中央日報「経済報復で日本の対韓輸出が減少」
先ほどの『令和元年度の貿易収支が赤字 データで状況を確認する』でも紹介した、わが国の貿易統計(速報値)に関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日、「韓国に対する日本の輸出高は、日本の経済報復措置により影響を受けた」などと報じています。現時点における所見ですが、明らかに韓国国内における「ノージャパン」運動の影響を受けて減少したと思しき輸出品目もありますが、日本の対韓輸出高の低迷は日本が輸出管理適正化措置を発表する7月以前から始まっていたものであり、純粋に半導体産業などの業績低迷によるものと考えた方が自然でしょう。
ナチュラルにウソをつくメディアというものがあるのは困りものです。
先ほどの『令和元年度の貿易収支が赤字 データで状況を確認する』では、財務省が本日公表した貿易統計についての状況を紹介したのですが、これに関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)にこんな記事が掲載されていました。
日本の昨年貿易赤字1兆6738億円…対韓輸出12.9%減少(2020.01.23 11:28付 中央日報日本語版より)
中央日報の記載は、こうです。
「日本は昨年韓国との貿易で輸出が前年より12.9%減少した5兆441億円、輸入が9.1%減った3兆2287億円を記録した。韓国に対する日本の経済報復措置により乗用車、半導体製造に必要な化学物質、ビールなどが輸出に影響を受けた。」
中央日報さん、ナチュラルにウソをつくのはやめていただけませんか?(笑)
そもそも論ですが、日本は韓国に対して「経済報復」などしていません。日本政府が昨年7月1日に発表したのは輸出管理の適正化措置です。
『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』や『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』でも述べましたが、輸出管理適正化措置とは戦略物資の軍事転用などを防ぐための輸出管理上の措置に過ぎず、貿易報復でもなければ経済制裁でもありません
なにより、中央日報の記事は事実関係が間違っていて、日本の韓国に対する輸出高が減少に転じたのは、2019年1月以降の話です(図表1)。
図表1 韓国への輸出高(合計)
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
また、対韓輸出高のなかで最大の比率を占めているのが「機械類及び輸送用機器」ですが、この品目については7月を境に大きく落ち込んだという事実はありません(図表2)。
図表2 韓国への輸出高(機械類及び輸送用機器)
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
ただし、品目によっては確かに大きく落ち込んでいる項目もあります。
たとえば、「化学製品」というカテゴリーは、たしかに8月以降、何となく落ち込みが確認できますが(図表3)、これは個別許可制度の導入に伴い、一部の化学製品について対韓輸出が停滞しているという可能性はあります。
図表3 韓国への輸出高(化学製品)
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
また、「飲料及びたばこ」のカテゴリーについては「激減」と言っても良い状況ですが(図表4)、ただ、この品目はもともと金額として非常に少なく、2017年以降で見ても、最大でも十数億円といった水準に過ぎません。
図表4 韓国への輸出高(飲料及びたばこ)
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
以上より、日本の韓国に対する輸出高については、昨年7月の輸出管理適正化措置を受けて、一部品目で対韓輸出高が減っていることは事実ですが、これについては単純に、「用途確認ができない化学製品の対韓輸出高が減少した」というだけの話なのかもしれません。
さらに、「ノージャパン運動」により一部の品目の輸出が打撃を受けていることは事実ですが、そもそも日本の対韓輸出品目は「消費者向け」というよりも「企業向け」が多く、現時点では、消費者の「ノージャパン」運動が日本の産業に与えている影響はごく限られていると結論付けて良いでしょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただし、「機械類及び輸送用機器」のジャンルの対韓輸出高が低迷しているのは、やはり米中貿易戦争との影響は否定できないでしょう。具体的には、韓国が本来の「強み」を持っていた半導体産業などの分野の業績が低迷している、という可能性です。
こうしたなか、気になる記事が、中央日報に掲載されています。
韓経:「米中貿易第1段階合意で韓国半導体輸出が打撃受ける可能性も」(2020.01.23 07:29付 中央日報日本語版より)
日韓の産業構造などから判断する限り、日韓貿易は日本の輸出管理適正化措置よりも、むしろ、米中貿易戦争などの外部要因による影響の方が大きいと考えた方が良いでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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日本語には「タバコ銭」という言葉がありますが、まさにそれw
ホワイト国(グループA)から外れると,韓国の銀行が輸入業者に発行する信用状に対して,邦銀がさらに与信をを付けるのが従来ほどスムースには行かなくなり,さらに日本の金融当局の指導・介入の余地が増えるというような話があったように記憶します.素人故本当の意味を理解しているとは言いがたいのですが,こうしたことがこのところの日本の対韓輸出の減少,さらにはかなりの減少傾向にある最近の韓国の輸入額全体にじわじわ影響してきているということはあるのでしょうか? 詳しい方がいらしたら,お教え願えればと思います.
