額を占めていますが(図表3)、これには「日銀の資金が巡り巡って米国債などの買い支えに使われている」、という側面もあります(『日米為替スワップは「日本が米国を助ける手段」なのか』等参照)。

図表3 2020年5月14日(木)時点の米ドル建て為替スワップ実行額
相手先 金額 平均金利/日数
日本銀行 2202.32億ドル 0.34%/80.99日
欧州中央銀行 1432.15億ドル 0.36%/81.73日
イングランド銀行 258.80億ドル 0.34%/68.36日
韓国銀行 187.87億ドル 0.62%/83.89日
スイス国民銀行 100.60億ドル 0.33%/82.01日
シンガポール通貨庁 84.24億ドル 0.53%/79.71日
メキシコ銀行 65.90億ドル 0.77%/84.00日
ノルウェー銀行 54.00億ドル 0.34%/84.00日
デンマーク国民銀行 42.90億ドル 0.34%/82.36日
豪州準備銀行 11.70億ドル 0.32%/84.00日
カナダ銀行 なし
NZ準備銀行 なし
スウェーデンリクスバンク なし
ブラジル銀行 なし
合計/平均 4440.48億ドル 0.37%/80.72日

(【出所】ニューヨーク連銀の “Central Bank Liquidity Swap Operations” のページにあるエクセルファイル “U.S. Dollar Liquidity Swap – Operation Results” を参考に著者作成)

このように、スワップ協定は「A国がB国を助ける」という単純なものではないというのが、国際金融協力の世界の面白さでもあるのだと思います。

「日土スワップ」構想

通貨スワップを欲しがる国

さて、この通貨スワップをしつこいほどに欲しがる国がいくつかあるのですが、そのうちのひとつが、トルコです。

トルコといえば、サウジアラビアと並び、「G20」入りしている中東の地域大国ですが、通貨的に見れば、なにかと問題が多い国でもあります。というのも、トルコの通貨・リラ(TRY)は、ときどき、「プチ暴落」を発生させています。

たとえば、2018年8月には米国とトルコの外交関係悪化などを契機に、トルコリラが米ドルに対し、年初来40%も一気に下落するという「トルコ・ショック」が発生し、アルゼンチンなどいくつかの国に飛び火しました(『トルコ・ショックはアルゼンチン、韓国などに波及するのか?』参照)。

また、その後も2019年4月にはトルコの金融政策に対する不信感から「トリプル安」や外貨準備の急減などに見舞われる(『トルコショック再び?怖いのは局地的ショックではなく波及効果』参照)など、トルコの金融市場は安定していません。

さらに同年7月にはレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が中央銀行のムラート・チェティンカヤ総裁を電撃的に解任し、後任にはエルドアン氏に「忖度」するムラート・ウイサル副総裁が昇格したことで、中央銀行の独立性に疑義が生じ、トルコからの資金が流出しやすい状況が続いています。

そして、こうした状況に襲い掛かったのが、例の新型コロナウィルス騒動です。

先月、ロイターにこんな記事が出ていました。

Turkey in talks over currency swaps with central banks

Turkey is holding talks with central banks on new swap agreements, Central Bank Governor Murat Uysal said on Sunday, as it seeks funds to contend with the economic impact of the coronavirus outbreak.<<…続きを読む>>
―――2020/04/19 23:20付 ロイターより

ロイターの4月19日付の記事によると、コロナ感染拡大の影響で欧州向けの輸出が急減するなどの状況を受け、トルコ中銀のウイサル総裁が「複数の外国中央銀行との間で」通貨スワップの締結を要望していると述べたそうです。

ロイター記事ではウイサル総裁が具体的な相手国を明らかにしたわけではないとしつつも、「同国中央銀行関係者の話」として、米FRB、イングランド銀行(BOE)の実名を挙げていますが、この記事から1ヵ月が経過したにも関わらず、現時点に至るまでに米国や英国とのスワップは締結されていません。

なにより、もともとトルコは数年前から為替介入を繰り返すなどして外貨準備の「実弾」が尽きかけていたようですが、このような記事が出て来ること自体、トルコがいよいよ通貨危機のリスクに直面しているという証拠にも見えます。

トルコが日本にも支援を要請?

