日米ともに株価が急落 下落率では「米国>日本」

本日の「速報」(?)です。日経平均株価が前場時点で1500円近くも暴落する展開となりました。

株安が止まりません。

今週月曜日の『総理、「リーマン級のショック」は生じていますよ!』では、「日経平均が(終値ベースで)1000円以上下落したのは、2000年以来では過去に7回あった」と報告したのですが、その月曜日の終値も1000円以上の下落となったため、あらためて修正しておきましょう。

【参考】2000年以降、日経平均が終値ベースで1000円以上下落した事例
  • ①2000/04/17 (月)…1426円04銭安→日経平均の銘柄入れ替え
  • ②2016/06/24 (金)…1286円33銭安→英国のEU離脱(ブレグジット)
  • ③2013/05/23 (木)…1143円28銭安→日銀金融緩和直後で市場が不安定?
  • ④2008/10/16 (木)…1089円02銭安→リーマン経営破綻後の金融危機局面
  • ⑤2018/02/06 (火)…1071円84銭安→米株下落を受けた株安
  • ⑥2020/03/09 (月)…1050円99銭安→コロナショック
  • ⑦2011/03/15 (火)…1015円34銭安→東日本大震災後の株安
  • ⑧2018/12/25 (火)…1010円45銭安→株高の調整?

こうしたなか、『日経225先物 リアルタイムCME SGX』というウェブサイトでチェックすると、本日の日本の株式市場では、前場引け時点で日経平均は前日比1,478円49銭下落の17,081円14銭で、下落幅としてみると前引け時点では2000年4月17日を上回っています。

ただ、いまやわが国は、先進国中、新型武漢コロナウィルスSARS-CoV-2感染者数やその感染症である武漢肺炎COVID-19発症者数が最も少ない国のひとつですが、そのわが国の株価がここまで下落するのは不自然な気もします。

しかし、マーケットは世界中がつながっています。

昨日、米国の株式市場は大混乱に陥っていて、ダウ工業平均株価指数は2,352.60ドル下落し、21,200.62ドルで引けています。世界的なリスク選好の後退のなか、わが国の株価も米国の影響を受けるのは当然のことといえるかもしれません。

ただ、意外なことを報告しますと、昨日までの時点では日経平均、ダウ30種ともに急落しているものの、この3週間で比較すると、下落率として見ればダウの方が酷いです。ためしに、昨日時点の株価について、1週間前、2週間前、3週間前とそれぞれ比較してみましょう(図表1)。

図表1 日米株価比較(1週間前、2週間前、3週間前)
比較時点日経平均ダウ30種
3月12日と3月4日の比較▲12.98%▲18.84%
3月12日と2月27日の比較▲15.44%▲17.72%
3月12日と2月20日の比較▲20.95%▲27.44%

(【出所】WSJのマーケット欄より著者作成)

つまり、株価の落ち込みは米国の方が日本よりも大きいのです。これについてはこの3週間の株価の動きをグラフ化することで、よりいっそう明白になります(図表2)。

図表2 日米株価比較(2月20日以降)

(【出所】WSJのマーケット欄より著者作成)

その理由は、おそらく、米国の方が日本と比べて、ボラティリティ(値動きのブレ幅)が大きいからでしょう。これについて調べてみると、図表3のとおり、株高のときも株安のときも、総じて米国の株価の方が大きいことがわかります。

図表3 日米株価前日比(2月20日以降)

(【出所】WSJのマーケット欄より著者作成)

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

理由はよくわからないのですが、なぜかわが国は円高になれば株安、円安になれば株高となる傾向があります(※ちなみに経済新聞などを読むと、判で押すように、「円安になれば輸出企業の業績が良くなることが材料視される」、などと解説されることが多いです)。

ただ、本日に関しては、この相関は崩れていて、為替市場では本日、瞬間風速的に1ドル=106円台につける円安局面もあったのですが、それでも株価は絶賛下落中です。本日、これから株価がさらに下落するのか、戻すのかは、現時点ではよくわかりません。

しかし、WHOによれば、武漢コロナ感染者数では日本はすでにスイスに抜かれて11位に転落する一方、イタリアが12,000人超、フランス・スペインが2000人台、ドイツが1500人超という状況であり、また、米国も1000人台への到達を目前に控えている状況だそうです。

