訪日旅客減少はむしろ観光客の中韓依存を是正する好機
日本政府観光局は2019年10月までの訪日外客数の速報値を公表しました。台風などの要因もあったにせよ、韓国人入国者数の激減などが響く格好で、訪日外国人数全体も前年同月比で5%の減少となりました。ただし、先月の『【速報】訪日外国人数が9月としての過去最大値を記録』などでも繰り返し報告しているとおり、「2020年4000万人」という「数字」が独り歩きすることはいかがなものかと思いますし、また、観光需要が中国や韓国などの特定国に依存してしまうのは大いに問題でもあります。
目次
JNTOが最新統計を公表
外国人旅客数の伸びは鈍化
昨日、日本政府観光局(JNTO)は最新の訪日外客数を公表しました(※ただし速報値)。
これによると、2019年10月に日本に入国した外国人の人数は249万6600人で、前年同月の264万0610人と比べて144,010人減少(減少率は5%少々)。
また、2018年11月から2019年10月までの12ヵ月間の訪日外国人の総数は3199万6964人に留まり、外国人旅客数の伸び方が鈍化した格好で、安倍政権が掲げる「2020年に外国人観光客4000万人」目標の達成はますます微妙な情勢です。
そこで本稿では、最新の統計をベースに訪日外国人の状況をチェックしておきたいと思います。
今年の10月は前年同月比割れ
まずは、今年1月から10月までの訪日外国人総数と前年同月比増減の実数を見ておきましょう。
訪日外国人総数と前年同月比増減
- 1月…2,689,339人(+7.51%)
- 2月…2,604,322人(+3.79%)
- 3月…2,760,136人(+5.84%)
- 4月…2,926,685人(+0.90%)
- 5月…2,773,091人(+3.66%)
- 6月…2,880,041人(+6.49%)
- 7月…2,991,189人(+5.62%)
- 8月…2,520,134人(▲2.25%)
- 9月…2,272,900人(+5.25%)
- 10月…2,496,600人(▲5.45%)
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
これで見ると、年初来、だいたい前年同月比プラスを維持してきた訪日外国人数が、8月にいきなりマイナス2%少々に転じ、9月は持ち直したものの、10月にはマイナス5%台に落ち込んでしまいました。これについて、過去4年分の入国者数をグラフ化しておきましょう(図表1)。
図表1 過去4年分の訪日外国人総数の推移
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
2019年9月に伸びたのはラグビーW杯の影響でしょうか。
大きな原因は韓国人入国者数の激減
具体的にどこの国からの訪日客が減ったのかを示すために、10月の単月での入国者数を見てみたのが、次の図表2です。
図表2 過去12年分の「10月の国籍別入国者数」
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
これでみれば明らかなとおり、韓国人入国者が激減したことにより、入国者総数が大きく影響を受けた格好です。ためしに図表1を韓国人入国者に限定して書きなおしてみましょう(図表3)。
図表3 過去4年分の訪日韓国人の推移
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
かなり露骨に、韓国人入国者が減少しています。
韓国人入国者数は次のとおり、前年同月比で8月が48%減少、9月が58%減少、10月が65%の減少であり、減少幅はますます拡大しています。
韓国人入国者数と前年同月比増減
- 1月…779,383人(▲3.04%)
- 2月…715,804人(+1.06%)
- 3月…585,586人(▲5.43%)
- 4月…566,624人(▲11.26%)
- 5月…603,394人(▲5.77%)
- 6月…611,867人(+0.94%)
- 7月…561,675人(▲7.61%)
- 8月…308,730人(▲48.02%)
- 9月…201,200人(▲58.06%)
- 10月…197,300人(▲65.46%)
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
また、入国者に占める国籍別比率で見ても、2019年1月時点では入国者総数に占める韓国人の割合は29%でしたが(図表4)、10月時点ではこれが8%にまで激減していることが判明します(図表5)。
図表4 2019年1月時点の入国者数の構成比
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
図表5 2019年10月時点の入国者数の構成比
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
韓国人入国者数の激減がいつまで続くのかはわかりませんが、年初に30%近くを占めていた韓国人の入国者数の割合が一気に10%を割り込むというのもすごい話ですね。
日本の観光業、不調の兆し?