さらに、この記事には「続報」もあります。

Lira firms against dollar as Turkey searches for foreign funds

The recently embattled Turkish lira edged up on Friday and held gains from late Thursday following reports that officials held talks with counterparts in Tokyo, London and elsewhere over new possible foreign funding.<<…続きを読む>>
―――2020/05/15付 ロイターより

先週金曜日のロイター記事配信によると、トルコ当局が協議中の外国に、日本も含まれているのだそうです。ロイターの記事自体は、

トルコの中銀が日本、英国と新規の通貨スワップを開設する交渉を行っているほか、カタールや中国との通貨スワップをさらに拡充する交渉を行っている、などと地元メディアが報じたことで、トルコリラの価格が落ち着いた

という内容のものです。

ちなみに、あまり知られていませんが、トルコ中銀は中国人民銀行との間で2012年2月21日に100億元・30億リラを上限とする通貨スワップ協定を締結していて、2015年11月16日にこれを3年延長したと発表しています。

この通貨スワップ協定が現在も有効なのかどうかは不明ですが、もしこれが生きていたとしても、正直、金額的にも少なすぎますし、人民元自体が国際的に利用可能な通貨ではないという事情もあるため、中国とのスワップがトルコの通貨危機を防ぐのに役立つとも思えません。

しかし、日本とのスワップであれば、日本円自体が国際的に広く通用するハード・カレンシーであるという事情に加え、財務省が保有する140兆円にも達する外貨準備から米ドル建ての通貨スワップを提供することも可能です。

したがって、トルコも本音では日本との通貨スワップを欲しがっているのではないでしょうか。

通貨スワップは相手国を見極め、戦略的に!

ひるがえって日本はどうすれば良いのでしょうか。

正直、トルコが通貨危機のリスクに直面している理由は、多分に「自業自得」という側面が強いです。

新興市場諸国にありがちな「高度経済成長」に乗っかったまでは良かったものの、エルドアン政権の人気取り政策による利下げが行われたことでインフレの制御に失敗し、通貨価値が順調に下落し、輸入品物価がますます上昇するというスパイラルに陥っているからです。

コロナショックに見舞われ、輸出などに大きな打撃を受けたこと自体は「不幸」ですが、そもそも金融政策運営に失敗しつつあったツケがここにきて噴出しているという側面も強く、その意味で本当の原因は「エルドアン政権による中央銀行への介入」という政策ミスでしょう。

もっとも、日本はほかの多くの国と違って、非常に特徴的な通貨スワップを提供することができる国です。

そもそも日本円自体が非常に強い通貨であるため、円建ての通貨スワップは相手国の信用を補完するうえでは非常に有効な政策手段ですし、また、財務省が潤沢に保有する外貨準備からは、米ドル建ての通貨スワップを提供することも可能です。

いや、日本は本来、日本円という通貨自体の信用が高いため、140兆円という巨額の外貨準備を必要とする国ではありませんが、それと同時にすぐに円転できるような金額でもありません。その意味では、140兆円の外貨準備については戦略的に「スワップ外交」などに活用すべきでしょう。

さらにいえば、トルコは中東の要衝に位置していますし、トルコがその気になれば、クリミア半島を拠点とするロシアの海軍の動きを封殺することもできます。また、日本とトルコの関係が非常に良好であれば、北方領土交渉においても有利に働く可能性もあるでしょう。

その意味では、数十~数百億ドル程度であれば、トルコの通貨危機を防ぐための「日土通貨スワップ」締結を検討するのも良いのではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • トルコは、国民的には親日国でもあるし、できたら助けたいところなのですが、政府が必ずしも親日ではないことと、新宿会計士さんがおっしゃるように、経済の舵取りの面で不安があるのが心配ですね…
     
    実際、スワップを結んだとして、日本にどのようなメリット(外交的、あるいは経済交流的に)があるのだろう?と気になっています。

  • トルコが困っているのは、韓国にもスワップ要請している事から間違い無いと思います。
    トルコとのスワップを結ぶのであれば、韓国を排除しなければなりません。日韓両方とのスワップは、無しにする約束なら、トルコと締結しても良いと思います。
    韓国が考えるスワップは、自分が得するかどうかですから、自慢するだけで結ばないように思います。
    その一方で、日本が割り込んで来たとか、邪魔したとか言うんでしょうね。