これが本格的な世界恐慌に突入するとなれば、政策当局者としては看過できないのではないでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     本日は13日の金曜日です。そのため心理的な影響で、株価下落に更なる
    追い打ちになることもあり得るのでは。

     駄文にて失礼いたしました。

  2. 閑居小人 より:

    年金生活の我が家。
    こんなに株価が下落して年金基金は大丈夫なのか。
    経済や市場に全く疎いので、こんな心配しか思い浮かばず、つまらないコメントをしてしまいました。

    1. とある福岡市民 より:

      閑居小人 様

       大丈夫です。年金基金は市場の指数に連動して増減するよう株式と債権を組み合わせて投資してますので、好景気なら数兆円単位で増え、不景気なら数兆円単位で減る仕組みになってます。いつかは必ず好景気が来ますから楽しみに待ちましょう。

       また、高齢者が受け取る年金のうち、年金基金の運用益は1割程度です。残りは税金が2割、年金保険料が7割。どちらも若い世代が払っている分で賄われてます。私も毎年たーくさん、回収不可能な額の税金と保険料を払ってますよ(泣)

    2. 成功できなかった新薬開発経験者 より:

      閑居小人様、とある福岡市民様

      預言者ではないので保証はできないのですが、
      多分、大丈夫。

      ミクロ的なことは、とある福岡市民様の説明の通りです。

      マクロ的には、国の経済は家計とは全く違っています。

      年金基金の資産はほとんど円建てです。穴があいたら、
      日銀がお札を刷って、貸付で埋めることができます。
      この貸付には、立法措置が必要ですが、国民(有権者)が
      困っているときに立法措置ができないわけがありません。

      で、お金が世間に回るとインフレが心配です、が、今はデフレ、
      国内に供給力が有り余っています。
      供給力がフル稼働して、経済にはむしろ好循環。

      株価は浮き沈みするもので、心配するほどのものではありません。
      今まで、沈没したのは、借金(ドル)で回していた国だけです。

      財務省やマスコミは国の経済を家計になぞらえて説明していますが、
      それが誤解を招いているようです。

      金融会社等、不安をあおる営業をしているので、不安をあおられる
      ことが多いと思いますが、営業トークに心を惑わす必要はありません。

    3. 団塊 より:

      安心してください。
      年金基金は、超超超大金持ちなんですよ。

      年金機構の配当金が毎年何兆円

      2001年度~2018年度

      累積収益額は、プラス65兆8千億円

      2018年度の運用資産だけで約160兆円

      そして、こういう大暴落こそ超大金持ちは資産を増やす。
      勿論、我が国の超超超大金持ち年金基金も大暴落で資産が大きくなる、そういう仕組みになっている。

  3. G より:

    期間限定の消費税免除はあり得ますね。
    消費税免除ったって言うなれば1割引ですし、10万円配るったってたかが10万円。じゃあ何が意味あるかと言えばその心理的効果ですね。やったー消費税免除だー。期間限定なら駆け込みしなきゃでかなり消費刺激効果あります。株価も急回復するでしょう。心理的効果を測定するのに株価はなかなか意味あると思います。

    10万円配る作戦はどう配るかという平等性の問題があります。うまく不満なく配るにはかなりのコストがかかります。そしてせっかくのお金も借金返済だったり貯蓄だったりで経済刺激しない可能性も高いです。
    かたや消費税免除は消費税徴税の現在の仕組みを流用するもので、新たなコストは最小限で済みます。平等性の問題も生じにくいです。

    新宿会計士さま的には恒久措置でしょうが、最終目的がそこにあるとしてもまずは期間限定にして駆け込みを呼び込むのが得策かと思われます。それでもしデメリットが甘受出来るのなら恒久消費税免除も自然と議論されるようになるでしょう(繰り返しますが私は恒久消費税減税に否定的です)

    1. 匿名 より:

      >繰り返しますが私は恒久消費税減税に否定的です

      だれもあんたの意見なんか聞いちゃいないって。

    2. 引っ掛かったオタク より:

      いやーゼロ%は無理じゃないかと消費税

      とりあえず九割引の1%でいっときマショ

      1. G より:

        免除なら税金徴収のコストもなくなります。案外1%残すよりも国の負担は小さいかも。税務署員ちょい暇かもしれませんが。

  4. 匿名 より:

    株は下がればすぐ上がるよ。下がりっぱなしなど無い。

    1. 匿名 より:

      え?・・私の予想など聞いてませんか? 失礼しました。

  5. 匿名 より:

    ドイツのアレは日本には影響は無いのでしょうか

    1. 製造業SE より:

      ドイツ銀行の社債はソフトバンクも絡んでいると聞いたことがあります。専門家でないので詳しいことは分かりません。

    2. 愛読者 より:

      「パニック的な急落は買い」というのは定石ですが,底値の判断が難しいので,底値近辺と思われるところで小刻みに買いを入れていくしかありません。下げすぎた分はすぐ戻しますが,経済のファンダメンタルが弱いので,戻りは限定的だと思います。ドイツ銀行の噂はダウにも日経平均にも大きく影響していると思いますよ。コロナだけではここまで下げないと思いますから。

      1. とある福岡市民 より:

        愛読者 様

         今日の相場は確かに急落ですけど、思った程は下がってくれませんでした。優待と配当狙いの銘柄を買うつもりで値下がりを待ってたのですが、あと数十円というところで反転して値上がりしました。
         あともうちょっとだったのに……orz

         安倍総理も財務省を無視して思い切った景気刺激策を取る事はできないと思いますので、この下げ相場はしばらく続くでしょう。次のチャンスを気長に待ちます。メインのインデックスファンドも安く仕込める絶好のチャンスですから弾込めをしなくてはいけません。

        1. 愛読者 より:

          > 優待と配当狙いの銘柄を買うつもりで
          現在ドイツのDAXも上げていますので,今日の東京市場のは大陰線だった可能性が高いと思います。でも,個人的には戻りはあまり期待していません。戻した後,何度か山と谷を繰り返しながら下落していくのが過去の相場で,大底は半年以上先だと思います。優待と配当狙いの長期保有の株を買うのはもっと先で,今は短期の値ざや狙いかと思います。海外市場では天井から大底まで8割近く下げた前例もありますから,この程度の下げでは大底ではないでしょう。日経平で均も半額くらいは想定しておかないと。
          DAXを見る限り,ドイツ人は,ドイツ銀行は大丈夫だと判断しているのでしょうか。

        2. とある福岡市民 より:

          愛読者 様

           詳しい解説をありがとうございます。配当、優待狙いはもう半年我慢した方がいいですかね。
           短期売買を少しやった事がありますが、チャートがしょっちゅう気になって疲れてしまい、私には向いてないと思いました。それで基本はインデックスファンドを定期購入し、気が向いた時に配当と優待狙いの銘柄をキャピタルゲイン度外視でちょっとだけ買う事にしてます。テストに例えると、しっかり勉強して高得点を狙うより、最低限の勉強で平均点を狙う感じです。
           私の場合、普段は相場を考えない方が長続きするみたいです。

  6. 豆鉄砲 より:

    中韓よりも先にワクチンを作りたいですね。世界恐慌を救い、パワーバランスを失わない為にも。

  7. DAN より:

    アベノミクスの失敗がウンタラカンタラと、ヤフコメに溢れているのですが、アベノミクスが欧米の株価にここまで影響すると本気で考えているのであれば、びっくりですw

  8. 豆鉄砲 より:

    アメリカに感染拡大ということがマーケットに与えた動揺が大きかったという事なんでしょうね。トランプ大統領や側近が発表した対応策も頼りなかったというところでしょうか。市場の世界でもアメリカが持っている信用はスーパーパワーですねぇ。

  9. TDN学生 より:

    こんなこと言うと不謹慎に聞こえるかもしれませんけど、ある意味、今はピンチかもしれませんが、それをチャンスに変えれないかなと考えております。今、世界的な需要は「コロナの特効薬」です。日本がもし「コロナの特効薬」を作って、世界的な販売に乗せられれば、コロナで受けたダメージは取り戻せると考えております。

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