なんとなくですが・・。
信用状の件は、韓国の銀行が振り出したものを邦銀が引き受けることによって「連帯保証」をつけている形だったと思います。
これはこれで、日本の輸出企業に対しての決済目的でしたらごく当然の業務にすぎないんですよね。
ですが、第三国に支所をもつ邦銀が当該国の輸出企業に対する韓国振り出しの信用状を引き受けているので、結果として「韓国の銀行に邦銀が保証をつけている」との状況が生まれしまってるのでしょうね。
よく聞く「みずほから韓国輸出入銀行への5億ドル融資」の話も、当初から「このお金を使って決済しなさい。但しうちの銀行を使うこと」だったのでしょうが、手数料で元は取れたのでしょうか?
その後の満期償還2018.8?の話も聞かないし、期限直前に発行したサムライ債で借り換えたのだとしても返済されてないことには変わりありません。
使い倒されたあげくの寄付行為にならなければいいんですけどね・・。
*****
望むも望まぬもなく、韓国債や企業の信用が、格付け機関による評価下げを受ければ、OECDが付与してるカントリーリスク評価も必然的に厳しくなり、邦銀は韓国に対しての融資〔信用付与?〕を縮小せざるを得なくなる事態はあり得るのかもですね。
信用状の引き受け自体は、民間企業による合法的な営利活動の一環に過ぎないので、金融当局による指導・介入のためには「何らかの違法行為の是正」のような名分が必要とされるのではないのでしょうか?
カズ様
ご教授ありがとうございます.素人の悲しさ,やっぱりかなり誤解している部分があったようですね.
>格付け機関による評価下げを受ければ、OECDが付与してるカントリーリスク評価も必然的に厳しくなり・・・
ムーディーズが「ネガティブ傾向」からはっきり「評価下げ」に踏み切れば,一気呵成にって可能性アリ!でいいんでしょうか?
私もあまり詳しくはないので・・。
韓国政府 格付け世界大手に日本輸出規制への対応説明
2019.07.24 聯合ニュース
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190724000900882
ただ、日本のホワイト国外しに先駆けての「いの一番の対処」として、世界の大手格付け機関への弁明に馳せ参じたくらいですので、やはり金融が最大の泣き所なのでしょうね。
米中貿易摩擦で、中国がアメリカから買わざるを得なくなった時に、半導体を思い付かないと、駄目でしょう。
随分と前から、分かり切っている話ですね。
半導体が反動して、今年は良くなる話を、してましたよね(笑)
半導体は産業の米、やっぱり米国。
中韓マージン削減のための直取引。
半導体の反動? 反導態の半島?
お疲れ様です。
そういえば、この不買運動をし始めた頃は
日本国内の左巻き含め「これはノージャパンではなくノー安倍政権だ」って主張していましたね。
(これは差別感情ではなくあくまで国に対する抗議という姿勢、大義名分と正当性をアピールしたかったんでしょうね)
もうその設定を忘れたのか、今はノージャパンと悪びれもなく発信しています。
当然、普段から差別反対と叫んでいる左巻きの人々も
それを忘れたか黙認しているのか、だんまりです。
そういうところなんですよ、韓国とそれを無理やり擁護する者達が信用できないのは。