  • 心情的にはトルコの助けになれればと思いますが、武漢肺炎以前から経済運営に問題があり、通貨下落を続けてきたことが根本原因である以上、むやみに手を貸すべきではありません。それこそIMFの出番です(IMFが救済できる程度の経済規模かどうかは別として、原則は貫くべきです)。
    さらに、韓国にも通貨スワップを結ぼうと言っているようですから、三角スワップを防ぐ観点からも、敢えて静観すべきと考えます。

    • イーシャ 様

      いつもコメントありがとうございます。

      >韓国にも通貨スワップを結ぼうと言っているようですから、三角スワップを防ぐ観点からも、敢えて静観すべきと考えます。

      日土通貨スワップにご指摘の懸念があるという点については、まったくそのとおりです。
      さっそく本文で使わせていただきます。
      引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  • トルコは、親日国でもあり、エルドアン以前の世俗的イスラムの国であれば、スワップを締結することが適切であったかもしれません。
    しかしながら、エルドアンはイスラムへの回帰を進めており、ケマル主義からの脱却を図っています。これがもとで、米国・欧州にとっての中東の橋頭堡の地位を棄てようとしています。普遍的な人権(特にイスラム教以外を信仰する者に対するものや、クルドを含む「トルコ人」以外であると自認している者に対するもの)を制限しようとしている以上、EUからは非難されるでしょう。さらに、石油価格下落に伴う中東諸国の困窮や、コロナに伴うEUの経済的苦境により、トルコ経済のさらなる悪化は避けられないと思われます。現状のトルコに力を貸すことは、お金を棄てるつもりなら「あり」ですが、WIN-WINを考えるなら今は、「無し」だと思われます。世俗主義への回帰があってからが適切だと思います。

  • 日本あたりがスワップしてしまうと、その後後続処理まで全部寄りかかられてしまいます。
    まっとうにIMFに出てもらって、その活動を日本が支援するようにしたほうがいいとおもいますね。

  • トルコへの親善懐柔外交を対露外交の布石に使う、というのは悪くないと思います。
    考えられる未来に渡ってロシアはソ連時代の栄華は取り戻せないと思われ、状況で価格が上下するエネルギー輸出もロシアを二度と往年の地位には戻さないでしょう。財政的にも往年のようにアメリカに軍事的に伍する事などもう無理でしょう。そんな状況であれば外交だけでロシアを制する事も可能かも知れません。

  • 理屈はわかりますが、日本にとってはシーレーンより向こう側の国の優先順位は低いですから可能性は高くないでしょうね。素人の文くんならわかりませんけど

  • 少なくとも現在の状況では日本として通貨スワップなどの形でトルコに深入りするのは避けるべきですね。

    昔からトルコは親日国と言われていますし実際にも救援機を飛ばして中東に残された日本人を助けてくれたケースもあるので、日本としてもトルコの人々が海外で困っている際の人道支援はどんどん行うべきだとは私も思いますが、通貨スワップとなると話は全く別です。

    その最大の理由はエルドアン大統領がトルコをかつての世俗国家からイスラム教国家へと変貌させつつあり、更に日本の最重要同盟国であるアメリカとトルコとの関係が急激に悪化して来たからです。

    特にトルコに対して厳しい姿勢を貫いているトランプ大統領が再選されれば米土関係は更に悪化しかねないですし、トルコ側の対応によってはアメリカ側は経済制裁の最も軽いステップぐらいはやりかねない。

    せっかくイスラム教を信仰する人々の国でありながら世俗主義を受け入れて近代国家になりNATOにも加盟して西ヨーロッパのロシアからの防衛にも貢献していたトルコをイスラム教のほうへ向かわせた恐らく最大の理由は、西ヨーロッパ(EU)がトルコのEU加盟希望に対して極めて冷淡に対応し続けて来たからです。