訪日外国人数は頭打ち
もっとも、韓国人入国者数の激減がなかったとしても、「2020年4000万人目標」の達成は何となく微妙です。
当ウェブサイトでいつも利用するのが、「毎月の12ヵ月間累積入国者数」をグラフ化したものです。
そもそも入国者数は毎月の変動が激しいので、グラフ化するのが難しいのですが、当ウェブサイトでは、
- 2019年10月までの12ヵ月間(つまり2018年11月から2019年10月まで)の入国者数
- 2019年9月までの12ヵ月間(つまり2018年10月から2019年9月まで)の入国者数
- 2019年8月までの12ヵ月間(つまり2018年9月から2019年8月まで)の入国者数
…、といった具合に、毎月、その月に終わる12ヵ月間の入国者数データをグラフ化したものです。
さっそくですが、この「毎月の12ヵ月間累積入国者数」をチェックしてみましょう(図表6)。
図表6 2019年10月までの12ヵ月間累積入国者数
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
グラフだとややわかりづらいので、これを実数にしたうえで前月比増減を取ったものについても示しておきましょう。
2019年10月までの1年間の「12ヵ月累積入国者数」とその前年同月比増減
- 2018年11月までの12ヵ月間…31,081,342人(+10.14%)
- 2018年12月までの12ヵ月間…31,191,856人(+8.72%)
- 2019年1月までの12ヵ月間…31,379,786人(+8.59%)
- 2019年2月までの12ヵ月間…31,474,811人(+7.17%)
- 2019年3月までの12ヵ月間…31,626,991人(+6.23%)
- 2019年4月までの12ヵ月間…31,652,958人(+5.18%)
- 2019年5月までの12ヵ月間…31,750,997人(+4.19%)
- 2019年6月までの12ヵ月間…31,926,407人(+3.55%)
- 2019年7月までの12ヵ月間…32,085,556人(+3.56%)
- 2019年8月までの12ヵ月間…32,027,669人(+3.04%)
- 2019年9月までの12ヵ月間…32,140,974人(+3.80%)
- 2019年10月までの12ヵ月間…31,996,964人(+3.19%)
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
いかがでしょうか。
「12ヵ月間累積入国者数」で見ると、2018年11月までは前年同月比で+10%という強い伸びを続けていましたが、昨年12月頃からこの伸び率が鈍化。2019年6月には+3%にまで低下してしまっていて、ここに韓国人入国者数の減少が直撃した格好となっているのです。
ただ、韓国人入国者数が激減したわりに、前年同月比でいまだに+3%台を維持しているというのも凄い話だと思いますが、伸び率がゼロに近付くのも時間の問題でしょう。
中国人入国者数が頭打ちに
その大きな要因は、いったい何でしょうか。
じつは、あまりメディアが語らないのは、中国人入国者数の伸び率が、そろそろ頭打ちになっていることです。先ほどの図表1を、中国人入国者数に置き換えたグラフを作成しておきましょう(図表7)。
図表7 過去4年分の訪日中国人の推移
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
また、図表7を数字にしておきましょう。
中国人入国者数と前年同月比増減
- 1月…754,421人(+19.31%)
- 2月…723,617人(+1.02%)
- 3月…691,279人(+16.20%)
- 4月…726,132人(+6.26%)
- 5月…756,365人(+13.13%)
- 6月…880,651人(+15.73%)
- 7月…1,050,420人(+19.49%)
- 8月…1,000,639人(+16.34%)
- 9月…819,100人(+25.49%)
- 10月…730,600人(+2.15%)
(【出所】JNTOウェブサイトのデータより著者作成)
これでみると、今年1月以来、訪日中国人数は前年同月比プラスを維持し続けているものの、2月、4月、10月はプラス幅が非常に小さいことが確認できるでしょう(もちろん、台風などの特殊事情もあったのかもしれませんが…)。
思えば、中国人にとって、日本はいちばん身近な「西側諸国」であり、また、「自由な社会」を感じることができる国なのかもしれません。また、韓国は「THAAD報復」、香港は「防犯条例デモ」などの影響で、中国人にとっては訪れ辛い先になっている、という事情もあって、訪日中国人が増え続けているのでしょう。
ただし、中国経済も成長率が鈍化する一方、頼みの輸出は米中貿易戦争の余波で不透明さが増していますし、前年同月比で伸び続けるというのが、いつまでも続くとは考えない方が安全です。
特定国に観光需要を依存することの危険性
さて、図表6あたりを眺めていると、おそらく今年の訪日外国人数は3150~3250万人の範囲に収まるのではないかと思います(韓国人のノージャパン運動次第では下振れするかもしれませんが、それでも3100万人を割り込むことはないでしょう)。
ただ、「訪日客が3200万人だった!」として、素直に喜んで良い、という話ではありません。
そもそも今年を通じた訪日外国人数が仮に3200万人だったとして、「2020年4000万人」目標を達成するためには、来年は今年と比べて25%も訪日外国人が増えなければなりません。
しかし、韓国人入国者の低迷が続けば、どうなるでしょうか。
2018年を通じた韓国人入国者数は754万人でしたが、仮に2020年を通じた韓国人入国者数が半減したとすれば、それだけで400万人近いマイナスのインパクトが生じます。訪日外国人数が今年並みだったとしても、訪日外国人総数は2800万人に減ってしまう、ということです。
日本の観光産業の問題点
この点、当ウェブサイトではいつも次の2点を主張しています。
- 「ビジットジャパン」キャンペーンも良いが、「人数」を目標にすべきではない。
- 特定国からの入国者数が3分の1にも達するような状況は良くない。
この2つの問題点は、じつはセットで考えなければなりません。
「人数」を目標にしてしまえば、手っ取り早く人数を増やすためには、近隣国から格安航空会社などを使ってやってくる、消費単価の低い国の旅行者を取り込むしかなくなります。
それに、今回は韓国の「ノージャパン運動」でしたが、中国が2010年にやった「レアアース禁輸騒動」のようなことが再来すれば、2017年に中国から「THAAD報復」を受けた韓国の例に見るまでもなく、訪日外国人数が急減することにつながりかねません。
実際のところ、韓国人入国者の激減が日本経済にどれほどの打撃を与えているかを考えても、韓国人観光客はもともと支出単価が低いため、日本の旅行支出自体にはほとんど影響を与えていないため(『韓国人観光客が減って旅行収支が過去最大』参照)、今回は韓国だからまだ良かったといえます。
しかし、なまじっか客単価が高い中国人の観光需要に依存することになれば、日本の観光産業の命綱が中国によって握られるという、奇妙なことにつながりかねません。
このように考えていくと、今回の「韓国人入国者数の急減により、訪日外国人旅客数の伸びが鈍化した」というのは、決して悪いニュースではありません。なぜなら、日本が国を挙げて、「観光需要を特定国に依存することのリスク」を強く意識する好機になるからです。
政府も特定国の出身者に観光需要を依存するという状態を作り出さないように、観光ビザ免除措置のコントロールをしっかりとやっていただきたいと思いますし、また、日本の観光産業も、台湾、香港などの親日国や、欧米、豪州などの需要をしっかり取り込むことが望ましいと思うのです。
とりあえず、「2020年4000万人」目標は、さっさと撤回すべきだと思いますが…。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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更新お疲れ様です!
>とりあえず、「2020年4000万人」目標は、さっさと撤回すべきだと思いますが…。
撤回というか修正するのにこした事は無いと思います。
ノルマは達成可能な数値のやや上を設定するのが一般的に望ましいそうですし。
3400万人程度が良いのかもですね。
韓国とは違い、日本は韓国に対するデモがほぼ無いお陰で訪日外国人が政治的緊張を感じずに居られるのは良いところなのかなぁと思います。
> とりあえず、「2020年4000万人」目標は、さっさと撤回すべきだと思いますが…。
「撤回」でも良いのですが、目標を人数から観光収支額に変更するのが良いのではないでしょうか。
量を追い求めた為に、低質の観光客が増え、オーバーツーリズム問題が深刻になって来ました。
低質多勢の外国人観光客が、日本人の国内旅行を圧迫している側面もあり、好ましい状況ではありません。
従って、目標を観光客の 量→質 に切り替える、特定地域偏重を改めることが重要だと思います。
訪日外国人を増やしたいのって、観光業で大儲けってのが一番だとは思うのですが、日本のことを知って好きになってくれる外国人を増やしたいってのもあると思うのです♪