    従ってトルコ問題はヨーロッパに責任を取らせれば良いのです。地理的にも隣接し、トルコが経済破綻して経済難民が発生すれば押し寄せる先のヨーロッパにです。トルコの経済問題を最終的には無視できないという意味で当事者になることが宿命付けられているのはヨーロッパであって日本ではないのですから。通貨暴落から経済破綻への道をトルコが歩んで経済難民が押し寄せるのは困るならばEUがトルコに対して通貨スワップを提供すれば良いのです。

    トルコ問題に関しては日本としてはあくまでも人道的な問題が起こった場合の対応だけで良い。トルコに限らず中近東の国々は国毎に複雑な内部事情や歴史的経緯、更にはアメリカやヨーロッパとの複雑な利害関係を抱えており、韓国ごときにさえ甘い汁を簡単に吸われ続けて来てしまう日本の幼稚な外交センスのレベルでは難し過ぎる国ばかりです。従ってトルコも含めて中近東の国々の問題に関して日本は不用意に口を挟まず、人道支援だけに徹することです。

    • 迷王星様の言う通りだと思います。

      かなり昔ですが、アラブ人・トルコ人(両者ともイスラム教スンナ派)と一緒に仕事したことがあります。その経験から言うと、トルコ人は、同じスンナ派のアラブ人たちから軽蔑され、のけ者にされているように見えました。多分、イスラム国のくせにキリスト教同盟であるであるEUに加盟を希望するなど、そのコウモリ的振る舞いが、アラブ人からは裏切りに見えたのだと思います。また現在のアラブ諸国は、かつてはオスマントルコ帝国の支配下にあり、往時の支配者に対する反感もあるのかなと思って見ていました。さらには、人種的にも、トルコ人はモンゴル高原を源故郷としており出自を異にしていることも理由の一つでしょう(トルコ人は、中国歴史にも、狄、鉄勒、突厥などとしてしばしば登場する)。

      そのようなトルコが、現在は、東西ヨーロッパ、中東アラブ諸国、ロシア、イラン、クルド地域などの中心に位置している訳です。トルコへの影響は、これらトルコを取り巻く地域に波及するでしょう。東アジア外交にだけでも大した成果を出せず、四苦八苦の日本が、情緒だけの生半可な覚悟でチョッカイを出せるような処ではないと思います。無論、ロシアにはせせら笑われるだけで、牽制にも取引カードにもならないでしょう。

    • 迷王星さまの言われるとおりと思います。今のトルコのエルドアン大統領はアメリカに喧嘩を売りまくっていますので、トルコとスワップなんぞ結ぼうものならアメリカが激おこになると思料します。それに、トルコには難民カードがありますから、にっちもさっちも行かなくなった場合にはEUに泣きつくでしょう。

      アメリカには断られ、日本にもいい返事をもらえず、それにしても、韓国にまでスワップを要請するとは、面白いというか、韓国が受けるかどうか見ものですね。まあ、受けない方に賭けますけど。
       
      NEWS.U.S というサイトにこれに関する話題がありました。まあ、このサイトは話半分くらいに眺めておくサイトなんですが、これに関するいくつかの報道記事が載せられており、こちらは、うまくまとめられています。

      それにしても、トルコリラのFXで大損した日本人はそこそこいるでしょうね。メルマガでトルコリラの投資を勧めていた人もいましたし、高金利スワップに釣られてロングのポジションで爆死した人もいるでしょうな。

      トルコの経常収支は慢性的な赤字続きですし、その上、アメリカに喧嘩売りまくりの国の通貨なんて爆弾みたいなものとしか私には思えませんが。

      ただ、かなり昔(とはいっても第二次安倍内閣)にたしか日本とトルコと間で通貨スワップの協定を結んだという記事を見かけたような気がしますが、私の勘違いだったかなあ。

    • 親日国と二言目に言われているトルコですが、親韓国であることをちゃんとご指摘になる向きがないことには、当方危惧を覚えます。

  • 日本・トルコ友好って「こころのともよ!」的なんですよねえ。なんか。

    S-400問題なんかでも、不要の対米対立を招いている現政権に肩入れする必要はありません。

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