だから、たくさん来ても反日がなくならない韓国は、ターゲットとしては諦めるのが良いと思います♪
政府観光局によると10月も来日韓国人は前年より大幅に減少しています(57.1万人→19.7万人)。また来日外国人総数は14.4万人の減少でした(264.1万人→249.7万人)。国土交通省観光庁の2018年訪日外国人旅行消費額(https://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf)のデータを用いて、来日外国人の10月国内消費額を予測した結果、約4000億円で来日外国人総数が減少したにもかかわらず昨年より100億円近くの増加となりました。地域によっては来日韓国人減少の影響が現れているそうですが、日本全体消費動向としてはプラスになっていると言えます。なお、韓国人来日人数は中国、台湾に続き3番目ですが、消費額は6番目となっておりわずかな差で英国が7番目です。
日本のGDPは500兆円(100%)強、と言われていますがこのまま推移すると、今年の外国人の国内消費額予測は5兆円(1%)弱、韓国人消費額の予測は5000億円(0.1%)を下回り4000億円台前半から半ばかと思います。
韓国人観光客の減少は、外国人観光客全体の構造変化と考えれば、問題有りません。
七誌さんの言う通り、日本に韓国人が来ても、文句を言うか悪さをするか、売春するかです。
日本人が韓国に行く人数と、ほぼ同じになって来ましたので、これが底だと思います。
韓国国内の状況が、これから悪化して行くと想定されますので、ビザ免除を再考する必要があると思います。
訪日観光客数目標も一時的な特定国依存も問題なく、災害や国際情勢で変動する観光業にそれに耐えられる強靱さを身につけさせるのみ。間違っても、特定国の動向で国の基本政策を揺るがす「依存体質」になってはいけないだけ。
韓国は感情だけで動くけど中国は作戦ずくで打撃してくるよ。そもそも弱みをみせないこと。韓国の「不買」に全く動じないことだけが大事。ここでいささかも観光政策変更してはならない。それこそ「うろたえる」姿に映るだろう。
更新ありがとうございます。
2019年10月までの12ヵ月間で訪日客が31,996,964人(+3.19%)なら良いんじゃないですか。問題は中国韓国からが37%も占めている事です。
もっと民度の高い(失礼)国の方が来て欲しい。それと、日本の地形を撮影しまくったり、土地を買い占めしないで欲しい。北海道は危ないでしょ。
10月は訪日客全体で5.5%減というのも、まあ納得です。あれだけ台風や悪天候続いたら。
ワールドカップラグビーは開催地が限定されます。その周辺の観光地だけは潤ったでしょう。
韓国は、まあ増えようが更に減ろうが、どうでもいいです。ビザ免除プログラムを規制強化する方が良いでしょう(笑)。
面白い記事を見つけました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-25/PNDUHO6KLVR401
コラム】経済兵器としての中国人団体ツアー、威力低下へ-ミンター
りょうちん 様
パラオの経緯については
https://www.theguardian.com/global-development/2018/sep/08/palau-against-china-the-tiny-island-defying-the-worlds-biggest-country
“Palau against China. The tiny island defying the world’s biggest country”
(ガーディアン紙 2018/09/08)
こちらが詳しいかと。
ただし、良く読まないと誤読の可能性があります。
(以前自分が読み間違えました…)
更新ありがとうございます。
現状で訪日客の割合上位国については、自然に任せて安易な優遇策を講じなければ、特に増え過ぎを懸念する必要は無いように感じます。
また、どの国からどのぐらいの人数が観光に来て欲しいなど選べるものではないですし、特定国だけ抑制するなんて思想は現実的とは思えません。
これからは知名度の低かった国へ日本観光の良い所を伝えるなど、地道に増やす努力をしていけばそれでいいと思います。日本までの距離が遠い国ほど、せっかく日本に観光に来て嫌な思いはして欲しくないですし。
観光業の問題、例えば過度に特定国に依存し過ぎるような観光地があれば、注意を促したり改善策を共有していったり、場合によっては法整備も含めて、受け入れ側の対策が可能です。
デービッド・アトキンソンというイギリス人が、日本の観光業界と観光行政の問題を鋭く分析し、具体的な改善の提案を行っています。
彼は再三、中国・韓国観光客への依存が危険であり、客単価の点からも旨味が少ないことを指摘しており、伸びしろの多い欧州、特にドイツ人観光客へのアピールを訴えています。また、長期滞在を好む欧米富裕層を招くには、高級ホテルの数も質も圧倒的に不足している現状を憂いています。
日本政府は、国際観光振興機構の特別顧問にアトキンソン氏を迎え入れており、彼の提言を聞く意思はあるようなのですが、観光行政が大きく転換している気配は感じません。
彼の視点は日本の保守層の好みに合わないことが多く、反感を持たれやすいのですが、数字(事実)を元にした批判を感情が受け付けないのだとしたら、どこぞの民族と変わらないことになります。読んでいてカチンと来るかもしれませんが、一読の価値はあると思います。
『世界一訪れたい日本のつくりかた』デービッド・アトキンソン (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492502904/
『新・観光立国論』デービッド・アトキンソン (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492502750/
阿野煮鱒様
ちょっとうろ覚えなんですが、デービッド・アトキンソン氏と言えば、インバウンド消費なんて言葉がポピュラーになる以前から、海外から観光客を年間5,000万人も呼び込めば、その消費で人口減少に伴う経済規模の縮小を十分補填できるといった意見を述べてきた人と記憶しています。氏の意見に酌むべき部分が多々あることには同意しますが、ストレートに受け止めるには問題点もまた多いと前々から思っているんですが。国内の生産活動に参加しない外国人観光客に有効需要の大きな部分を依存し、それに対応するためのサービス業に減少していく国内人口の相当部分を割くというのは、この国の経済構造に少なからぬ変化というか歪みをもたらすのではないか危惧する故です。
ユーロ危機が盛んに言われていた時期にPIIGSなどと揶揄されていた国々。短期的には、ユーロという身の丈に合わぬ強い通貨を手にして、浮かれ踊ったお祭り騒ぎのツケということなんでしょうが、長期的にみれば、地道に国内産業の育成強化を図るより、外国人客が落としてくれるカネを当てにして安易な観光政策に走った挙げ句というのが、これらの国々の多くに当てはまるような気がします。
インバウンド消費と言えば何か丸儲けみたいなイメージがつきまといますが、これは嵌まると麻薬みたいなもの、観光客の主体が中国・韓国人であろうが、欧米人であろうが、その辺に変わりはないと思います。あるべき姿としては、外国人観光客が落としてくれるカネに相当するくらいの額は、日本人も海外旅行で費消してくる、ほぼほぼそのあたりを目指すべきじゃないかと思います。そのためには人口の根幹部分は実業に従事していて、余暇には国内にせよ海外にせよ旅行を楽しめるくらいの余裕をもっている社会を実現する。観光立国なんてことを喧伝するより、少子老齢化が進行する今、はるかに難しい課題であることは無論ですが、政治のあり方としてはそういう方向性をもってもらいたいところです。
> 外国人観光客が落としてくれるカネに相当するくらいの額は、日本人も海外旅行で費消してくる
背景にある社会の在り方を含め、その通りだと思います。
距離の近さから、中韓台の観光客が多いのは
自然と思いますが、多角化は必要ですね。
韓国に関して言えば、たかが人口5000万人の
国から年間700万人の観光客が来ていたのが
そもそも異常。例え関係悪化がなかったとしても、
そろそろ飽きが来る頃だったのでは?
多角化先としては、やはり東南アジアが有力では?
距離、人口、経済成長の伸びしろから考えて。
中国人観光客についてですが、近年の中国人は、爆買いが騒がれた頃に比べると、マナーが良くなり、話し声も若干小さくなったように感じます。服装は、中高年は相変わらずですが、若年層は垢抜けてきました。
GINZA SIXで高級ブランドを臆せず買い求めている中国人を見ると、相変わらず金の力でブランドをねじ伏せていると感じますが、値札に臆している自分よりは立派かもしれないとも思います。
中国人は御殿場のアウトレットモールにもバスをチャーターして大挙してやってきます。迎え入れる店も、中国人の店員を雇って応対します。盛大に物を買ってくれるのはいいのですが、プラダやグッチやエルメスなら中国でも買えるだろうに、御殿場くんだりまでやってきて中国人の店員と中国語でやりとりする買い物の何が楽しいのか不思議です。お陰でこちらも怪しい日本語の接客を受ける羽目になります。
「このジャケット、サイズが44の在庫ある?」
「あるよ、履いてみるか?」
「いや、『着る』、だよ。スラックスは『履く』、ジャケットは『着る』」
「どっちでもいい。バックヤード見てくる」
:
「あったよ、履いてみて」
(…直らんか、仕方がない、履いてやろう…)
「お客さん、似合うね。背中がきれいだよ」
(ほう、さすがはサンローラン、きれいなシルエットだ…)
「買うか? にちゅーよんまんえんだよ」
「うーむ、衝動買いできる値段じゃないな。ちょっと考えるわ。ありがとう。また来る」
「ありあとあしたー」
阿野煮鱒さま
日本でブランド品を購入するのは、偽物が無いと信用しているからだと思います。
中国国内では、それも担保できないと思っているんじゃ無いでしょうか。
それなりのブランドは直営のショップを持ちますので、中国でもコピー品を買わされる心配はないと思います。
例えばエルメスの場合
銀座 メゾン・エルメス
https://assets.hermes.com/is/image/hermesedito/P_169_GINZA_HOMEPAGE_1?fit=wrap,0&wid=1920
上海 メゾン・エルメス
https://www.fashion-headline.com/api/image/width/750/images/migration/2014/09/fc23539312797482880118da857fe79b.jpg
阿野煮鱒さま
中国に同じブランド店が、有るのは知っています。
訪日外国人の激増に伴う「観光公害」の問題点と解決策について、
>東洋文化研究者のアレックス・カー氏とジャーナリストの清野由美氏…の2人の共著『観光亡国論』(中公新書ラクレ) DIAMOND ONLINEから引用
と言う書籍が、参考になると思います。
>2つのモデルを比較してみましょう。1つは大勢の観光客を誘致する「大型観光」。もう1つは、個人の観光客にバラバラに来てもらう「小型観光」
イナゴの大群が観光バスで一斉に群がるだけの”通りすがり”の「大型観光」よりも、少人数で長期間ユックリと観光し、お金もたくさん使ってもらえる「小型観光」の方が、受け容れる観光地の負荷が少ない上に、地元にも迷惑をかけない、静かで良質の観光をしてもらえるのだから、単に観光客の数を求めるのではなく、国レベルの施策として旅行内容の質を求めてはどうか、というのが主旨のようです。
上に書いたアトキンソン氏も同趣旨ですね。
それから、以下は私の考えですが、日本の観光業界は長年、国内の団体旅行に頼っていたんですよ。農協とか社員旅行とか、もろもろの団体が大挙してバスで名所旧跡を移動し、土産物店で土産をドカドカと買い、ホテルに乗り付けて大宴会場で飲めや歌え。特に旅館/ホテルは、個人客をちまちまと相手するよりも効率が高いので団体重視。
このノリを海外からの観光客に期待するので、中国人はありがたい客と捉え、欧米の客単価の高い客を軽視しがち。迎え入れる側も、アジア的イナゴの大群のイメージしか持っていなかったのだと思います。
そんなこんなで、立地に恵まれた観光地ほど意識転換が遅れる傾向があります。私が知る例では栃木県の鬼怒川温泉や塩原温泉が典型です。東京の奥座敷と呼ばれ、東武鉄道や東北自動車道でアクセスできる立地で、バブル期には次々にホテルが建設され、年間300万人以上が訪れる観光地でした。今はそれらの建物のほとんどが廃墟です。
バブル崩壊直後に鬼怒川行ったことがありますが、温泉の効能は今ひとつだし、景観はビルだらけだし、料理は不味いし、個人客のあしらいはぞんざいだし、「何でこんなに客がいるの?」と不思議でした。案の定、その後は廃れ寂れていきました。何の努力をしなくとも儲かっていたため、経営者が営業努力を怠った結果です。同情しません。
日本人自身が、ラグジュアリー・リゾートの楽しみを熟知し、そのツボを押さえた経営をしないと。これからの観光産業は成長しないと思います。そのためには必ずしも国が豊かである必要はありません。タイは年間三千万人以上の外国人観光客を招き入れています。タイの人口は6千8百万人ですから、一人当たり観光客数ではさらに日本を上回ります。日本は、○○の一つ覚えで「おもてなし」ばかり唱えていないで、タイの観光行政やリゾートホテルの経営内容を研究したら良いと思います。
21日の朝日新聞朝刊は、第一面で「訪日韓国人10月65%減」です。
「訪日客全体も前年同月より5.5%減の49万7千人となり、2ヵ月ぶりに減った。」は当然の様に書いてますが、訪日外国人旅行消費額が増えている事は、当然の様に「報道しない自由」を謳歌しています。
第一面だけでは満足できなかった様で、第七面トップで、「韓国客減 地方空港ピンチ」と報じてます。
特亜の客しか相手にしないという、リスク完全無視の一本足打法経営の方が糾弾されるべきなんじゃないの?